部下を指導・育成するマネージャーの5つの役割とケーススタディ

部下を指導・育成するマネージャーの5つの役割とケーススタディ

そめひこ

そめひこ

こんにちは、メディア事業部マネージャーのそめひこです。
僕は日本語があまり得意ではないのですが、先日も飲み会の片付けをしていたときに、「机とテーブル片付けて!」と大きな声で呼び掛けたところ、

「机とテーブルって同じ意味じゃね?」

と部下に当たるはずの編集長、朽木に真顔で言われました。
そんなわけで、僕の記事には8割くらい朽木などの編集が入っておりますが、これも適材適所ですので、マネージャーにはマネージャーの仕事があるのです。

“マネージャーの仕事”とひと口に言っても様々ですが、その役割をまとめると「部下を教育し、成長させる」ことになるかと思います。
これはなかなか難しく、上手くいかないこと、悩むことも多いです。

そこで今回は、マネージャー研修などを行っている株式会社PIS(ピース)さんに、マネージャーの役割とそのケーススタディについて教えていただき、マネージャーについて学ぼうと思います。

マネージャーの5つの役割とは?

マネージャーには5つの顔(役割)があることを知っていますか?
5つの顔とは、

 

  1. 指導者
  2. 管理者
  3. 支援者
  4. 伝導者
  5. 意思決定者

の5つです。1つずつ確認していきましょう。

1、指導者

指導者としての役割は、仕事のやり方がわからない部下がいたら、「やり方を指導する」というものです。採用担当であれば採用のやり方を教える。営業担当であれば営業のやり方を教える。

その道のプロフェッショナルとしてノウハウを伝授することで、スキル不足の部下が成果を出すことができるように導いていきます。

2、管理者

管理者としての役割は、「やるべきことを、やるべきときに、きっちりとやらせきる」ことです。
部下が素晴らしい行動計画を立て、素晴らしいスキルがあったとしても、実行しなければ成果は出ません。やるべき業務を洗い出してもらい、進捗管理をして、完了報告をさせる。

成果を追求するマネージャーとしてしっかりと部下の行動を管理し、実行してもらうことで成果を出すことができるように導いていきます。

3、支援者

支援者としての役割は、部下が困っていたら、「気持ちを汲んで、助ける」というものです。どんなに優秀な部下であっても、一人では解決できないことがあったり、悩んでしまうこともあると思います。

指導して、管理するだけではなく、部下が困っているときはしっかりと気持ちを汲みとって、やさしく手を差し伸べ、苦しいときでも前に進めるように導いていきます。

4、伝導者

伝導者としての役割は、「部下が正しい方向に進めるように、あるべき姿を示す」というものです。より簡潔に「部下に仕事の目的・目標を持って働いてもらう」と言い変えても良いです。

ただ利益を上げることを求めるだけではなく、経営理念を示し、仕事の目的を達成できるように導いていきます。

5、意思決定者

意思決定者としての役割は、「部下が迷っているときに、判断し意思決定する」というものです。
部下自身に考えてもらい、自己決定してもらうこともとても重要なことですが、組織全体に関わることや、どうしても部下1人では判断がつかないこともあります。

複数の選択肢から進むべき道を明確に意思決定し、部下が迷わず全力疾走できるように導いていきます。

ケーススタディ

5つの役割はどれも部下を導いていくためには大切です。
ここからは、それぞれの役割をどう実践していくか、ケーススタディでお伝えします。
自分は今どの状況にいるのか、部下をどのように導きたいのか考えながら読むといいかもしれません。

部下の課題を洗い出したいとき

部下を成果に導くために、その場その場の状況に応じて、役割を使い分けできれば素晴らしいのですが臨機応変に使い分けることは、難易度が高いです。

そこで、まずは役割ごとに部下の課題を洗い出して整理してみると良いと思います。コツとしては、各役割で部下の行動を観察し、事実として起こっている事象を洗い出し、対応していくことです。

1. 指導者モードで分析する

「やり方がわからなくて困っていることはないか?」という目線で、部下の課題を洗い出します。例えば、「毎回、提案資料の作成に苦戦していて、時間がかかっている」といった事象がないか分析していきます。

マネージャー目線では、できて当たり前のことであっても、些細な部分で躓いている部下がいたりするものです。できて当たり前という考えではなく、「事実として、やり方があっているかどうか」で部下の行動を観察していきます。

2. 管理者モードで分析する

「やりきれていないことが原因で、結果につながっていないことはないか?」という目線で、部下の課題を洗い出します。例えば、「1週間のタスクの洗い出しとスケジューリングができていないため、タスクに抜け漏れがある」といった事象がないか分析していきます。

会社から給料をもらっているわけですから、色々な理由があったとしてもタスクをやりきるべきでしょう。

ただ、どうしても自己管理が苦手な部下もいますし、タスクが増えたり、タスクの難易度が高くなったりすると、これまでの自己管理手法では通用しなくなる場面も出てくると思います。「事実として、やりきれているかどうか」で部下の行動を観察していきましょう。

3. 支援者モードで分析する

「自分1人では解決できず困っていること、悩んでいることはないか?」という目線で、部下の課題を洗い出します。例えば、「意欲も十分で、スキルも高いが、プライベートで悩みを抱えていて仕事に専念できない」といった事象がないかを分析していきます。

自分では解決できないから、人は悩みます。悩む理由や悩み方も人それぞれ違います。マネージャー目線で、悩みそうかどうか、困りそうかどうかではなく、「事実として、本人が悩んでしまっていないか」で部下の行動を観察していきます。

4. 伝導者モードで分析する

「経営理念、目的、目標を見失ってしまっていることはないか?」という目線で、部下の課題を洗い出します。例えは、「短期的には高い業績を上げているが、顧客のフォローが雑になってしまっている」といった事象がないかを分析していきます。

がむしゃらに頑張っていると、周りが見えなくなってしまい、ときとして目的を忘れてしまうことがあると思います。目的を共有したかどうかではなく、「事実として、目的に沿った行動をしているかどうか」で部下の行動を観察していきます。

5. 意思決定者モードで分析する

「合理的な判断が必要であるにも関わらず、気合だけで乗り切ろうとしてことはないか?」という目線で、部下の課題を洗い出します。例えば、「すぐに契約に至りそうにない見込み客をずっと追いかけてしまい、新規開拓をするための時間がとれていない」といった事象がないかを分析していきます。

合理的な判断が必要であるか否か。その問いかけ自体ができないから、迷走してしまうのです。合理的に判断するよう促すのではなく、「事実として、合理的ではない行動をしているかどうか」で部下の行動を観察していきます。

部下のニーズを把握する

こうして論理的に整理していけば、役割の使い分けができて、部下育成ができるマネージャーになるかというと、そう簡単なことでもありません。
部下は生身の人間であり、部下側にも言い分、つまりニーズ・ウォンツが存在するのです。

マネージャーが考える課題と、部下のニーズにズレが生じることは多々あります。
例えば以下のような状態です。

 
マネージャー 「この部下はタスクのやりきりが弱いな。『管理者』として対応しよう。」
部下 「何でこんな無駄なタスクをやらないといけないんだろう。他のタスクのほうが重要なのでは?」

このような状態で課題とニーズのすり合わせをしないまま、『管理者』全開で部下にやりきりを要求していったら、どうなると思いますか。
そうです。マネージャーと部下の信頼関係が壊れていきますね。

マネージャーと部下の気持ちにズレが生じた状態でどう対応するか。ここがマネージャーとしての勝負所だと思います。

正論としては、課題とニーズのすり合わせをすれば良いだけなのですが、それが上手くいかないケースが多くあります。
原因の一つとしてはマネージャーが「部下は自身の課題に気づいていない」「自分の部下は言い訳が多い」と決めつけてしまうというものです。

マネージャーサイドにそういう決めつけがあると、すり合わせが平行線をたどります。マネージャーサイドが権力者ですから、部下も強く言われると納得した風で引き下がってしまいます。
そして、タスクがやりきれない状態が繰り返される、悪循環が発生します。

部下が結果を出すことができなければ、それはマネージャーの責任ですから、どうすれば最短で結果に導けるのかよく考える必要があります。

ではどうすれば良いのでしょうか。物理的に考えて、選択肢は大きく4つあります。

  1. マネージャーが課題をゴリ押しする
  2. 課題とニーズのすり合わせをする
  3. 一旦、ニーズに応える
  4. 課題とニーズの両方に取り組む

どの選択肢が正解ということではなく、今のマネージャーと部下の信頼関係や、課題の緊急度に応じて決めていくことが重要です。

「1. マネージャーが課題をゴリ押しする」は、一見不正解のように見えますが、タスクがパンパンの状態で今日中に仕上げないといけないタスクがある中で、じっくりと経営理念や目的を確認する余裕がないこともあると思います。

また、多少強引なマネジメントであっても、結果が出てしまえば、部下が納得しマネージャーに対する信頼を高めるということも実際のビジネス現場では起こります。

一方で、常にゴリ押しでは結果につながらないこともあります。信頼関係にひびが入っているようであれば、3の一旦ニーズに応えるが、その時の正解になり得ることもあります。時間的に余裕があれば、じっくり3から入っていくという手も一つです。

一番大切なことは、1~4のどれを選択すれば、部下が最短で大きな結果を出せるのか、と自問自答することではないでしょうか。

もし正解を判断することができなければ、部下がお客様であると思って対応していきましょう。判断できないのは、部下との距離関係がつかめていないことが原因である可能性が高いため、お客様に接するように慎重に対応していけば良いのです。

一般的に、初めてお取引させて頂くお客様に対して、こちらが考える提案をゴリ押ししたり、いきなり課題とニーズのすり合わせをしようとはしないでしょう。まずは3の一旦ニーズに応え、信頼関係ができてきたら、2のすり合わせや、4の両方に取り組む、という選択肢に変えていくことが多いのではないでしょうか。

部下にもニーズがある、という前提で5つの役割の使い分けを考えていきましょう。

役割の使い分けからマネジメントスタイルへ

最後に応用編です。
単純な役割の使い分けではなく、マネージャーの強みを伸ばしていき、マネジメントスタイルを確立していきます。

意思決定者と管理者としての資質に優れているのであれば、それを長所としてどんどん伸ばしていきます。

例えば、先ほどの事例で「また、多少強引なマネジメントであっても、結果が出てしまえば、部下が納得しマネージャーに対する信頼を高めるということも実際のビジネス現場では起こります。」と書きましたが、この事例が5つの役割の活用ではなく、マネジメントスタイルの確立です。

 
自分には伝導者としての資質があまりない。例えば、夢を語ったり、皆を鼓舞するのは得意ではない。
自分には支援者としての資質があまりない。例えば、やさしく部下の話を聞いたり、相手に感情移入することが得意ではない。

こうした役割上の課題に向き合い、スキルを向上していくことも重要ですが、一方で、

 
自分には意思決定者としての資質がある。例えば、論理的で判断するのが得意だ。
自分には管理者としての資質がある。例えば、部下からの言い訳をモノともせず、毅然と立ち向かうことができる。

といった強みがあるとします。意思決定者、管理者としての強みをどんどん伸ばしていき、自分のスタイルを確立していきます。

確固たるマネジメントスタイルがないと、周囲からの批判や、世の中のトレンドなどに振り回されてしまう可能性があるので、自分のスタイルを確立していきましょう。

もっとも部下が嫌うマネージャー像は「一貫性がない」「信念がない」というものです。
上手くいかないときに右往左往しなくても良いように、自分なりのマネジメントスタイルとはどういうものかを追求していくことが大切です。

マネージャー業は大変な仕事ですが、マネージャーとしての役割をよく理解し、部下のニーズも理解した上で、確固たる自分なりのマネイメントスタイルを築いて、力強く部下を導いていけるようになれば、自分に自信が持てるようになり、とてもやりがいを感じることができます。

まとめ

いかがでしたか?
今回お話を伺った株式会社PIS(ピース)さんではマネージャー向けに下記のようなサービスを展開しています。

マネージャー役割 診断
マネージャー本人とその部下からアンケートをとり、マネージャーの5つの役割について診断します。
役割の「発揮度」だけではなく、マネージャー本人や部下が考える「重要度」も合わせて分析することで、マネジメント上の課題を洗い出すことができます。

詳しくはこちらから。
http://www.growing-labo.com/assessment-role/

自分はマネージャーとしてまだまだマネジメントスタイルを確立できていないなと思いつつ、役割の再確認が必要だと思いました。
これからマネージャーを目指す人、すでにマネージャーの人の参考になれば幸いです。

 

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そめひこと申します。京都で生まれ、京都で育ちました。母の名は直子、父の名前は明でございます。LIGに来る前は藍染師として生きていました。京都の四富会館二階にあるBAR「アイエン」が大好きです。

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