石が立ってる…!重力を無視しているとしか思えないロックバランシングを取材してきた


石が立ってる…!重力を無視しているとしか思えないロックバランシングを取材してきた

こんにちは。エディターのさえりです。

みなさん「ロックバランシング」ってご存知ですか? ロックバランシングとは、古くから世界各国で親しまれているバランスアートのこと。

まずはこちらの画像をごらんください。




なんだこれ、もはや宇宙……。

調べてみると、作っているのは石花ちとくさんという方。これは、実際にお話を聞くしかありません!

取材をしてみた

01_01

ということで、やってきたのは真冬の多摩川。大きめの石がゴロゴロと転がっています。

01_02

こちらが石花ちとくさん。

日本のロックバランシングの第一人者であり、日テレの「嵐にしやがれ」や、フジテレビ「アウト×デラックス」などに出演されるなど、メディアにも注目されている人物です。

01_03

「まずは見せますね」と、石を積みはじめました。

石選びをする手に迷いはなく、ひとつまたひとつと手に取り、積み上げていきます。


01_04

手の動きに迷いはないものの、石はグラグラと揺れていて、「これが本当に立つの?」という不安が頭によぎります。



そしてわずか7分後……


01_05

01_06

chitoku はい。こんなかんじです。
saeri す、すごい!!!



01_07

先ほどまでグラついていた石たちが急にぴたりと止まり、完全に自立しています。
……か、かっこいい。

そもそも「ロックバランシングアート」って?

02_01

saeri 危ういのに力強くて、凛とした佇まい。ロックバランシング、めっちゃロックですね……!


chitoku ……ありがとうございます。僕らはこのロックバランシングを「石花」と呼んでいて、「生け花」みたいなものだなと思っているんですよね。美しくて、儚くて。


saeri たしかに、すぐにでも壊れてしまいそうですよね……。


chitoku しっかり立てば少しの風では壊れませんが、やはり接着剤とかはないので、少しの衝撃で崩れてしまいますね。


saeri 儚い……。


saeri 石を積みはじめてどれくらいなんですか……?


chitoku 6-7年くらいですね。


chitoku 外国の人がやっているのを写真で見たことがあって。

それでいつかやってみたいなって頭の片隅で思っていたんですけど、子供を公園に連れて行ったときにたまたま足元に石が転がっていて。積んでみたら、積めたんですよ。


saeri 積んでみて積めるもんなんですか?


chitoku 積めましたね。
それでハマっちゃって、河原とかにもいくようになりました。大きな作品も作りますし、時には畳の上で小さな鉢を置いて小石で作ることもあります。


saeri こういった展示とかもしているんですか?


chitoku いえ、写真を撮るだけですね。展示が難しいアートなんです。

ずいぶん前に展示会をやったことはあるんですけど、道路に面した小さいアトリエだったんでダンプカーとか通るとすぐ壊れちゃうんですよね。


saeri つらいですね!?


chitoku そうなんですよね。だから平日は写真を飾って、土日にまた作りに行ったりして……大変でしたね。


saeri ストレートに聞きますが、それってお金にならないのでは……。


chitoku そう、だから普段はIT会社で働いています。


saeri (こんなにすごいアートなのに、世知辛いな……)


chitoku 休日にはワークショップを開くこともあります。

ロックバランシングの楽しさを感じて欲しくて、実際に積んでもらっているんです。


chitoku 積んでみますか?


saeri えっ! できるんですか! ぜひ!

02_02

LESSON1:ひとつの石を積んでみる

chitoku どんな積み方も間違いではないのですが、僕らが推奨しているのは、上に開いていくような積み方です。


03_01

03_02

chitoku こういう形ができればできるほど、「よくできたなぁ」と思います。


saeri 難しそう……。


chitoku そんなことないですよ。


まず「この石のためなら頑張れるぞ」っていうお気に入りの石を見つけてください。それで「この石がかっこよくみえるように積むぞ!」と、やる気になるところからはじめましょう。


saeri はい!



03_03

わたしはこの石に決めました。このつるっとした品のいい石(個人的見解)のために、頑張ります。


03_04

chitoku 次に、石の上をすべすべとなでながら、目には見えないような小さなくぼみを見つけてください。



03_05

chitoku あとはそのくぼみに石を当て、指先でゆっくりと石の当たり具合を確認していきます。どこかピタッとはまる場所があるはずなんです。


saeri バランスを取るというよりは、ぴたりとハマる感覚のほうが近いんですね。


chitoku そう。少しずつ、少しずつ当たる部分をズラして……。


saeri んんんん……。これほんと難し……


03_06

立った!!!!!!!!!

saeri うっひょー! 立ちましたよ立ちましたよ! なにこれ、ちょーうれしいですね!?


chitoku そうなんですよ。ちょーうれしいんですよね……。


LESSON2: 2つの石を積んでみる

saeri せっかくなら2つ立てたいです!!!


chitoku がんばればできるはずですよ! まずは、さっきと同じように、この石のためにガンバルゾっていうお気に入りの石を見つけ……


saeri (この方、本当に石が好きなんだな)

04_01

さっきよりもしっかりとした台座石をみつけます。かならずグラつかない石を探してください。


04_02

その後、小さな石を大きな石の下に敷きます。石同士の接地面が少ないほうが美しいので、「くびれ」を作るような感覚で石を探します。

chitoku ぼくはこれを「かませ石」と呼んでいます。
saeri かませ犬みたいな言い方するんですね。

04_03

かませ石を台座石の上に置き、今度は「くぼみ」ではなくかませ石をズレずに置ける場所を探っていきます。


04_04

chitoku さっきみたいにくぼみを見つけるのではなく、今度は上から指で重みをかけてみてグラグラしないところを探すんです。
この指の重みに耐えられるようであれば、上に大きな石を置けるはずなので。
saeri なるほど……!



04_05

場所をみつけたらあとはひたすら指先に感覚を集中させていきます。


04_06

saeri ……。


chitoku 石の接地面って目に見えないので、全体をぼ〜んやり見る程度にしてください。


chitoku 目で見るんじゃない、指で見るんだ。なんてね。


saeri 目で見るんじゃない、指で見……


……!!!


04_07

立っ……


04_09

立ったぁあぁあああああああ!!!


chitoku あぁ、いいじゃないですか。
この石の色も綺麗だし、縞模様もいいですね。この接地面が斜めなのも素晴らしいじゃないですか。かっこいい。


saeri (やさしい……)


ロックバランシングの「良さ」とは

saeri すごく感動しました。自分でも立てられるんですね。


saeri ロックバランシングの一番の魅力ってどこですか?


chitoku うーん、積むのは単純に楽しいですね……。あとは、石っていう素材そのものが、本当にピュアだと思っていて。


chitoku だからこのアートって本当に「自分自身だなぁ」って思うんです。


saeri 自分自身?


chitoku これだけの石があって自分で石を選んでいるところから、もうすでに個性がでているんです。
積み方も人によって本当にちがいますし……。


chitoku つまり、「自分を出そう」としなくても自然に自分自身が出ちゃうアートなのかなと思っていて。最近ではできあがったものを「これが今の自分なんだ」と受け入れるようになりました。
そういうところも魅力のひとつかなと…。


saeri 深い……。


chitoku ハマらない人にはハマらないんですが……、もし気になったらぜひやってみてほしいですね。


chitoku ……だいぶ寒くなってきましたし、そろそろ壊して帰りましょう。


saeri えっ、壊しちゃうんですか?


chitoku そうです。子供とかが面白がって近づくと危ないので。

05_01

離れたところから積み上げた石にむかって石を投げるという遊びをして、ロックバランシングは終了です。


saeri こんなすげー石積んだぜ! って残したくもなりそうですけど……。


chitoku その場を楽しめた、そのことだけで十分なんです。


saeri (最後まで謙虚だなぁ)


さいごに

06_01

「石」という素朴な存在を使い、人知れず表現しつづける石花ちとくさんの謙虚な姿勢に感激してしまった今回の取材。

「個性を出さなければいけない」「自分を表現しなければ」と身構えなくても、自分が出てしまうというロックバランシング。立てている間は無になれますし、「絶対無理そう」と思った石たちがぴたりと自立する瞬間は鳥肌が立つほどうれしいですよ。

このアートに魅了されるひとたちが少しでも増えますように! それでは〜!

saeri ……石花さん。


chitoku はい?


saeri ロックバランシングを極めれば、なんでもバランスが取れるようになりますか? 恋愛と仕事とか。


chitoku ……はい?


saeri なんでもないです。ありがとうございました。


>ぜひワークショップなど参加してみてくださいね<
公式サイト:http://www.ishi-hana.net/
個人サイト:http://chitoku.balancing.jp


この記事を書いた人

さえり
さえり 外部ライター 東京 2015年入社
編集者のさえりです。寝ている時以外は、いつも眠い女です。
雨の音と、他人の妊娠ブログと、あとはちょっぴりシュールなものたちが好きです。