1000本突破
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年間25,000人訪れる、地方ゲストハウスの料理人が伝えるレシピ開発の考え方6選

マメさん

こんにちは。ゲストハウスLAMP野尻湖支配人のマメです。

LAMPのレシピは基本、僕が考えています。他社さんのレシピ開発にも携わった経験がありますが、今回はLAMPにおけるレシピ開発の流れを、メニュー化させるにあたって大事にしていることを交えながら、自戒の念(そもそも自分一人ならレシピにあまり残さない)も込めてまとめます。

①自分が食べたくて作りたいものを作る

これがすべてです。僕は料理が好きです。食べるのも好きです。できることなら、楽しく長く料理に関わりたいので、素直な気持ちが常になくならないようにしています。

クオリティコントロールという視点でも、スタッフに常に伝えているのは、「自分が美味しいと思わないものは出すな」ということです。そして視座を高く広げる意味でも、酸いも甘いも食べまくる。「評論家になるな。食事を楽しんで初めて感性は開かれる」が大事です。

実は、今や人気商品となったラム麻婆も、当時はサウナやトレンドに関係なく、ただただ麻婆作りにどハマりして作りまくって、他店の麻婆を食べまくっていた趣味の延長でできた料理です。何かすみません。

②LAMPでやる意味を考える

周りに蕎麦屋とイタリアンが10軒以上あるのに、蕎麦職人やイタリアン出身でもないLAMPがそれらを提供する意味はあるのでしょうか? LAMPは常に新しいことや楽しいことを発信するという理念があります。商圏範囲に同じ商品がある場合は基本的にはやらないです。競走したくないですし、ひねくれているんです。押忍。

また感覚の話になりますが、この自然の風を感じながらお客様にテラスで何をどのように楽しんで、お食事をしていただけるか、という借景を大事にしています。エスプリというやつです。

食材については、地産地消であることは全く意識しておらず、仕入れが可能なものはすべて食材になり得ます。

ちなみに、ランチタイムの看板メニューになったハンバーガーは当時30km圏内にファストフードすらなく、またハンバーガー片手に湖畔を歩く姿が強烈にイメージできたので、メニュー化しました。

③誰でも作れて廃棄が出ない設計になっているか考える

LAMPにあるメニューはランチディナー合わせて30品目ないぐらいです。僕の経験上これ以上品目を増やすと、セントラルキッチンを作るか、既製品を使う必要がでてくると考えています。併せて、フードロスのリスクが高まるとも考えています。

LAMPではスキルよりも人柄を重視して新規採用を行っており、現在僕以外は、業界未経験の子で営業しています。そのためオペレーション(質が高く手作りでスピーディに提供可能)を最重要にしており、どんなに美味しい料理であってもオペレーションでつまづく場合にはメニューに載せないことがよくあります。

LAMPのメニューを作っていれば、いつの日か料理人としての土台が整うと思っており、最終的にLAMP料理人の第一線として、一緒にメニューに関して議論したり、試行錯誤できるようになると考えているからです。僕はその日を楽しみにしています。

現在のメニューに関してですが、LAMPのすべての料理は包丁を触ったことのない子でも調理ができて、15分以内に提供可能なものです。

高度な技術や知識を身につけることでより美味しくなるのですが、「出したものをすぐ片付けて作業台を綺麗にしながら仕事ができること」や、「コミュニケーション能力が高いこと」のほうが、僕は重要だと考えているため、このようにしています。料理技術とはあまり関係がないと思える、このようなことをしっかりとできる子が、LAMPでは成長するのだと思っています。

④ググりまくる

ここまでで、ある程度前提条件を理解し食材を決めたら、調理法やその食材を「pork coriander」 「green pepper」というように、2~3ワードぐらいで、英語でgoogle画像検索をしまくります。

画像検索をする理由は見た目が旨そうな料理は旨いという理屈からです。世界には僕たちと全く違う価値観や味覚で構成された楽しい料理で溢れています。僕は料理の道に進むと決めた26歳のときに、師匠という師匠がおらず独学ということもあり、料理本の最初から最後までを作りまくる「質より量作戦」を行うことを決めました。26歳のときからこれまで、1日も欠かすことなく、毎日ググってレシピを眺めています。これがなかなか楽しいです。そして気になった料理は食べたり手を動かしたりして、自分なりの答え合わせをしています。

⑤味の構成要素を理解する

全体像としては、甘味酸味辛味のバランスをとって、苦味で底上げをし、旨味で面積体積を拡大し、塩味でテクスチャを作るという感じです。いろいろなシェフが五味に対してのアプローチを行っていますが、自分のなかでは上記の理解でレシピを作っています。そのため、まず「甘味酸味辛味」の要素のバランスをとったうえで、例えば酸っぱい料理なら酸味を足す、といったアプローチをします。

野沢菜ポテサラの場合だと、ジャガイモ甘味、ライム酸味苦味、スモークパプリカ辛味旨味、野沢菜塩味酸味、みたいな構成要素でバランスをとったあとに野沢菜の酸味を立たせる塩梅を加えて、大枠の味を完成させます。

⑥レシピが綺麗か

相対性理論E=mc2ってシンプルですよね。最終感覚の微調整はしますが、美味しい料理のレシピはみんな綺麗な気がします。誰でも作れるという観点で自分のレシピは全てg表記で統一しています。

最後に

経験の蓄積によって感覚は磨かれるがゆえに、キャリアが遅かった自分は最短最速でレシピを作れるようになるために上記の反復をしてきました。LAMPの前の職場で、お世話になった女性の方に「感覚や美意識を磨くことを忘れるな」と、口すっぱく言われました。料理は本当に楽しいですが、評論家のようになってしまうと途端につまらなくなってしまいます。こだわりもプライドも捨てて楽しむ仕事であり続けられるよう、LAMPを表現の場としていけたらいいなと思います。