こんにちは、エンジニアののびすけです。「○○ののびすけ」って「の」が続いて読みづらいことにも慣れてきました。
先日、(おそらく)業界初のビームスハッカソンをおこないました。正式名称は「HAPPY OUTSIDE BEAMS HACK」ですが、ハッカソン運営側で「ビームスハッカソン」と呼んでいたので、記事内でもこの呼び方で通します(笑)
このハッカソンはジーズアカデミーが主催となり、ビームス、サムライインキュベート、LIGの共同企画で開催しました。ジーズアカデミーはデジタルハリウッドが手がけるエンジニア養成学校で、プログラミング初心者が半年で起業やエンジニア転職を目指すカリキュラムを実施しています。私もジーズアカデミーにはメンターという形で参画しています。
ということで、今回は運営側としてハッカソンの様子をまとめました。
ちなみにガジェット通信さんでも記事を出してくださっているので、併せてどうぞ。
製品化できそうなアイデアは? ファションハッカソン『HAPPY OUTSIDE BEAMS HACK』レポート
http://getnews.jp/archives/1219080
当日の写真はInstagramにあげているのでこちらからご覧ください。雰囲気が伝わると思います。
HAPPY OUTSIDE BEAMS HACK
ここまで読んで疑問を抱いている人もいると思うのですが、「ビームス」はそう、あの「ビームス」です。セレクトショップの老舗として、アパレル界以外でも知名度の高い企業ですね。
“外遊びを楽しくする” HAPPY OUTSIDE BEAMSとは
外遊びが更に楽しくなるような様々なコンテンツやプロダクトを提案するプロジェクトです。
キャンプや音楽フェスで活躍するアイテムやスタイリング、アーティストへのインタビューなど様々な視点で提案しています。
「アウトドア」という表現だとキャンプや山登りなどが連想されますが、「アウトサイド」という言葉を使ったことで、フェスや街歩きといったちょっとした外でのアクティビティ全般までがイメージできます。
今回のハッカソンは「HAPPY OUTSIDE BEAMS」のコンセプトに沿った形で、“外遊びを楽しくするファッション”をテクノロジーを使い提案してもらいました。
優秀プロダクトはビームスの商品として発表されるかも?ということで、実際にビームスのバイヤーの廣澤さんにも審査をしていただきます。
1着数万円の服を切り裂いてOK!?
今回のハッカソンの肝は、ビームスの商材(服や靴や鞄など)をハックできるというところでした。
ビームスのアイテムを題材に開発をおこなうハッカソンは史上初です。(実際に服を作っていくハッカソンって過去にありました?)
会場にはビームスの商材が50点ほど並べられているので、参加者はそれらを自由に選んでハックします。
IoTデバイスを仕込むことで服を光らせたり、靴から音を出したりというチームもありました。
一般的なハッカソンとは異なる参加者層
(何を一般的とするかの議論はさておき)ハッカソンは通常、エンジニアたちが時間内にどれくらい実装できるかを競うイベント形態です。そのため、ハッカソンというと「エンジニアが多く、その次に(Web系の)デザイナーが少しずついる」というイメージでした。
しかし、今回のハッカソン参加者の中にはバンタンデザイン研究所(アパレル系の専門学校)の学生さんもいて、服飾系とIT系のバランスが取れた参加者構成となりました。「ビームス」や「ファッション」というキーワードが彼(彼女)らに響いたのかもしれません。
裁縫している女の子二人がいて、同じテーブルではマイコンボードのそばでパソコンを開いて作業している人がいる。そんな珍しい光景が見られました。
会場が御茶ノ水で秋葉原が近かったため、各チームで電子工作部品などが必要になったら随時買い出しに行きます。
募集サイトでは「アプリやweb、ハードウェアの開発者からファッションまで、様々な技術でハックし、2日間で全く新しい製品を作り出しましょう!」と打ち出していたのですが、まさにそういった職種の人たちがバランス良く集まりました。
ハッカソンの審査と成果物
ハッカソンでは8チームが発表し、それぞれのアイディアと実装したプロダクトの紹介をおこないました。「HAPPY OUTSIDE BEAMS」のテーマに沿っていれば商材を使わないことも許可していましたが、ほぼ全てのプロダクトが、実際に商材をもとにしたIoT領域に近い開発をおこなっていたのが印象的でした。
審査にはロボティクスファッションクリエイターのきゅんくん、ビームスのバイヤー廣澤さん、日本マイクロソフトテクニカルエバンジェリストの増渕さん(誕生日おめでとうございました!)、株式会社ウツワ代表・女子大生ファッションデザイナーのハヤカワ五味さんという豪華メンバーが関わってくださいました。
私も去年「MashupAword」をはじめとしたハッカソンに数回参加しましたが、今年は去年と比べると「IoT」というワードが普及したせいか、ハッカソン参加者もそういったハードウェアを使った開発に慣れてきているなぁという印象です。
続いて、審査結果で優秀作品だった3つを紹介します。ここは個人的な感想もいれていきます(笑)
雪合戦を盛り上げるデバイス|BEAMSNOW(LIG賞・マイクロソフト賞)
チーム「BEAMSNOW」は雪合戦を盛り上げるデバイスを発表しました。
基本はスマートフォンアプリからの操作で、手袋とワッペンに仕込まれた加速度センサーと連動し、雪合戦で雪を投げたタイミングで大砲音、当てられるとピヨピヨという音で雰囲気を演出してくれ、スコアリングもしてくれるというアプリケーション・デバイスです。
加速度センサーの値を取得し、投げたときの判定などをおこなう計算は結構骨が折れるという点や、データの蓄積や計算などを(今回スポンサーしていただきました)マイクロソフトのクラウドサービスであるAzureを経由しておこなっていた点など、技術的にも優れているということでマイクロソフトソフト賞も受賞しました。
審査員のハヤカワ五味さんからは「単純にやってみたい」というコメントもあり、実際に使ってみたいと思うかどうかが評価につながったみたいです。
それにしても雪合戦というニッチなシーンを題材にした着眼点がすごいですね。
音や音楽に合わせて動き、光る服|SPARKA(ビームス賞)
チーム「dood」は音に合わせて動き、光るパーカーデバイスを発表しました。SPARKとPARKAの造語である「SPARKA」という名前が個人的に好きでした。
マイコンボードからの電圧操作で、服に仕込んだ電磁石を反発させ、服の動きを出していました。電磁石は自作していて、ハッカソン中にコイルを巻いている人がいるなぁーと思っていましたが、まさかこういう形に仕上がるとは驚きでした。
発表で用いた動画が素晴らしく完成度が高くて好印象でしたが、実際のデモで不具合があった点が残念でした。審査員のきゅんくんからも「デモが見たかった!」との辛口コメントが(笑)
服が音楽エフェクターに!|HAPPY OUTSIDE EFFECTOR(最優秀賞)
最優秀賞はチーム「とりあえずG」のHAPPY OUTSIDE EFFECTOR。
パーカーの紐を上下させたり、チャックを開け閉めしたりすることで、接続しているアプリから流れる音楽にエフェクトを掛けることができるウェアラブルな音楽エフェクターです。
一見普通の服で、ファッション性を壊さずに自然な見た目にこだわったこと、紐を上下させたりチャックを開け閉めしたりするといった自然な仕草をトリガーとしていることなどが高評価で、審査員からは「使ってみたい」「楽しそう」などのコメントがありました。
また、紐の長さを変えることで抵抗値が変わりエフェクターに繋がるという仕組みを学生エンジニアほぼ一人で作ったという点も驚きでしたが、表現のさりげなさにかっこよさを感じました。
さいごに
ハッカソンの運営をしていて、一番不安だったことは人集めでした。ハッカソンといえばWeb系のエンジニアの文化なのでファッションやアパレル、服飾系学生が参加してくれるかどうかが初めはものすごく不安でした(笑)
蓋を開けてみると成果物も斬新なものが多く、集まったメンバーのバランスも良く、イベントとしては成功だったと感じています。
最後に審査員たちの最優秀チームが記念撮影をしました。
今回のハッカソンを通して、エンジニアやWeb界隈の人以外にもハッカソンという文化は広がってきているということと、ファッションとテクノロジーの融合にはまだまだ可能性があることを感じました。同時にファッション分野の感性とテクノロジーを“上手く”融合させるのはけっこう難しいなぁと感じました。
最優秀チームのHAPPY OUTSIDE EFFECTORは本当に商品化したら使ってみたいですね(笑)
会の締めの挨拶をするビームスの関根さんとジーズアカデミーの児玉さん。
今回のハッカソンを実施するにあたり関わってくれた、参加者・審査員を始めとする皆様、本当にありがとうございました。またハッカソンは開催していこうと思っていますので、期待していてください。
次はもっと面白い切り口でイベントをできるようにしていきます。
(イベントやハッカソンの企画など、LIGと一緒にやってみたい、という問い合わせなどもお待ちしております! のびすけまでご連絡ください〜。)
それでは!