自社ブログが300万PVになってわかったオウンドメディア戦略の成功事例と問題点まとめ

自社ブログが300万PVになってわかったオウンドメディア戦略の成功事例と問題点まとめ

LIGブログ編集部

LIGブログ編集部

こんにちは、LIGブログ編集長の朽木(@amanojerk)です。編集長とは具体的になにをするのかとよく聞かれますが、記事のライティングと編集、企画と進行、全体のクオリティチェックと売り上げ・PVの数値管理など、基本的に何でも屋です。

さて、2012年1月から本格的に運営をはじめたLIGブログは、2013年3月に100万PV、同年12月に200万PV、そして2014年7月には300万PVのメディアになりました。今後、LIGブログはなるべく早い段階での1,000万PV達成を目標に運営をしていきます。

しかし、LIGという組織や、Webメディアを取り巻く環境が常に変化を続けている以上、そのオウンドメディアもまた、柔軟な変化が要求されるでしょう。そこで、この機会に、LIGブログが300万PVになるまでに成功したこと、問題になったことをまとめました。

オウンドメディアやインバウンドマーケティングといった用語を見聞きする機会が多くなった昨今、メディア運営者や、Webマーケターのみなさまにも、LIGブログの事例を参考にしていただければ幸いです。

※100万PVまでの施策・効果についてはこちらの記事「自社サイトをメディア化し、1年で100万PVにして分かった失敗と成功のまとめ。」をどうぞ

それでは、はじめます。

オウンドメディア戦略の成功事例と問題点まとめ

(読了目安:10分)

LIGブログの現状

現在LIGブログは1日4本の記事更新をしており、土日祝日は基本的に停止、記事総数は約2,300本です。約60人のLIG社員が月に1本、約20人の外部ライターが不定期で記事を制作しています。
体制としては、運営チームが3人、企画・プロモーションのチームが4人、広告管理が2人、専属デザイナー1人の合計10人で運営をしています。

PV数の推移

100万PV達成からおよそ2年、300万PVまでのアクセス数の推移は下図のようになっています。

200万PVまで

こちらは100万PVから200万PVまでのアクセス数の推移です。2013年4月には紳さんの秒速結婚で大きなバズがありましたが、それは一度落ち着き、2014年の年末にかけて少しずつPVが増加しているのがわかります。
定期的に話題となる記事はありましたが、大きなバズはなかったので、これはコンテンツを継続してストックすることで、後述するようにドメインが強化されはじめたものだと考えられます。

 

300万PVまで

こちらは200万PVから300万PVまでのアクセス数の推移です。2014年4月は新卒社員4人による入社式など、大きなバズが立て続けに3本ほど重なり、一気にPVを伸ばしました。
このタイミングで平均してPVは増加し、以降は順調に右肩上がりで300万PVまで到達しています。

LIGブログとは何か

検索で何かとヒットする、あるいは、ソーシャルでよくシェアされる、などのご感想を頂くことが多く、それはとてもありがたいことなのですが、接触回数が増えるほど、そもそもLIGブログとは何かがわからない、という状況にも陥りかねません。

そこで再確認ですが、LIGブログとは、そもそもWeb制作会社であるLIGが、企業としての認知を拡げるための広報機関として運営をしているものです。
個人の広報担当も起用していますが、それはよりユーザと交流しやすい窓口の役割が主になっており、実質的に社外向けの情報発信をしているのはLIGブログになります。

メディア化により知名度が上がり、多数の読者にファンになっていただいたことで、LIGは基本的には100%受託での制作ができるようになりました。また、採用についても、LIGへの親和性と個人のスキルが高い人材が獲得しやすくなっています。
インバウンドで顧客と人材を獲得できるというのは、現在流行しているオウンドメディア戦略としては、当たり前のことになりました。

しかし、実はこのようなメリットは後付けであり、スタートの時点でここまで予測ができていたわけではありません。「楽しそうだからやった」というのも正直なところです。

まとめると、LIGブログは“ファンをつくる”ためのメディアであり、より具体的な役割は、LIGと一緒に仕事をしたいと思ってくれる人を獲得しながら、“わくわくをつくり、みんなを笑顔にする”ための話題を世の中に提供し続けること、です。

LIGブログが300万PVになって変わった4つのこと

繰り返しになりますが、LIGという組織や、Webメディアを取り巻く環境は常に変化しています。結果的にしろ、自発的にしろ、100万PVを達成したときからこの2年間で変わったことはたくさんあるので、以下に4つほどまとめてみました。

1. ドメインが強化された

運営を開始してもうすぐ3年になりますが、その過程で新しくわかってきたこともあります。それは、「記事のストックが増えるほど、LIGのドメインが強化される(検索上位になりやすい)」ということです。
今でこそSEO効果もオウンドメディアのメリットのひとつに数えられますが、特にLIGブログではそれが顕著であり、2014年9月現在“ウェブ制作会社”“Web制作”など、制作会社としてコンバージョンが高いと予想されるキーワードでGoogle検索1位となっています。

具体的な記事について紹介すると、「これが全部無料なの?フリー写真素材サイトまとめ15選」のように、直近1年以上もの間に単月PVが30,000〜70,000PVを行ったり来たりしている記事や、「いつもと一味違う資料ができそうなパワポのテンプレートまとめ」のように、リリース翌月に31PVだったアクセス数が2年後に6380PVと約200倍になったりする記事などの事例が多数あります。
また、「眠い」「漫画 無料」など、Webとあまり関係のないキーワードでも検索エンジンに上位表示されており、LIGのドメインが強化されていることを実感します。

ここで注意しておきたいのは、情報発信をするだけなら誰にでもできるということです。LIGブログのドメインが強化された理由は、正当な理由なく更新を止めずに、3年間継続して記事配信をしてきたからでしょう。何よりも重要になるのは、継続してコンテンツを制作し続けることになります。
したがって、良質な(できればシェアされ、ナチュラルリンクを得る)記事を欠かさずに配信することで、LIGのドメインを強化することも、LIGブログ運営の二次的な目的になっています。

ちなみに、良質な記事であれば、いつリリースされたかはあまり関係ないようで、過去の記事が検索上位に表示されることもよくありますので、コンテンツの内容を充実させる、というのも忘れてはならないポイントでしょう。

2. 事業として他社様のプロモーションが可能になった

LIGブログでは「おもしろ」カテゴリの記事が話題になりがちですが、もともとは、技術系の記事だけでは読者層が限定されてしまうために、お笑いの要素でLIGブログを盛り上げよう、と設置されたカテゴリです。
“楽しそうだからやった”というLIGブログのスタート理由に最も近しくはあるのですが、やり過ぎるとWeb制作会社としての認知とズレるので、PVアップなどを目的に安易に多用せず、記事全体の2割程度を目安にしています。

一方で、この「おもしろ」記事は、「伝説のWebデザイナーを探して」に代表されるように、何らかの問題を解決するための手段になることもよくありました。
問題を解決する、というのは企画・プロモーションの基本となる考え方です。そこで得たノウハウを企画に落とし込むことで、LIGにしかできない記事広告や、その他プロモーション事業をご提供できるようになったのは、メディアとしての成長だと言えるのではないでしょうか。

3. 編集部の役割が重視されるようになった

以前は編集に専任の担当を置いていなかったLIGブログですが、200万PV、300万PVと影響力が大きくなるに従って、編集という立場が重視されるようになりました。

もともとプロのライターではない書き手が多いため、記事の信頼性を担保するには編集部による記事の校閲や校正が不可欠だったのですが、最近ではもうひとつ、Webメディア界隈に「オウンドメディアが流行し、目新しさがなくなった」現状があるのも理由です。
IT/Web系のオウンドメディアが乱立する中で、今後、メディアを運営しているWeb制作会社、というだけでは、他社と差別化ができなくなるでしょう。編集部が校閲・校正に留まらず、紙媒体のように企画をしたり、記事ごとにSEOを意識した設計をしたりするなど、Web編集のスキルが問われる時代になりつつあります。

また、どこかのメディアで見かけた話題が別のメディアでも取り上げられている、というのは最近だとよくあることですが、ネタの使い回しは特定のメディアの価値を低下させるだけでなく、Webメディア全体の評価を下げ、同じ市場のプレーヤーすべての首を絞める行為です。
本来、LIGブログは書き手がWeb制作のプロフェッショナルであるということで、技術系記事に関しては一次情報を発信するコストが比較的低いメディアになります。これからも、LIGでしか読めない記事を制作することを心がけて運営をしていきます。

4. LIGの事業がWeb制作だけではなくなった

Web制作とメディアとを両輪にするのがこれまでの事業モデルではありましたが、2014年以降、観光体験を販売する『TRIP』や映像制作を手がける『Tokyo Mild Foundation』といった関連会社や、ゲストハウス『LAMP』・コワーキングスペース『いいオフィス』の事業プロデュースなど、LIGという企業も日進月歩で変化しています。

このような現状では、LIGという企業全体を世の中にPRする、広報機関としてのLIGブログの役割が、ますます重視されるでしょう。
LIGのことをもっと知ってもらうこと、そして、LIGのことをもっと好きになってもらうことは、当初よりLIGブログの目的でしたが、今後はよりその必要性を増すものだと考えられます。

これは社外に限らず、現在約60人と人数が増えてきたLIGという企業にあって、他のチームがどのような仕事をしているか、が見えにくくなっている事情もあります。
社内に向けても、LIGブログが広報として「ビジョンの共有」「事業部間の相互理解」「意識改革やモチベーションの向上」など、企業文化の育成に役立てていければと思います。

LIGブログが300万PVになっても変わらないこと

LIGブログは当初より、ひとつの理念を定めています。それは「業務のアウトプットの場所」としてLIGブログを活用する、というものです。
デザイナーやエンジニアなどの職種だとわかりやすいですが、業務の過程でインプットした技術を記事にアウトプットしてもらうことで、思考が整理され、新しい気づきも生まれます。アウトプットには10倍のインプットが必要というのもよく言われることです。

「他人に何かを伝える力」はどの職種であれ不可欠なものですし、公開された記事にはSNSを中心に読者からのフィードバックがあり、これも書き手のスキルアップにつながります。同時に、外部に向けてLIGの技術を発信したり、Web制作関係者の同じような悩みを解決したりすることは、“ファンをつくる”という目的にも適うと考えられます。
Webはそもそもオープンな文化であり、LIGのことだけでなく、技術やノウハウを積極的に公開することで、業界全体を前進させるという観点でも運営をしていきます。

LIGブログの問題点

ここまでご紹介したように、LIGブログがある程度の成功を収めたことで、同時にいくつかの問題点も浮上しました。
オウンドメディアを運営していけば、やがては多くの方が直面することだと思うので、以下にオウンドメディアならではの社内的な運営の問題点をまとめてみます。

  • どうしてLIGブログを運営するのか、が曖昧になっている
  • 通常業務が忙しく、記事の執筆に割く時間がない
  • または、意欲が湧かない

LIGブログが軌道に乗ったことで、このシステムを「あって当たり前のもの」と思ってしまう心情は理解できますが、メディアが衰退すれば、現在のLIGの強みがひとつ失われることになります。「どうしてメディアを運営するのか」については、どのような形式であれ、定期的に周知徹底するべきだと思います。

「通常業務が忙しく、記事の執筆に割く時間がない」「または、意欲が湧かない」というのは、運営開始当初から解決できていない問題です。月に1本の提出が義務であるとは言え、優先順位をつけるなら当然、通常業務が先に来るでしょう。
ブログを書くのに必要な時間は個人によって異なるため、一概に工数を設定できないのも悩ましいです。

時間がない、という点については、マネージャーや経営チームと相談してタスクを調整してもらいつつ、各自の努力に頼るしかないのが歯がゆいところではありますが、モチベーションに関することは編集部でも解決策を考えることができます。以下は現在LIGブログで実施している取り組みです。

記事ごとのPVのフィードバックや、ブレストの段階でのアドバイスなど、今後より強化しなければならない取り組みの他、LIGブログのルールを下記のように一部変更することにしました。

LIGブログの記事テーマについて

これまで、LIGブログのテーマは基本的に「Web制作」か「ビジネス」に限定し、そこに一部の担当者による「おもしろ」記事を織り交ぜて配信する形式でした。
理由としては、前述したように、インバウンドで集客するという目的と業務のアウトプットという理念には、この2つのテーマが最適だったからです。これを基本テーマとすることは、今後も変更はありません。

しかし、記事の本数を確保するためには、制限を緩和するというのが現実的な方法になるかと思います。
新しいジャンルについては、前提としてユーザのニーズがあるか、ニーズを作り出したいかのどちらかの場合にするべきだというのがメディアとしての基本的な姿勢でしょう。

そこで、LIGブログではこれまで「書評」や「健康」についての記事も、ビジネスに関連させて試験的に配信を繰り返しており、一定の反響があることがわかりました。

参照:マネジメント職や事業責任者の方におすすめしたい書籍7選
https://liginc.co.jp/life/useful-info/76960

参照:PC作業から肩を守ろう!肩こり解消に効くツボ押し・ストレッチの対策方法まとめ
https://liginc.co.jp/life/useful-info/102289

 

上記を踏まえて、LIGブログ編集部では、まずは生活カテゴリを拡張し、LIGブログの想定読者層である、20代後半から30代前半のIT/Web業界関係者をターゲットにしたライフハック記事をテーマとして採用することにしました。
想定読者層はそのまま書き手である自分たちなので、「自分たちが知りたいことを書く」ことで、記事作成がスムーズになるのではないかと思います。

また、今後は全く新しいテーマについても、もし書き手が熱量を持って書けるもの、ユーザを置いてきぼりにしないものであれば、編集部と相談の上で、掲載を検討するようにします。

参照:僕と一緒に始めませんか?世界一のカードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」
https://liginc.co.jp/omoshiro/sutema/48415

LIGブログの編集ルールについて

繰り返しになりますが、LIGブログの主な書き手は社員であり、プロのライターではありません。したがって、編集される、つまり自分の記事に手を入れられることへの違和感があったり、そもそも書くこと自体が好きではなかったりすることもあります。

編集ルールが厳し過ぎる、あるいは二転三転してしまうと書き手のモチベーションが低下してしまうので、今後は記事の差し戻しや編集の基準を下記の通り定めます。

    • ユーザが一読して内容を理解できない
    • テーマについて内容に過不足がある
    • 禁止表現が含まれている・他者の権利を侵害している

ユーザがいなければメディアが成立しない以上、読みやすいテキストかどうかは編集部として譲れませんので、読みにくければどうしてもリライトは必要です。一方で、“ファンをつくる”という観点から「(笑)」や「。。」「、、」などの表現は個性、または書き味としてそのまま残すこと方針とします。
本文と関係のないギャグやエピソードを残すか削るかはケースバイケースとして、わかりやすさと親しみやすさの天秤にしたいと思います。

テーマについての過不足は一律に言えることではないのですが、デザイン、エンジニアなどそれぞれの技術責任者に、記事内容が必要十分になっているかをチェックしてもらう体制にすることで、繰り返しの差し戻しなどのトラブルを防止できるはずです。

差別・ハラスメントなどの禁止表現、著作権や引用のルールなどについては、認識をより高めなければならない、と実感する場面がこれまで数多くありました。
300万PVという影響力を持った以上、本来はメディアを運営するなら軽視されてはならないことなので、自社でしっかり基準を設けて、共有する必要があるでしょう。

まとめとWebメディアの未来の話

いかがでしたでしょうか。根本的なところで、どうしてメディアを拡大させなければいけないのか、を疑問に思われる向きもあるかと思います。

これについては、LIGブログのPVが大きいほど、LIGができることが増えるというのが主な理由ですが、個人的には、好況不況の変動が激しいWeb業界において、メディアを運営するという戦略そのものの是非を問われる日が、遠からず訪れると思うからでもあります。
そのときまでに、メディアとして確固たる基盤を築いておくこと、プロモーションのノウハウを蓄積しておくことについては、編集長として、LIGブログのすべてに責任を負う立場としても、常に危機意識を持って動いていたいです。

しかし、Webの発展により、メディアが100年に一度の転換期を迎えているというのもよく聞く話です。プレーヤーとしても違和感はありません。
LIGのようなベンチャー企業の、メディア事業のようなベンチャー部門であっても、「世の中をアッと言わせる」ことができるチャンスは目前に無造作に転がっています。

もし、LIGブログをよりよいメディアにするために、ご協力いただける場合は、こちらからご連絡ください。LIGメディア事業部では現在、企画・ディレクション・編集・ライティングに優秀な能力をお持ちの方、そしてLIGブログに並々ならぬ愛情をお持ちの方を募集しています。

それでは、また。

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