Web事業部実績紹介_Webマーケティング
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2013.07.03

過去の事例から学ぶ、UXで下克上した逆転バトルマッチ

YUKI

みなさま、おひさしぶりです。
日は長くなったものの、気が付けば一日が終わっているような気がしてならない、子供時代からどんくさいおっとりしていると言い続けられてきたのがトラウマ自慢のYUKIです。

これまでの記事では、ユーザビリティアクセサビリティ、そしてエクスペリエンスという、デザインにおいて不可欠と思われる重要な要素を、一つ一つ簡単にお話してきましたが、今回は視点を少し広げ、デザインの必要性を決定する対象、つまりウェブ上のサービスやソフトウェアなどの商品が成長していく過程について簡単にご説明しようと思います。

なぜデザインをするために商品の成長過程を把握しておく必要があるのかは、徐々に見えてくるはずですので、「んなもんに興味ねー、私は忙しいんだ」と思われた方も、もう少しおつきあいくださいませ。

商品の成長過程

どのような商品やサービスでも、ほとんどの場合が、以下のような過程に基づいて成長していきます。

  1. 希少価値
  2. 機能や価格競争
  3. 一般化や差別化

1. 希少価値

初期の携帯電話
これを読んでいる方は、お若い方が多いと思うのでご存知ないかもしれませんが、今は昔、まだ携帯電話を使う人が少なかった時代、アメリカに出回っていたのは、こんな感じのものでした。【携帯】ではなく【帯刀】とでも読んだ方がしっくりきそうなデカさで、現在の感覚ですと、ポータブルどころか、下手に外に持ち歩くと人迷惑な感じです。

しかし、まだ携帯電話が珍しかった時代は、多少見た目や使い心地が悪かろうが、値段が張ろうが、文句を言うどころか、お客さんは喜んで買いました。これが成長過程の第一段階、希少価値を持つ商品の誕生です。

2. 競争

携帯電話
携帯電話というものが人々の間で普及するにつれ、多数の企業が違う携帯機器を開発するようになります。これが第二段階である、商品の競争。それぞれのメーカーが機能や価格などで競争しあう、例えるなら戦国時代です。そして、この段階で参入した場合、どんなに優れた機能や価格などで戦っても、一番になれる可能性はまずありません。

しかし、そのルールを凌駕して下克上を起こす可能性を持つ、強力な切り札があるのです。

それは一体何か!?

まぁ、興奮を鎮め、落ち着いて更に読み進めて下さい。

3. 一般化と差別化

携帯電話
やがて戦国状態は一旦ピークに達し、商品の一般化ならびに差別化の両方が始まります。一般化とはつまり、商品そのもの(この例では携帯電話)の希少価値が無くなり、以前は物珍しかったものが、一般的なものになる状態です。差別化とは、その一般的なものを差別化するために、それまでには無かった技術やサービスなどを付け加えることで、【新しい価値】を与える状態です。携帯電話の例では、iPhoneが登場する前の状態が【一般化】、その後が【差別化】した状態だと言えるでしょう。

ルールを凌駕し、下克上を可能にする切り札

お待たせいたしました。一般化した市場で、下克上を可能にする隠し技とは何か、ここで種明かしします。で、いきなり肩すかしをくらわすようですが、みなさんは数年前、マイクロソフトが開発したZuneをご存知でしょうか? アップル社のiPodに対抗して作られたMP3プレイヤーなのですが、市場占有率が5%と伸び悩み、それに対してiPodは75%だったので、結局は販売中止となったマイクロソフトの悲劇とも呼べる商品です。

Zune

しかし、この薄幸なMP3プレイヤーを開発したマイクロソフト社は当初、「絶対にアップルに負ける気がしない」と思ってもおかしくない程の強力な武器を持っていました。

  • Xboxを開発したエリートなチームの存在。
  • アップル社が持つよりも多い資金。
  • アップル社よりも高度な技術。
  • 6年かけて行った、アップル社や商品に対しての徹底的なリサーチから得た情報。
  • Wi-Fi搭載し、高性能な製品。
  • アップル社に対抗できる高いデザイン性。

それなのにマイクロソフトが開発した自信作のZuneは、iPodに対抗するまでもなく完敗し、市場からも姿を消しました。哀れです。

Zuneが勝てなかった理由

その最大の理由は二つあります。

  1. 商品の成長過程を把握していなかった。
  2. ユーザーの経験を重視していなかった。

商品が【一般化】の段階に入ってしまった場合、既存のルールである価格や機能では、勝つことが出来ないのです。そこでルールを無視して下克上を可能に出来るのは、ユーザー経験(UX)やブランディングなど、数字や理屈ではなく、ユーザーの感情に訴えるものです。

ユーザーがiPodを選んだ理由

それは、アップル社が【どうすればユーザーに喜びやワクワクを提供出来るか】という、ユーザーエクスペリエンスを最優先させたからです。iPodにはZuneが持っていたような機能はありませんでしたが、それまでのMP3プレイヤーには無い新しい価値を提供しました。

商品に新しい機能を付け加えるというアプローチは【安売りバーゲン】の考え方で、先程もご説明した通り、競争という商品の成長段階では勝つパターンは、まず無いのです。マイクロソフトがこの事を知っていたら、そして【ユーザーは理屈ではなく、感情に従う生き物の人間である】ということを考慮していたら、MP3プレイヤーの歴史は変わっていたかもしれません。

二社の考え方の違いを、果物屋さんに例えてみると、

マイクロソフト「このメロンには、イチゴがおまけについててお買い得だよ」

アップル「これは日本一カッコイイメロンで、食べても美味しいよ」

iPod
アップル社は、以下に挙げたような方法を使って、iPodを単なるMP3プレイヤー以上の商品にする価値を創り出しました。

  • ファッション性・・・持っているだけでお洒落だと思われるような製品デザイン。
  • 使いやすさ・・・ユーザーが行う作業を最低限に抑え、簡潔化したインターフェース。
  • ブランディング・・・他のMP3プレイヤーのイヤフォンは全て黒色だったことを逆利用し、白色のイヤフォンを導入。

さいごに

商品を提供する側にとって優れた商品やサービスでも、それを利用するユーザーやお客さま側にとっての価値が低ければ、Zuneのような非業の最期を遂げる可能性があります。また、価格や機能だけではなく、ユーザビリティやユーザー経験による競争ということもあると思います。

「どうも最近ユーザーや顧客の数が伸びないんだよなあ」とお悩みの方は、是非今回の内容について、一度じっくり考えてみてください。

商品の成長過程の段階や、競争相手の状況などを把握した上で、【ユーザーや顧客にどのような新しい価値を与えられるか】を最優先に考えてみると、あなただけが提供できる新しい価値という切り札を使って、アップルのように天下を取れるかも!

それでは今回はこの辺で。