ギルド開発
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2015.08.28
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#8
働き方インタビュー(経営者編)

「最良のアウトプットには、思考が伝播することが重要」未来を創るウルトラテクノロジスト集団 | チームラボ

小田直美
(編集部注*2015年5月19日に公開されたインタビュー記事を再編集したものです。)

プログラマーやエンジニア、デザイナーに限らず、数学者や建築家といったあらゆる分野のスペシャリストが集まる“ウルトラテクノロジスト集団”チームラボ。“ヤバいモノづくりで世界から認められる集団になる”ことを目指す彼らが手掛けるデジタルプロダクトは、エンターテインメントからファッション、教育、芸術と、ジャンルという枠に捉われることはありません。

今回お話を伺った取締役の堺大輔氏は「デザインなのか、広告なのか、プロダクトなのか。デジタルが関係する以上、そこに境目はない」と話します。では、チームラボには、どのような人たちが集まり、何を考えて作品を創り出しているのでしょうか。モノづくりの未来を担うスペシャリストのあり方とともに、お話を伺いました。

ba27651b55fbd7de439f24eb3f153d671 人物紹介:堺 大輔氏
ウルトラテクノロジスト集団チームラボ取締役。チームラボは、プログラマ・エンジニア(UIエンジニア、DBエンジニア、ネットワークエンジニア、ハードウェアエンジニア、コンピュータビジョンエンジニア、ソフトウェアアーキテクト)、数学者、建築家、CGアニメーター、Webデザイナー、グラフィックデザイナー、絵師、編集者など、スペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート・サイエンス・テクノロジーの境界線を曖昧にしながら活動中。

最初は友人のホームページをつくる仕事もらって喜んだけど「楽して15万稼ぐために俺らは始めたんじゃない」って

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堺氏が「電撃的だった」と話す猪子氏(現:チームラボ代表)との出会いは、大学1年生のときに初めて訪れた徳島県の阿波踊りでした。その数年後、大学院に入った堺氏は猪子氏が起業することを聞き、チームラボの立ち上げに加わります。

堺:学科は違うんですけど、たまたま同じ大学院で「最近何してんの」と聞いたら「会社を始めようと思うんだ」って言われて「暇だから僕も入る」と。なんかこう、自分たちが創ったものに価値があると認めてもらって、その先にまだゴールが見えるっていう感じが単純に面白くて。
大学院の間ってずっとやってたんで大学院終わるころぐらいには、何だかんだで何十人かいたんですよね。最初は全員給料もらってなかったし、払ってなかったし、仕事もなかったし。だから「これ、創ろうよ」「創る、おもろいね」みたいなことをやり続けていました。

創業当初は「何を創れば世界に進出できるのか」堺氏を含めた創業メンバーと模索をしていて、リコメンデーション・エンジンを軸とした『チームラボレコメンデーション』などの制作をしていたそうです。

※リコメンデーション・エンジン:従来型のデータマイニングや統計分析手法とは全く異なる、きわめて高い予測・分析、学習機能に基づいてWebにアクセスしてきた顧客に、商品やサービスをリコメンド(推薦)するアプリケーション・ソフトウェア。

引用元:リコメンデーション・エンジン

堺:それで、これ本当の話なんですけど、猪子が友達からホームページをつくる仕事をもらってきたんです。「15万もらったー!」って喜んだのはいいんだけど、メンバーの1人が「楽して15万稼ぐために俺らは始めたんじゃない」って熱い議論になって。その次にやったのが、北は北海道から南は九州まで、当時50~60店舗あった料理教室のサイト制作でした。
友達の案件のときは、ゆるーく「ハッハーン」とか言いながらでもこなせたけど、このシステムを使う料理教室の先生たちが全国に500~600人いて、さらにその向こうには生徒さんたちが待ってる。これはヤバい、遅れたりしたらまじで怒られまくるって思った。

「納期ぎりぎりまでローンチできるか、分からないような状況で、夜中でもずっとやり続けていた」と振り返る堺氏。しかし、この案件はチームラボが初めて全力で乗り越えた“経験”となります。

堺:裏側でメンバーはデータ入力の鬼になっていました。導入した後も、並行してやらなきゃいけないミッションがあって、全国の各拠点に車で行ったりしてね。
そのときメンバーの1人にジョウ君って奴がいたんだけど「なんかジョウ君、今は静岡あたりに居るらしいよ」みたいな(笑)でも、それが僕らにとっては初めてエキサイトしてやり切った経験だったんです。

「お前らビジネスやらないと潰すぞ」学生のノリの延長で、事業計画とか本当に知らなかった

チームラボでは、意外にも仕事の8割以上がクライアントワーク(受託開発)だそうです。その理由を尋ねると「創業時、営業できる奴が1人もいなかった名残なのかな」と、堺氏は答えます。

堺:クライアントワークが中心って、世の中のチームラボに対する印象と違うかもしれませんが、僕たちの考えではアウトプットするクオリティにこだわることが、結果的にチームラボっていうブランドを強めることになるんです。
モノづくりって、結局アウトプットしたものでしか評価されない。信用がなくなったら、僕ら食っていかれないみたいな。だからアウトプットにはこだわります。それが信用にも繋がるし。例えば『チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地』をやるにしても、来てくれる子どもたちが楽しんでくれないと意味ないですからね。

完成したプロダクトの精度がチームラボのブランドと信用に繋がっていきますが、そのやり方が世間一般に通じず「ビジネスを知らないと、まずい」と感じたターニングポイントがあったそうです。

堺:あるサイトを運営する会社の会長が、僕らのことを気に入ってくれて、サイトづくりを全部任せてもらったことがありました。「いいもの創ればいいじゃん」って、本当に学生のノリの延長でやろうとしてたら、そのサイトを通じて事業を成功させたいって話になって。
「おまえらビジネスやらないと潰すぞ」みたいな責任がかかってくる範囲まで任されて、そのときですよ。事業計画とかエクセルとかに触れて、ビジネスってこうやるんだっていうのを初めて目の当りにした。

このとき初めて堺氏は“学生のノリの延長”ではない、ビジネスや会社経営といった経済の仕組みを知らなければ、世界を揺るがすような“ヤバいモノづくり”は成し得ないことを学びます。

堺:(チームラボでは)いまだに事業計画を立てたことない。だから結局、事業計画を立てた経験ってその1回きりなんだけど(笑)でも、いかに自分たちが世の中を知らなかったか痛感しました。会社なんて潰れたとしても、もう一回“チームラボ2”とか作って、やり直せば次またできるよねって本気で思っていたぐらいでしたから。

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