今から作ろうとしているWebサイトに、コピーライターはアサインされていますか。

今から作ろうとしているWebサイトに、コピーライターはアサインされていますか。

John

John

ジョンと申します。

1万字を超えてしまいました。

こんなに長い記事を書いたことは過去にありません。でも、ぼくなりの、集大成の記事になったと思っています。
いろんなことを書いていますが、結局ぼくが言いたいことはこの一言に尽きます。

お客さまに寄り添ってコミュニケーションを考えるので、LIGではなく、ぼくに仕事をください。です。

はじめに

ぼくはずっとコピーライターとして従事してきて、2014年の暮れにWebディレクターの肩書きを与えられました。そこから数ヶ月、まだ実績がひとつもないにもかかわらず、「Web制作におけるコピーライティングの価値の低さに、ぼくが思うこと。」という記事を書かせていただきました。
コピーライター的思考でWeb制作に貢献できることがあるんじゃないか、という思いだけを吐露したものです。

そうなんです。実績がないので、いま読み返すといまいち説得力に乏しい。だから早いとこ、実績をつくって当時の気持ちは理想論ではないということを、自分に証明したかったのです。また、その記事に何かしらの好リアクションをしてくださった方にも、証明したかった。

いまからお送りする内容は、その記事へのアンサーです。

とはいえ、ぼくはまだまだ未熟で、Web制作の知識・経験はもちろん、コピーライターとしても半人前。もっともっと経験のある熟練の方からすると、ガキがほざくな、穴だらけじゃねぇかと言いたくなる箇所もたくさんあることでしょう。それは承知の上で、あえて書かせていただきました。
ぼくなりに、現時点での「Web制作にコピーライティング的思考を活かせた(と感じている)案件」をさいごに紹介させていただきます。

Web制作におけるコピーライター的思考のステップ

コピーライティングというと、どうしても“1行の言葉を書くだけの人”といったイメージがつきまといます。でも、ぼくの中のコピーライターとしての領域はもう少しだけ広いです。それがどういうことか、実際のWeb制作におけるステップでご紹介したいと思います。

※あくまでも個人的なステップです。ほかの方がどうかは正直わかりません。あらかじめご了承ください。

1. 何よりもまず、お客さまを好きになる。

ぼくは感情移入ができないと、その企業のために何かしてあげたいと思えない性分です。だからこそ何よりも大切にしているのが、お客さまのことを知り、好きになることです。

その人やその企業を好きかどうかは、最終的なひと手間にかかわってくる重要なポイントになる。ぼくはそう思っています。結局、こちらは受託側に変わりはないんですけど、心だけはお客さまと一緒になるというか、お客さまの側に立って、一緒に世の中を見る。そんな状態に持っていけたらすごく理想的だと思っています。

好きになるために、すごく聞く。

お客さまを知り、好きになるには、何といっても会話が不可欠。ぼくの感覚としては、合計で半日ほどお話できれば御の字です。1時間や2時間では消化不良になりがちなので、もっと時間をください、とお願いすることもしばしばあります。

ヒアリングに際して、ぼくはまず、その企業がそもそも何をしているのかについて聞くことが多いです。
LIGにお問い合わせいただくお客さまはWebサイトについての何かしらの問題を抱えていらっしゃるので、正直、ぼくの質問は不意打ちというか、「そこから話すの?」といった反応をされることがあります。
が、何をしている企業なのかも知らないでいきなり要件の話をするほうが、ぼくは失礼だと思うのですが……どうでしょうか。

だからいつも、一言お断りするようにしています。「今日は、御社を好きになるためにやって来ました」と。そうすると、その企業についての大きな質問がしやすくなるのです。なんとなくですが。

このようなことを書くと、ヒアリングの熟練者のような印象を抱かれるかもしれませんが、ぼくは元来の人見知り。初対面の人と話すどころか、お会いすることすら苦手です。できればずっとイヤホンでTHE YELLOW MONKEYをかけて、外界をシャットアウトして仕事をしていたい人間です。これは本当なんです。

ただ、そんなぼくでも何とかヒアリングをやってこられたのは(今でも失敗は多いですが)、何としても聞き出さないと!と意気込むのではなく、気をラクにして臨んでいたからだと思っています。聞き出すというよりは、ぼく自身にその企業のプレゼンをしてもらう機会だ、くらいの気持ちに近いのかもしれません。すると、ほんの少しですが、緊張が和らぐ気がしています。

ヒアリングの内容は、当然ですがその都度ちがいます。ですが、ぼくの興味はたいていその企業の中心にある想いは何かと言えるかもしれません。まずそこを理解し、共感してからでないと、ぼくの企業理解は一切前に進みません。

ではその想いを中心にしつつ、誰に対してどのように価値提供していくことで、この企業は存続しているのか?といった具合に、できるだけ事実を話していただきます。事実があると、その想いがウソでないことが分かるだけでなく、理解がさらに深まるからです。

そのため、Webサイトの具体的な話は、二の次でいいと思っています。

好きになるために、インタビューや書籍には目を通す。

新進気鋭のお客さまであれば、社長インタビューがWeb上に転がっていることもしばしば。そういったものをひと通り見ておけば、会話も弾みます。一方で大企業と呼ばれるようなお客さまは、書籍が出ていることも多いです。かつて大手の通信キャリアさまとお仕事した際は、担当の営業さんから何冊も渡され、インプットしたこともあります。
そういったものが何もない場合は、現状のコーポレートサイトをざっと見ておくくらいの準備はしておきたいところです。

要するに、ぼくはビビリなんです。

好きになるために、体験してみる。

話をいろいろと聞かせていただくだけでもいいですが、もしお客さまのサービスや商品を体験できるのであれば、利用しない手はないと思います。みずからが受け手となって、いち生活者としての感覚で体験してみる。すると、その企業がどんな価値でファンを獲得しようとしているのか、少なからぬ発見があるような気がするのです。

2. 好きになったら、受け手について、一緒に考える。

そのあとはWebサイトを見てほしい人は誰か?について、お話いただきます。
個人的には、できるだけ具体的なほうがいいです。たとえばto Bの場合、どんな企業の、どんな役職で、何をミッションとしている人で、何を期待してサイトを見に来る人なのか。それなりに人格が浮き彫りになるほうが、ぼくの場合、その後のプロセスを考えやすくなります。

そして、けっこう重要だと思っているのが「そんな受け手にどう思われたいか?」です。この質問を投げかけると、出てくる言葉はほぼ形容詞。ただ、幅広い解釈を許してしまう形容詞を、ぼくはあまり信用していません。「あぁそうですか」と鵜呑みにせず、具体的にどういうことなのか、お互いの認識を合わせていくようにしています。
ぼくの考える「おもしろい」と、お客さまの考える「おもしろい」は、きっと違います。だからこそ、すり合わせが必要です。

3. 受け手を知ったら、ライバルについて、一緒に考える。

おそらく、どのお客さまもベンチマークしている企業が少なからずあるはずですから、素直に質問をします。そして、その企業を否定的に見るというよりは、「何がすごいか」「どうすごいか」といった観点でお話いただくようにしています。
事前に聞いたお客さまの特徴とライバル企業を比較し、同じ土俵でたたかうのか、あるいは別の価値で勝負をしていくのか、一緒に考えていけるような会話ができれば理想的です。

4. それらを総合的に見て「何を言うか」を考える。

その次は、受け手や競合の情報をもとに、訴求ポイントを絞っていきます。このとき意識していることは言いたいことはひとつに絞るということです。
どういうわけか、いちど考え出すと自分たちの言いたいことには耳を傾けてくれると思いがちで、あれもこれも言いたい(言わなきゃ)という状態に陥ることは多いのですが、そこはいったん落ち着く必要があります。

だって、考えてみてください。1日でぼくらのもとに届いてくる情報の数はどれほどあるでしょうか? ただでさえ多すぎてうざったいのに、「ウチの魅力はAとBとCがあり、さらにDまで……」などと叫ぶだけムダです。伝わらないし、そもそも届かないし、何なら嫌われます。
人で例えると「ぼくは◯◯大学出身でロンドンに留学経験もあって英語は堪能。もちろん就職も▲▲に何なく決まって年収は××」などと声高に叫ぶ行為とおなじ。そんな人の自慢を誰が聞くか?ということなんです。

ではどうやって訴求ポイントを絞るか?について、個人的に気をつけていること。それは、競合にとっての脅威となり、受け手にとってのベネフィットになることは何か?といった視点です。

企業にとっての売り上げとは、いわば共感の総量。コミュニケーションの送り手(お客さま)側の視点に立つことも忘れてはいけませんが、ぼくはどちらかというと受け手(お客さまにとってのお客さま)側の共感をいかに獲得するかに重点を置いているような気がします。
送り手の言いたいことよりも、受け手の言ってほしいこと。この公式に立ち返って考えるよう、ふだんから意識するようにしています。

5. そして「言いたいこと」を加速させる。

加速させるとは、ぼくの中では「言いたいことをどう伝えていくかを考える」と同義です。

そのために、ぼくの職能からまず最初におこなうのは、コピーを考えること。これから生み出そうとする何かしらのコミュニケーションの、軸になるような言葉を考えることから始めます。その言葉があると、お客さまを含めたプロジェクトメンバー全員がおなじゴールを共有できます。「これを伝えていくために、自分は◯◯をすればいい」と、それぞれの立場・役割で遂行していくべきことがクリアになっていくのです。

ぼくはコピーライターのかたわらでWebディレクターもしているので、コピーを考えたあとはサイトマップを考え、ワイヤーフレームをつくっていくことになります。

冒頭で、何をしている企業なのかも知らないでいきなり要件の話をするほうが、ぼくは失礼だと思うと言いましたが、これは「本来の物事を考える順番とは違うのではないか」という疑問から生ずるものです。「訴求ポイントを絞らずに、なぜサイトマップを作れるのだろう? なぜワイヤーフレームを描けるのだろう? なぜデザインに着手できるのだろう?」と、ぼくは思ってしまうからなのです。

言いたいこと・伝えていくべきことが決まって初めて、「じゃあそれをどう伝えていくか?」の議論になると思っています。キャッチコピーも、サイトマップも、ワイヤーフレームも、デザインも、アニメーションも、すべては「どう伝えていくか?」の中の手段に過ぎません。
いきなり要件から入るやり方からすると面倒ですが、結果として早いし、確実ではないかとぼくは思っています。

ここでちょっとだけ、ひと休み。

お疲れさまです。この記事も、ようやく中盤に差し掛かりました。

疲れましたよね、まずはお手元にあるお飲物をひとくち飲んでください。そして、ぼくが疲れたときに見るこの動画で、ほっこりしてください。

イヌと赤ちゃん

ネコと赤ちゃん

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John ディレクター/コピーライター / 西山 ジョン

「いい加減ブラウザをひとつに統一しませんか?協会」で理事を務めています。 個人的な夢は吉井和哉に会うことです。

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