こんにちは、そしてはじめまして、外部ライターの柳下修平です。
柳下と書いてヤギシタと読みます。8割がた間違えられます。
普段はA La Carteという映画メインのエンターテイメントブログを書いております。LIGブログでも映画の魅力をお伝えしていければと思います。
それでは早速本題に入りましょう。今回は、編集部から「疲れたIT/Webパーソンに刺さる映画を紹介してほしい」と依頼されたのです。
そこで、「ダメ主人公の成長からやる気と元気をもらえる」映画を5つピックアップします。
「ダメ主人公の成長×心に宿る」映画5選
今回映画を5つピックアップするに当たって「この映画からはこれが学べます」的な切り口では選択していません。その学びは職種によって異なり、効果も異なるためです。
今回ご紹介する映画5本はどれも、ラストを迎えたときに「主人公よくぞここまでやった! フィールドは違うけど自分ももっと頑張ってみるか!」と思えるものです。
シリアスなものからラブコメまで。それでは早速ピックアップしていきましょう。
1. 『フロスト×ニクソン』
~プレイボーイ司会者が元大統領から謝罪インタビューを引き出す!~
ストーリー概要
1977年、英国のコメディアン出身で人気トーク番組の司会者デビッド・フロストが、ウォーターゲート事件で辞職した元米国大統領リチャード・ニクソンにインタビューを申し込む。フロストはアメリカ進出を、ニクソンは汚名返上と政界復帰を賭けてインタビューに臨むが……。4500万人が視聴したといわれる米テレビ界伝説のインタビュー番組収録の模様とその舞台裏を、ロン・ハワード監督が映画化。原作は「クィーン」のピーター・モーガンによる舞台劇。第81回アカデミー賞では7部門にノミネート。
引用元:映画.com/フロスト×ニクソン
注目ポイント
主人公はイギリス人司会者デビッド・フロストとアメリカ合衆国元大統領リチャード・ニクソン。初見時はぜひデビッド・フロストの方に注目してご覧ください。
彼は政治に興味もなければ、アメリカ合衆国民でもありません。そんな彼がウォーターゲート事件を期に辞任したリチャード・ニクソンのインタビューへ挑みます。
半ば目立つためにやることにしたインタビューがとんでもない事態へ。地位も名誉も金銭もプライドも、全てを失ってしまいそうな窮地に立たされたフロスト。
奇跡の大逆転を目撃することで、みなさんの中にある「諦めない不屈の精神」が呼び覚まされるかもしれません。
映画としての魅力
例えるならこれはボクシング映画です。対談インタビューという単調なものをまるでボクシングでも見ているかのような臨場感で盛り上げていきます。いや、本当に。
演出と音楽がもたらすそのテンポの良さが心地よく、ボクシングのような一発一撃で勝負あり。いくら窮地に追い込まれても相手の急所を瞬間的に突くことで大逆転は起こりうるのです。
この映画はウォーターゲート事件における実際にあった対談を元にしているのでネタバレとかとは関係がないです。ニクソンは辞任して、その後フロストのインタビューで謝ったのが史実です。
その史実があっても手に汗握るインタビュー。「わかっているのにハラハラする」という映画的魅力、演出と演技の力を静かに、そして力強く見せつけてくれる映画です。
2. 『キューティー・ブロンド』
~世間知らずの女子大生、フラれた男にもう一度認めてもらうためならロースクール受験だってする!~
ストーリー概要
陽気で天然ブロンド美人のエル・ウッズ。大学ではファッション販促を専攻し、成績も優秀で女性社交クラブの会長を務めるほどの人気者。そんなエルがいま何よりも待ち望んでいるのが政治家志望の恋人ワーナーのプロポーズの言葉。しかしある日、ワーナーが切り出したのは別れ話。議員の妻にブロンドはふさわしくないというのが理由。突然のことに動転するエルだったが、ワーナーがハーバードのロー・スクールに進学すると知ると、自分もそこに進みワーナーに認めてもらおうとファイトを燃やし、みごと超難関の試験を突破するのだったが……。
引用元:allcinema/キューティ・ブロンド
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=236645
注目ポイント
世間知らずのちょっとお馬鹿で可愛い女子大生が彼氏にフラれたことをきっかけに、その彼氏と同じロースクール受験に挑戦。しかも受かっちゃう…。
しかしその合格はゴールではなく新たな試練の始まりだったのです。大学時代はその可愛さからチヤホヤされていた主人公。しかしロースクールではその可愛さは何の役にも立たず。
プライドを打ち砕かれそうになったとき、彼女はより大切なことに気づき、ロースクール生として認めてもらえるようになるために猛勉強!
クライマックスの彼女の演説を聞いたとき、みなさんの中にある「やればできる!」が呼び覚まされるかもしれません。
映画としての魅力
ジャンルはラブコメで、パッケージもピンクで可愛らしい。しかし男性にこそ見てほしいです。ラブコメとしての面白さ、受験や認めてもらうための奮闘劇、明るい人間でも悩むときは悩むという当たり前の裏事情など。
軽いテイストで楽しい映画でありながら、人生における挑戦の大切さをしっかりと描いています。そういった軽さの中にある深さも魅力的なわけです。
そして何よりもセンスの良さとリーズ・ウィザースプーンの可愛さが魅力。これは真面目な部分ではありませんが、魅力的なものは魅力的。音楽や映像のセンスの良さ×可愛い女の子ですから見ていて楽しくないわけがないのです。
3. 『レスラー』
~落ちぶれプロレスラーが失った大切なものを取り戻そうと奮起する!~
ストーリー概要
人気レスラーだったランディも、今ではスーパーでアルバイトをしながらかろうじてプロレスを続けている。そんなある日、長年に渡るステロイド使用がたたりランディは心臓発作を起こしてしまう。妻と離婚し娘とも疎遠なランディは、「命が惜しければリングには立つな」と医者に忠告されるが……。主演ミッキー・ロークの熱演で、第62回ベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。ローク自身も第81回アカデミー主演男優賞にノミネートされた。監督は「レクイエム・フォー・ドリーム」のダーレン・アロノフスキー。
引用元:映画.com/レスラー
注目ポイント
主人公は娘に逃げられ、いい年してスーパーでアルバイトしてるおっさんプロレスラー。生きがいはそのプロレスとストリップ通いのみ。誰がどう見ても人生の敗者であるおっさんが主人公です。
おっさんはそこから這い上がるどころか心臓発作で人生の窮地に。しかし窮地に立ち、人生を振り返ることで失った大切なものが何かに気付いたのです。
好き勝手やってきた人生で失ったものや今大切だと思うもの。それらを取り戻し二度と手放さないために、心臓発作覚悟でプロレスのリングに立ちます。
最後の彼の行動と表情に、みなさんは何を感じるでしょうか? 「人生で何が大切か?」それを考えるきっかけをこの映画は与えてくれるかもしれません。
映画としての魅力
この映画の主人公はミッキー・ローク。ボクサーであり俳優であるミッキー・ロークは近年完全に落ちぶれており、厄介者扱いをされていたと言っても過言ではありません。
そんな落ちぶれた俳優が落ちぶれたおっさんの役を演じ、キャリアとしても見事復活。本作でアカデミー賞主演男優賞にもノミネートされました。現実と映画と二重で感じる復活劇には感動を覚え、勇気を貰いました。そして余韻が素晴らしい映画です。
最後にかかるブルース・スプリングスティーンの曲が余韻を最高のものにしてくれます。映画の主人公を応援し終えた至福に自らも頑張ろうと思える。その心を最大にしてくれるラストでした。
4. 『クール・ランニング』
~常夏ジャマイカの陸上選手達が未経験の冬季五輪ボブスレーに挑戦!~
ストーリー概要
オリンピック出場の夢に破れたジャマイカの陸上選手が、あきらめずに冬季五輪のボブスレーに挑戦する姿を実話をもとに描いた。集まったのはボブスレー経験のない陸上選手とその幼なじみ。4人はカルガリー五輪を目標に練習に励む。氷上での経験不足を克服するため、シンクでイメージトレーニングをするなど笑えるシーンが満載。「ライオン・キング」でアカデミー作曲賞を受賞したハンス・ジマーの音楽も、コメディドラマを盛り立てている。
引用元:映画.com/クール・ランニング
注目ポイント
夏しか経験のない陸上選手たちが冬季五輪のボブスレーに挑戦というだけでお笑い要素満載ですが、これは実話。徐々にやる気になっていく選手たちに感化されます。
映画の大半は笑えるシーン。しかし着実に経験を重ねてオリンピックで結果を出そうと本気になっていきます。もちろんトップレベルの他国には敵わない。馬鹿にもされる。しかし絶対に諦めないジャマイカ選手たち。
クライマックスのシーン、そこで歩く彼らの表情。「心の底から本気で頑張った! 後悔はない!」と誇りを持って言える何かを成し遂げたいとみなさんは思うかもしれません。
映画としての魅力
クライマックス付近までほぼコメディで突っ走りながら最後は泣かせる、なかなか反則技の映画です。映画にはさまざまなジャンルがありますが「たくさん笑って、ちょこっと泣いて」系の映画って万人に勧められる魅力があります。
ボブスレーシーンのハラハラ感もなかなか楽しめるもので、音楽は『ダークナイト』『ライオン・キング』のハンス・ジマーが盛り上げます。
注目ポイントと被りますが、本当にラストシーンが素晴らしい。この感動は一度味わってほしいです。割と万人が感動してるので自信を持ってオススメできます。
5. 『レ・ミゼラブル』
ストーリー概要
パンを盗んだ罪で19年間服役したジャン・バルジャンは、仮出獄後に再び盗みを働いてしまうが、罪を見逃してくれた司教に感銘を受けて改心する。やがて運命的な出会いを果たした女性ファンテーヌから愛娘コゼットを託されたバルジャンは、執念深いジャベール警部の追跡を逃れ、パリへ。バルジャンとコゼットは親子として暮らすが、やがて激動の時代の波に飲まれていく。第85回アカデミー賞でアン・ハサウェイが助演女優賞に輝いた。
引用元:映画.com/レ・ミゼラブル
注目ポイント
さまざまな登場人物たちがいますが、落ちぶれから真っ当になろうと力の限り生きたのは主人公のジャン・バルジャン。
その時々で人助けをしていくジャン・バルジャン。自らがそうしてもらったように。フランス革命という時代の波に翻弄されながらも、更正後は正直に力の限り生きたジャン・バルジャン。
その彼の人生が成功だったかはクライマックスで一目瞭然。クライマックスのジャン・バルジャンを見たとき、「死ぬとき後悔しないために、毎日を無駄にしないで生きていきたい」と思うかもしれません。
映画としての魅力
この映画はミュージカル映画としては異例の完全生録音で製作されました。レコーディング無しということです。それ故に臨場感が凄まじいです。
魂の歌と演技に私たちは圧倒され、壮大な物語もあって大きな感動を何度も何度も味わうことになります。あまりに多い俳優のアップ映像。それは欠点と言われることもありつつ、生録音の歌声と魂を私たちに最大限届ける演出として機能しています。
劇場で5回見た作品ですが、全ての回でエンドロールに入る瞬間拍手が起きました。そのスカッと終わる爽快感、感動、それがたまりません。
番外編『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
ストーリー概要
第87回アカデミー賞では同年度最多タイの9部門でノミネートされ、作品賞、監督賞を含む4部門を受賞した。「バードマン」というヒーロー映画で一世を風靡した俳優が再起をかけてブロードウェイの舞台に挑む姿を、「バットマン」のマイケル・キートン主演で描いた。かつてスーパーヒーロー映画「バードマン」で世界的な人気を博しながらも、現在は失意の底にいる俳優リーガン・トムソンは、復活をかけたブロードウェイの舞台に挑むことに。レイモンド・カーバーの「愛について語るときに我々の語ること」を自ら脚色し、演出も主演も兼ねて一世一代の大舞台にのぞもうとした矢先、出演俳優が大怪我をして降板。代役に実力派俳優マイク・シャイナーを迎えるが、マイクの才能に脅かされたリーガンは、次第に精神的に追い詰められていく。
引用元:映画.com/バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
番外編選出の理由
本年度アカデミー賞作品賞ほか4部門受賞の本作は、4月10日より日本公開となります。お先に鑑賞させていただきましたが、映画としての完成度や衝撃が凄まじい傑作でした。ですので番外編で紹介させていただきます。
この映画もまた落ちぶれた主人公の再起を描いています。「人生こんなはずじゃなかった! 人生このまま終わってたまるか! オレはまだまだやれるんだー!!!!!!!!」と叫んでいるかのような痛快爽快なラスト。
この映画は落ちぶれた中年役者が主人公なので、中年男性の方には相当響くと思います。28歳の私でも「まだまだやれるんじゃー!!」と感化されたので、若い人にももちろんオススメです。
映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』感想、今まで見たことの無い新感覚の凄い「コメディ」映画…タイトルの意味も深く心に染みる…
http://www.cinemawith-alc.com/2015/02/birdman.html
まとめ
シリアスな実話政治劇、キュートなラブコメ、落ちぶれレスラー最後の悪あがき、常夏陸上選手の冬物語、フランス革命のミュージカル、とそれぞれ全く異なるテイストの5本を選んでみました。
それぞれの項目で書いた通り、やる気と元気をもらえる映画になっています。これらを映画としてお楽しみいただき、みなさんのこれからの何十年という人生において糧になればこれ以上嬉しいことはありません。
映画、ぜひ楽しんでください。
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