セブではたらく(インターン)
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2015.09.08
LIG PR
#10
働き方インタビュー(経営者編)

「破壊的イノベーションを起こす」成功体験を捨てたkintoneのグローバル戦略 | サイボウズ

小田直美

クラウドベースのグループウェア市場でトップを走り続けるサイボウズ株式会社は、1997年に創業してから「成果を生むためのチームづくり」に注力しています。また、近年は海外への事業展開にも力を注いでいますが、同社の執行役員を務め、グローバル戦略の中心人物である青山氏は「グローバル展開をするとき、既成概念からの脱却に苦労した」と話します。

業務アプリを素早くつくることができる新しいタイプのクラウドサービス『kintone』は、グローバル市場に向けて一昨年からさまざまな改善が施された製品です。今回はkintoneを例に、サイボウズの軸となっているB to Bビジネスの魅力と、開発チームのグローバル化を中心にお話を伺いました。

5cfc6ce58dbcb88a2fff08ba7bcc1d89 人物紹介:青山 賢氏
1999年に慶應義塾大学大学院を卒業。その後、マイクロソフトディベロップメント株式会社に入社し、2011年にサイボウズ株式会社に入社。現在は執行役員とグローバルビジネス戦略室長を務める。

「別にダサくたって、使いやすければいいじゃん」新デザインの実装後、社内で猛反対に遭った

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国内外で2000社以上が導入(2014年12月時点)をしているkintoneですが、同サービスのグローバル戦略には従来のデザインの改善が必要不可欠だったそうです。

青山
kintoneの開発で一番大変だったのは、UX/UIの改善です。僕が入社したころ、サイボウズはすでに国内のグループウェア市場でトップの地位を築いていました。だから当時は「別にダサくたって、使いやすければいいじゃん」って、みんなが思っていたんです。

UX/UIに対する意識の違いが社内ではっきりと感じられた瞬間でした。文化の異なるアメリカを含めたグローバル市場に参入するためには、今までの成功体験のもと生まれてしまった従来の国内市場における“使いやすければいいじゃん”という、既成概念からの脱却が必要だったんです。

このような経緯のもと、青山氏はアメリカの著名なプロダクトデザイナーにデザインの刷新を直接依頼します。

青山
Apple製品のデザインを手がけたFrog Designという会社の元チーフクリエイティブオフィサーのMark Rolston氏(以下、Mark氏)に会うため、アメリカへ行きました。彼は今、argodesignという別の会社を立ち上げているので、そこにkintoneのUX/UIのリニューアルを依頼したんです。

プロジェクト自体は3ヶ月くらいの、とても短いものでした。 今までのユーザーリサーチのレポートを見たり、kintone製品そのものを評価したり、市場を調査したり。そのうえで、次にデザインのコンセプトが複数出され、デザインの方向性とプリンシパルを決めてから、ようやくデザイン作業に入ったんです。

結果、見た目は大きく変わりました。色が混ざってゴチャゴチャしていた部分がちゃんと整理されて、シンプルなデザインになった。

余白が多く、淡色のグラデーションを利かせたフラットデザインなら「シンプルで流行の波を受けず、古いと感じさせない。ようやくグローバル市場に挑戦できるスタートラインに来た」と確信した青山氏。しかし、社内の反応は予想外のものでした。

青山
新しいデザインを実装したあと、社内で多くの大反対の声が(笑)従来は、余白を極力省いていたので「無駄にスペースが空いて、見にくくなった」とか「色の明暗がわかりにくい」って言われたんです。

確かに日米の慣習の違いもありますが、近年のアメリカ市場における最新のSaaSアプリケーションは、作業に集中させるため余白の広いデザインが多く使われているようになりました。

※SaaS:ソフトウェアを通信ネットワークなどを通じて提供し、利用者が必要なものを必要なときに呼び出して使うような利用形態のこと。

引用元:SaaS 【 Software as a Service 】

しかし、反対意見の多くが当時のkintoneを利用していた既存ユーザーの離脱を危惧するものだったそうです。

青山
国内市場だけをターゲットにするなら、旧デザインのほうがよかったかもしれない。でも、kintoneが狙っているのは、国内市場を含めたもっと大きなグローバル市場です。リニューアルしたデザインは、正解か/不正解か。その問には、Mark氏さえも自信をもって答えることができません。というより、誰も答えることはできないでしょう。

Mark氏の案は、もうしかしたら間違っているかもしれない。しかし、自分たちでデザインをしても、既成概念や今までの考え方に基づいたデザインしか出てこないんです。だから「素直に彼の案を受け入れて、お客さまの声で改善すればいい」と、一生懸命説得しました。市場からのフィードバックが、最も“答え”に近いからです。

このような経緯を経て、2014年11月にkintoneはリニューアルを果たしました。

青山
リニューアルをしてからちょうど半年が経ちましたが、アメリカ市場では好評でした。それに、日米の新規のお客さまを対象にユーザビリティテストで検証した結果も、好評だったんです。しかし、現在もリニューアル作業は進行中です。すでに“市場に出して”いるので、進行中とは、今も、これからも“お客さまの声で改善”していくということ。

kintoneは汎用業務アプリのプラットフォームです。なので、日米のように異なる慣習の国だけではなく、慣習が酷似する国でもターゲットにしているユーザー層は異なります。だからこそ、どの市場のセグメントでも受け入れられる「グローバル化された」デザインにまとめる作業は、非常にむずかしい。

そこで大事なのは、自分たちの先入観を捨てて、お客さまや市場による客観な評価方法を通じて、国内外市場で適応できるように改善していくことです。新しいデザインとなったkintoneのグローバル戦略は、まだはじまったばかりです。