値決めや課金の方法別「販売・サービス」のマネタイズのモデル

値決めや課金の方法別「販売・サービス」のマネタイズのモデル

安達裕哉

安達裕哉

こんにちは。ライターのあだちです。今回は「マネタイズ」について書いてみたいと思います。

全世界でベストセラーとなった、「無料からお金を生み出すこと」をテーマとした本「FREE」の著者、クリス・アンダーソンは、その著作の中で「あるものをタダであげることで、別のものの需要を作り出す」という行為を「20世紀で最も強力なマーケティング手法」と呼びました。また、京セラ創業者の稲盛和夫は、その経営哲学の中で「値決めは経営」と述べています。

実際、同じ商品であったとしても「値決め」や「課金の方法」によって売れ行きは大きく変化します。特に現代では、需要よりもはるかに供給が大きいため、通常の方法ではさして大きな成功は見込めません。したがって、現代の企業はマネタイズについて深く考える必要があります。すなわち「どのように顧客に興味を持ってもらうか?」「どのようにお金を払ってもらうか?」を決定することはとても重要な仕事です。

そういった背景から、マネタイズについてどのようなやり方があるのかを分類してみることにします。以下の方法は「組み合わせて」使われることもありますので、分類の一例と思っていただければ幸いです。

1. サービス・商品利用者から直接お金をもらうマネタイズ

一律価格モデル

ひとつの品に、ひとつの価格を設定するやり方。大量の品物を一律に販売する際に用いられる。

これは古くからある手法で、わかりやすいというメリットがあります。
 

従量課金モデル

顧客の利用の度合いによって価格が決まる。通話料や水道料金、電気料金などがこれに当たる。

 

特売品モデル

何かを極めて安い価格、あるいは無料とすることで、「ついで買い」を誘ったり、付属品で収益を上げたりする。

クリス・アンダーソン曰く「20世紀のフリー」。据え置き型ゲーム、安全かみそり、携帯電話、コピー機、コーヒーメーカーなど、ありとあらゆる分野で使われていますね。
 

フリーミアムモデル

特売品モデルを更に極端にしたモデル。一般的にはコンピューターソフトウェアの分野で適用される。

ソフトウェアを無料で提供するが、一部制限を設け、その制限を解除したい一部のユーザーから収益を上げるようなビジネスモデルです。したがって、大部分の無料ユーザーと、一部のヘビーユーザーから成り立っています。

課金の中身は多彩であり、時間制限、機能制限、人数制限、顧客の属性など、様々な課金ポイントを設定できます。これがクリス・アンダーソンの呼ぶ「21世紀のフリー」です。

2.サービス・商品利用者から直接はお金をもらわないマネタイズ

広告モデル

サービス利用者の注目を集める場所を貸し出すことで、収益を得る。すなわち、利用者は広告主を通じて薄く広く課金されている。

Googleなどの検索サービス、Facebookなどのソーシャルネットワーク、テレビ局などのメディアが用いているのはこれですね。強力なマネタイズ手法です。
 

データ販売モデル

サービス利用者の個人情報、法人情報等のデータを販売することでマネタイズする。Tポイントカード、SUICAなどの商売がこれに当たる。

たとえばTポイントカードを使うことは無料ですが、彼らはTポイントカードの利用情報を販売して収益を上げています。

ただし、問題もあります。SUICAが利用者データの販売をすると発表した時、利用者からの反発がありました。場合によっては利用者の理解が得られないケースも有ります。

また、最近ではTwitterもこのようなサービスを発表しています。
 

成果報酬モデル(レベニューシェアモデル)

売上や企業価値を上げる、マッチングを果たすなど、特定の目標をクリアすることでその利益の一部を貰う。

お金もらう相手はサービスの利用者なのですが、正確に言えば「顧客の顧客」から得た収益を分け合うので、「サービス利用者から直接お金をもらわない」に分類しました。

ECサイト、クレジットカード会社、営業代行、一部のコンサルティング会社などはここに分類されます。
 

運用報酬モデル

資産を預かり、それを運用することで、マネタイズする。銀行、証券会社、信託、投資ファンドなどはこれに当たる。

ただし、ここで預かるものは金銭にかぎりません。「一般家庭の空いている部屋を集めて、旅行者に貸し出す」と言ったサービスもここに含めます。
 

寄付

利用とは無関係に、寄付を募るやりかたでマネタイズする。Wikipediaや、カーン・アカデミーなどがこれに当たる。

このような手法で安定した寄付を得るためには、広くサービスが行き渡る必要があります。
 

企業の出現前は税がマネタイズの主流でした。国民や領民から軍事力を背景にお金を徴収します。

 
いかがでしたでしょうか。以上、ざっとまとめてみましたが、課金方法の検討の際の一つのご参考としていただければ幸いです。

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あだちゆうやと申します。コンサルティング会社のDeloitteで12年間、仕事をさせていただきましたが、「人材育成」というテーマの仕事を全力でやりたいと思い、退職して個人向けに学習塾、法人向けに採用・人事コンサルティングを行う会社をつくりました。 IT、学習、教育、マネジメントについてブログを書いています http://blog.tinect.jp

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