こんにちは、ツベルクリン良平です。
突然ですが、皆さん「超映画批評」というサイトをご存知でしょうか。
鋭い視線と辛口批評が読者をドキドキワクワクさせてくれる老舗映画批評サイトで、今年の8月頃、映画『進撃の巨人』の評価を巡って映画業界も巻き込む騒動に発展したのは記憶に新しいかと思います。
『進撃の巨人』が超映画批評で40点→監督ブチギレ「誰だよ、こいつに試写状送ったバカは!」
今回縁があって同サイト管理人・前田有一さんに「年末年始休暇にオススメの映画」をお聞きすることができました。どれも傑作なので、おやすみのお供にどうぞ。
- 「超映画批評」とは?
- 映画批評家・前田有一さんが管理運営する映画批評サイト。年に数回鑑賞する程度のライトユーザが「マーケティング」に左右されないよう、至極現実的な採点が成される同サイトは30〜40点が平均的、5点以下もザラにある辛口評価を辞さないサイトとして認知されている。その分高得点映画の面白さは堅く信憑性も高い。
年末年始休暇に観たい2015年傑作映画 10選
こちらが映画批評家・前田有一さん。以下、前田さんの解説でお届けします。
アメリカンスナイパー
http://wwws.warnerbros.co.jp/americansniper/
「超映画批評」で7年ぶりに100点とした本作は、クリント・イーストウッド監督がスナイパーを描いた作品。
主人公のクリス・カイルというスナイパーは実在の人物なのですが、このクリスが映画製作中に殺害されてしまったことから急きょ脚本のラストを”主役の死”に変更し話題となりました。なぜなら彼の死にざまがすさまじかったから。仲間の元米兵に殺されてしまったのです。
物語の筋としては、演出が素晴らしいものの一般的な戦争映画でも見られる展開が続きます。しかし、『アメリカンスナイパー』はここからラストへ向けて激動のギアを上げていくのです。それがこの映画の凄さ。これほど、「アメリカ人よ、お前たちがやっている仕事はこういうことなんだ」という痛烈なメッセージある作品を観たことがありません。
正義のために戦っていた男が最期は味方に殺されるという、ブラックなオチで物語は格段のフィナーレを決めている。それは現実の痛ましい事件がなければ実現できなかったのです。神がかっていると言っても良い。映画としては類を見ないほどパワフルな着地ができたからこそ100点にしました。戦争映画フリークにとっては見逃せない傑作だと思います。
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- クリント・イーストウッ
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- 時間132分
セッション
個人的に、今年一番完成度が高かった映画は『セッション』だと思っています。純粋に映画としての造りこみ・演技・演出すべてにおいて完璧で、久々に驚きを得られた映画でした。
超一流ドラマーを目指したいという青年のサクセスストーリーなのですが、師匠のサディスティックぶりが常軌を逸しており、そこまでしないと本当の一流は生まれないか?ということを考えさせられましたね。世の中の99%は天才とは無縁なわけですから、天才というものがどのように生まれ一流のアーティストとして今を生きているのか。その舞台裏を見せられた気がします。
もちろん、主役二人の鬼気迫る演技も予想を超えています。常人が立ち入れない領域を常人にも伝わるように描いてくれている本作品。音楽映画が好きな方や、音楽経験がある方には特にオススメです。
セッション(字幕版)
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マッドマックス
http://wwws.warnerbros.co.jp/madmaxfuryroad/
今年は『ターミネーター』、『ジュラシックパーク』などリブート(核となる要素やコンセプトを整理し、シリーズをやり直す手法)あるいは続編映画が多い1年だったのですが、その先陣を切った『マッドマックス』は、2015年リブート映画NO.1でしょう。
この作品は、ストーリーがなく「ひたすら逃げるだけ」というコンセプト。それなのに面白いんですよ。
こんなにシンプルな映画はなかなかお目にかかれません。ただ追いかけっこするだけの物語を2時間以上保たせるなんて離れ技、実際にできるんだと感心しました。映画ってうまい監督さんが撮れば、そんな複雑な話はいらないんでしょうね。そういう映画の原点的面白さを改めて感じさせてくれた作品です。
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ターミネーター:新起動/ジェニシス
http://www.terminator-movie.jp/
今年公開の『ターミネーター:新起動/ジェニシス』はとても良かった。
『ターミネーター』は「1」が良くて、「2」はもっと良い……という非常に珍しい経過を辿っている作品なのは皆さんご存知だと思います。監督のジェームス・キャメロンは続編作りが非常に巧みなのですが、それでもターミネーターは「3」以降はどうしても混迷してしまっていたのです。それがやっと帰ってきた。
もちろん、「1」「2」にはまだ及ばないけれど、それに近いところまで盛り返してきていると思いますよ。ストーリーも面白く、なによりシュワちゃんも完全復帰して「ちゃんとターミネーターをしている」のです。守るわけですよ、最強の男が。アツい映画でした。
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ルック・オブ・サイレンス
今年公開のドキュメンタリー内では抜群の傑作。これもう二度と撮れないんです。
『アクト・オブ・キリング』という映画を知っていますか? インドネシア虐殺の当事者、すなわち本物の大量殺人者たちに「再現ビデオを作るから本人役を演じてくれ」と頼みにいった問題作なのですが、こちらはその続編にあたります。
本作は、主役が”殺されてしまった方の遺族”というとんでもっぷり。自分の兄を殺した人間に、当時の話を聞くという身震いするようなストーリーが展開されます。その仇が嬉々として当時を振り返る最中、「それ僕の兄なんです」と告げるわけです。そのときの表情や空気は演技で作れるものではありません。
監督であるジョシュア・オッペンハイマーは『アクト・オブ・キリング』公開後、当事者から強い怒りを買っているそうで、もう二度と現場には行けないでしょう。行ったら殺されてしまうから。そういう意味で、もう二度と撮れない作品なのです。映画史上かなり特殊な作品なので興味のある方は是非。
ルック・オブ・サイレンス DVD
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