こんにちは。安達です。今年も引き続き、張り切って行きたいと思います。
さて、突然ですがみなさんは「プロジェクトマネージャー」を目指してますか? もちろん、ひと口にプロジェクトマネージャーと言ってもさまざまな方がいます。
大規模な業務システム構築のプロジェクトもあれば、ECサイトやWebサービス構築プロジェクトもあります。LSIのチップ制御ソフトウェア開発もあれば、スマートフォンのゲームアプリ開発もあります。
ただ、共通して必要とされるスキルが、「プロジェクトマネジメント」だということは、みなさんも意見が一致するのではないでしょうか。
しかしそうはいっても、プロジェクトマネージャーになってから独学でプロジェクトマネジメントをゼロから学ぶのはとても非効率です。もちろん会社でOJTをするなり、体系的なプロジェクトマネジメントのマニュアルがあるならば、さしあたっての問題はないでしょう。
でも、ある程度「先人の知恵から」学ぶことができれば、知識の吸収も早いですし、なによりも「不測の事態」へ対応する力が上がります。
そこで今回は、「プロジェクトマネージャーになったら読むべき本」をご紹介したいと思います。残念ながら、プロジェクトマネジメントに関しては世の中には何やら難しい本が多いですが、以下に紹介する本は比較的読みやすく、かつ実践的であり、現場の知恵を補強するのに使えると思います。
では、行ってみましょう。
プロジェクトマネージャーになったら絶対に読むべき本6選
1. 人月の神話―狼人間を撃つ銀の弾はない(フレデリック・P,Jr.ブルックス ピアソン桐原)
古典。最も多くの人が読んだプロジェクトマネジメントの本の1つです。古くはなったものの今でも「原典」として実用に足る本です。例えば、あまりにも有名な「ブルックスの法則」は、この本で紹介されています。
ブルックスの法則
「遅れているプロジェクトに人を追加しても、ますます遅れるだけである」
この本が普遍性を失わない理由は、「ソフトウェア開発の本質的な難しさ」をきちんと分析していることにあります。
言ってしまえば、この本の主張は「ソフトウェア開発は本質的に難しい。それはコードを組み上げること以前に、現実の問題を解かなければいけないからだ」と言うものです。そして、著者は難しさの原因は4つあると述べます。
- 複雑性:ソフトウェアは、複雑である。仕様、設計、コード全てが大きいからだ。
- 同調性:ソフトウェアは、それ単独で存在するのではなく、さまざまな外部の要因(ネットワーク、ハードウェア、人など)に合わせなければいけない。それはとても難しい。
- 可変性:ソフトウェアは常に変化を求められる。
- 不可視性:ソフトウェアは目に見えない。見えないものは扱いにくい。
世の中には、さまざまなプロジェクトマネジメントの手法がありますが、「それらがなぜ生み出されたのか、何を目的としているか」ということについて知るための良い本だと思います。
2. クリティカル・チェーン(エリヤフ・ゴールドラット ダイヤモンド社)
エリヤフ・ゴールドラット氏という物理学者が考案した「制約条件の理論」に基づくプロジェクトマネジメント手法を紹介しています。小説形式で非常に読みやすいのが大きな特長です。
「プロジェクトはなぜ遅れるのか」という問いに対して彼が出した答えは、
- 納期を100%守るため、プロジェクトメンバー各自が大きくバッファのある期限を申告する。
- 早めに終わった人でもギリギリまで時間を使ってしまうため、どこかの工程で遅れが出ると、結局それがそのままプロジェクトの遅れになる。
という2つを主な原因としてあげています。
これを打破するため、エリヤフ・ゴールドラット氏が提案するのがクリティカルチェーン法です。これは、
- プロジェクトメンバーは個別にバッファをかなりとった期限を申告するのではなく、「できるかどうかわからない、ギリギリの期限」を申告する。
- バッファは、プロジェクト全体の共有バッファと、クリティカルパスへの合流地点での共有バッファにのみ取っておく。(バッファは、個別の作業者でそれぞれ分けるのではなく、プロジェクト全体で共有する)
という2つが骨子です。
プロジェクトの遅れを科学的に分析した本としては、かなりわかりやすい分類に入るので一読をおすすめします。