こんにちは、広報担当のヨシキです。
2014年10月14日、LIGのコーポレートメディアである“LIGブログ”がリニューアルされました。新しい機能も追加され、今までよりも大幅にパワーアップをしたそうです。
しかし僕は広報担当でありながら、とりあえず見た目が変わったことぐらいしか変更点を理解していません。ただでさえWebのことがよくわかっていないのに、自社サイトのリニューアルの意味さえ知らないというのは本当に問題です。
そこで本日は、リニューアルプロジェクトの中心メンバーだったメディアマネージャー・そめひこと制作部ディレクター・鮫島に話を聞いてみることにしました。
今回の改善のポイントや狙いについて、じっくり教えてもらいたいと思います。
きっかけは「今のステージに合っているのか」という疑問から
そめひこ:そもそもリニューアルのきっかけは、代表の岩上が「今のステージに合っていないから、リニューアルをしたい」と言ったことです。
前回LIGブログをリニューアルしたとき、LIGのメンバーは30人弱でしたが、現在は2倍の60人になり、LIGブログのPV数も5倍以上に増えています。
気がつけばメンバーが増え、PV数が増え、1年半前と今を比べると、できることも影響力もだいぶ変わっていたんだなって。
鮫島:1年半でのリニューアルというのが適切かどうかはわからないんですが、確かに以前のLIGブログ(以下、旧LIGブログ)では、今のLIGを表現したデザインになっていないなと思いました。
コーポレートメディアとしてLIGの先頭に立って情報を発信するLIGブログがそれでは、LIG全体が次のステージを目指すのも難しいのではないか、と。
だからこそ、「もっと多くの人のわくわくと笑顔をつくる」こと、そして「次のステージを目指して走ることができるメディアサイトにする」ことの2つが、今回のプロジェクトにおいて重要なテーマとなりました。
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メディアマネージャー:そめひこ 1年半前の旧LIGブログリニューアルのタイミングでLIGにジョインし、今回は社内クライアントとして要望のとりまとめやチェックを担当。 |
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ディレクター:鮫島 旧LIGブログリニューアル時のディレクターであり、今回も引き続きディレクションを担当。 |
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鮫島:今回のリニューアルの要件定義では、旧LIGブログのサイト分析結果や、他メディアとの違い、強みと弱み、やりたかったこと、収益性などをギュッ! とまとめました。さまざまな観点からの指摘を入れたことで、全体的なパワーアップができたと思っています。
コーポレートメディアだからこそ、やるべきことがたくさんある
そめひこ:僕らがリニューアルにあたって意識しなければならなかったのは、LIGブログは「コーポレートメディア」であるということです。
面白かったら何でもありじゃない、PVが上がればそれでいいというわけじゃない、そしてメディアとして収益があがれば万歳となるわけじゃない。単純にメディアとして成長させればOKという問題ではないんです。
いかにLIGのブランドや事業の認知を広め、問合せにつなげたり、より多くの読者の皆さんとフレンドリーな関係を構築できるかが大事なのであり、PV数や収益性はその結果でしかありません。
エッジを立たせることはあくまでエッセンスの1つであり、本質的な部分でパワーアップをさせなければならないと考えました。
だからこそ、各事業へいかに送客をするか、今後の事業展開を見据えたうえでの設計、広告枠のバランス、そしてLIGらしい遊び心を取り入れつつ、いかにLIGのブランドを作っていくのか。その全体的なバランスを設計するのが、今回のリニューアルのキーポイントになりました。
もちろん大変だったんですが、楽しかったです。まあ、全部鮫島さんがやってくれたので、僕は口を出すだけで楽でしたが。
鮫島:うん? ありがとう(笑)
LIGブログリニューアルの5つの見所
鮫島:コーポレートメディアとしての立ち位置を考えたうえで、どう設計していくことが大切だったのか。僕らなりに思うところが5つありました。
1. 回遊率、サイト表示速度などサイトのポテンシャルの向上
そめひこ:今回のリニューアル実施で、ポテンシャルの面で制作チームに強くお願いしたことが2点ありました。1つが回遊率を高くすること、もう1つがサイト表示スピードを速くすることです。
リニューアル前はPV/UUが2.2くらいでした。恐らく1UUに対して2.2PVって、機会損失がかなり起こっているんじゃないかな、と思っていたんですよね。
鮫島:確かに前回のリニューアルでは、そういう点をあまり考慮できていませんでした。だからこそ、今回は事前にしっかりと解析をおこなったうえで設計をおこないました。
たとえば、LIGブログを訪れるユーザの行動で多く見られるパターンが、「検索⇒記事⇒トップページ⇒離脱」という流れでした。
検索から記事へ訪問してくれた場合、トップページまでは見てもらえるのですが、そこでユーザがさらに見たいと思うような情報を見せることができず、離脱が起こっていたんです。
そこで今回のリニューアルでは、オススメの記事をきちんと見てもらえるように配置を工夫したり、関連記事のレコメンド精度を高めたりなど、他記事へ回遊してもらえるような取り組みを重点的に実施しました。
当たり前のことかもしれませんが、そういった部分のチューニングは今後も頻繁にしていくつもりです。
そめひこ:鮫島さんは僕に「こういう解析結果が出たから、こうするね!」と、都度説明をしてくれました。ただ、しっかり解析されていた分だけ説明が長いし、鮫島さんを信頼しているので、いつも内容をあまり把握せず「わかりました!」と答えていました。
鮫島:えっ?
そめひこ:えっ?(笑) もう1点の改善要望であったサイトの表示スピードについてですが、写真や画像にこだわりを持ち、使用している量も多いLIGブログだから、ある程度は仕方がない部分もあります。
ただGTmetrixで調べたら、他社のメディアにも結構な感じで負けており、それは何とかしたいなと。
コーポレートメディアとしての見せ方と、Webメディアとしてのサイトの表示スピード、そのバランスを可能な限り調整してほしいとお願いしました。
鮫島::サイトの表示スピードに関しては、前回以上に要素が増えた分、チューニングをかけても遅くなってしまったところが一部あります。
現在も、リニューアル時に間に合わなかった部分を随時改修しているところです。
ただ、コーポレートメディアとしては写真を多く使いたい、表現を豊かにしたい、という要望もあり、速くなればいいという訳ではありません。そこはお互いによく相談をしながら進めていきました。
そめひこ:「遅くなったらリリースしませんからね」ってずっとプレッシャーかけてましたしね。(笑)これからもっと速くなることを楽しみにしています。
鮫島:はい。頑張ります。(笑)
回遊率やサイト表示スピード以外にも、ポテンシャルへのアプローチはいくつも施策を打ちました。当面の目標としてはリニューアルということで、旧LIGブログを超えるサイトにしたいというのが一番ですね。
2. LIGの次の事業展開を考えたうえでのカラム数変更
鮫島:デザイン面での一番の変更は、トップページのカラム数変更ですね。以前は2カラムでしたが、今回のリニューアルに伴い3カラムに変更しました。
3カラムのアイデア自体はリニューアル決定時からずっと持っていました。理由は大きく2つあります。
1つは、トップに載せる情報量を増やすことで賑わいあるイメージを作り、よりメディアらしくしたかったという点です。もう1つは、次の事業展開を見据え、現段階から準備をしておきたかったという点です。
そめひこ:リニューアルと同時進行で考えていたのが、LIGの次の事業展開のことでした。
まだ明確に次の事業が決まっているわけではなかったのですが、「LIGブログ」とLIGの強みである「制作力」、「コンテンツ力」を最大限活用することができれば、新規事業も早いスピードでスケールできるんじゃないかと考えていました。
たとえば「海外で流行しているオフィスグッズの輸入ECサイト」を運営するのであれば、EC機能を充実させつつ、海外やオフィスグッズの情報を記事コンテンツにして配信していくという手法が考えられます。
その情報はもちろんECサイトのドメイン内で更新をしていくわけですが、LIGブログのユーザにとっても良さそうな情報であれば、一部ピックアップしてLIGブログで紹介し、ECサイトに誘導するというフローが成立します。
このフローがあればLIGブログとLIGの強みが最大限発揮されるので、1を10にしやすいのではないかと。
まぁ既にいろんなところで取り組まれている事例だと思いますが、こんな感じで次の事業展開を考えていくと、2カラムじゃ場所が足りない、もう1カラムを追加しよう、という結論に至りました。
鮫島:3カラムは時代の流れに逆らっているところもあるのですが、次のイメージをヒアリングしていくうちに、確かにそれは大事な要素だということになりました。
ただ、ワイヤーを作った時点で既に見た目がごちゃごちゃしていました。だからこそ、余白の作り方をはじめ、フォント・横幅の変更など、「いかにスッキリ見せられるか」という部分で、デザインには相当こだわりました。
3. 運営者が改修や更新を簡単にできる設計を導入
鮫島:リニューアル前は、記事やコンテンツの更新は運営者でおこなっていましたが、広告枠の見直しや過去記事のチューニング、サイト改修などのメンテナンス的な作業はあまりできていませんでした。
それらの作業は工数ががっつりとられてしまうため、どこの部署がそれを負担するのか、という問題もありました。
そこで、運営者が改修や更新を簡単にできる設計を導入しました。編集部の人数も増え、制作事業部にもWebコンサルティングチームができたこともあり、今後は気軽にチューニングやメンテナンスをしていけるようになると思います。
たとえば今回の3カラムについても、左カラムと右カラムの幅が同じになっているんですね。これにより、左右のカラムであれば、掲載位置をすぐに変更できるようになりました。
そういったデザイン面での設計をはじめ、純広告のバナー管理やタグの埋め込みなどが、今回のリニューアルによって簡単にできるようになりました。
LIGブログはコーポレートメディアとして情報を発信していく場であると同時に、数値がすぐに確認できる良い実験の場でもあります。どんどんABテストをして、レコーディングをしていきたいですね。
LIGブログを通して制作や広告についてのナレッジを蓄積していくことで、よりよい形を実現することができればと思っています。
そめひこ:でも、まだそのリソースの確保が、全然できてないんですよね。なんとかします。そのうち、いつか、きっと(笑)。
鮫島:それ言わなくても良かったんじゃない(笑)。もうリリースしてるからね(笑)。
4. 新機能「LIGの図書館」を新設しました
鮫島:今までのLIGブログは、たとえば「Photoshop」というカテゴリーを開いたら、そこにPhotoshopの記事がずらっと並んでいる形になっていました。
ただ、そこには初心者向けの記事もあれば、上級者向けの記事、Tipsの記事などさまざまな記事が混在しています。ユーザの利便性を考えると、もっと細かくテーマを分ける必要がありました。それを使いやすい形にしたのが、新機能の「LIG LIBRARY」です。
※LIG LIBRARYはこちら
そめひこ:“知りたい事項に対し、テーマを作ってきちんと分類してあげる”という作業を考えたとき、最初に思い浮かんだのが「図書館」でした。
テーマごとに切り分けたものを「本」、テーマ内にある記事を「ページ」、本がたくさんある場所を「図書館」とすることで、ユーザにも馴染みのある表現ができるのではと。
また、記事を書くメンバーやライターのみなさんも、ただ毎月1記事ずつアウトプットしようと考えるよりも「1年かけてWeb上に本を1冊作る」と考えたほうが、モチベーションは上がるのではないかと思いました。
だからこそデザインも「本」を意識し、細部にわたってこだわりました。
まだまだ本の冊数もページ数も少ないのですが、1年後には「Webの技術で困ったら、とりあえずLIG LIBRARYに行くか」ってユーザが思うようになっていたらいいなと思っています。
5. 「LIGらしさ」を、さらに表現できるように
鮫島:「LIGらしさって何だろう」と考えたとき、1つは“メンバーの個性を最大限引き出している”ところだと思いました。
バナーや記事にメンバーを登場させることで露出を増やし、その完成度に無駄にこだわったり、その人の個性を表現したクリエイティブにしていくと、「この前●●していた方ですよね?」とか「バナーに出てる方ですよね?」とか、そういうお声をかけていただく機会が多くなります。
そうなると、最初から企業対企業ではなく、人対人によるコミュニケーションが生まれます。こういうのはLIGならではと言えますね。
だからこそ、よりメンバーの個性が発揮できるような画面設計を考えました。たとえばPC版であれば「記事を書いた人」が右側に常に表示され、スマホだと右下にプロフィールアイコンが表示されます。
これはLIGのメンバーと読者をより近い距離にするための工夫の1つです。また、メンバーページも1週間に及ぶ撮影期間を設けるなど、とにかくこだわりました。
そめひこ:もう1つが、“10%の遊び心”ですね。100%の遊び心だとLIGが崩壊しますが、10%くらいは遊ばないとLIGじゃないと思います(笑)
この点に関しては、LIGの遊び心を体現している共同代表の吉原を監修に入れ、とにかく遊んでもらいました。
その他にも、メンバーページの背景グラフィックなどにもこだわっていますし、新しく追加された機能や404ページにも遊び心を取り入れ、ちょうど10%くらいは遊べたかなと思っています。
ぜひ、いろいろサイトをいじって楽しんでいただきたいですね。
完成ではなく、再出発するためのチューニング
そめひこ:今回のリニューアルは、新しいLIGブログの完成、ではなく、LIGブログの再出発だと思っています。
新設したLIG LIBRARYや、改修・更新が容易となる管理画面設計、新規事業展開を見据えたうえでのサイト設計など、まさにここからスタートさせていくべき機能ばかりです。
その使い方次第で、今後のLIGの成長は大きく左右されていくのではないでしょうか。
2012年1月から本格稼働したLIGブログは、当初何の影響力も持たないものだったと聞いています。それが今では、メディアとして「意志」を持ちはじめたなって感じもしています。
だからこそ、組織体制や予算、マネタイズ構造を見直しつつ、きちんと運営していけるよう頑張りたいですね。
近い将来、コーポレートメディアなのに、日本を代表するWebメディアになっていたら面白いなって思います(笑)
鮫島:今回新しく読者の皆さんの「声」を気軽に集められる投稿機能を追加しました。読者の皆さんとの距離をさらに縮めながら、しっかりとLIGが目指す方向に進んでいければと思います。
まとめ
インタビュー中に2人から感じられたのは「とりあえず仲良いな」ということでした。
大規模なプロジェクトに異なる立場で責任者として参画する以上、激しく衝突することも多かったと思います。それを笑顔で振り返ることができるのは、単にプロジェクトが終了したことによる開放感だけではなかったはずです。
お互いが本気でLIGブログの改善を目指し、ビジョンを共有できていたからこそ、ときにぶつかりながらも一緒に前に進んでいくことができたのだと思います。
そういう意味では、企業理念である「わくわくをつくり、みんなを笑顔にする」という認識の再共有こそが、今回の一番のテーマだったのかもしれません。
志を同じくする仲間の1人として、理想の実現のために“明日からまた新しいチャレンジに取り組もう”と前向きな気持ちになれるインタビューでした。
最後に本日の御礼として、2人のために僕が選んだ一冊の本をプレゼントすることにしました。
2人に贈る一冊
「犬はどこだ」です。
「インシテミル」の映画化などで有名な米澤穂信さんの初期の名作です。
犬探し専門の探偵を開業したはずの主人公が、結局犬探しができないまま人探しをさせられるという社会人あるあるな状況に陥ります。
読み終えたあと「うん、知らなかったことにするって大切だよね。」という気分になれるので、大型プロジェクトを経験した2人にはちょうどいいと思います。
というわけで、これからも引き続きいろいろな人の話を聞きながら、Web業界のことについて学んでいきたいと思いました。
それでは、また。