こんにちは、LIGの技術系ブログは全て読み飛ばしている正統派文系人間・ヨシキです。
進学や就職・異動などで春から新生活をスタートさせている皆さん。新しい環境で早く周囲に打ち解け、自分を理解してもらうためには「自身の魅力を相手に伝え、自分を正しく評価してもらう」こと、つまりセルフ・ブランディングがとても重要です。
しかし実際問題、文系人間が小粋なジョークを飛ばしながら舞踏会の輪に入っていくのは、相当な困難を伴います。
そこで今日は、名乗るだけで自分の特性を相手に伝えることができる、最もお手軽なセルフ・ブランディング手法『キャッチコピー』について解説していきます。
壇蜜さんのブレイクから読み解く『キャッチコピー』の重要性
去年、芸能界では壇蜜さんが一気にブレイクしましたが、彼女のキャッチコピーである「日本一美しい32歳」と「職業・Hなお姉さん」とがもたらしたブランディング効果は絶大でした。聞く者全てに強いインパクトと期待感をもたらすフレーズであり、彼女のキャラクターが世間に浸透するうえで、絶対不可欠な要素だったと言えるでしょう。
このキャッチコピーを一度聞けば、壇蜜さんがどんな存在であるか誰でも簡単にイメージできますよね!
親しみ又はあざけりの気持ちから他人につけられる「あだ名」とは異なり、自己喧伝・ブランディングの要素を強く意識し、自らが創り上げるものが「キャッチコピー」です。あなたの代わりにあなた自身の魅力を存分にアピールしてくれる、優秀な営業マンともいえるでしょう。あなたは魅力的なキャッチコピーを考え、自分の名前と一緒に相手に告げるだけでいいのです。
とはいえ、自分自身を的確に表現するキャッチコピーなんて、すぐには思いつきませんよね。でも安心してください。そんなあなたのために、明日からすぐに使えるキャッチコピーのテンプレートを準備させて頂きました。
江戸川乱歩から学ぶ“明日からすぐに使える”キャッチコピー
えどがわらんぽ【江戸川乱歩】 1894‐1965(明治27‐昭和40)
探偵小説作家,評論家。本名平井太郎。筆名はエドガー・アラン・ポーのもじり。三重県生れ。早稲田大学政治経済学部卒業。在学中から英米の探偵小説に関心を抱き,卒業後十数種の職業についた。1923年に《二銭銅貨》を発表し,日本における創作探偵小説の基盤を築き,続いて推理を主軸にした《心理試験》(1925),《陰獣》(1928),《石榴(ざくろ)》,怪奇的な《人間椅子》(1925),《鏡地獄》《パノラマ島奇譚》(1926‐27),幻想的な《押絵と旅する男》(1929)などで,探偵小説という新分野を確立した。_(出典:世界大百科事典 第二版)
江戸川乱歩は、壇蜜さんと同じくらい耽美で、嗜虐的で、そして幻想を愛する偉大な探偵小説家でした。明智小五郎(じっちゃんの名にかけて、じゃないほうの名探偵)や怪人二十面相などの超有名キャラクターの生みの親でもあります。
そんな彼の作品タイトルには、そのままキャッチコピーとして使えるものが数多く存在しています。それほど乱歩は自己作品のブランディングが上手だった、といえるでしょう。
そこで今日は、乱歩作品の中から特に厳選した4タイトルを、あなたのキャッチコピーのテンプレートとして紹介させて頂きます。あなたはお気に入りの1本を選び、初対面の相手に対して「キャッチコピー(テンプレート)+自分の名前」で自己紹介をしてみるだけ。たったそれだけのことで、きっと信じられないほどの反響を得るでしょう。そのときあなたは、セルフ・ブランディングにおけるキャッチコピーの真の重要性を理解することになるのです。
それではさっそく試してみましょう!
※以下のテンプレートでは便宜上、氏名を全て「山田一郎」に統一しています。実際のご利用時は、必ずあなた自身の名前に言い換えてください。
① 『人間椅子』の山田一郎です。
小説『人間椅子』(にんげんいす) 雑誌『苦楽』1925年(大正14年)10月号掲載
私はあなたの椅子です、という絶対服従を宣言した、あまりにもストレートで力強いキャッチコピーです。四つん這いになった男(あなた)の上で、優雅にお茶を飲む女王様-。そんなイメージがすぐに脳裏に浮かんできます。椅子である男(あなた)には動くことも喋ることも許されていませんが、その状況を我々の想像もつかないぐらい本人は楽しんでいることでしょう。もちろん『椅子』なので、表情からは一切読み取ることはできません。
「職業・Hなお姉さん」が陽のオーラを放つキャッチコピーなら、「人間椅子」はまさに陰のオーラを放つキャッチコピーといえるでしょう。寡黙で誠実ということをアピールしたい方に、ぴったりです。
②『陰獣』の山田一郎です。
小説『陰獣』(いんじゅう) 雑誌『新青年』昭和3年(1928年)8月増刊号、9月号、10月号掲載
陰の存在でありながら、なぜか獣だと主張しています。ただの「獣」、あるいは「野獣」などと比べると、正体不明の迫力があります。
例えば「陰獣」と名乗る男が合コンに行ったと想像しましょう。草食・肉食といった生温い枠を超えた一匹の陰の獣が、男女の出会いの場に放たれるのです。どんな卑劣な罠を仕掛けているのか、どんな目に遭わされてしまうのか、想像しただけで震えが止まりません。そもそも陰獣は女の子を狙っているのか、男の子を狙っているのか、そこから全くわかりません。半端な不良高校生たちの乱闘の輪の中に、花山薫が立っているような危機感です。ていうか、一体何しに来たんでしょうか。
僕は絶対に同席したくありませんが、ミステリアスな魅力でアピールしたい方にぴったりなキャッチコピーです。
③『屋根裏の散歩者』の山田一郎です。
小説『屋根裏の散歩者』(やねうらのさんぽしゃ) 雑誌『新青年』大正14年(1925年)8月増刊号掲載
屋根裏散歩が『ちい散歩』のようなほのぼのした散歩でないことは一目瞭然。子供には見せられない散歩であることが、本能的に察せられます。
「いつでもお前の寝首を掻いてやるぜ」という暗殺者のような迫力と、「いつでもアナタのことを見てますよ」というストーカーのような狂気とが、見事に両立したキャッチコピーと言えるでしょう。
難点があるとすれば、路上などで友達から「屋根裏の散歩者!最近どう?」などと声をかけられた場合、かなりの確率で警官から職務質問をされてしまうことでしょうか。空き巣被害の絶えない、物騒な世の中ですからね。
違いのわかる、こだわりの人と思われたい方に、ぴったりなキャッチコピーです。
④『押絵と旅する男』の山田一郎です。
小説『押絵と旅する男』(おしえとたびするおとこ) 雑誌『新青年』昭和4年(1929年)6月号掲載
あなたが二次元キャラしか愛せない人であった場合、おススメのキャッチコピーです。
Tシャツ・抱き枕・イタ車などの高度な造形技術を見てもわかるように、「萌え」は押絵文化の後継といえる側面が非常に強い文化です。
中途半端な姿勢で「オタク」などと罵られるぐらいなら、家の外に出ることは即ち「二次元キャラとの旅だ」と言い切ってしまいましょう。伝統芸能の正統後継者として、歌舞伎役者や筆職人のように、匠の技を一般大衆に伝えることこそが使命なのです。
最近はゆるい「自分探しの旅」などが増えていますが、二次元キャラを身につけて外出する行為は、ある意味グランドライン出航並みの大冒険だとわからせてやりましょう。
たとえ旅の終着駅が、東京ビッグサイトだったとしても。
【まとめ】
キャッチコピーとは、まさに「あなた自身を表現するための上質なプレゼンテーション・ツール」です。もちろんプライベートだけでなくビジネスシーンでも即応用可能。これを使わない手はありませんね。
とはいえ、スティーブ・ジョブズのような素晴らしいプレゼンテーションをおこなうことが困難であるのと同様に、魅力的なキャッチコピーをつくるのはとても大変な作業です。まずは気軽に、江戸川乱歩作品の中から、自身のキャラクターに近いと思われる作品名を使ってみるところからはじめましょう。
名刺に肩書きではなく「陰獣」などのキャッチコピーが印刷してあれば、セルフ・ブランディングのインパクトは絶大ですね!
この春は、江戸川乱歩作品から学んだ素敵な「キャッチコピー」を使い、壇蜜さんのような大ブレイクを狙いましょう!
【素材元】:『私の奴隷になりなさい 壇蜜写真集 濃蜜』
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