HTML5がW3Cの勧告になるとは?Web技術の標準規格について

HTML5がW3Cの勧告になるとは?Web技術の標準規格について

LIGブログ編集部

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こんにちは、LIGブログ編集部です。

さて、既にご存知の方も多いかと思いますが、2014年10月28日にHTML5がW3Cの勧告となりました。

Web界隈では大きな話題として各種ニュースサイトなどで盛んに取り上げられていたものの、「勧告って?今までと何が変わるの?」「そもそもW3Cってなに?」など疑問に思った方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「HTML5がW3Cの勧告となることの意味」について説明しながら「Web技術の標準規格」についてまとめていきたいと思います。

 

▼目次

  1. W3Cとは
  2. 標準規格が必要とされる理由
  3. HTML5が勧告されるまで
  4. 勧告によって今までと変わる点

W3Cとは

W3Cとは「World Wide Web Consortium(ワールドワイドウェブコンソーシアム)」の略語で、Web技術の国際的な標準規格化の推進を目指す非営利団体のことです。

メンバーはWeb技術と関わりの深い企業や大学、研究所に所属する方、個人クリエイターなどで構成されており、Webに関する情報の提供、研究開発の促進、新技術の実装・テストなどに取り組んでいます。

現在、W3Cが策定するweb技術(HTML、CSSなど)の仕様書は、国際的な標準規格として広く認められております。「工業規格のWeb版」とイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。

つまりW3Cとは、Webページを制作するうえでの国際的なルールを決めている権威ある団体、ということになります。

※Web技術の標準規格化について貢献してきた団体はW3C以外にもありますが、最も代表的で中心的な活動をしている団体ということで、今回はW3Cにのみ焦点を当てて取り上げさせていただきました。

標準規格が必要とされる理由

Web技術にも標準規格が必要とされる主な理由は、その技術の発展と普及のためとなります。

Web業界だけでなく、あらゆる産業において同様ですが「新しい技術を世界的に広く受け入れてもらう」ことは本来、とても難しいことです。
しかし、各国の関係者・担当者から「これは国際的に認められたルールに準拠されている、確固たる技術だ」というお墨付きを得られれば、ほとんどの技術者は標準的にその新しい技術を使うようになるでしょう。WebにおいてはそれがW3Cということになります。

たとえばWeb制作の現場では、HTMLコーディングの際にバリデートチェック(構文チェック)といって、「HTMLがW3Cの定めた規格によって正しく表記されているか」をテストする作業まであります。

HTMLは正しく表記されることでSEO対策になるだけでなく、アクセシビリティやメンテナンス性の向上にもつながります。

クリエイター側も、日常的にバリデートチェックをおこないながらHTMLコーディングをするのが慣習となっています。ちなみに、こちらのページは無料でバリデートチェックをしてくれるので、大変便利です。

HTML5が勧告されるまで

HTML5のような新しい技術が発表されたとしても、すぐにそれが世界中で使われるというわけではありません。

当初は仕様の面でも実装の面でもいろいろ不安な点が尽きないため、クリエイターも懐疑的に見ているからです。主要なWebブラウザでの動作確認が必要だったり、仕様のバグや懸案事項は見つかるほうが当たり前で、新しい技術を世界の標準化とするためには十分な動作テストと改良が必要となります。

その動作テストや改良は、W3Cが公表している規格策定のプロセスドキュメント(工程表)を参照し、段階的に進められていきます。

そのプロセスの流れの中での最後の段階で「仕様が完全に決まり、規格文書が公式に発表される状態」のことを勧告といいます。

  1. 作業草稿:W3Cやワーキンググループといったコミュニティでのレビューがおこなわれる段階で、大まかな規格文書が作られる
  2. 勧告候補:規格文書の重要な部分が決まる段階で、その内容はこの時点で修正されることも多い
  3. 勧告案:勧告のために「ほとんど修正が必要ないレベル」の規格文書がW3Cに提出される段階で、実装に関する問題が見受けられない場合は勧告へと進む
  4. 勧告:規格策定の最終段階。この段階に進むまでにその規格は理論面と実用面で幅広いレビューとテストを受け、規格に携わる者から多くの支持を集めている必要がある

HTML5の勧告は、1999年に勧告をした前バージョンのHTML 4.01から数えると、実に15年振りのことです。
仕様を固めるまでに長い年月をかけ、幾度となくテストをおこない、レビューをし、改良を重ねた結果、HTML5は初めて国際的に標準と認められる技術へと到達することができたのです。

勧告によって今までと変わる点

HTML5がW3C勧告を受けたことで、一体どんなことが今までと変わってくるのでしょうか。結論からいうと「現場レベルではそれほど変わらない」でしょう。

確かに今回の勧告は、Webに携わる者としては感慨深いものがあるのですが、勧告を受ける前から既にHTML5は多くの場面で使われ、実質的には実用化されていたようなものです。
逆にいうと、仕様が固まっていない内にこれだけ実践的に使用されていたというのが、HTML5のすごいところでもあります。

余談ですが、HTML4.01からHTML5になったことで「意味が変わったタグ」や、「追加された新要素」があります。また、新しく追加された機能として「ビデオやオーディオを、プラグインを利用しなくてもブラウザ自体で再生できるようになった」というものがあげられます。

いずれにしても、Web関係の皆さまは今回の勧告を機に、HTML5の各種機能や特徴をあらためて復習しておくのが良いと思われます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

日頃から当たり前のように利用しているWebも、進化を続けています。そして、W3Cのような非営利団体の活動によって、その技術は確立されています。

それらの技術には国際的に認められている標準規格というものがあり、その厳しい基準があるからこそ、新しい技術が信頼され、世界中に広まっていきます。今回のHTML5も、標準規格として認められるまでには長い道のりがありました。
(なお、次のバージョンであるHTML5.1も、現在開発が進められています。)

だからこそ、HTML5を使ってコーディングするときは「バリデートチェック、面倒くさい」などと思わず、国際的な標準規格に従っていただければと存じます。

なお、HTMLの基礎知識などについては、以下の記事などをご参照ください。

それでは、また。

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