こんにちは。デザイナーのまきこです。
先日、キスケ株式会社さまのコーポレートロゴのデザインを担当させていただきました。今回は、そのロゴができるまでの制作プロセスを、下記のように順を追ってご紹介します。ロゴデザインをする際の参考として、また、LIGでのロゴ制作の一例として読んでいただけますと嬉しいです。
- 今回ご紹介するロゴ制作のプロセス
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- ヒアリング、情報収集
- コンセプト設計、「らしさ」の発見
- デザイン
- ご提案
- 修正、ブラッシュアップ
- 完成
はじめに
まずはじめに、今回コーポレートロゴの制作をご依頼いただいた企業さまと、制作に携わったLIGメンバーのご紹介をさせてください。
ご依頼いただいた企業さま
コーポレートロゴ制作をご依頼いただいたのは、キスケ株式会社さま。昭和27年に創立し、愛媛に本社を、東京に営業所を構え、アミューズメントや不動産などの事業をおこなっている企業さまです。
キスケさまには、コーポレートサイトリニューアルの際にお声がけいただき、その流れでコーポレートロゴの制作もご依頼いただくこととなりました。
ロゴ制作に携わったLIGメンバー
まずは、ディレクター/コピーライターのジョン。ジョンさんがまずはじめにサイト制作のためにおこなったナイスなヒアリングとグレートなサイトコンセプトのご提案にお客様も納得していただけたので、ロゴ制作でもそちらを元にしました。
そして、アートディレクターとしてぺちこ。ぺちこさんからコンセプト設計やデザインについてスーパー的確なアドバイスをもらいつつ、一緒にブラッシュアップしていきました。
それから、デザイナーのわたくし。愛媛で食べた鯛めしがおいしかったです。
1.ヒアリング、情報収集
サイト制作も並行して進める中で何度かお話を聞く機会をいただいたり、メンバーが実際に愛媛を訪れたり。そんなヒアリングや情報収集により、キスケさまについての理解が徐々に深まって、ロゴに関するご要望も出揃っていきました。
お客様を何より優先する社風
キスケさまがもともと掲げられていた「迷ったら、お客様のために。」のキャッチフレーズが示すように、何よりもまずお客様を優先する社風です。創業者が毎日現場を回っていたというエピソードからも、お客様がいるその場所を一番に考える姿勢を感じました。そして、「顧客満足度をあげるためには、まずはそこで働く人が満足していることが大切」という考えから、人材育成や働く環境の向上に取り組んでいる事実もわかってきました。
愛媛に対する強い想い
アミューズメント事業は、地域の方の余暇の充実のために。不動産事業は、地域の方に快適な空間を提供するために。そういった「利益を地域に還元したい」という根本的な考え方や、無償でも地域のための企業活動をおこなっている事実を知り、「愛媛やそこに住む人の暮らしをよくしていきたい」という真剣な想いが伝わってきました。
また、「10年、20年というスパンで考えて、貴社はどうなっていきたいですか?」という質問に対していただいた、「愛媛で一生商売をやっていきたいです」という真摯でストレートな言葉も印象的でした。
100年以上の歴史があり、長く親しまれている存在感
JR松山駅前には、総合アミューズメント施設「キスケボックス」が、どーんと建っています。「どこかに遊びに行くとなると、とりあえずキスケ」とは、地元出身者の方からのコメント。
メンバーが視察に訪れたキスケボックスは、子供からお年寄りまでたくさんのお客様でにぎわっていました。子供の頃にここで遊んだお客様が大人になって家族を持ち、今度は親子二代で一緒に遊びに来るようなケースもあるようです。地元での認知度が高く、長く親しまれている企業であることがわかってきました。
その他のロゴ制作にあたってのご要望
そもそもの要件は、これまで「KISUKE」のアルファベット表記のきちんとしたロゴがなかったため、サイトリニューアルの機会にロゴを制作したい、というものでした。また、社章などに使えるよう、マークも欲しいとのご要望をいただきました。
ロゴのイメージについて
どちらかというとすっきりシンプルな印象にしたい、FedExのロゴのようなだまし絵の要素があると面白いと考えていらっしゃるとのことでした。
ロゴの色について
ロゴよりも先にサイトデザインのメインカラーをオレンジでご提案したところ、ピンとこなかったとのこと。キスケさまではこれまで正式なCIは決められていませんでしたが、会社のツールや店舗などには慣習的に赤を使用してきたようです。
2.コンセプト設計、「らしさ」の発見
「◯◯な企業」に当てはまる言葉は何か?
ヒアリングした内容をもとに、コンセプト設計をしていきます。
「コンセプト」という言葉はわりと広い意味で使われていますが、コーポレートロゴのコンセプトとは、平たくいうと「『この企業は、◯◯な企業です』とひとことでいうときの、◯◯に当てはまるもの」だとわたしは考えています。そのため今回のコンセプト設計は、さまざまな情報の中から「その◯◯に当てはまるものは何か」を探す作業となりました。
当記事では、ヒアリング内容をすでに前項のようにざっくりまとめてありますが、実際のコンセプト設計の際は、ヒアリングで得たバラバラな情報から要点をピックアップし、分類・整理してまとめていくことに時間を割きます。この工程はけっこう悩むことも多いのですが、いちばん面白い部分でもありますよね!
そんな工程を経て、ヒアリング内容から導いたコンセプトはこちらです。
- ロゴのコンセプト
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- お客様をいちばんに考える
- 愛媛を発展させ、愛媛で発展していく
さらに、コンセプト設計と同時に、ビジュアル表現の方向性を探るため、「キスケさまらしさ」とはどんなことかを考えていきます。
「らしさ」は何か?
曖昧でブレがちな「らしさ」をつかむには、企業やサービスを人に例えたときの性格(ブランドパーソナリティー)を考えてみると、うまくいくことが多いようです。
キスケさまを人に例えると、きっとこんな人ですね。
- キスケ株式会社さまはこんな人
- 実直で、温かく、若々しくて、力強い人。
これらの性格を「キスケさまらしさ」とし、ビジュアルで表現していきます。
ブランドパーソナリティーの考え方は、宇佐美 清さんの「USAMIのブランディング論」という書籍を参考にさせていただきました。わかりやすい言葉で書かれているので、おすすめですよ!
3.デザイン
まずは、ロゴのラフスケッチから
コンセプトや「らしさ」に加え、ヒアリングでいただいた「すっきりシンプル、だまし絵のような」というオーダーも考慮し、ロゴのかたちを簡単にスケッチしながら考えていきます。
今回はロゴタイプだけではなくマークも必要だったため、社名や会社の特徴から想起できるさまざまなかたちを、まずは思いつくままに描いていきました。
ご覧の通りあまりきれいなスケッチではないので、細部が見えない大きさに縮小してみました(笑)!
わたしの場合、アイデアを探して考え続けても煮詰まってきてしまいます。なので、日をおいて通勤電車の中で考えたり、夜寝る前に思いついたものを描きとめたりしつつ、アイデアの数を増やしていきました。今回はそのための時間をしっかり確保できたこともラッキーでしたね!
PC上でデザインする
スケッチの中からいくつかを選び、Illustratorをつかってデザインをしていきます。マークに関しては、手描きではなくきれいなラインに起こしてみたときに、うまくハマらなかったりロゴタイプとの相性がよくなかったりするアイデアは脱落させつつ、生き残った案をブラッシュアップしていきました。ロゴタイプは既存の書体をもとにしてディテールを調整しました。
ロゴのブラッシュアップの過程で、残していたファイルがこちら。
ちょっとわかりにくいですが、Kの字のディテールや文字間の広さをいろいろと試してみています。こういった試行錯誤を繰り返し、ご提案できる状態になるまでデザインを詰めていきました。
5.ご提案
ということで、ご提案した3案の中で、特にイチオシだったA案がこちらです!
ご提案したロゴの制作意図
上記の案のマークには、こんな意味を込めました。
- customor(お客様)のCをモチーフにし、お客様をいちばんに考える姿勢を
- 斜め上に伸びる赤い台形は、愛媛県のシルエットをモチーフとし、地域への想いを
- マークを不等号に見立て、キスケさまが今よりもよいものを提供するという意思を
- 左から右へ広がる形状で発展を、ロゴ全体での「<」の繰り返しで継続を願う気持ちを
- もちろん、社名のKもモチーフに
実は、「だまし絵のようなもの」という枠で考えすぎるとコンセプトとずれていってしまったため、「人に言いたくなるような、トリッキーな意味をこめたロゴに」という方向でご提案させていただきました。
ロゴタイプはすっきりした形状と力強さ、幾何学的すぎない人間味を兼ね揃えた「Gill Sans」がベースです。カラーは、社員のみなさんも地域のみなさんもこれまで慣れ親しんできた赤色。深みのある赤も加えて、ギラギラしすぎない印象に整えました。
6.修正・ブラッシュアップ
3案の中からA案を選んでいただき、同時にいくつかフィードバックもいただきました。それを受けて、全体的に修正やブラッシュアップをしていきます。
ロゴタイプをよりシンプルな形状にしたり、文字やマークの太さを調整してどっしりした安定感を加えたり、色使いのパターンを展開して絞っていったり。デザイン調整の際は、やっぱりずっと作業を続けているよりも、少し時間をおいてみてみたり、離れた場所から見てみたりしつつ、バランスを整えていきました。
7.ついに完成!
そして、完成したのがこちらのロゴです!
最初にご提案したA案の基本的な制作意図はそのままに、より力強い印象のロゴになりました。今後、社員や地域のみなさんに長く愛されるロゴに育っていってほしいと、切に願っています。
そして、このロゴと並行して制作していたコーポレートサイトが、先日リニューアルオープンしました!
ロゴやサイトの制作にあたって、いつもあたたかく丁寧なご対応をしていただいたキスケ株式会社のみなさま、本当にありがとうございます!
最後に
うーん、文章が長かった!
こうしてロゴ制作のプロセスをまとめてみると、デザインよりもヒアリング・情報収集の部分のボリュームが厚くなってしまいましたね。今回はサイト制作のためも兼ねてヒアリングをしっかりさせていただいたことで、企業への理解が深まり、コンセプト設計もデザインもやりやすかったと感じています!
また機会があれば、ロゴデザインからwebサイトのデザインまで、まるっと担当してみたいですね。
そして、こんな長文を最後まで読んでいただいた方には、今日はきっといいことがあると思うよ! それでは、また!
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