「考えます!」は行動の先送りでしかない — 即興というビジネススキル | 即興集団ロクディム インタビュー

「考えます!」は行動の先送りでしかない — 即興というビジネススキル | 即興集団ロクディム インタビュー

そめひこ

そめひこ

みなさんこんにちは、そめひこです。

実は先月の9月10日に開催されたロクディムという即興芝居集団の舞台に、弊社社長の吉原ゴウと三代目広報だったヨシキが急遽役者として出演させていただきました。

そんなLIGとご縁のあるロクディムですが、僕も先日、ロクディムの中心メンバーである渡さん、カタヨセさんにお会いする機会がありまして。
“即興演劇” というと、まだ日本ではあまり聞きなれない芝居ジャンルかもしれません。しかしビジネスにおいても即興は大事な要素なんですよね。

そこで今回はロクディムに即興がビジネスに求められる理由、そしてロクディムが即興で挑戦する理由についてお話をお伺いしました!

6dim-1 人物紹介:渡さん
6-dim+共同主宰・即興遊技者・即興芝居(インプロ)コーチ・映画監督。即興表現だけでなく、テレビ・映画・演劇作品にも出演。自ら初監督した映画「wander off」が横濱HAPPY MUS!C映画祭2014に入選するなど多方面で活動。即興ワークショップを開催しながら月1で1人即興LIVEも。
URL:http://www.watari-bouya.com/
6dim-12 人物紹介:カタヨセさん
6-dim+共同主宰・俳優・ダンサー・ナレーター。
即興芝居で他者と一緒に物語をつくり、即興ダンスで他者と一緒に踊る。即興の持つ「楽しさ」「興味深さ」を沢山の人に体感して欲しいと年齢性別業界問わず各方面で公演・ワークショップ活動中。福島県いわき出身・鎌倉在住。

「あの子、笑うんだ」失敗できる環境づくりが子どもの笑顔を生み出す

— 最近は舞台以外のお仕事も増えてきてますよね。

渡:NHKのドキュメンタリーで紹介いただいたこともあり、学校での講演依頼をいただくこともありますし、ワークショップという形で小中高大に行ったり、企業に呼んでもらってビジネス研修をしたりしています。

— 即興芝居は企業研修でどう活かされるのでしょうか?

カタヨセ:たとえばカヤックさんの場合、新入社員研修として取り入れてもらっているのですが、「自由でいいんだよ」「自由ってこんなに面白いんだよ」「でも自由は責任を伴うんだよ」ということを即興芝居、身体を使ったコミュニケーションを通して伝えてます。
即興芝居って自分がどうするかではなく、相手の状況に合わせなくてはいけない。相手と同じところに立って、見よう・観察してみようとする。そうすると “自分” という視点ではなくなってきて、お互いが「こうしたらいいんじゃないか」と試行錯誤できるようになり、自由になっていくんです。

渡:あと、ビジネスもいまって明日何が起こるか分からないじゃないですか。特にインターネットのような変化のスピードが速いものだと特にそう。そんなとき、上の意思決定を待っていては対応が遅くなってしまう。そんなとき、求められるのは即興部分の要素なんですよ。
即興でビジネスができる人は考えてからやるんじゃなくて、最初に「やります」って言っちゃう人。そういう人は予想外のことを楽しむ心があるんですよね。「無理だ」って蓋をするのではなく、逆に盛り上がるというか、脳のシナプス、思考回路ができている。

— 「考えます」ではなく「いいアイデアあります!」と。

渡:そうなんです。そのためには、毎回訓練して即興脳のシナプスをつくらなくてはいけない。その習慣ができれば予想外の自分に出会えるというか、ひらめきが生まれるんですよね。

カタヨセ:あと、即興で「解決策知ってるよ」と言った時って、注目浴びるしハードルが上がるんです。だけど、それが素晴らしいアイデアでも、「なんだ、それ」というアイデアでも、どっちでもいいんですよ、実は。発言自体が大きなインパクトになるので、 “笑い” になるんですよ。
なので失敗を恐れるのではなく、「失敗してもいいんだよ」というのが即興の大きな特徴の一つかと。

渡:海外だとビジネスでも即興メソッドを使うのは当たり前にやっていることですが、個人としての能力向上と、「失敗してもいいよ」という環境づくりですよね。そうしないと奇跡が起きない。

カタヨセ:学校でワークショップやると教員たちが驚くんです、「あの子、笑うんだ」って。いかにそれまでの教育が “正解” だけを求めていたかというのを目の当たりにしますよね。子どもたちは「間違ってもいいんだ」って分かると、パッと明るくなるんで。

「即興やらないと死ぬ」表現をやめたら失明しかけた

即興芝居 ロクディム

— ロクディムが結成したのはいつ頃ですか?

渡:一番はじめは20歳くらいのときです。僕が個人的に「演劇をするチームをつくりたい」と思い、結成しました。表参道のライブハウスで一度公演もやって非常に楽しかったんですよ。だけど、その初回公演のときにカタヨセが「次のライブでお客さん100人呼べなかったら解散します!」と宣言しちゃったんですね。そしていざ2回目のライブをやったら結果86人で解散(笑)

— それなんで言っちゃったんですか?(笑)

カタヨセ:やりたいだけじゃダメじゃないですか。本当にこのメンバーでやるんなら、それぐらい呼べなきゃダメでしょと、一石を投じたんです。

渡:その発想が早すぎるんだよ。

— そして、結成4ヶ月で解散になったと。

渡:僕だけ、ものすごくショックでしたよ。悔しいし、打ち上げにも行けないくらいだった。なのに、他のメンバーはけろっとしていて……。そのあと僕とカタヨセは2年ぐらい即興を離れましたね。

カタヨセ:この人、一回即興やめて病気になっちゃったんです。

渡:そう、最初の即興を離れていた2年間、パントマイムとか何かしら “表現” はしていたんですけど、それすらもまったくしなくなった時があって。あれよあれよという間に精神的にダメになって、不眠症になって、アトピーがひどくなって、ある朝起きたら片目が開かなくなって病院行ったら「きみ、失明するよ」みたいな。即興やらないと死ぬということがシンプルに分かりました(笑)

即興演劇集団ロクディム 6dim

— それで即興をまた始めて、ロクディムが再結成するキッカケは?

カタヨセ:演劇スクール時代に僕らに即興を教えてくれていた今井純さんから『東京コメディ・ストアジェイ』の誘いがあったんです。海外って週末になると「コメディ観にいこうよ」っていう感じでスタンドアップコメディの文化があって。それを日本語でやろうとスタートしたのが『東京コメディ・ストアジェイ』でした。

渡:そこでも紆余曲折あって。僕ら当時はまだまだ芝居のクオリティが高くなかったんですね。そしてショーをやっては失敗して、今井純さんに傷口に塩をつけるようなダメ出しをされて、僕たちが死にかけるみたいな。トータル8年ぐらい、やってました。

カタヨセ:会場はスタンディングで100入るところなのに、一番少ない時でお客さんは一桁だったり。お客さんを呼ぶためにピザの無料券をつけようとかって議論してましたね。メインの芝居ではなく、ピザに頼るという。もう頭おかしくなってたんですね。

渡:人が多く来てくれたことがあったんです。だけどドン滑りしまして。100人いるのにこんなに静かなんだっていう。何やってもシーン、みたいな。もう舞台の裾から出たくないって感じで、全員心折れるという。友だちからも「友だちだから行ったけど、金払って普通に行くならブチキレてる」と直で言われてましたね。

— 「もうやめよう」とかは思わなかったのですか?

渡:やめるって選択肢はなかったですね。とにかくやるんだって言って、月に一回はやりつづけた。即興の価値をその時から信じていたというか、これおもしろいしやった方がいいと思ってたんですよね。

カタヨセ:いまもそうですが、日本において即興を広めるというのを担っていきたい気持ちがあったんです。ただ、即興ってすごく怖い、何も決まってないから。
失敗したら、「それも即興でしょ?」ってなっちゃうんです。それでも、いかに即興のおもしろさを届けられるかってなると、もうやるしかないんです。

渡:即興をやる身としては痛いほど身にしみていることなので、一歩一歩進んでいくしかない。ここでやめちゃうと即興の可能性を信じていないことになるので。

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そめひこと申します。京都で生まれ、京都で育ちました。母の名は直子、父の名前は明でございます。LIGに来る前は藍染師として生きていました。京都の四富会館二階にあるBAR「アイエン」が大好きです。

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