こんにちは。ブランディングチームのジョンです。
思えば、10年近くコピーを書いてきました。
クライアントや諸先輩方、同僚、ときには後輩にもダメ出しをされ、ボツになっていったコピーは腐るほどあります。ちなみに、過去に言われていちばん傷ついたフィードバックは「これ、ただの文字列じゃん」です。
かくしてぼくは、自ずといいコピーって何だろう?と自問するようになりました。
次第に、街で見かけたコピーや広告賞を受賞したコピーなど、自分のなかでいい!と思えたものを分析していくようになったのです。今回は、その分析結果の第二回目。「衝撃の事実があるコピー」を紹介させていただきます。
第一回目の「コピーされるコピー」はこちら。
衝撃の事実があるコピーって何?
「それはすごい!」と思わず反応してしまうような事実があるコピーです。
一瞬で気を惹く力がありますから、その話を見てほしい・聞いてほしいとき、非常に有効だと思っています。キャッチコピーに限らず、ブログのタイトルや提案書の渾身の1ページなどにも応用できるのではないでしょうか。
それでは、紹介させていただきます。
1. 英会話 ジオス
たとえばこのコピーが「英語が話せると、コミュニケーションの幅が広がる。」だったらどうでしょう? なんだか漠然とした印象を受けませんか?
思ったことを言葉にするとき、ついこのようなフワフワした言葉を選んでしまうことがあると思います。そんなときは、これを衝撃的な事実に言い換えたらどうなるだろう?と一考してみるのが良いかもしれません。
2. 焼き肉 富士家
焼き肉の食べ放題はそれだけでもニュースです。
でも、いろんな焼き肉屋さんのうたい文句で目にしますよね。同じニュースが出てきてしまっては、驚きは半減します。それどころか、そもそもニュースではなくなってしまうかもしれません。他店が「焼き肉食べ放題!」ののぼりを掲げているなかでコレを言われたらどうでしょう?
ぼくの足はきっと、富士家さんに向かうはずです。
3. ピンクリボンキャンペーン
書き手の方が「乳がん検診には、何もなくてよかった/早く見つかってよかったというふたつの安心がある」とコメントしているのを拝見したことがあります。
乳がん検診に行かない理由はさまざまだと思いますが、いずれもネガティブかつナイーブな理由なはず。
でも、このコピーは検診の結果を明るい事実に変換してくれています。目に留まるだけでなく、実際の行動へ移すほどの力が、このコピーにはあると思っています。
4. JT 喫煙マナー向上シリーズ
喫煙者の方にはお馴染みのシリーズ広告でしょう。
「あなたが気づけばマナーは変わる。」のタグラインのもと、さまざまなコピーが展開されています。このシリーズはぼくも発見が多く大好きなのですが、個人的にビックリした事実はこちら。たしかにそうだ…と思わずにはいられませんでした。
5. イナバ物置
社員(?)の方々が、物置の上に乗って唱和するCMはすっかりお馴染みです。言葉とビジュアルで、100人乗っても大丈夫であることを、これでもかというほどストレートに訴求しています。
6. トヨタ クラウン
このコピーが世に出たのは1967年。今やピンク色のクラウンが街を走る時代ですが、当時は黒塗りしかなかったそうです。さらに時代は「黒塗り=富裕層の乗るクルマ、白塗り=大衆車」が一般的な考え方だったとのこと。
そんななか、一般家庭へのマーケット拡大を目論んで書かれたコピーが『白いクラウン』でした。このコピー1本の効果は絶大、世間の価値観をガラリと覆してしまったそうです。
7. ブラックサンダー
ぼくはチョコレートをあげたことがないので推測の域を脱しないのですが、結婚式に招待するのと同じで、この人にも渡すべきか否かの境界線に悩む人は多いのではないかと思います。
悩んでいるとき、このような気持ちのいい自虐は渡す側のハードルを見事に下げてくれるのではないでしょうか。
8. 大成建設
「ゼネコン」だとよく分からないですが、こう言われると企業の使命や意気込みを肌で感じることができます。一方で、従業員の気持ちを束ねたり、一人ひとりの働き甲斐を生み出すという意味でも、これほど強いタグラインはそうそうないように思います。
9. ダイソン
これでもかというほどの、強烈なアプローチです。
掃除機の購入を検討している人は、その実力を確かめたい・見てみたいという気持ちになることでしょう。数々の掃除機が出回っているなかで、生活者に知ってもらい買ってもらうための強い軸になっているコピーです。
10. としまえんプール
こちらは1986年のコピー。真夏のうだるような暑さのなかでこの言葉を目にしたときの心の動きを想像すると、今でもじゅうぶん通用しそうです。
としまえんは毎年おもしろい広告を展開していて、楽しみにしている人も多いはず。生活者とのコミュニケーションの取りかたとしても、非常に参考になります。
さいごに
いかがでしたでしょうか。衝撃の事実は、剥き出しのまま訴求できるだけでなく、その事実で一点突破できる強さがあるので非常に効果的です。
ところで、じゃあどうやって衝撃の事実を見極めるの?という話なのですが、たとえばぼくは、クライアントからのオリエンテーションで「ほほぉ」と感心したり「マジか」と唸ったりしたことに、できる限り従うようにしています。ターゲット次第ではありますが、自分自身の心が確かに動いたのであれば、同じように心を動かしてくれる人がいるはずだと思うからです。
以上、第二回目「衝撃の事実があるコピー」でした。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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