とある日の事。台東区にある普通のWEB制作会社LIGでは、その日も社員一同黙々と、淡々と業務に取り組んでいた。
「コンコン」
そんな静かなオフィスに、ドアをノックする音が聞こえ、それに応える様に扉を開けた。
『iNDIGO BLUEでーす!!』
『YEAH!!!』
『入りますよー。』
『失礼します。』
『俺やで!!!』
『ボーイズシンクロエンターテインメントチーム iNDIGO BLUEです。』
『あの……いきなり、どういうことですか? ボーイズシンクロ?』
人物紹介:そめひこ
LIGのディレクター。仕事に対して情熱を燃やす。
『……なにが?』
『いや、なにが、じゃなくて。全体的に意味がわからないのですが…』
『まぁまぁ、そめちゃん。別にいいじゃないの。』
人物紹介:紳さん
LIGのメディア事業部・部長。基本的に男には驚くほど優しい。
『見せてもらおうよ。彼らのシンクロってやつをさ。』
『いや、でも、みんな仕事中ですしね…』
『彼らも、これが仕事なんでしょう。仕事には仕事で対応する。最低限のマナーはシンクロされているよ。』
『意味がわからないです。アンタ、何を言ってるんですか。』
〜結局、オフィスでシンクロしてもらう事になりました。〜
『ミュージック、スタート〜! スウィンギーン!!!!』
『ソーレッ ソーレッ ソーレッ ソーレッ!!』
『おりゃ〜!!』
『フンフンフンフン!!』
『ムキムキッ!!』
『俺やで!!!』
(…そめひこさん …聞こえますか、そめひこさん)
(……! この脳に直接話しかける感じ…紳さんですか?)
(そうです。今、アナタの脳に直接、語りかけています。)
(なんで、フリーザみたいな口調になるんですか。)
(わかりません。これもシンクロの効果でしょうか。)
(で、これからどうすれば良いんですかね、僕達)
(動いてはいけません。この方達、割りとガチでヤバイですよ。)
(ええ、なんとなくわかります。でも、パフォーマンスはすごいですね。)
(はい。これこそ正にエンターテインメント。心の結びつきが弱くなりつつある現代社会において、シンクロ空間を創りだすとはこういう事です。)
(身体を鍛えたり、パフォーマンスの練習をしたり。すごい努力をされているんでしょうね。しかし、どうしてアポを取る努力だけは省かれたんでしょうか。)
(ささいな事など、忘れなさい。今はこの空間とシンクロする事に神経を集中させるのです。)
(わかりました。でも、できれば仕事中のオフィスじゃなくて、ちゃんとした会場で観たかったですね。結婚式場のプールや、クラブのダンスフロアとか…)
(でも、そうはならなかった。ならなかったんです、そめひこ。だから、この話はここでお終いなんです。)
『Finish!!』
『別アングルでもFinish!!』
『仕事のストレス、吹き飛んだでしょう? これがシンクロですよ。』
『またいつでも呼んでくださいね〜!』
『グッバ〜イ! からの〜』
『俺やで!!!』
(迫力があって、素晴らしいパフォーマンスでしたね。そめひこさん。)
(ですね。次は水の中でのパフォーマンスも見てみたいです。)
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