現在、窓の向こうは猛吹雪。春はまだまだの北国札幌から、フリーライターの孫田です。
今回は前回書いた記事「WebサイトやPR制作のための魅力的なキャッチコピーの作り方」を、もう少し具体的に、実践レベルに掘り下げてみようと思います。
前回同様プロユースの内容ではありません。初心者の方が自社のWebサイトやLP、プレスリリースやパンフ、チラシなど、PRのためのキャッチコピーやテキストを書くことになってしまったときにお役立てください。
1. 使命と目的を設定する
PRのためのいいキャッチコピーやテキストの条件とは、「商品を売りたい」「企業の認知度をあげたい」など、その制作物の使命と目的を果たしていることです。
そのためには、制作に取りかかる前に、使命と目的をきっちり設定しなくてはいけません。
注意すべきは、「商品も売りたいし、企業のイメージアップもしたいし、新商品の情報も入れたい」など欲張りすぎないことです。目的地が複数あるとゴールは難しくなります。
2. 「伝えなくてはいけないこと」を箇条書きにする
次に「伝えなくてはいけないこと」を箇条書きにしましょう。
「伝えなくてはいけないこと」とは価値のある情報のことです。すなわち、読み手の興味を引く内容、読み手にとって必要だったり有益だったりする内容であって、「私」の伝えたいことや言いたいことではありません。
もちろん、それが「伝えなくてはいけないこと」とばっちり合えばいいのですが、これまで、そうでないケースを多く見てきました。なので最初から「伝えなくてはいけないこと」視点で取り組むと、書き直しや考え直しなどの無駄がなくてよいかと思います。
また、箇条書きそのものは、何をどう書いていいのかわからない、という時の思考整理にも有効です。
プロのライターでも、原稿に入れる内容をガーッと箇条書きにしてから書き始める、という人が結構いますので、非常に使える方法です。
3. 箇条書きにした内容に優先順位をつける
箇条書きが終わったら、今度はその中でも「伝えなくてはいけないこと度」の高いものから、優先順位をつけていきます。
そして、優先順位の高いものほど、キャッチコピーに絡めたり、冒頭に持ってきたり、テキストを長めに書いたり、デザインをするときに大きく見せたりしましょう。
これで、全体の構成が決まってきます。
4. 「捨てる」勇気を持つ
一方で、優先順位の低いものは、捨てる勇気も必要です。
特にWebは文字数の制限がないため、好きなことを好きなように書いてしまいがちですが、無駄の多い文章はPRには向きません。
読み手のハートに届けようと思ったら、いらないものは捨て、必要な情報を凝縮して書いた方が効果的です。
5. 箇条書きを切り貼りしておく
あとは実際に書いて完成させていく作業に入るのですが、優先順位を付けるときに、以下のような工夫をしておくことをおすすめします。
- 箇条書きにした文章と文章を合体させてキャッチコピーにする
- 箇条書きそのものを小見出しにしてひとつのコーナーを作る
- その他、想定している構成に合わせて、いろいろなアレンジをしておく
これで、原稿書きが楽になります。
また、使う言葉に迷った時には、箇条書きしたものやアレンジを加えたものに、普段からいいと感じて集めておいた雑誌などのコピーをミックスさせると、なかなかいい表現ができる可能性があります。
人の書いたコピーをそのまま使ってはただのパクリになってしまいますが、自分の思いついた言葉や表現方法と合わせることでオリジナルの文章になりますし、使えば自分のものになっていくのでスキルアップにも繫がります。
6. 「普通の感覚」を大切にする
また、「伝えなくてはいけないこと」はどうしたらわかるのか。そのためには「普通の感覚」を持っていることが大事です。
大衆的というか、浮き世離れしていないというか、「こういうことを言うと、多くの人または商品のターゲットになる層の多くは、こう思うだろうな」ということを感じ取れるかどうかが勝負です。
普通の感覚がないと、市場のニーズにミートした言葉やアイデアを出すのは難しいものです。感覚は普通で、選ぶ言葉や物の見方や企画やアイデアが面白いのが理想かなと思います。
おまけ:陥りたくない、キャッチコピーのうっかり事例
最後に、陥りたくないうっかり事例があるので紹介しておきます。
ある商品を宣伝したい場合、どれだけ「すごい」ことだからといって、高性能な新スペックやら独自の○○製法といったマニアックな情報をうっかりキャッチコピーに入れてしまわないことです。
確かにそれは自社や業界にとっては「すごい」ことでしょうし、うたいたくなる気持ちもわかります。がしかし、読み手には興味のないことがほとんどです。
例えば、「独自で開発!新しい○○○搭載のエアコン新発売」というキャッチコピーを見ても、「へぇ~」というだけで「買おう」という気にはなりませんよね。
欲しくないひとまで欲しくさせるためには優先順位の高い情報ではないのです。
詳細な話をするよりも、搭載された機能が何をしてくれるのか、どんな問題を解決してくれるのかを絡めた方が、読み手の購買意欲をそそります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
PRというものは、読み手、つまりお客さんとのコミュニケーションだと捉えてもいいかも知れません。そう考えると、これまでとは出てくる言葉が違って来るはずです。どうぞ、その感覚で取り組んでみてください。
有効なキャッチコピーやテキストが生まれることをお祈りしています。