新社会人にプレゼントしたい!新人のときに読んでおきたかった良ビジネス書6選

新社会人にプレゼントしたい!新人のときに読んでおきたかった良ビジネス書6選

安達裕哉

安達裕哉

こんにちは、安達です。
前回はプロジェクトマネージャー向けの本を紹介させていただきましたが、今回は個人的に、「新人のときに読んでおけば良かったなー」という本をご紹介したいと思います。

実際、「会社がどんなことをしているか」ということについて、学校ではほとんど教わる機会がありません。会社がどのような論理で動くか、あるいはどのような部署が何の役割を果たしているのか、ということに対して少しでも知っておくことは、新人が業務を覚えていく上で、とても重要なことだと思います。

特に私は、新人の頃に社内の業務システムを「会社のことを知らずに」作っていたので、「ああ、きちんと勉強しておけばよかった」と後悔しています。

もちろん、新人のときは目の前の仕事をこなすことで精一杯かもしれません。
「余計なことを考えず、今ある仕事をこなせばいい」というご批判もあると思います。しかし、「少しでも目線を高く保つ」ことで、より多く会社に貢献できることがあるのではないか考えています。

では、ご紹介したいと思います。

1. 『ザ・ゴール』エリヤフ・ゴールドラット(ダイヤモンド社)

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

一般的にこの本は、「生産管理」の本として認識されていますが、わたしは生産管理というよりも、「会社における課題解決プロセス」を知る良い教本であると認識しています。

物語は単純で、危機に瀕した自社を救うべく主人公が東奔西走し、徐々に問題の所在を突き止めながら会社を立て直していく物語です。
印象的なのは最初の問いで、会社を救う方法が全く分からず、途方に暮れていた主人公の前に偶然、恩師である「ジョナ先生」が現れます。「ジョナ先生」は、主人公が「当たり前すぎて、考えるまでもない」と思っていたことに次々と疑問を投げかけます。以下、抜粋です。

ジョナ先生「アレックス(主人公)、もう一度説明してくれ。どうしてロボットを導入したことがそんなにすごい改善だというのかね」
アレックス「生産性が向上したからです」
ジョナ先生「では、生産性とは一体何なのかね(中略)計算方法がどうとかは少し忘れて、君自身の言葉で君自身の経験で言ってくれ。生産的とは一体どういう意味なんだね。」「言ってみてくれ。君の会社の目標とは何だね」
アレックス「できるだけ効率的に製品を作ることです」
ジョナ先生「違う。そんなのは目標じゃない。本当の目標はなんだか分かるかね」
(中略)
アレックス「わかりました。マーケット・シェアです。マーケット・シェアが目標では」
ジョナ先生「自分で考えたまえ。アレックス。自分の頭で考えるんだ

こう言った「当たり前のこと」から推論を積み上げ、「課題を解決する」に至る思考の過程を見ることができるのは、この本ならではといえるでしょう。

関係する各部署を巻き込み、合意を取り付け、それぞれに役割を与えながら改善する活動をリアリティに描いているこの本は、新人にとっても、ベテランにとっても「自分で考える癖をつけるための」良い教本であると思います。

2. 『プロフェッショナルの条件』ピーター・ドラッカー(ダイヤモンド社)


プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))

「マネジメント」でよく知られるピーター・ドラッカーの著作を、ドラッカーの翻訳者として有名な上田惇生氏が編纂したもの。

読みにくいと言われるドラッカーの本ですが、この本は読みやすさが他の本に比べて際立っています。マネジャー向けではなく、「いい仕事をしたい」というすべての人におすすめできる良本。
忙しい人は、Part2の「働くことの意味が変わった」から読み始めて良いと思います。歴史に興味のある人は、Part1を読むと現在の資本主義についての新しい知見が得られるでしょう。

特筆すべきはPart2の2章、「なぜ成果が上がらないのか」の中で紹介される「成果をあげる能力はだれでも習得できる」と、3章の「良い人間関係を保つ秘訣」の中の「まさに生産的であることが、よい人間関係の唯一の定義である」という言葉です。
個人的には「今悩んでいること」に直球でした。

その他にも、Part3の3章、「時間を管理する」の書き出し箇所「通常、仕事に関する助言と言うと、計画することから始めなさい、というものが多い。まことにもっともらしい。だが問題は、それではうまくいかないことにある。計画は紙の上に残っているが、やるつもりのまま終わる。実際に行われることは稀である」という言葉が、PDCAサイクル(計画-実行-チェック-対策)を真っ向否定しているあたりも、一読の価値があります。

3. 『学問のすすめ』福沢諭吉著


学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

有名な本ですが、実際に読んだことのある方は少ないかもしれません。あまり読みやすい本ではないのですが、なぜ福沢諭吉が「お札」になるほどの偉大な人物だったのかが分かる本です。
この本は明治時代に出版され、当時としては大ベストセラーになりました。当時の日本の人口が3000万人だったとき、300万人以上が読んだ本です。実に日本人の10人に一人が読んでいました。今で言えば、1000万部を突破する本です。いかに凄いことか分かりますよね。

さて、書いてあることは非常にシンプルで、「実学を学べ。そうすれば、あなたも出世し、国も栄える」ということ。
今でこそ当たり前のメッセージですが、当時は「身分制度」があり、学問が身を立てる手段であるとは考えられていませんでした。福沢諭吉はそこにメスを入れ、「上に立つ者と、そうでない者の違いは、学があるかないかの違いだ」と言い切ったのです。
メリトクラシーと言われる、「出自ではなく、能力によって社会的な地位が決まるべきだ」という考え方を最初に世に広く知らしめたのが、福沢諭吉であると言っても良いのかも知れません。

現在の企業も基本的にはこの考え方に基づいて運営されていることを見ると、この考え方の原点をあたってみるのも悪くはないでしょう。

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あだちゆうやと申します。コンサルティング会社のDeloitteで12年間、仕事をさせていただきましたが、「人材育成」というテーマの仕事を全力でやりたいと思い、退職して個人向けに学習塾、法人向けに採用・人事コンサルティングを行う会社をつくりました。 IT、学習、教育、マネジメントについてブログを書いています http://blog.tinect.jp

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