元トリマーのWEBディレクター、はるきです。犬の中で1番好きなのはミニチュア・シュナウザーです。
普段の仕事ではクライアント様のECサイト運営を行っておりますが、その際にはサイト分析や広告運用だけでなく、一緒に今後のWEB戦略を考えることがあります。そこで必要になってくるのがマーケティングの視点です。
クライアントのニーズがわかっていなければ、どれだけデザインが美しくても、クライアントが満足するサイトはできません。また、ユーザのニーズを読み間違えれば、サイトは制作側のひとりよがりなものになってしまうでしょう。
WEBディレクターはある意味で「企業」と「顧客」とを結ぶ存在です。そこで今回は、自分の日頃のアウトプットも兼ねて、ビジネスをマーケティング視点で考えるための5つのステップについて考えてみたいと思います。
ビジネスをマーケティング視点で考えるための5つのステップ
1. マーケティングの概念を知る
そもそも、マーケティングとはいったいどのようなことなのでしょう。
企業や非営利組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその商品を効果的に得られるようにする活動」の全てを表す概念である。
出典:Wikipedia
より具体的には、以下の場面でマーケティングの視点が必要とされます。それは商品・サービスそのものの企画・開発・設計やブランディングから、市場調査・分析、価格設定、広告・宣伝・広報、販売促進、流通、マーチャンダイジング、店舗・施設の設計・設置、(いわゆる)営業、集客、接客、顧客の情報管理などの広い範囲です。
つまり、「顧客が真に求める商品やサービス」というのは、ある意味で「売れる」商品やサービスであり、どんなものが「売れる」のか考えるのがマーケティング視点である、とするとわかりやすいのではないでしょうか。
2. ビジネス的な思考力を身につける
マーケティングの概念から、具体的なマーケティングの手法に移る前に、まずはビジネス的な思考力を身につけるといいと思います。
ビジネスの世界では、短い時間や限られた予算・情報のなかで、最高の結果を出すことが求められるでしょう。
PDCAサイクルを回していく過程で、しっかりとAct(改善)の段階を踏まないと、成果物のクオリティも、自分のスキルも上がりません。
そこで身につけておきたいのが、教育学者のベンジャミン・ブルーム博士が提唱した「思考の6段階モデル」です。
これは、思考を「知識 – 理解 – 応用 – 分析 – 統合 – 評価」に分類して、各段階をブラッシュアップすると、よりよいアウトプットができるという考え方です。
- 知識 暗記力(事実、言葉、やり方、分類を知っている)
- 理解 内容を解釈したり、言い換えたり、説明したり、推し量ったりする能力
- 応用 知識を一つの状況から別の状況に移すことができる能力
- 分析 全体の中の部分を見つけたり、区分けしたりできる能力
- 統合 部分を組み合わせて、統一された全体をつくりだせる能力
- 評価 基準を使って情報の価値や使いみちを判断できる能力
出典元:ビジネス頭を創る7つのフレームワーク力
知識がなければ内容を理解することは難しく、理解しないまま応用しようとしても、上手くいかないか、その結果を分析することは難しいでしょう。
今からしようとしていることに対して、自分がどのポジションにいるのかを、しっかり理解しておくことが大切です。
どんなものが「売れる」のか考えるのがマーケティング視点であるなら、これはその考え方であり、ビジネス全般に当たるときの基本的な思考力として、身につけておくようにしましょう。
3. 因数分解するクセを身につける
これは数学的な因数分解ではなく、結果がどのような要素で構成されているかを考えるという意味です。
少しわかりづらいのでちょっと例を挙げてみます。
ここでは「サイトの売り上げ」という概念を因数分解してみましょう。ここで、売り上げとは以下の要素の関わりであることがわかります。
売上 = 訪問数 × コンバージョン率 × 平均客単価
さらに、この中で訪問数を因数分解してみましょう。
訪問数 = 自然検索 + 有料検索 + リファラー + ダイレクト + ソーシャル + その他
自然検索もキーワード毎に因数分解できるでしょうし、有料検索であれば、それぞれリスティング広告やバナー広告などに因数分解ができます。
WEBサイトであれば、デザイン・コーディング・プログラミングが必要で、デザインもさらに色・フォント・レイアウト、コーディングであればhtmlとCSSなど、さまざまな要素で構成されています。
「売れる」サービスというと抽象的ですが、その「売れる」を因数分解してみると、上記のような具体的な要素が見えてきます。
どこを改善すればいいのか見えやすくなるので、ビジネスをマーケティング視点で考えるためには必要なステップです。
4. マーケティングの基本原則を知る
それでは、具体的なマーケティングの要素について説明します。まずは基本原則であるSTPについてです。
- S Segmentation(セグメンテーション)
- T Targeting(ターゲティング)
- P Positioning(ポジショニング)
上記の3つの要素についてそれぞれ見ていきましょう。
Segmentation(セグメンテーション)
セグメンテーションとは、市場細分化のことを言います。たとえばWEB制作という業界でも、企画に強い会社もあれば、制作・技術力のある会社、メディア運用に強い会社もあります。他にもEC運営代行、SEO対策など、いろいろです。
このように、因数分解によりクライアント様の商品や、その市場を理解することが、マーケティングの第一歩になります。
Targeting(ターゲティング)
ディレクター・デザイナーは普段から意識しているものだと思いますが、ペルソナ選定やターゲットブラウザなどがターゲティングです。
しかし、いきなりターゲティングをする前に、セグメンテーションを理解しておくと、より細かいターゲットが可能になります。
個人的には、思考訓練として、毎日の経済ニュースの中で「○○の会社は××の市場で、△△な人をターゲットにして□□な事業を行っているのかな。では、このニュースの先にあるものは…」のように思考訓練をしています。
ニュースになる企業は大きい市場のものが多いので、思考訓練には馴染みがある(自分が顧客だったりもする)ため、このような思考訓練はおすすめです。
Positioning(ポジショニング)
ポジショニングでは顧客からどのように思われているか・他社と違うものはなにかなどを見つけていく必要があります。
突き詰めていくと難しい話も多いので、ポジショニングについて詳しい記事をご紹介しておきます。
参考:ポジショニング – マクロミル
http://www.macromill.com/solution/a03.html
5. マーケティングのフレームワークを知る
最後に、実践編として、マーケティングに役立つ簡単なフレームワークをご紹介します。フレームワークとは開発・運用・意思決定を行う際に、その基礎となる規則・構造・アイデア・思想などの集合のことです。
マーケティング視点でビジネスを考えるために、以下のフレームワークを活用してみてください。
戦略の3C
自社(Company)、競合(Competitor)、顧客(Customer)を考えて、バランスよくリソースを傾けましょう。
マーケティングの4P
価格(Price)、製品(Product)、チャネル(Place)、広告宣伝(Promotion)に分けて施策を立てましょう。
採用者分布曲線
新しいアイデアや技術が社会になぜ普及したりしなかったりするか、どのように普及するかを説明しようとする理論です。
情報はイノベーター、オピニオンリーダー、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードの順に普及します。
製品進化のトライアングル
製品・サービスの浸透過程を示すものです。最初は製品の差別化が要因となり、その後はチャネルに移行します。
SWOTマトリクス
自社の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を分析して、意思決定の際の参考にするものです。
おまけ
おまけとして参考書籍とサイトをご紹介しておきます。
- 書籍
勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践
文字通り、フレームワークを使った思考法などを紹介しています。考え方がうまくまとまらないなあ、と感じている方にはオススメです。
なにを読んだらいいかわからない人にはコチラがおすすめ。いろんな方々が100冊+αもオススメしてくれているので、なにかきっと見つかる(はず)。
日本各地でリゾート施設を運営する星野リゾートの星野社長が戦略やマーケティング、リーダーシップの参考にしたネタ本30冊と、それらの本から学んだ理論の実践事例が見られるので、マーケティング本としてではなく、普通の読み物としてもオススメです。
- サイト
Webデザイナーのためのマーケティング基礎講座
ここでは触れなられなかったよりハイレベルな戦略などを網羅的に知ることができます。デザイナーとありますが、ディレクターも必見です。
まとめ
いかがでしたか?マーケティングと聞くと難しそうで、とっつきにくい印象があるかと思います。そんなときは、ビジネス的思考で、因数分解をしながら、ここにあるテクニックをマーケティングに取り入れるようにしてみてください。
さらには、マーケティングを学ぶことで「自分」という商品が会社・業界にとってどう思われているのか、そしてどう思われたいのかを考えることで、キャリアアップにもつながるでしょう。
皆さまもぜひ、実践してみてください。それでは、また!