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セブのスーパー台風の被害を現地からお伝えします

Noah

こんにちは! LIGのセブ島開発拠点CODYCOOのノアです。

10月にセブに渡り、徐々にフィリピンの文化への理解も進んできました。程度の大小はあれど、やはり文化の違いはあちこちで実感します。一緒のプロジェクトで働くうえで、こうした文化の違いを認識・尊重することは非常に重要です。

特に国民の実に90%以上もの人がキリスト教徒なので、「クリスマス」に対する価値観は日本とまったく異なります。

今日は、そんなフィリピン人のクリスマスや年末年始の過ごし方についても触れていきつつ、今回もCODYメンバーの紹介をしたいと思います!!

 

……実体験も含めてご紹介を、と思っていたのですが、それが叶いませんでした。

日本のいくつかのメディアでも報道されていた様ですが、2021年12月16日夜、フィリピンビサヤ地区をスーパー台風オデット(Odette)が直撃しました。甚大な被害を受けてしまったため、クリスマスどころではなくなってしまったのです。

セブの被害状況

12月16日

同日19時頃から風が非常に強くなり始めました。

木々の揺れる音が激しくなり、雨が地面を打つ音もバチバチと強さを増し、強い風によってガタガタ震える窓やドアの隙間から雨が侵入してくる。外から飛んできたものが窓ガラスに当たる音が何度も聞こえ、いつ割れるかもわからない。僕の住んでいる部屋もそんな状況でした。

窓からはいつも家の明かりがたくさん見えるのですが、その日の景色は漆黒。どこも停電で電気が一つも見えませんでした。

勝手口のドアが今にも開こうとする勢いでしたので冷蔵庫をバリケードに設置してドアが開かないようにしつつ、浸水してくる雨を必死でかき出す。深夜1時頃までそんな状況が続きました。

数時間にわたる雨風との戦い、またいつ窓やドアが壊れてしまってもおかしくない状況に疲弊して、その日は眠りにつきました。

12月17日

そして一夜明け、外を見てみるとそこは別世界。

電柱や木々がなぎ倒され、切れた電線が道路にむき出しになっており、道路の通行もままならない状況。
 

多くの家の屋根は飛ばされたり、土砂くずれによる崩壊。
 

マンションや商業ビルの窓ガラスは割れて、道路に散乱。

被害状況は想像の遥か上を行き、目の前に広がる光景は大地震や津波の被害を受けたような、そんな状況でした。

すでにその時点で電気、水道、ネットといったインフラの類は一切機能しておらず、CODYメンバーの安否確認すら取れない状況。メッセージが届いているかどうかわかりませんでしたが、日本の経営陣、CODY各メンバー、そして日本の家族へメッセージ送った後、CODYオフィスへと向かいました。

道中もあちこちで倒れた電柱や木々によって渋滞が発生しており、また食料や飲料水の確保のため、ガソリンスタンドには長蛇の列ができていました。
 

この時点で既にライフラインは崩壊していたため、水屋(※)にも生活用水を求めて多くの人が列を成していました。
※セブは水道水は飲めるレベルではないので、各家庭にウォーターサーバーを設置しているのが一般的で、ウォーターサーバー用のガロンボトルを販売している水屋があちこちにあります

タクシーはおろかバイクタクシーもジプニーも走っていなかったので、2時間近くかかってようやく到着。

オフィスに到着するまでに凄惨な被害状況を目の当たりにしてきたので色んな不安が頭をよぎりましたが、幸いなことにオフィスは窓ガラスの破損や浸水もなく、オフィスの1フロア上の寮スペースに住んでいる従業員たちの無事も確認できました(そのあとに入った情報では、我々のオフィスの数階上のフロアでは天井が崩壊・窓ガラスの破損によってオフィス内が水浸しになっていたそう……)。

近くに住んでいるメンバーも含めて、10名ほどのメンバーがオフィスに避難してきていましたが、数名だけでも安否が確認できたこの瞬間は本当に安堵しました。

ただ避難してきていたメンバーに聞くと、家の屋根が吹き飛んで室内が水浸しになった、家屋が倒壊したなど、被害状況は非常に厳しいものでした。

CODYの避難所対応

オフィスは無事だったものの、依然ライフラインは崩壊しておりネットが繋がらないためその場にいないメンバーの安否確認がまったくできません。100名超のメンバーがいるのですが、結果として全員の安否確認が取れたのは被害発生から6日も経過した12月22日のことでした。

安否確認ができないなか不安な気持ちはあるものの、とにかくこの危機的状況を乗り越えなければいけません。

まず飲料水・食料の確保

スーパーマーケットに限らずどこのお店でも完全に電気が遮断されているため、現金しか使えません。さらに電気が遮断されているということはATMも機能していないということなので、現金の確保がもっとも困りました。

避難してきているメンバーの財布に残っている現金をかき集めて、飲料水と日持ち・腹持ちする食材を購入。それでも購入に2時間近くかかるほど、スーパーマーケットも長蛇の列でした。

幸いなことに我々のオフィスが入っているビルにはジェネレーターが備え付けられており電力の使用はカバーしてもらえましたが、東日本大震災時の計画停電のように、PM6時〜AM6時のみ使用できる状態だったため、家に一度戻ってガスボンベを持ってきて調理を行うようにしました。

モバイルネットワークは依然機能していないため、ほとんど常時ネットワークが繋がっていない状況ではありましたが、オフィスならびに寮スペースをメンバー向けのシェルターとして開放する旨をアナウンス。読まれているかどうかはわからないものの、少なくとも雨風がしのげて、飲食の提供ができること、家族とともに会社を頼ってもらおうと思いました。

時折入るWi-Fiを使ってちらほらメンバーと連絡がつき始め、夜には20名強のメンバーが避難してきてみんなで食事を共にすることができました。

まだ大半のメンバーの安否確認が取れないなかですが、翌日からは週末のためここで何とかリカバリーできればと考えていました。

台風後初めての週末

稼働どころではなくなってしまった金曜日でしたが、翌週からはプロジェクト進行もあるため稼働が必要です。アサインされているメンバーへ労働環境は用意したいと考える一方、引き続き安否確認を急ぎます。

この頃には約半数のメンバーと連絡が取れていたのですが、かなり被害状況はひどく、仕事どころではないメンバーが大半でした。

寮スペースの整備を急いで行い、家が住める状況ではないメンバーを家族諸共避難してきてもらい、各部屋を提供することで最低限プライバシーと安心・安全を提供しました。

避難してくるメンバーが増えることによって飲料水・食料の追加確保も必要になるため、メンバーが手分けして安価で大量に購入できるお店に行き、買いものをしてきてくれました。

ニュースの情報が入り始めていたため、セブ以外も含めて台風通過エリアの被害状況が明らかになり始めていたのですが、状況は想像以上でした。凄惨な報道を受けて、週末での復帰は難しいことを覚悟したのもこのタイミングです。

とはいいつつ、クライアントには迷惑をかけられないので、並行して月曜日以降にメンバーが稼働できるように最低限労働環境の整備を急ぎます。

コアメンバーと協議して、下記を進めました。

  • ジェネレータが稼働するために必要なガソリンをビルオーナーに提供することで、優先的に電力を使用できるように交渉
  • 技術者に問い合わせてWi-Fiルータの調整を行い、オフィスにおけるネットワークの確保
  • ジェネレータ稼働時間帯であるナイトタイムシフトの検討

自分自身の家や家族のこと、ほぼ100%のメンバーが被害を受けているなか、クライアントファーストで物事を考えてくれるメンバーがこんなにいたことに、心を動かされました。

結果、CODY社としては、次の週いっぱいを業務停止期間としてオフィシャルにアナウンスをさせていただくことになりましたが、可能なメンバーは月曜日から業務にあたってくれました。

台風被害から学んだこと

そんな大変な状況ではあったのですが、私がその場にいて感じたことは2点です。

  • フィリピン人のポジティブシンキング
  • プロフェッショナリズム

フィリピン人のポジティブシンキング

全員が未体験の災害状況下、自分の家や家族、故郷に住む親族も被害に遭ってしまい精神的に参ってしまってもおかしくない状況でしたが、我々のメンバーは常に明るく振る舞ってくれました。

台風通過の翌晩、よく就業時間の後にオフィスで集まって飲んでいたウイスキーの残りを持ち出し、寮メンバーがギターを持ってきて、そこでプチパーティが始まったのです。

僕もここまでの災害に直面するのははじめてのことだったのと、対応しなければならないことに追われ正直精神的に疲弊していたのですが、彼らはコロナ禍でなかなか直接会えなかったメンバーと久々に会えたことをポジティブに捉え、明るいムードを作ってくれました。

起こってしまったことはしょうがない。人生で今日は今日しかないんだから楽しまないともったいない。テンション上げていこうよ。

一人のメンバーが僕にそう笑顔で言ってくれました。

LIGが掲げている「LIFE IS GOOD」の精神を持つ彼らに本当に救われました。

プロフェッショナリズム

一方で、プロジェクトを預けて頂いている日本のクライアントに対しての影響もきちんと考えてくれました。

自分たちのことでそれどころではないはずのメンバーも多々いるにもかかわらず、どうすれば最短で業務を再開できて、クライアントに対しての影響を最小化できるか。リーダーを中心に、そのための方法を検討して実行してくれるメンバーがいました。

自分たちは日本のクライアントから仕事をもらって給料をもらっている。彼らを裏切ることは許されない」と。

基本的にエンジョイ思考なメンバーが多いのですが、彼らのそういった強いプロフェッショナリズムのおかげで、翌週には完全業務復帰をすることができました。

さいごに

この記事を執筆している1月末現在もまだまだ復旧にはいたっておらず、いくつかの地域では電力が復帰していません。島外の故郷に戻ったりするなど、各々が困難と立ち向かっています。

さらにコロナの感染拡大はフィリピンも例外ではなく、親族に感染者が出るメンバーが出るなど、二重苦となってしまっています。

1日も早い完全復旧の日を待ち遠しにしながらも、プロジェクトに全身全霊を捧げる。そんなメンバーと共に我々CODYのメンバーは今日も働いています。