こんにちは。ひゃくいち(@tanabe101)です。
なんと、かのコピーライター・谷山 雅計さんにインタビューしてきました。
▼LIGブログ編集長ナッツ(@nuts612)によるインタビュー後編はこちら 「広告って邪魔だと思いませんか?」大御所コピーライター谷山雅計さんに質問してみた
谷山さんは、資生堂「TSUBAKI」「FOGBAR」、東京ガス「ガスパッチョ! 」、新潮文庫「Yonda?キャンペーン」、au「ガンガンメール」「iida」、日産自動車「セレナ」、全日空「OKINAWA」、キリンビバレッジ「生茶」「ペコロジー」、東洋水産「マルちゃん正麺」、日本テレビ「日テレ営業中」「日テレ式」などなど、誰もが目にしたことのあるクリエイティブを手がける広告業界の大御所です。
お話を聞ける、せっかくの機会。インタビューを担当することが決まって震えながら考えたのは「いろいろなところですでに聞かれてきたであろう、いわゆる広告業界の話はすっ飛ばしてしまおう」ということでした。
というのも、谷山さんが出版された書籍「広告コピーってこう書くんだ!相談室(袋とじつき)」を読んでみたところ、Web業界におけるライティングやコピーライティングに関する意見をとことんうかがってみたくなってしまったからです。
もし、Web業界においてライティングやコピーライティングに悩んでいる方であれば、ぜひ本記事を読んで、何かしらのヒントを手にしていただければと思います。以下、谷山さんの書籍からの引用文も示しつつ、インタビューの内容を一緒に見ていきましょう!
谷山さん、不完全な指標とどうやって向き合えばいいですか
たしかにネット広告は、アクセス数などのデータが取りやすいのかもしれないけれど、(中略)なにを効果と考えるかは、なにを目標に設定するかによって変わります。単純に「データがあるから効果がわかる」とはいえませんよね。
─ メディアの広告価値は、ざっくり言えば「どれだけ見られたか」という数字(PV)で決まる面があります。このような収益モデルを作り手としてどのように思われますか。
見られた回数だけっていうのは、かなりざっくりしているし、「完璧じゃない指標だなあ」とは思います。何度も見たからといって、何倍も買いたくなるわけじゃないですから。
ただ、曖昧であろうが、なにか一つの “モノサシ” があることは、いいものをつくろうとするうえでは大切だとも思いますね。
これは誰が言っていたことかは忘れてしまいましたけど、たとえば、テレビの「視聴率」も昔から「いい加減だ」なんて指摘されてますが、もし世の中に「視聴率」という指標がなかったら、もっとくだらない番組だらけになってしまうかもしれません。
だからこそ、完璧ではないにしても、なにかしらの基準があることは必要です。あきらかに大まちがいな指標でなければですが。
もちろん、よりよい指標が生まれたらいいとは思いますが、なかなかそんな完璧な指標なんて作れないですからね。
あとは「この指標は完璧じゃないんだ」ってことを理解したうえで、作り手側がどうやって判断して使っていくかにかかっているんじゃないかと思います。
─ いわゆる「バズる」についてお聞きします。たとえば、SNS上にて「いいね!」をできるだけ多く押してもらうことを目指すライティングについて、どのように思われますか。
「いいね!」って「確認しましたよ」ってことで押している人も多いんじゃないですかね。そう考えると、たしかに「いいね!」だけを指標にするのは不完全ではあると思うけれど、これもまた先ほどと同じことですね。
不完全な指標であっても、なにかいいものを作るための動機になっているのであれば、それもアリなんじゃないですかって思います。
─ いわゆる「SEOライティング」についてもお聞きします。Googleの検索結果上位にコンテンツを表示させるためには、Googleが決めたアルゴリズムに沿って、一定の文字数のなかにキーワードを盛り込んで書かなければならないという制約があるのですが、こちらについてはどう思われるでしょうか。
Googleが決めたことに従わなければいけない「イヤな感じ」ってのが、きっと作り手側にはあるんだろうなあとは想像します。
でも、今聞いた内容だけからすると、なんか俳句とか短歌みたいだなあ、と思って。要するに、文字数が決まっていて、季語を入れなければいけない。それ、日本人がいちばん得意そうなことじゃないですかね。それなら「意外に、俺も得意かも」って思いました(笑) そもそも、自由や個性なんて信じてない人間なので。これほど信じていないのも珍しいんじゃないかと思っているくらいです。
仕事に取り組むときに、「さあ、自由な発想をするぞ」と思ったこともなければ、自由な環境や条件を求めたこともありません。むしろ、制限大好き人間といってもいいくらいで、与えられた課題を解決するには、どうすればいいんだろうと、ひたすら考えるだけです。
余談を言わせてもらうと、最近、コピーライター養成講座で課題を出すと、みんなすぐにGoogleで調べちゃうんですよ。そして、検索結果の上位20位くらいまでの情報をみて、そのなかで新しい発見のあるコピーを書こうとするので、それはそれは切り口がかぶるかぶる! やっぱり、ものをつくる人間として、これは危ないとは思いますね。
一度、部屋に閉じ込めて「検索禁止」で何時間も考えたほうが、新しい考えが出てくるんじゃないかな。せめて、考えまくったあとで検索してみたほうがいいんじゃないかと思います。
- 感想
- 実は、ここでお聞きした質問のトピックは、個人的に「窮屈さ」のようなものを感じていたことばかりだったのですが、「完全な指標なんてない」と言い切られた瞬間に、肩の力が抜けたような気がしました。
指標に完全さを求めるよりも、不完全な指標のなかでいいものをいかに作っていくか。それこそが、作り手としての腕の見せどころだし、醍醐味なんでしょうね。