知らないと怖い!Webディレクターが制作サイトのSEOで“大失敗”しないためのポイント

知らないと怖い!Webディレクターが制作サイトのSEOで“大失敗”しないためのポイント

じつかわ

じつかわ

こんにちは、ヴォラーレという会社でSEOコンサルタントをやっているじつかわです。

SEOコンサルをする中でさまざまなWebディレクターさんと一緒に仕事をさせていただいてきたのですが、やはりみなさん、SEOの領域まで手を出したくても出せない、というのが実情のようです。SEOをきちんとおさえたサイト構築をできる方には数えるほどしか出会ったことがありません。

しかし、外部リンクによるSEOで成功するのが難しくなっているなか、SEOを成功させるためには内部SEOをどこまでできるか、サイト構築時にいかにSEOを組み込んでいけるか、というのが非常に重要になってきます(※)。

SEOは他の広告手段とは違って、サイトそのものを検索エンジンに評価してもらうという取り組みですから、どのような企画・設計でサイトを構築するか / その際にちゃんとSEOを押さえられているか、によって大きな差がつきます。すなわち、SEOはマーケターの仕事である以上に、Webディレクターとしてのだいじなだいじな仕事なのです。

もしWebディレクターのあなたがSEOを知らないままWeb制作に携わっている場合、後々そのサービスの集客に非常に大きなダメージを与えてしまうかもしれません。今回は、まずは最低限として、SEOで“大失敗”しないためのTIPSを初心者向けに紹介します。

▼SEOで“大失敗”しないためのポイント 目次

▼参考記事

(※)SEOを施す理想的なタイミングは「企画/設計時」- 以上、SEOの現場からお伝えしました。- マーケター通信

そもそもそのサイトでSEOはどの程度重要なのか、専門家に頼らなくて大丈夫なのかを判断する

そのサービスに関する検索は誰が、どのくらい行うのか?を考える

SEOでは常に、誰が何の情報を求め、どんなキーワードで検索するのか、ということを考える必要があります。全く検索されないのであれば当然SEOは必要ないですし、逆に月に何十万、何百万と検索される分野なのに何もSEOをしないというのは大変もったいないことです。

そのサービスに関連するキーワードは誰が、どのくらい検索するのか

「一部の人が何度も検索する?」「多くの人が一回は検索する?」「それとも検索キーワード自体が存在しない?」サービス関連のキーワードが検索される回数は、SEOがビジネスに与えるインパクトに関わります。サイト構築の前に、そのビジネスに関わるユーザを思い浮かべ、検索する人の数を考えてみましょう。

そのサービスに関連するキーワードにはどのくらいのバリエーションがあるのか

探すタイミングが限られているために特定のキーワードでしか検索されないサービスもあれば、広くさまざまなキーワードで検索される分野もあります。サービスの購入意識が高いユーザの検索するキーワードが限られている分野は競合性が高くなりますが、広いキーワードで対策可能であれば、競合性の薄い場所で勝負していくことも可能です。

以上より、SEOが重要であると考えられるのであれば、ある程度本気でSEOに取り組む必要があるでしょう。

▼参考記事

    • 『教科書通りやってるのに、流入が伸びない…』 ← そのSEO、”戦略”を間違えていませんか? – 以上、SEOの現場からお伝えしました。- マーケター通信

自分の力量と案件の難易度を把握し、専門家に頼むかどうかの判断をする

SEOの重要性の高い分野では、当然SEOに力を入れている競合企業も多くなりますので、表面上のテクニックを押さえただけのSEOではどうにもならない、というケースも多数あります。また、スタートアップなど新しいビジネスモデルで勝負しており、おそらく検索はされるが前例となるサイトがなくSEOを導入しづらい、というケースもあります。

こうしたサイトは、きちんとSEOを設計できればインパクトは大きいものの、一般的にWebや書籍だけで手に入るような知識ではうまく実装ができないことも多いでしょう。

インパクトが大きく難易度が高い案件においては「自分の力でなんとかしようとしたけれども、結果として大失敗した」というのが、一番避けたいパターンです。自分の手に負えない場合に潔く専門家に依頼するという判断を行うのもディレクターとして必要なスキルです。

必ずしも明確でなくていいので、自分 / 自社のスキルではどの程度のSEOが実装可能で、どこからは難しい範疇になるのか、を判断基準として持っておくと良いでしょう。

検索ユーザや検索キーワードを考えてサイトを設計する

キーワードに対応するページがデータベース的に作れない、は悲劇

先ほど、そのサービスが検索されるキーワードのことを考えようというお話をしました。細かい技術要件に入る前に、サイトとしてそれらのキーワードをキャッチできるような設計になっているのか、つまり、キーワードに対応するページが存在しているのかというのが最低限の条件になります。

案外これができていないサイトが沢山あるというのが実情なのですが、特にデータベースの絡むようなサイトの場合、データベースの設計からキーワードを意識して対応ページが生成可能なように気をつける必要があります。

データベースを構築し終わってから、「あ、このデータも必要だった」となった時の悲劇。これはなんとしても避けたいですよね。リリースしてから大改修が必要なことが発覚し、その費用を負担するクライアントも大ダメージです。このような事態を受けて、ほとんどリニューアルのようなことをしなければいけないサイトがいかに多いことか・・・。

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検索からの導線を考えてインターフェースを設計する

当然、導線設計もSEOを意識したものにする必要があります。ユーザはTOPから来るだけではない、というのはWeb制作の常識だと思いますが、検索の依存度が高いサイトであれば、検索からの導線をいかに上手く作るか、によって成果はまるで違ってきます。

検索→検索結果→ランディングページ→遷移

という流れを意識した導線設計を行いましょう。検索した時点からユーザ体験ははじまっているのです。

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最低限“大失敗”しないための技術要件をおさえる

無駄の発生しない、検索エンジンの理解しやすいURL設計をする

検索エンジンはURLごとにページ評価を紐づけて評価をおこないます。同一内容のページが複数URLにまたがって存在していれば、重複コンテンツとして評価に悪影響が出る場合もありますし、見られる必要のないURLが大量に生成されてしまっては、検索エンジンにも「無駄なページばっかり存在しているサイト」と判断される可能性もあります。

「ユーザが必要なページに行ければOK」ではなく、検索エンジンがどんな動きや判断をするかを把握し、無駄のないスリムなURL設計をすることが大事です。URLの書き換えはまた面倒な作業なので、設計時にしっかりと練っておく必要があるでしょう。

やや込み入った話になりますので、以下にURL設計にまつわる大まかな注意点とその参考記事を付記しておきます。ご参照ください。

    • 同一コンテンツなのにURLが異なるというページが極力発生しないようにする
    • ルールから外れたURLが生成され、無駄なクロール・インデックスが発生しないようにする

※上記の通りユーザーに見せる価値のないページが大量に発生すると、検索エンジンに「不要なページがたくさん存在するサイト」であると判断されたり、重要なページを見てもらえないという可能性も出てきます。そうならないよう、必要最低限のURLのみが生成されるように気をつける必要があります。

    • ディレクトリやパラメータに一定のルールを付与し、解析ツールでの計測や、robots.txtによるロボットのコントロールがしやすいようにする
    • モバイルサイトがある場合、PC版のページとモバイル版のページの正規化対応を行う
    • サイトに変更が発生した際もURLの変更を何度も行わなくていいように設計する(URLの永続性)

※こちらも簡単に説明しますと、「特定のコンテンツについてのURLがずっと変わらないようにする」ということです。何度もURLが変更し、移転を繰り返すのはSEO的にもリスクですし、ユーザーにもいい影響を与えることは少ないでしょう。

検索エンジンが大事なコンテンツにたどり着けるよう内部リンクを設置する

検索エンジンはリンクをたどってページをクロールするため、サイト内で内部リンクがうまく設置されていなければそもそもページを発見してもらえませんし、どのページが重要なのか?を理解してもらうこともできません。

  • SEO上重要なページには必ずaタグを使ってリンクする
  • 検索結果に表示する必要のないページヘのリンクは極力避ける
  • アンカーテキストにターゲットとなるキーワードを含むようにする

などの調整は、設計の段階で最低限実施したいところです。

▼参考記事

    • SEOで本当によく見る“もったいない”内部リンク設計 – SEO HACKS

正しいステータスコードを返すようにする

ステータスコードは検索エンジンがそのページの状況を判定するための重要な手がかりです。インデックスされる必要のないページなのに404が返っていなかったり、404の代わりにTOPへの301リダイレクトが使用されていたりという状況もたびたび目にしますが、本来の意味に沿ってきちんとステータスコードを返すというのはSEO上でも大事なものです。

▼参考記事

    • SEO担当者が知っておくべきHTTPステータスコードをインフォグラフィックにしてみた – Web担当者Forum

テキストコンテンツの入れ方を設計する

検索エンジンは基本的にどういった内容のテキストがそのページ内、サイト内に含まれているかによってそのサイトの情報を判定しています(画像などの意味は基本理解できない)。
また、そのテキストもいかに独自で価値のあるコンテンツであるか、ということが重要になります。すなわち、他のサイトにも掲載されているのと同一のテキストを持ってきたとしても、それだけで競合に勝つというのは難しいでしょう。

ブログのような独自のテキストのみで構成されるのが当たり前のサイトであればテキスト面を心配することはあまりないのですが、例えばECサイトや不動産サイト、求人紹介サイトなどでは、その他のサイトに同様の情報を持ったページがあるのが普通なので、オリジナルテキストによる差別化ができないとSEO的に不利になります。

CMSの構築やカスタマイズをする際、メインのコンテンツがどこかから引っ張ってきた情報だけにならないよう、独自のテキストを入れられるような設計にする必要があります。

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サイト移転時の大失敗を防ぐ(リダイレクトミス)

こちらは初期の設計の話ではありませんが、サイト移転はWebディレクターが関わる機会も多く、SEOに大きく影響を与える可能性があるため、センシティブになる必要があります。サイトの移転時、サーバーの変更やURLの変更を伴う場合、それを検索エンジンがどのように捉えるかをきちんと把握する必要があります。

特にURLの変更がある場合は、旧URLから対応する新URLへ301リダイレクトによる転送を行う必要があります。これをし損ねると、これまで上位表示していたキーワード順位が軒並み下落、という悪夢に見舞われることになります。面倒かもしれませんが、移転時にもSEOを考えて対応を行うのは重要なポイントです。

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リダイレクト以外も含めた移転時のSEOについては、以下の記事で詳しく紹介してありますのでご参照ください。

▼参考記事

    • SEO効果を失わない、サイト移行の注意すべきポイント|コラム – アユダンテ株式会社

まとめ:“大失敗”をしない最低限の知識と、適切な判断基準を持とう

いかがでしたでしょうか。かなり長くなってしまいましたが、この辺りを押さえられていると、SEOを含めたディレクションをお願いされる場合にも安心ではないか、というところを説明してみました。

大事なのは、

  • SEOはWebディレクターの重要な仕事であると認識すること
  • そのサイトにとってSEOがどの程度重要なのか判断できること
  • 場合によっては専門家に依頼する判断を適切にできること
  • 検索ユーザの存在を前提としてサイトを設計すること
  • 設計や移転時に“大失敗”しないように最低限の知識を抑えられていること

だと考えます。

込み入った部分の調整はプロが担当するにしても、Webディレクターの仕事とSEOは切っても切れない関係にあります。「最低限のもの」と書いたものの、上述したようなSEOスキルは、単に進行管理や制作知識だけで身につけられるものでなく、クライアントのビジネスを理解していなければ実行することができません。

裏を返せば、SEOのスキルを身につけたWebディレクターというのは、単なる外注先ではなく、ビジネス上のパートナーとしても、信頼を獲得することができるのではないでしょうか。

おまけ:またスクーさんの生放送で解説をします

前回に引き続きですが、またこの記事と同じテーマでスクーの生放送を9月4日(木)21時より行います。本記事の技術面の要素を、生放送の講義にてお話します。リアルタイムで質問が可能なので、お時間が合えばどうぞ。

    • 全てのWebディレクターに捧ぐ、これだけは抑えて欲しいSEO内部要件基礎講座(後編)|schoo(スクー)

※前編の授業も録画公開中です。

    • 全てのWebディレクターに捧ぐ、これだけは抑えて欲しいSEO内部要件基礎講座(前編)|schoo(スクー)

それでは、また!

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1990年生まれのSEOコンサルタントです。ナイル株式会社におります。燻製をつくるのが好きです。 Twitter Facebook

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