原体験は時給500円の真冬漁業。フクロウを愛でながらスパイダープラス社長の半生と野望に迫る

原体験は時給500円の真冬漁業。フクロウを愛でながらスパイダープラス社長の半生と野望に迫る

観音クリエイション

観音クリエイション

「仕事をもっと効率的にこなしたい」

ビジネスマンなら誰しもが思うことではないでしょうか。今回は、建設現場をペーパーレス化する建築図面・現場管理アプリ「SPIDERPLUS(スパイダープラス)」を提供し、建築業界で1人当たり1ヶ月20時間以上の時短という、革命レベルの業務効率化を実現させている株式会社レゴリス(現スパイダープラス株式会社)の社長さんにインタビューしてきました。池袋のフクロウカフェで。

「なんでフクロウカフェ?」

と聞かれると「提案してみたら通ったから」で、僕もなんで通ったのかわからないです。ちなみにフクロウカフェ以外に

  • バンジージャンプしながらインタビュー
  • 湖でスワンボートに乗りながらインタビュー
  • 猫カフェでインタビュー

などの案を出したのですが、「どれもいいですね! 僕は猫アレルギーですがあえて行ってみるのもアリだと思っております」との回答をいただき、取材前から「謎のチャレンジ精神がある社長だ……」と思ったのが印象に残っています。猫アレルギーなのに猫カフェに行こうとするな。

というわけで、そんな伊藤さんへのインタビューともふもふのフクロウの様子をお楽しみください。

フクロウを頭に乗せながら伊藤社長の仕事の原体験について聞いてみた

スパイダープラスの社長にインタビュー
(写真左:伊藤さん、写真右:観音クリエイション)

おっさん2人がハロウィン仕様のベンチに座って頭の上にフクロウを乗せながら経営のインタビューをしている様子です。こんな意味不明な撮影の相談を快諾してくれた池袋のあうるぱーく様、ありがとうございました。僕が店長だったら秒で断ってると思います。世界は優しい。

観音:今日はよろしくお願いします。事前にネットで伊藤さんのことを調べたらレゴリスのビジネスや経営のことを語っている記事がいくつか出てきたので、まずはそれ以外のことを聞きたいなと思います!
伊藤さん:ぜひぜひ。よろしくお願いします。
観音:さっそくですが、伊藤さんの仕事の原体験って何ですか?
伊藤さん:初めてやった仕事は新聞配達でしたね。僕は北海道の紋別という寒冷地の出身なんですが、そこで夕刊を配るアルバイトをしていました。寒い中を毎日配って給料は月に1万円っていう、今思うとなかなかひどい条件なんですけど、頑張ってやってましたよ。

スパイダープラスの社長にインタビュー

伊藤さん:その後は水産工場で働いたんですが、ここもなかなか過酷で。魚のすり身がぎっしり入った20kgの箱をひたすらトラックに積み込んだり、真夜中の3時に港までカニを取りに行ったり。このカニを取りに行く仕事がヤバくて、冬はマイナス15度とかマイナス20度まで冷える中、全身ずぶ濡れになりながらカニを水槽から取り出すんですよ。作業していると、服が凍っていくっていう。
観音:話聞いてるだけで凍死しそう。そこは給料よかったんですか?
伊藤さん:時給500円でしたね。
観音:奴隷じゃないですかwww
伊藤さん:ほんとにねwww それでも当時は良いほうだったんですよ。北海道の田舎町の仕事ですし。まあスタートがそんな感じの仕事だったから、いま自分で会社をやってて肉体的にしんどいと感じることはほぼないですね。鍛えられたなーと思います。

フクロウかわいい
ふくろうかわいい

観音:確かに過酷な仕事を経験しておくとたいていのことは乗り越えられそう。ただ、そんなたくましい伊藤さんでも精神的にキツかったことが一度だけあったと聞きました。
伊藤さん:はい。ITバブルが弾けて経営が結構なピンチに陥ったときですね。2004年ごろかな。主要な取引先3社が3月、4月、5月と立て続けに倒産してしまって。

当時は今のアプリ事業はまだスタートしていなくて、断熱工事の事業だけをやっていたんですよ。これが手形の売掛商売なので、倒産の知らせを聞いて「早く不渡りの手形を買い戻さなきゃ」「仕入れだけで月1,000万円必要なのにこのままじゃこの支払いできないぞ……」「これ首吊るしかないんじゃないか?」と思うほどに追い詰められました。
観音:うわ……。売掛商売のリスクって半端ないですね。
伊藤さん:そうなんですよ。そういうこともあって、もっと安定したビジネスをしたいという気持ちが高まっていました。
観音:なるほど。その思いからスパイダープラスのアプリ開発事業につながると。
伊藤さん:そうです。
観音:そのお話を詳しく聞きたいのですが、その前に伊藤さん。
伊藤さん:はい。
観音:頭にウンコされてます。

スパイダープラスの社長にインタビュー

伊藤さん:ほんとだwww ラッキーですねwww
観音:ポジティブすぎでしょ。

フクロウの餌やり体験をしながらスパイダープラスの開発事業について聞いてみた

スパイダープラスの社長にインタビュー
スパイダープラスの社長にインタビュー

あうるぱーくでは200円で餌やり体験もできます。ヒョーンと腕に飛んできてパクッと食べるのがかわいい。フクロウ使いになった気分で2人ともつい半笑いになるほどテンションが上がってしまいました。

伊藤さん:フクロウかわいいね!!
観音:ね!!!

観音:で、えーと、何の話でしたっけ。あーそうそうアプリ開発事業についてでした。
伊藤さん:はいはい。
観音:安定したビジネスをしたい気持ちが高まっていたとのことですが、実際アプリ開発って安定したビジネスなんですか?
伊藤さん:最初はめちゃくちゃ苦労しました。いきなり売れるわけでもないので、ひたすらお客様の意見を聞きながら開発を続けて、しばらくはずーっと赤字を出してきました。
観音:結局は赤字だったんですね(笑)
伊藤さん:そうですね(笑) それでもいいものをとにかく作り続けていたら、やっとつい最近になって事業としても安定して成長できるようになってきました。
最近は社内でミーティングしていても「来月はどのくらい伸びるのか」と、前向きな会話がほとんどになってきているんです。

観音:ようやく安定したビジネスになってきた、と。
伊藤さん:そういうことです。これが経営者としては安心感が全然違うし、何より働いてくれているメンバーのモチベーションも自然と高くなるんですよね。
観音:確かに伸びてる会社で働いてるとやる気も出そう。最近だとコロナの影響があったと思いますが、そのへんはどうですか?
伊藤さん:コロナの影響で建設現場が止まってしまったり、建設業界全体だと色々な影響がありました。弊社でも建設の現場が動かないことで、ある程度の影響は受けたのですが、それでも事業は伸び続けているので今は影響はないです。むしろ、リモートワークにうちのプロダクトを活用していただいているなど、新しい働き方が生まれるきっかけにもなっていると思います。
観音:コロナ禍でも事業は伸びてるんですね。
伊藤さん:ありがたいことに。サブスクモデルの事業の良いところでもあるんですが、良いものをちゃんと作っていれば使い続けていただけるというのは強く感じています。
観音:じゃあ業務もこれに一本化しちゃったり?
伊藤さん:いえ、それは今のところ考えていないですね。我々の原点は現場業務にありますし、今でも現場から学ばせていただくことも多いです。これからも現場仕事も主軸のひとつとして据えつつ、得た知見をスパイダープラスの開発に活かしていきたいと考えています。

スパイダープラスの社長にインタビュー

餌やり後は腕を前に伸ばすとフクロウはヒョーンと飛んで定位置に戻ります。かしこい!

あうるぱーくにはハリネズミもいるぞ! あとスパイダープラスを作ったきっかけ

観音:伊藤さん、こっちにハリネズミがいます。愛でましょう!
伊藤さん:愛でましょう!

スパイダープラスの社長にインタビュー
ハリネズミもかわいい
ハリネズミもかわいい

観音:えっと何聞こうと思ってたんだっけな。なんか動物が可愛すぎてインタビューの内容がちょこちょこ頭から飛んでいくんですよね。
伊藤さん:わかる。初めて触ったけどハリネズミってほんとに針みたいにチクチクするんですね。
観音:哺乳類なのに全体的に硬いの面白い。
伊藤さん:ねー。

観音:インタビューに戻りましょう。さっき経営がピンチだったときのお話を聞かせてもらいましたが、レゴリスってもともと断熱工事の仕事だけをやってたんですよね?
伊藤さん:そうですそうです。
観音:スパイダープラスを作ったきっかけって何だったんですか? アプリ開発って断熱工事と全然違う事業だと思うんですが。
伊藤さん:あー、良い質問ですね。断熱工事に限らず、何か工事をする際は積算という作業を最初にするんですね。
観音:積算?
伊藤さん:はい。簡単に言うと、工事をするために必要な工事費の見積もりを算出する仕事です。
観音:ほう。
伊藤さん:その積算の作業って、クライアントから膨大な量の紙の図面をもらって、自分の会社が担当する箇所を色鉛筆でマークして、その色鉛筆を鉛筆削りで削って、って感じでめちゃくちゃアナログなんですよ。それを社長になってから何年かぶりぐらいにやってみたら「この時代にこの作業はさすがにおかしいだろwww やってられるか!!www」ってなったんですよね。それでこの作業を効率化しようと自社で積算ツールを作りました。

観音:なるほど、もともとは自分の会社で使うだけのツールだったんですね。
伊藤さん:そうです。で、実際にそのツールを使ってみたらそれまで1ヶ月かかってた積算の作業が1週間で終わるようになって。「あれ? このツール売れるんじゃね?」って思ったのがきっかけです。
観音:すごい。ベンチャーっぽい。
伊藤さん:そこから大手のサブコンさんやゼネコンさんの意見や現場の声を色々と吸い上げて、図面整理や写真管理、帳票出力まで可能にしたiPad向けのアプリを作ったら多くのユーザー様に使っていただくようになりました。やっぱり現場にiPadを1台持っていけばOKっていうのはすごく便利みたいで。
観音:ほー。ちなみにアプリ名のスパイダープラスの由来って何なんですか?
伊藤さん:積算って、作業していくとどんどんクモの巣状の見た目になっていくんですよ。それが由来ですね。

スパイダープラスの社長にインタビュー

観音:なるほ……痛ァァ!!!!!!
伊藤さん:え?
観音:思いっきり噛まれました。
伊藤さん:www

フクロウを愛でながら伊藤さんに今後のレゴリスについて語ってもらおう

スパイダープラスの社長にインタビュー

観音:最後に、今後のレゴリスの展望について聞きたいです。
伊藤さん:まず大きなものが1つあって、フクロウを飼いたいです。
観音:めっちゃ気に入ってるじゃないですかw
伊藤さん:冗談ですw 改めまして、大きなものとして、社名を変更します。アプリ名のスパイダープラスの認知度のほうが圧倒的に高いので、会社の名前もそれに寄せてスパイダープラス株式会社に変更することにしました。取材していただいている今日は10月27日ですが、4日後の11月1日に株式会社レゴリスからスパイダープラス株式会社になります。社名変更後もビジネスの内容は変わらず、引き続きスパイダープラスのアプリを提供していきます。

スパイダープラスの社長にインタビュー

観音:社名変更という大きな契機を迎えるにあたって、何か思いなどがあればお聞かせください。
伊藤さん:直近で3つ達成したいことがあります。まず1つはサポートする業界を拡げていくこと。スパイダープラスはすでに建設現場だけでなく、ビルメンテナンス業界やプラント、鉄道などの交通インフラ業界でも使われるようになりました。今後はこういった業界だけにとどまらず、2次元の図面を扱うお仕事全てをカバーできるようになりたいです。

2つ目はグローバルで活躍できる企業になること。今スパイダープラスは日本以外だとマレーシア、タイ、シンガポール、ベトナムなどの建築現場で使われていますが、使われる国をもっと増やしていきたいなと。業界拡大のみならず、海外でのシェア拡大も視野に入れています。世界中のどこでも、建物があるところにはスパイダープラスがあるという状態を目指したいですね。

最後の1つはめっちゃ綺麗事なんですが、社員幸福度が日本で一番高い会社にしたいです。やっぱり仕事が楽しくないと人生は楽しくないですから、社員みんなに楽しんで働いてもらえる企業にしたいなと。日曜日にサザエさん見ながら「明日会社行きたくないなー」って思われたくないんですよね。そのために会社の雰囲気やカルチャーをより良くしていきたいなと思います。
観音:なるほど、今日はいいお話を聞かせていただきありがとうございました。
伊藤さん:ありがとうございました。
観音:最後に記念撮影しましょう!

スパイダープラスの社長にインタビュー

伊藤さん:これ使い所あります?
観音:ないですね。
伊藤さん:wwwww

まとめ

ふくろうかわいい

以上、フクロウカフェでの経営者インタビューでした。直前まで「本当にフクロウカフェで大丈夫なのか……?」という一抹の不安があったのですが、やってみると

  • 普段は忙しい社長の素の人柄を見れる
  • なので色々質問しやすい
  • 写真も明るくフランクな感じで好印象になる
  • そしてフクロウめっちゃかわいいので単純に楽しい

と、いいことづくめでございました。

スパイダープラスの社長にインタビュー

ちなみに何かあった時用の押さえで会社の会議室で撮影しておいたカットはこんな感じ。Vシネマの激ヅメしてるシーン?

というわけで、フクロウカフェで伊藤さん本来の雰囲気が伝わる写真が撮れてよかったです。最後に今回の内容をまとめておきます!

  • スパイダープラスを使うと1人あたり1ヶ月20時間の効率化が見込めます。建築業界の方はぜひ導入の検討を!
  • 株式会社レゴリスは2020年11月1日から社名変更し、スパイダープラス株式会社になりました。今後も変わらず良いサービスを提供していきます!
  • スパイダープラス株式会社は日本で1番社員幸福度が高い会社を目指しています。メンバー募集中らしいので転職希望者の方は是非ご応募を!
  • 今回の撮影場所は池袋駅西口から徒歩3分のあうるぱーく! 入場料は大人1,200円! デートにもおすすめ!

以上、観音クリエイションでした
スパイダープラスの会社情報はこちら
アプリ「SPIDERPLUS」が気になる方はこちら

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観音クリエイション トラックメイカー / 観音 クリエイション

フリーランスでヒップホップの楽曲を作ったりブログを書いたりしていたらご縁があってLIGに入社してヒップホップの楽曲を作ったりブログを書いたりすることになりました。 好奇心旺盛なので頻繁に旅に出たり写真を撮ったり変なものを食べたり新しいことをやったりしますが向上心がないのでいつもお酒を飲んでいます。

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