【BiTT】俺のクローン作るしかなくね!?
【BiTT】俺のクローン作るしかなくね!?
2020.04.16
#4
マーケターの大先輩に取材しました!

ベイジ枌谷氏に聞く!年間400件超のお問い合わせを獲得しているWeb制作会社が実践しているマーケティングとは?

まこりーぬ

みなさんこんにちは、LIGのマーケターのまこりーぬ(@makosaito214)です。

私はときおり、「マーケティング界隈の大先輩のもとへ取材にいき勉強させていただく」という企画をLIGブログ上で勝手に行っているのですが……

今回はなんと、Twitterをやっているビシネスパーソンなら多くの方がフォローしているであろう、株式会社ベイジ代表の枌谷さん@sogitani_baigie)に取材させていただきました!

Web制作事業のマーケティングに携わる一人間としてベイジ社の取り組みや枌谷さんの発信は数年前からずーーーっと追いかけてきたので、完全なる同業者にも関わらず(汗)こんな貴重な機会をいただけて本当に光栄です……!(涙)

制作会社で働くみなさまはもちろんのこと、自社のお問い合わせを増やしたい経営者・マーケターのみなさまもぜひぜひご一読ください!

株式会社ベイジ 代表/マーケター/デザイナー/ブロガー 枌谷 力 さん1997年にNTTデータに入社、4年間営業職を経験した後、2001年にデザイナーに転身。制作会社やフリーランスでキャリアを積み、2010年に株式会社ベイジ設立。BtoB領域を強みとするWeb制作会社の代表として、BtoBマーケティング、UX、デザイン、コンテンツ、組織デザイン、キャリア設計など、様々なテーマでイベント登壇、取材、寄稿等の活動を行っている。

年間400件超のお問い合わせを獲得するまでに取り組んできたこと

まこりーぬ:枌谷さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします! 年始に公開されていたベイジの2020年の抱負ブログを読んで驚いたのですが、ベイジさんはものすごい数のお問い合わせを獲得されていますよね!?

枌谷:ありがたいことに、20名弱の会社には多すぎるほどのお問い合わせをいただいています。ここ数年は年400件を超えており、今年もコロナショックの影響は今のところなく、年500件のペースで推移しています。

まこりーぬ:500! 正直なところLIGもそこそこ多くのお問い合わせをいただいている方だと思うのですが、それはとんでもない数字ですね……! この状況に至るまでに取り組まれてきたことを、ぜひ教えてください!

枌谷:社員が3~5名だった頃にまず取り組んだのはSEOですね。

当時のWeb制作会社の自社サイトといえば、ビジュアル重視でテキストが少ないサイトが多かったですが、2011年に立ち上げた私たちの最初のコーポレートサイトは、SEOを重視し、テキストを多く盛り込んだものでした。すぐに成果は出ませんでしたが、2012年のペンギンアップデート以降にGoogleで上位表示されるようになり、年に100件を超えるお問い合わせが来るようになりました。

そして2012年には社長ブログを始めました。SNSでバズることが多かったこのブログは重要な認知手段となり、コンバージョンユーザーの10~20%は、社長ブログが最初の訪問経路でした。ピーク時は社長ブログだけで月間10万PVくらいはあったと思います。

続く2016年末には、コーポレートサイトをリニューアルしました。この時の大きなテーマはコンテンツとSEOの強化です。計55ページ・約7万字分のコンテンツを新しく追加した結果、サイト全体のトラフィックは4~5倍になり、お問い合わせ数も年400件を突破するようになりました。

まこりーぬ:新規で55ページ追加とは……Web制作系のキーワードで検索するとベイジさんのサイトに辿り着いてしまう状況はここから生まれていたのですね……!

枌谷:ここまでSEO、ブログ、コンテンツ強化ときて、次に力を入れたのがSNS、特にTwitterです。それ以前からFacebookでも情報発信していましたが、2016年末からTwitterを本格的に使うようになり、それ以来Twitterの影響力はどんどんあがっています。アクセス解析だけを見るとSocial経由のお問い合わせは2〜3%程度ですが、Twitterのフォロワー数と相関するように指名検索数が増加しており、Twitterが私たちの集客に好影響を与えていると考えています。

私たちのお問い合わせフォームには、ベイジの認知経路に関する質問を設けているのですが、FacebookやTwitterと回答する方が全体の3〜4割を占めています。さらに、「社員に教えてもらった」と回答した方に直接会って話を聞いてみると、紹介した社員がTwitterをやっているという話になることも多いんですよ。実感値でいえば、お問い合わせの6〜7割にTwitterなどのSNSが絡んでいるのではないかと考えていますね。

まこりーぬ:6〜7割がSNS! こうして規格外のお問い合わせ数が生まれていたんですね。制作会社って既存顧客案件や紹介案件、特定の代理店を経由した案件で回っていることが多いので、ベイジさんのように複数のチャネルでお問い合わせを獲得している会社は本当に稀だと思います。

枌谷:少ない集客チャネルに依存するのは事業的にはリスクですよね。SEO、SNS、紹介、広告など、複数の集客チャネルが機能している状態が理想だと思います。集客に困ってからでは遅いので、余裕があるうちにチャネル開拓はしておいたほうがいいですね。

これから問い合わせを増やしたい会社がまず取り組むべきこと

まこりーぬ:いざこれからチャネルを開拓して問い合わせを増やしていきたい!……という企業様がまず取り組むべき施策はいったいなんでしょうか?

枌谷:施策を行う前にまず、自分の得意分野を明確にしておいた方がいいと私は思います。

まこりーぬ:ベイジさんは「BtoBに強いWeb制作会社」とコーポレートサイトTOPでも明示されていますが、つ、強みをハッキリさせるってシンプルにものすごく難しいですよね……!?(涙)

枌谷:28歳でWeb制作の世界に入ってから、ずっと自分の強みについては考えてきたのですが、今日は私なりの「強みの作り方」をお話ししますね。

まず前提として理解いただきたいのは、強みは自然と生まれるものではないということ。「自社の強みをここにおく!」と決めて、強みを磨き倒す必要があります。当社も最初からBtoBに強かったわけではないんですよ。BtoBを強みにしようとまず決めて、そのために本を読んで、イベントに行って、Facebookで著名人をフォローして、機会があれば会って話を聞いて、ということを続けていって、強みに “した” んです。

まこりーぬ:なるほど、強みは意図的に作るものなんですね。

枌谷:その前提があった上でですが、自分の強みを決めるには、自社の事業を象徴するキーワードが、プロダクトライフサイクル上どのステージにあるのかを理解しておくといいと思います。

※ プロダクトライフサイクル……「導入期」「成長期」「成熟期」「飽和期」「衰退期」というステージからなる製品・市場の成長パターン

枌谷:この図は適当に作ったものですが、例えば、成長期にある「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」の事業をしているなら、DXを掲げているだけで事業は成長軌道に乗るでしょう。「DX支援会社」みたいな肩書の会社には、DXの仕事がどんどん舞い込んでくると思います。

一方で我々が取り組んでいる「Web制作」などは飽和期にあります。すでに業界のリーダーが存在し、がんばってもフォロワーにしかなれない可能性があるカテゴリというわけです。

では、自分がやりたい仕事や事業が飽和期だった場合はどうすればいいのか?

そんな時は「◯◯×Web制作」と他のテーマと掛け合わせてサブカテゴリを作り、サブカテゴリのリーダーを目指すのです。

枌谷:このサブカテゴリはなんでもいいわけでもなく、3つのポイントを抑えた、適切なサブカテゴリを設定する必要があります。

まず、①そこそこ市場規模があること。そして、②競合が少ないこと。さらに、③自分が興味関心がありのめり込めること

ブルーオーシャンを狙って奇を衒ったようなサブカテゴリを作っても、そこに市場がなければビジネスとして成立しません。またサブカテゴリの中に既に競合が多数いる場合、結局は熾烈な戦いを強いられるので、わざわざそのサブカテゴリにフォーカスする意味がなくなります。そしてなにより、自分が興味を持てないことは、熱意を持って続けられません。

だからこの3つを満たし、自分が強みにできそうなサブカテゴリを見つけなければなりません。

まこりーぬ:頭では理解できました。が、本当に見つかるのでしょうか……!(涙)

枌谷:いくつか例をご紹介しますね(笑)。

例えばベイジは「BtoB×Web制作」というサブカテゴリを作っているわけですが、「BtoB」って市場規模がとても大きいですよね。正確なデータはありませんが、BtoCよりも遥かに市場規模が大きいといわれています。

にも関わらず、「BtoB×Web制作」には競合がほぼいないんですよ。Web制作をやっていてBtoBマーケティングに興味がある人は、最近は少し増えてきましたが、基本的にはとても少ないです。BtoBがテーマのイベントを開いても、Web制作系の人はあまり集まってきません(笑)。

でもそれって、競合も新規参入者も少ない、戦いの少ない市場ということなんですよね。お客さんの立場でいえば、ベイジ以外に選択肢がほとんどない状態になっている。私たちがコンペを全くしなくても顧客を獲得できている一つの要因は、他に選択肢がないからなんです。

そういった市場としての「美味しさ」と同じくらい大事なのは、私自身がBtoBが好き、ということ。私はBtoBマーケティングが楽しくて好きでやっています。ただ得をするからという合理的な判断だけで、このサブカテゴリを選んだわけではありません。

枌谷:自分が好きな分野の組み合わせでいえば「音楽×Web制作」という市場もあります。ただ、音楽は単体の市場規模はとても大きいですが、Web制作と重なる部分の市場が狭いので、サブカテゴリとしてはちょっと微妙です。

枌谷:では「UX×Web制作」だとどうでしょう。UXを語るWeb制作会社ってどうですかね。結構たくさんいますよね。つまり競合がたくさんいるサブカテゴリなわけです。

競合が多い市場は、成長期の段階で手を付けた人が有利です。後追いではどうしてもフォロワーになりやすいです。さらにUXは、実はデザイン業界の人がいうほど市場性は高くないと私は思いました。なので図では小さい丸の点線にしています。実はベイジも、UXへのフォーカスを強めにしていた時期もあったのですが、1年でやめました。

枌谷:そして、私が結構狙い目じゃないかと注目しているサブカテゴリが「コンテンツ×Web制作」です(笑)。市場規模も大きいし、Web制作と掛け合わせた時の相性もいい。競合も少ない。LIGさんのようにコンテンツを作る力を持っている会社はあっても、「コンテンツに強いWeb制作会社です」って明言している会社っていないですよね。

まこりーぬ:こ、これは弊社狙うべきじゃないですか!?(笑) ……しかしながら仮に今「コンテンツが強みです」といきなり打ち出した場合、間違いなく現場が混乱してしまいそうです……。

枌谷:それは大事なポイントです。マーケティング的に都合がいいからって好き勝手にポジション取りをしていると、現場が混乱し、メンバーが追いつかず、離職率が高まり、組織が弱体化して……とマーケティングどころじゃなくなりますよね。

強み作りには2本の柱が必要だと思います。1つがここまで話してきたサブカテゴリを作るマーケティング視点。もう1つは組織作りの視点です。

いくらマーケティングがうまくいって顧客を獲得できたとしても、発注したらトラブルばかり、品質もイマイチ、担当者はすぐ辞める……となると、お客様もすぐ離れていってしまいますよね。組織なくマーケティングを繰り返しても、自転車操業になる。つまり、組織づくりとマーケティングは同時並行でやらないといけない、というのが大原則です。

まこりーぬ:肝に銘じます! ……ちなみに、「BtoBに強い」と強みを絞った当時、ベイジ社内で混乱や衝突は起こりましたか……?

枌谷:徐々に移行していったので、特に混乱はなかったですね。BtoBに力を入れてコーポレートサイトのメインキャッチに「BtoB」というワードを入れるまでに7年もかけましたからね。もっと早く言い切ってよかったかも、と今は思っていますが(笑)。

まこりーぬ:7年も! それは意外です。

枌谷:ターゲットや領域を絞ることに怖さがあったんです。だから「BtoBに強い」というのはSNSなどでは発信しつつ、コーポレートサイト自体は、BtoCも採用サイトもなんでもできるWeb制作会社という体裁を取っていました。

昨年ようやく「BtoBに強いWeb制作会社です」と言い切ることができたのは、戦略というより、「今なら既存のお客様もほとんどBtoBだしちょうどいいタイミングかも」と思えたからです。言い切ってからの方がお問い合わせ数が微増しているので、やはり強みを絞ってよかったと思っていますよ。

まこりーぬ:もし私がBtoBのWeb担当者だったら間違いなくベイジさんに問い合わせますもんね……。強みを絞ることで得られる求心力の強さ、半端ないです。

ベイジ枌谷流のオウンドメディア活用術

まこりーぬ:さて、後半は具体的なマーケティング施策である「オウンドメディア」「Twitter」の活用術について深堀りしてまいります!

まずはオウンドメディアについて。冒頭のお話に遡りますと、ベイジさんはSEOとは異なる目的でオウンドメディアを運営されていらっしゃるということになりますよね……?

枌谷:はい。BtoB企業のオウンドメディアというと、SEOを目的とすることも多いですが、当社の最新オウンドメディア『knowledge / baigie』は、課題形成前、ファネルトップのユーザーにアプローチしてコンバージョンを先取りする、という目的で運営をしています。

枌谷:課題形成前というのは、「ホームページをそろそろリニューアルしたい」とすら思っていない、Web制作会社が必要じゃない状態ですね。

例えばSEOやWeb広告なんかは、課題形成後、つまり「ホームページをそろそろリニューアルしないと!」と思い、Web制作会社を探しているユーザー向けなことが多いですよね。それは一つのセオリーで間違ってないのですが、私たちのコンバージョンの傾向を分析すると、その段階でお問い合わせしてくる企業様は、予算や納期が合わないことが多い。

そこでオウンドメディアでは「課題形成前」、すなわち今の段階ではサイトリニューアルもサイト改善も必要とは思っていない人たちへの認知を、一番の目的にしています

そうやってベイジを知った人たちが、いざWebサイトを作りたいと思ったときに、「まずはベイジに声をかけてみよう」と第一想起したり、社内でサイトリニューアルのプロジェクトが走り始めたときに「そういえばベイジっていう良い会社があるよ」というクチコミが社内で発生したりする状態を作っているわけです。これがコンバージョンの先取りです。

このような目的でオウンドメディアを運営する上で重要なのは、検索で上位表示されることではなく、読んだ人の心に残る記事を作ることなんですよ。SNSでバズることも多いのですが、結果的にそうなるだけで、バズを一番の目的にしているわけでもありません。「この会社が作るコンテンツはやっぱり違うな」と思ってもらい、印象に残り、社名を覚えてもらうのが一番の目的です。

そうすると、課題形成後に第一想起してもらえる。だから記事の質にはものすごくこだわって作っています。

まこりーぬ:確かに、ベイジさんの『knowledge / baigie』の記事はいつも印象的で「前にこんなテーマの記事ありましたよね!」って思い出せるものばかりです! すごい……!

読んだ人の心に残る記事……熱量のある記事とも言えると思うのですが、作り方にコツがあれば、ぜひ教えてください!

枌谷:コンテンツには熱量が大事、というのは色々なところで色々な人が言いますが、熱量って実態がなくて、基準もよく分からないですよね。で、私なりに熱量の高い文章の正体をずっと考えてきたのですが、ここ最近至った結論は「異常性」です。

例えば、異常に情報量が多いとか、異常に体系立ってるとか、異常に分析の視点が多いとか、異常に深堀して語っているとか。あるいは「普通はこんなの無料で公開しないよね?」というコンテンツを公開しちゃうとか。

平均を明らかに超える異常性があったときに、人は熱量があるというふうに捉えるんだと思うんです。確かに異常性があれば、それを好むかどうかはともかく、少なくとも書き手の一生懸命さは伝わりますよね。

当社のオウンドメディアの記事は社員みんなで書いているんですが、平均以上の情報量か? 読者の予想を超えるほど体系立っているか? こんなことに気が付くなんて思考量が異常と思ってもらえるかなど、私が考える「異常性」の基準を満たすようフィードバックしています。だから総じて記事に熱量があるような印象を与え、それがベイジらしさと言っていただけるのかもしれません。

まこりーぬ:なるほど……! 異常性ですね。平均を超える情報量にするためには、どのように情報を追加していくのでしょうか?

枌谷:情報量において大切なのは密度だと思っています。ふわふわで中身のない文章をダラダラと長く書いてもあんまり熱量があるようには思えなくて、ただ文章が長いだけ、となってしまいます。

なので、まずはそのふわふわの1万字の中の不要な文字や文章を削り、5,000字ぐらいまで徹底的に圧縮します。そのあとに同じぐらい密度の濃い情報の原液みたいなのを足していくんです。足していくのは、歴史や経緯、世間一般の評価、肯定的意見と批判的意見、実体験などが多いですね。

……逆に質問なんですが、オウンドメディアを長く運営されているLIGさんにもこういった独自のコンテンツ制作メソッドってあるんですか?

まこりーぬ:おおお、メソッドと呼べるものはなさそうなんですが……書き手である社員のキャラクターを全面に出して執筆するというカルチャーこそが、LIGらしい記事を作り上げている要因になっているとは思いますね。

枌谷:オウンドメディアって、編集長ががっつりクオリティ管理を行う「中央集権型」と、社員の自由度が高い「コミュニティ型」の2種類に分かれると思っているんですが、LIGさんはコミュニティ型のオウンドメディアだったんですね。

当社の場合『knowledge / baigie』は完全に中央集権型ですが、もう一つのオウンドメディア『ベイジの日報』はコミュニティ型で、LIGさんと同じく社員が月に1本記事を書いて自由に公開しています。

まこりーぬ:コミュニティ型であるおかげで私は今日も自由に取材させてもらっているのですが(笑)、中央集権型のオウンドメディアの方がきっとマーケティング施策は進めやすいですよね。2種類とも運営されているのはさすがです。

ベイジ枌谷流のTwitter活用術

まこりーぬ:続いて、Twitterの活用術についても質問させてください! 私が1〜2年前に枌谷さんのことを知ったのはまさにTwitterだったんですが、現在は3.8万人以上のフォロワーがいらっしゃるんですね……!

最近は枌谷さんだけでなく社員のみなさんのツイートもよく見かけるようになりましたが、メンバーもTwitterを活用するようになって何か変化はありましたか?

枌谷:数字として表れるのはこれからだと思いますが、変化は少しずつ起きていますね。うちの会社のイメージってほぼ私のイメージとイコール、つまり真面目で堅そうに見えていたと思うのですが(笑)、メンバーも表に出るようになってからは、周りからの見られ方がベイジ本来のイメージに近づいている気がします。これは私1人ではできなかったことですね。

まこりーぬ:Twitterは全社で取り組まれているのでしょうか? 情報発信が苦手、面倒と感じる人たちを動機づけできるような工夫があればぜひ教えていただきたいです!

枌谷:情報発信は強制してもあまり意味がないので、全員ではないですね。自分の意思でやりたいと申し出てくれたらやり方を教えますが、乗り気じゃない人に無理にやらせても結局続かないですからね。

まこりーぬ:なるほど……個人的にLIGの役員陣にはもっとTwitterを活用してほしいなと思っているのですが、いったんは外から盛り上げるしかないですね……。

枌谷:Twitterをもっと活用していきたい! というBtoB企業様にむけて最近「Twitter道場」というプログラムを提供しているのですが、周りを巻き込む上で大事にしているのは、まずはなにより自分自身が楽しくTwitterに取り組んでいる姿を見せることです。あとは「今週何人フォロワーが増えました!」とメンバー間で数字を共有することで刺激を受け合うような仕掛けは取り入れていますね。

※ Twitter道場…枌谷さん発案のTwitter活用強化プログラム。ベイジだけではなく、ナイル株式会社やアナグラム株式会社でも実施されている。全5回、有料。

まこりーぬ:Twitter道場! 気になってました。まさにそのプログラム内でお話しされている内容かと思いますが、これからTwitterで情報発信していきたい人たちにフォロワーを増やすコツをぜひご指南いただけないでしょうか……!

枌谷:ビジネス利用する場合、最初の頃は、仕事と関連するテーマに統一してツイートするのが原則です。美味しいご飯や猫の話が混ざってしまうとパッと見なんのアカウントかわからないですよね。私がちょっとふざけだして色々なツイートをするようになったのは、フォロワーが1万人を超えてからなんですよ(笑)。

それとやはり量が大事です。Twitter道場では1日10ツイートを基準にしていますが、これは根性論ではなく、Twitterのアルゴリズム上、ツイート数が多い人の方が圧倒的に有利だからなんです。

例えば「1日に1ツイート×50いいねのアカウント」と「1日に10ツイート×それぞれ10いいねのアカウント」だったら、コンテンツの質が高いのは前者かもしれませんが、より多くの人と接点を持っているのは後者です。延べ人数ベースの単純計算でいえば、前者は1回×50いいねで50人と接点を持っていますが、後者は10回×10いいねで100人と接点を持っていることになります。

この2つのアカウントがその翌日に一斉にツイートした場合、後者の方がより多くの人に露出することとなります。これは非常に単純化した話ですが、こういうことが積もり積もって、ツイート量が多い人ほどフォロワーが付きやすいというわけです。

実は、私が尊敬しているTwitterの師匠は、1日20〜30ツイートを推奨しているそうで、1日10ツイートというのは、私の中では妥協ラインです(笑)。実際ベイジで今最もフォロワーを伸ばしている社員は、1日10ツイートではなく、20〜30ツイートしていますね。ツイート量とフォロワー数は明確に相関しているので、ビジネス目的でフォロワーを増やしたかったら、最初は量から逃げられないと思っておいた方がいいでしょう。

まこりーぬ:フォロワーが少ないうちは一貫性と量! 一貫性と量!!! 覚えました!!! ……そういえば、最近枌谷さんはプロフィールでもいろいろテストされてますよね? 赤ちゃんの画像になったときは驚きました!(笑)

枌谷:プロフィール画像を毎日変えて、赤ちゃんから大人に成長させていったのは、単純にやってみたかっただけ、深い意味はありません。プロフィール画像をコロコロ変えるのは得策ではないと一般的には言われていますが、案の定その期間フォロワーが減ったので、みなさんはマネしない方がいいです(笑)。

ちなみにプロフィールの文章は自分がどれだけすごい人間なのかをプレゼンテーションする場です。よって肩書きや学歴、勤務歴など自分のブランドを構成する要素はなるべく載せた方がいいですね。

また、私のプロフィールには「仕事のヒントが得られる有益なアカウントを目指してます」という、フォローするメリットを明確にした一文を試験的に入れています。これを入れてからフォロワーが増えやすくなった印象はあります。

こういう風に、プロフィールを見たユーザー側の体験を想像し、どういうプロフィールだったらフォローしたくなるか、ということを考えてプロフィールを設計するといいと思います。

まこりーぬ:ありがとうございます。フォローしてもらうメリット……テーマを定めて作らねばですね。今までにいただいたお話を参考に、愚直につぶやいていこうと思います!

枌谷:ただ、私は1日10ツイートとかフォロワー増やしの法則の話をしますが、数字至上主義になることはオススメしていません。情報発信がうまくなると、バズやフォロワー数の増加に喜びを見出してしまいがちですが、大事なのは自分の本業を磨くことです。そのことを楽しみながら実現するためのツールとして、Twitterでの情報発信を楽しめばいいんじゃないかと思います。

これからチャレンジしていきたいこと

まこりーぬ:盛りだくさんの当取材もいよいよ終盤です。これからベイジとしてチャレンジしたいことについて、ぜひ教えてください!

枌谷:ちょうど今「アンゾフのマトリクス」というフレームワークを使って、自社の事業の展開イメージをまとめていたところなんですが……

※ アンゾフのマトリクス…事業の成長拡大を検討する際に用いられるマトリクス

枌谷:今の私たちの主力事業が、既存市場×既存商材である「Web制作事業」です。ここはBtoBに特化することで十分に事業として成り立っているのですが、そこで得たスキルやノウハウを転用し、別の市場に進出したり、別の商材を生み出したり、という展開を考えています。

その一つが、Web制作で培ったノウハウを業務システムやSaaSに転用する「業務システム/SaaSのUIデザイン事業」(新規市場×既存商材)です。

もう一つがWeb制作で培ったノウハウを別の形にして提供するを提供する「法人向け教育事業」(既存市場×新規商材)と、それらをパッケージ製品にして販売する「パッケージ事業」(既存市場×新規商材)です。

このような新規事業を始める目的は「あり得ない高利益体質のWeb制作会社を目指す」ということです。それが実現できた次のステップでやりたいのが、新規市場×新規商材のセグメントにある「新規サービス事業」です。

ここではSaaSを作りたいと考えています。企画もアイデアもすでに固まっているのですが、リソースの問題で、本格的に開発に着手するのは2021年以降になりそうです。

そして、これらの事業がすべて成功したら、私としてはやり残したことはないので、そのタイミングで引退していいかなという気がしています(笑)。

まこりーぬ:引退だなんてそんな!(笑) これらが実現すると間違いなく利益率が上がって、ますますいい会社になる一方ですね……!!!(末恐ろしや……)

ちなみに、これらの事業展開を推進するにあたり当然採用も強化されると思うのですが、メンバーを増やすうえで工夫されているポイントはありますか?

枌谷:Twitterのおかげもあって採用も好調です。転職サイトや転職エージェントに頼ることなく、昨年は70人の方が自社の採用サイトからエントリーしてくれました。今年はさらに加速してて、月10名ぐらいのペースでエントリーいただいてて、このままいくと最終的には100人を超えそうです。

採用関連の活動としては、「ベイジに興味はあるけどエントリーはちょっと……」という一歩手前にいる人たちと接点をもつために、bosyuでランチを呼びかけたり、採用イベントを開いたりも、時々していますね。

まこりーぬ:Twitter、いよいよやらない理由がなくなってきましたね……! そして採用活動にもマーケティングファネルの考え方が踏襲されていることがよくわかりました。

枌谷:Twitterは働く人たちのキャラクターも感じ取ってもらいやすいので、引き続きメンバーとともに取り組んでいきたいと思っています。「あの人と一緒に働いてみたい」と思ってもらうには、公式アカウントではなくメンバーの顔が見える個人アカウントの方が有利ですからね。他の会社さんでも、現場の責任者クラスの人は取り組む価値はあると思いますよ。

それと、採用した人を組織にオンボーディングさせるために、なんのためにこの会社をやっているのか、なんのためにこの事業をやっているのかなど、会社の考えを明確に言語化して伝えることをすごく大事にしています。

例えば、この春はじめてライターを採用したんですよ、しかも新卒の方を。彼女からすれば、未経験だし、先輩もいないし、この会社にいて自分のキャリアは大丈夫なのだろうか? と不安になるだろうと思ったので、ライターという仕事の定義や市場価値、ベイジでデジタルに強いライターとなるまでのロードマップを言語化して、こういうライターを目指してほしい、ということを伝えました。

まこりーぬ:今のお話を聞いただけでなんだか安心して入社できそうです。本日1時間ほどお話しさせていただきましたが、枌谷さんのコミュニケーションの特長は圧倒的な言語化、体系化にあるのだなと感じました……!

最後の最後に、枌谷さん個人がチャレンジしていきたいことについて教えていただけないでしょうか。

枌谷:私はベイジで身につけたものを活かして、今の会社ではできないことをどんどんやっていきたいですね。他社さんの顧問やアドバイザーになることもすごく興味があってやってみたいです。ベイジでは創業者で経営者で社長なんですが、ベイジしか働く場所がないとかではなく、パラレルキャリアでありたいです(笑)。

人生100年時代、1つの会社で終わることってほぼないじゃないですか。私だけじゃなく社員にとっても、次のキャリアや別のステージで役に立つことが学べる会社でありたいです。

例えばライターなら、単にマーケティングをハックするためのライティング術を身につけるだけじゃなく、その根底にある「人ってどういう言葉に動かされるんだろう」「物事を論理的に組み立てるってどういうことだろう」という、普遍的なことを学び、その結果どんな業種・業態になっても活躍できるようになってほしいと思っています。

まこりーぬ:枌谷さん、本日は具体的な考え方・施策に富んだお話の数々を本当にありがとうございました!

さいごに

約10,000字の記事となりました。さいごまでお付き合いいただきありがとうございます(きっとふわふわの10,000字ではないはず……です……!)。

いただいたお話を何度も何度も読み返してみると、戦略性はもちろんなのですが、やはりこれだけの戦略を形にする部分、実行力に圧倒的な差があるように感じました。

「枌谷さんはすごいなぁ」と思って終わりではもったいない。ベイジさんにはないLIGならでは強みをしっかり発信していけるよう、熱が冷めないうちにアクションプランを立てていこうと思います。

以上、まこりーぬがお届けしました!