月間6億PV『GameWith』勉強会で学んだアクセス数を半年で12倍にするグロースハックと、メディアとPVの程よい関係について

月間6億PV『GameWith』勉強会で学んだアクセス数を半年で12倍にするグロースハックと、メディアとPVの程よい関係について

LIGブログ編集部

LIGブログ編集部

こんにちは、LIGブログ編集長の朽木(@amanojerk)です。“日頃からPVを追い求め、修験者のようにストイックな生活を続けるあまり、PV以外の大切な知識がわりと欠落してしまった哀れむべき存在”として、社内でついた呼び名は“PVおじさん”。
ちなみにツベルクリン良平さんは“はてブおじさん”、ヨシキさんは“おじさん”です。よろしくお願いいたします。

さて、メディア業界にいるとPV至上主義の弊害みたいなことをあちこちで見聞きしますが、他方インターネット広告において主なキャッシュポイントになるのは未だにPVでもあり、そのバランスは頭の痛いところです。
そのような折、ゲームの攻略情報メディア『GameWith』さんが2015年2月に月間6億PVを突破したとの一報が編集部に届きまして、PVおじさんとしてはぜひお話を伺いたく、GameWithさんとLIGブログは合同で勉強会を開催する運びとなりました。

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ゲームの攻略情報メディアとオウンドメディアでは、その役割や目指すべき方向性がまったく異なるかと思われましたが、お話を聞いているとメディアの本質が垣間見え、そしてメディアの次の展開はある程度一致するものである、という気付きがありました。

そこで今回は、2014年7月から2015年2月までの半年で5000万PVから6億PVへと、約12倍の成長率をプロモーションや外部配信なしで達成したGameWithさんのグロースハックの手法をご紹介しながら、メディアとPVの程よい関係について考えてみたいと思います。

どうして僕はPVおじさんになったのか

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本題に入る前に、僕がPVおじさんになった理由、つまりLIGブログがPVをKPIとして設定している理由について振り返ってみます。

そもそもLIGブログのゴールは何かを確認してみると“LIGという企業の認知を広める”こと、そして運営理念は“ファンをつくる”です。特に前者についてはPVというのが非常によいKPIで、読まれた≒認知が広まったという図式がわかりやすく成り立ちます。
また、LIGブログはオウンドメディアとしては(おそらく)稀有な、独立採算制で運営されています。つまり、かかる経費や人件費はメディアをマネタイズすることで捻出しなければなりません。

PV至上主義に対する批判というのは主に、PVを集めるために手段を選ばなかったり、PVを集めて何をするのかという目的が不在であったりすることに対してなされるものだと思います。もし、「PVそれ自体が目的だ」と言い切るならそれは潔いと思うのですが、せっかく意志の媒体たるメディアを運営するならなにがしかの社会的価値を生み出すほうが個人的にはイケてるような気がします。
だってPVはある程度までならいくらでも上げられるものです。釣ったり煽ったりのような意味ではなく、ページネーション(分割)を導入すれば単純に倍増するだろうし、外部配信のポータルサイトやキュレーションアプリを確保できればひと桁違うトラフィックが得られることでしょう。

このようにPVが本質ではないのなら、じゃあメディアの本質ってどこにあるんだろう、と悩んでいたところにタイムリーに飛び込んできたのが、プロモーションや外部配信なしで6億PVを達成したGameWithさんとの勉強会だったのです。

GameWithさんとは

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まず、GameWithというメディア、そしてその運営をする株式会社GameWithについて、株式会社GameWith執行役員COOである眞壁雅彦さんにご紹介いただきました。

“ゲームをより楽しめる世界を創る”というビジョンのもとで、ゲームをビジネスとして成功させる仕組みを実現するために、事業を展開している株式会社GameWith。

今回ご紹介するGameWithは、株式会社GameWithが運営するスマホゲームに特化した攻略情報メディアであり、記事やQ&Aでゲームの攻略情報を提供しています。掲示板/コミュニティ機能も強化し、より楽しく、長くゲームを楽しめるサービスを提供しているとのことでした。

2015年2月のアクセス数
月間総PV 622,800,000
月間UU数 16,323,000
デバイス PC 10%:モバイル・タブレット 90%
スマホ端末 iOS 54%:Android 46%
性別 男性 81%:女性 19%
6ヶ月間の成長率 (2014.7 – 2015.2)
PV 12.8倍
UU 4.5倍
セッション 9.1倍
平均滞在時間 1.8倍

2013年10月のリリースから、約1年で1億2000万PVを達成。2014年7月から2015年2月まで、PVで12.8倍、UUで4.5倍と、一般的なメディアと比較すると驚異的な成長率です。

株式会社GameWithは他に、チャンネル登録数が3万人を超えるゲームプレイ動画専門のYouTubeチャンネル『GameWithTV』を開設し、社員が登場してゲームの攻略情報をわかりやすく伝えたり、動画ならではの企画をしたりと、ゲームの楽しみ方をより広げるような取り組みをされています。
また、『GameWorks』というゲーマーのためのクラウドソーシングサービスを運営しており、ゲームをやりこんで得た攻略情報を投稿することで、採用されると報酬が貯まり、現金と交換してゲーマーがお小遣いを稼ぐことも可能です。
これはゲームが仕事になるような未来のための仕組みであるとのことでした。

では、プロモーションや外部配信をせず、半年間でPVを12倍にするグロースハックとは、具体的にはどのようなものだったのでしょうか。

GameWithに学ぶグロースハック

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次に、GameWith創業メンバーであり、ディレクターの阿部拓貴さんに、GameWithが月間6億PVを達成するにあたり、実際にやってみてよかった施策、よくなかった施策を紹介していただきました。以下、3つにわけてポイントを説明します。

1. 運営方針はピボットしてよい

GameWithが躍進された背景には、2回のピボット(方針転換)があったそうです。

もともとゲームの攻略情報についてCGM型のQ&Aサービスを制作し、ユーザの投稿によりコンテンツを増やす予定だったGameWithですが、当初想定していた流入経路からユーザが集まらず、Q&Aのコンテンツがまったく生まれない、というピンチに陥ります。
そこでGameWithはクラウドソーシングによりコンテンツを安価、大量に生産する方針に転換し、CGM型の運営モデルから一度撤退します。結果的にこのことが、GameWithが成功するひとつの要因になりました。

このように、事前に準備していたビジネスモデルがあっても、それをピボットすることでかえって成功につながるような場合もあることがわかります。

2. 立ち上げ初期(のみ)は、コンテンツ制作にクラウドソーシングを利用する

立ち上げ初期はユーザの投稿に期待せず、そもそも人手が足りないということで、Q&Aのコンテンツは対価を支払って買う、つまりクラウドソーシングを利用することにした結果、GameWithは3ヶ月で月間1000万PVまで成長できたそうです。
これは、クラウドソーシングなどで大量のコンテンツを生産することにより、メディアはある程度成長することを示唆しているかと思います。

しかし、1回目のピボットから4ヶ月後、成長が止まってしまいます。クラウドソーシング利用で投稿数は増えたものの、質が低いことが要因でした。ここでGameWithは2回目のピボットに踏み切ります。

3. 以降は、質の高いコンテンツを内製できる社員を育成する

2回目のピボットとは、Q&Aコンテンツを重視せず、より詳細な表現ができる記事形式の攻略情報の導入でした。クラウドソーシングは立ち上げ期のみで完全に中止し、質の高い記事を書けるライターを社内で育成、ユーザに価値の高い情報を届けることに集中したそうです。
最適なコンテンツのために努力していることは、徹底的にユーザと同じ目線になること。株式会社GameWithにはゲーム代補助などの制度があるので、課金などを積極的に体験することでよりユーザ目線になりやすいとのことでした。

この結果、再度の急成長を遂げ、ピボットから半年で月間1億2000万PVを達成。さらに質の高い記事を増やしていくことで、現在は6億PVを達成されたそうです。

GameWithの事例からわかること

「CGM型やクラウドソーシングを利用したコンテンツは情報の質に限界がある」と語る阿部さん。コンテンツの質を上げる方法を次のように語ります。

  1. 全体の投稿数を増やして、よいものに期待する
  2. プロフェッショナルに依頼する
  3. 社内でプロを育成する

ここで、「1.は質の高いものもあるが、低いものも増えるのでノイズが多い」「2.は資本力さえあれば、どの企業でも真似することができる」という理由から、GameWithは3.を選んで、現在はコンテンツを完全に内製しているとのことでした。

コンテンツを提供するサービスは、コンテンツの質が低いとどこかで成長が止まってしまうこと、そして、成長市場であれば競合がいて当たり前であり、差別化はコンテンツの質になるということは、メディアを運営することで、僕もぼんやりとわかっていたことです。
しかし、実際に6億PVという数字を目の当たりにすると、当たり前のことを真摯に、大胆に実践することで、大きくスケールする可能性があると実感できました。

本当にすごいのは回遊率なんじゃないでしょうか

ちなみに現在、6億PVのうち1億PVは、掲示板にリピーターが繰り返し訪問することによるアクセスなのだそう。スマホゲームの攻略情報メディアから、スマホゲームのコミュニケーションへと、メディアの存在意義もまたピボットしていることがわかります。
そもそも回遊率が約40と、1人のユーザが月に40ページを見て回っていることになるわけで、これはメディアとユーザとの親和性が非常に高い状態であると言えるでしょう。

実際にサイトを訪問してみると、ゲームごとにモンスターやアイテムの一覧など、合計16万以上のコンテンツが網羅されており、遷移も自然におこなえることがわかります。ユーザ調査という話もありましたが、ペルソナを分析した結果の、過不足のないコンテンツが、ストレスのない導線で配置されており、シンプルながらよく練られています。

僕もよく“ファンをつくる”と言いますが、このときファンとはつまり誰のことなのかが非常に曖昧です。言葉の意味を調べると、ファンとは“特定の対象に対する応援者、愛好家のこと”であり、“古来日本語では贔屓(ひいき)と言った”とあります。
僕にとってはこのひいきにしてもらうというのが非常にわかりやすいイメージなのですが、自分たちのメディアを好きになってもらい、何度も通ってもらう、そんな状態こそが“ファン”なのではないでしょうか。

つまりGameWithさんが本当にすごいのは6億というPVではなく、1600万人ものUUを集めていること、そしてユーザが40ページも遷移してくれるコンテンツやサイト設計なのではと思います。
メディアが意思を媒体するものであるとすれば、伝えたい相手に意思が伝わりやすいこのような親和性の高さこそ、メディアの本質なのかもしれないと思いました。

LIGブログもPVばかりを追求するのではなく、再訪問率など、よりファンとの親和性を示す指標にKPIを設定し直す必要がありそうです。

まとめ

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GameWithがゲームの攻略情報メディアを運営する背景として、1つ目に、スマホの登場によりモバイルゲームのすそ野が拡大し、“ゲーム機を購入せずに高品質なゲームができる環境”が整ったことで、普及速度が向上したことがあるそうです。ドラクエシリーズの累計出荷本数が27作品で6400万本に対して、パズドラの累計DL数が1作品で3200万であることはその象徴と言えます。
また、2つ目に、スマホゲームが家庭用ゲームソフト並みの品質を実現したため、ゲーム自体の難易度も高まり、攻略情報の需要が大きく増加していることにビジネスチャンスを見出した、とのことでした。

次フェーズではスマホゲームのプラットフォームを目指すというGameWith。ユーザコミュニティを基盤に、ゲームユーザ同士をつなげたり、ゲームとゲームユーザをつなげたりを通して、ゲームユーザがよりゲームを楽しめるようにしたいと仰っていました。アクセスを集めた先のプラットフォーム化というのは、LIGブログにとってもひとつのモデルとしてあるので、非常に興味深かったです。

GameWithさんの社員一人ひとりが本当にゲームが好きなことは、記事を書いたり、動画で実況したりだけでなく、勉強会の合間にも各自が好きなゲームの話で盛り上がる様子からも容易にわかりました。ユーザに寄り添い、熱量を持ってコンテンツを制作することで、たくさんのファンを得て、結果としてどんなメディアもなし得ないようなPVを達成したGameWithは、よりメディアの本質に近い運営をしているのではないでしょうか。

PVおじさんとしては一度襟を正して、モンストに打ち込むことにしようと思います。

GameWithさんでは新しいメンバーを募集しています

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企業 株式会社GameWith
求人URL ディレクター https://poole-job.jp/recruit/878.html
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勤務エリア 東京都港区
雇用区分 中途採用

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