こんにちは、エディターのケン( @KenTakahashit )です。
みなさん、悩みを抱えていませんか? 僕も仕事に、私生活に、通勤の遠さに、悩みを抱えています。そこで本日は
「もう……つらっ!!!」
「つらっ……いや、つらたん!」
「なんだよ!!! つらすぎるっつーの!」
「もんげーーーー!!! つらいズラーーーー!」
といった悩みを抱える子羊たちに、ぜひ参考にしてほしい1冊を紹介したいと思います。
『試みの地平線 伝説復活編』
日本ミステリー文学大賞を受賞作家である北方謙三先生の著書『試みの地平線 伝説復活編』(講談社文庫)です。
この本は、雑誌『ホットドッグ・プレス』(講談社)にて1986年から2002年まで連載された「試みの地平線」に加え、『週刊現代』2005年4月9日号と9月3日号で発売された「試みの地平線 中年編」と「ミドル編」、1988年と1990年に発売された単行本『試みの地平線』『続・試みの地平線』の一部をまとめた文庫本です。
初版は2006年と今から10年前、2015年12月に第6刷を発行した超ロングヒットセラー本です。
今回は、最高で激アツなお悩み相談のエピソードから見える北方謙三先生の男気から学ぶ人生論を紹介していきます。
悩んだ上の、「ソープ」のその先にあるもの
この本の第1章は、「ソープへ行け」からはじまります。
北方謙三先生のもとには、10代〜30代の男女からの性に対する質問も多く寄せられます。実に生々しく切実な悩みから、胸がキュンとなる悩みまで内容はさまざまですが、みんな悩みに悩んで困っています。
そんな彼らの切実な質問に対し、北方謙三先生の答えはいつも秀逸。以下、いくつか例を紹介します。
例1「どうしたらキスまでもっていけるか?」
僕は17歳の高校生ですが、最近悩んでいることがあります。それはキスのことです。僕は高校生のうちに、キスくらいは経験しておきたいと思っているのですが、なかなかキスまでいくことができません。彼女はいいコですし、一緒に部屋にいて、ムードも盛り上げあったりするのですが、そこからキスまでもっていけません。どうしたらキスまでもっていけますか?
という悩みに対して、北方先生は、「キスとはどんなものだろう?」と相手に訊いてみろという。「俺は経験がない。してみないか?」と。
とにかくやってみろ。行動を起こさなければ、何も始まらない。それが俺のアドバイスだ!
“キスってどんな感じだろう?”と思ったキミ、真っ先に大好きなアノ子のところへ走って、いますぐ実践しよう!
- ちなみに、私はファーストキスをする前に鏡に向かって練習したことがあります。
例2「ナニが小さいことで悩んでいる」
私の悩みは、非常にナニが小さいことです。平常時で4cmくらい、縮んだときは2㎝くらいしかありません。(中略)普通10㎝くらいだと雑誌に書いてあったので、自分はとても気になって仕方がありません。
聞きましょう! 私もよく耳の穴をかっぽじって聞きます!
北方謙三先生の答えはこうだ!
ソープに行け!そして、「俺のものは小っさいか」訊いてみろ。
・・・その道のプロに聞く。実に、的確だ。
その一方で、北方謙三先生は、こうも続ける。
男を問われるのは、ナニの大きさではない。金の玉(ここでは書けないので、この表現にさせてもらいます)の大きさだ”もちろん、象徴的な意味での金の玉で、ぶら下がっている金の玉ではないぞ。その意味は、小僧どもみんなで考えてみろ。
つまり、“器の大きさだ”と。
ナニが小さいと思う諸君、ソープに行ったその先に、本当の男の大きさがわかるはずだ。
そうだ、みんな!ソープへ行こう!
- ちなみに、私は風呂でナニを隠す派です。その意味は……聞くな!
コンプレックスを武器に変えろ!
誰でもコンプレックスは持っていると思います。私にももちろんあります。
背が小さい、人前が苦手、人との会話が苦手などなど・・・。
各々が抱えるコンプレックスを、北方先生は“自分の武器に変えろ”と言います。
例1「ほっぺたが赤くて悩んでいます」
北方先生、ぼくの悩みをきいてください。ぼくは小さいころからほっぺたが赤く、そんなに気にしていなかったのに、17歳になってもぜんぜん治らず、友達からリンゴ病ではないかといわれて、病院に行ったけど、医者にはリンゴ病ではないといわれた。これでは彼女もできません。治す方法があったら教えてください。
という17歳の少年からの質問に対して、
(前略)人には、コンプレックスがあったほうがいい、というのが俺の考え方だ。そのコンプレックスを逆手に取る方法を考えろ。(中略)俺みたいに、少年のようなほっぺたをしてる奴はいないだろう、と自信を持って言えるようになれ。コンプレックスは所詮、心のありようの問題なのだ。
たしかにコンプレックスは、他人から覚えられやすい特徴ともいえます。
つまり、コンプレックスって、実はあなたの唯一無二のステキな個性なんじゃないか。
例2「大学生にコンプレックスがある」
僕は高卒で、今東京の、ある会社で働いています。たまに渋谷などで飲んでいると、周りでさわいでいる大学生などを見て、ひどく、「コンプレックス」を感じることがあります。(中略)自分はどうせ高卒だとくさってしまうことがあります。このコンプレックスをなくすにはどうしたらいいか、教えてください。
男の中の男、北方先生は、ご自身のエピソードも交えてこう教えてくれます。
北方先生は、大学を卒業したが、卒業してから就職をしなかった。横を見れば、就職をして給料をもらい、まともな家庭を築き、週末にはレジャーを楽しむ家族がある。(当時)自分にはまっとうな職業はないからとコンプレックスをもっていたそうだ。それでも北方先生には、小説というものがあったからそのコンプレックスさえもはね退け、現在作家として活躍しています。
高卒だって、いいじゃないか。自分に与えられた環境の中で、人生を充実できればいい。自分の力で一生懸命に何かをやったかどうか、人の最後はそれで決まるのだ。俺は自分の経験から、そう思う。だから君よ、負けるな!
・・・グッときたキミ! きっとイイ奴!!!
- ちなみに、私は年々際どくなってきている生え際がコンプレックスです。
男とはなんたるかを、北方謙三から学べ!
この本からは、北方流“男”を学ぶことができる。
腕っぷしが強い、イケメン、酒が強い・・・もちろんそれも男らしい。北方先生の男とは、”生き様”なのだ。
男にも、しょうもない悩みから、どうでもいい悩みまでたくさんあるもんだ。そんな悩みにも、北方先生の男気を感じることができる。
例「男の定義を教えてください」
北方先生、こんにちは。(中略)先生の思う”男の定義”なるものを教えていただきたいのです。また僕は先生に男としての羨望の目を向けるばかりです。どうしてあんなにしぶいのか。そんなしぶさは何が源になっているのか、不思議です。
北方先生の答えは、こうだ。
男の定義という問題について、答えるならば、おそらくそんなものはないだろうと思う。つまり、男というのは定義するものではないのだ。便宜上、自分のルールを持っていて、それを守ろうとするのが男だ、と俺は今まで言ってきたが、それだって定義ではない。本当の定義というのは、一人一人の心の中にあるものだと思ってほしい。(中略)それから、俺はどうしてこんなに渋いのか、という問題。こればかりは、持って生まれた素質としか言いようがないな。持って生まれた素質に、人生で磨きをかけた。
つまり、男の定義とは、己の中にあるということ。
なるほど!と思ったキミ! オトコマエ〜!!!
さいごに
本書には、ここではまだまだ書ききれないほど素晴らしい回答がたくさん掲載されています。
この本を読んで最も強く感じたことは、北方謙三先生が、どの人に対しても真摯にその悩みに向き合い、北方謙三という一人の人間としての熱量を伝えていることです。
どんな小さなことでも熱量は、人に伝播する。受け取った人間もまた、その熱量を感じて、自分の行動や人への対応に熱量を伝えていくのだと思います。
このステキな本に出会えた記念に、最後に北方謙三先生の最高の言葉で締めたいと思います。
「宝ものを持っているか、小僧ども。人に向かって、これがぼくの宝物です、と言えるものを持っているか。」
Life is Good!!!
それでは、また!