こんにちは、人事のれいこです。
LIGで人事を務めて2年弱が経ちました。人事の仕事って採用・研修・評価・福利厚生など多岐にわたるのですが、従業員のコンディション管理もその一つです。
しかし、チームが違うので現場の悩みや課題を掴みづらいし、社員の数が増えて1on1を実施するのも結構大変です。そのうえリモートワークの導入で、普段の様子を見られなくなりました。“メンバーが何を考えているのか”チームリーダー陣も把握しづらくなっている……というのが目下の課題です。
世の中にも同じような悩みを抱えている企業が多いためか「コンディション管理ツール」のニーズが高まっています。テレビやタクシーCMでもよく目にするようになりました。
「コンディション管理ツール」というのは、社員に職場の満足度などのアンケートを取ることで課題を見える化するツールのこと。LIGでも導入を考えたことはあるのですが、やっぱり気になるのは費用とメリット。
どこまでの課題がわかり、どう解決できるのか、
具体的な部分が見えないと導入まではちょっと……。それなりの費用がするツールが多くて、よほどの効果がわからないと「Googleフォームのアンケートでよくない?」って思っちゃうんですよね。
まずは試しに使ってみて効果を実感したい……
そんな声にお答えするコンディション管理ツール、ありました。なんと無料から使える「ハイジ」。置き型社食の「オフィスおかん」で知られる株式会社OKANのサービスです。
無料でいろいろ調査できるということで、さっそく使って何ができてどこまでわかるのかお伝えします(有料プランもあり)。
「ハイジ」とは?
オフィス向け社食サービスで知られる株式会社OKANが提供する、人材定着のための組織改善サービス。日本大学経済学部の櫻井研司准教授との共同調査により「快適な職場環境」「私生活との両立」など、人材定着と関連が強い15の「ハイジーンファクター(衛生要因)」を選定。従業員にスマホやPCから51問の質問に回答してもらうことで、それらを測定し、組織が抱える問題点を明らかにする。
無料導入し、10分のアンケート調査を実施してみた
アンケートの配信設定
ハイジのTOPページにある「無料ではじめる」から登録をしましょう。その後、管理画面からアンケート配信のための初期設定をします。アンケート実施までの流れはこんな感じ。
- 【アンケート実施までの流れ】
- 1.管理画面で回答対象者の名簿を登録(CSVファイルで一括登録可能)
2.部署や拠点などのカテゴライズを設定
3.アンケートの配信開始日と回答期間を設定
4.実施前に社内にアンケートの目的や回答方法などをアナウンス
5.回答開始日に対象者へアンケートの案内メールが送られる
社内アナウンスの文章が、ハイジ内にテンプレートとして用意されています。より多くのメンバーに答えてもらうためには、アンケート実施の背景をきちんと伝える必要があるでしょう。このようにサンプル文があるのは助かります!
アンケートは10分でサクサク答えられる内容
回答者はアンケート案内メールに記載されたURLにログインし、回答することになります。
アンケートは、①会社レベル ②部署レベル ③個人レベル と分かれており、それぞれの課題をサーベイする合計51問で構成されています。
回答はテキスト入力不要で、選択肢をポチポチするだけ。所要時間は10分程度です。
質問内容を一部お見せしましょう。
上記は回答者が働く上で重要視する要素についてですね。5つ選択し、優先度順に並べます。
「会社全体に関する質問」のサンプルはこちら。
「部署に関する質問」では、こういったことが聞かれるんですね。
そして「個人の状態に関する質問」と続きます。
回答率の進捗がわかりやすい
回答状況は管理画面でチェックできます。このように部署ごとに回答率が表示されたり、未回答者もわかります。それをもとにチームリーダーにリマインドを促したり、個人にリマインドしたりします。
結果からわかること
さて、回答期限にしていた一週間が過ぎました!
数字がずらっと並んでいます。第一印象としてはアイコン画像や色分けがされてすごく見やすい。センスがいいですね。
とはいえ大事なのは中身です。さっそく見てみましょう。
レポート結果からは、大きく分けて次の5つがわかります。
- レポートからわかること
- (1)回答率、職場推奨度
(2)年齢や部署別の全体スコア
(3)カテゴリごとのスコア
(4)設問ごとのスコア
(5)「社員が働く上で重視している価値観」ランキング
それぞれの内容とLIGでの結果をみてみましょう。
(1)回答率、職場推奨度
LIGの回答率は68%、職場推奨度は−27.45ptでした。
職場推奨度は「この職場をほかの人にお勧めできるか」という数値で、「推奨者の割合−批判者の割合」で算出されているので、プラスに近い値の方が良いようです。
ハイジ利用企業平均よりは良いようですが、これだけではちょっと判断が難しいかな?
(2)年齢や部署別の全体スコア
会社全体のスコアが部署別に表示されています。背景色の分け方はこんなルールになっています。
【白:問題なし/ピンク:要注意/赤:緊急性が高い】
アンケートを受けたものの数値が出ていない部署がありますね。理由としては、チーム内の回答者が3人以下で、個人の回答が予測される可能性があるため非表示となっているそうです。
LIGのスコアで背景色が赤になっているのは……「教育の体制」でした。教育制度は改善が必要という認識は以前からありましたが、やはり対応が必要だと再認識しました。
「経営への信頼」「最適な人員配置」「適切な評価」「メンタルヘルス」もピンクです。人員配置に不満がある人が多いというのは、意外な結果でした。メンタルヘルスの数値が低いのは、ちょっと心配です。
(3)カテゴリごとのスコア
「IT・作業設備の充実」「良好な人間関係」など、15要素別でそれぞれの個人スコアが数値の低い順に表示されます。そこに課題があると感じている社員が誰なのかが把握できます。
(4)設問ごとのスコア
51質問のスコアがすべてこのページで見れます。「改善緊急度が高い」と結果が出ていた教育体制の中でも、「適切な教育制度が用意されている」の質問スコアが赤の背景になっています。特に不満が強いようですね。
逆に「職場の雰囲気が友好的である」が4.27。全ての質問の中で一番数値が高かったのは嬉しいですね♪ こうやって課題だけでなく、会社の良い部分が再認識できるのも利用のメリットかもしれません。
(5)「社員が働く上で重視している価値観」ランキング
アンケート内の「働く上で重視している価値観」の設問で、全15要素のうち5つを選んでもらっています。その結果をランキングにしたものがこちら。
LIG社員は「良好な人間関係」「やりがい」を重視している人が多いですね。実際社員の仲はいいので、ここはLIGの強みといえます。一方で、「経営への信頼」と「適切な評価」に関しては重視度合いが高く、アンケート結果のスコアがピンク色の「要注意」。この二つは、優先的に改善すべきということがわかります。
その他、回答者全員の個人スコアを閲覧可能。こちらは今回、期間限定の無料体験で利用させていただきました(通常は有料プラン)。
ハイジスタッフとのミーティングで疑問がスッキリ。課題の可視化がありがたい
ハイジの有料プランではスタッフによる改善施策の提案が受けられるそうです。今回そちらも特別に体験させてもらいました!
- 人物紹介:塩崎さん
- 「ハイジ」プロダクトオーナー。NECの子会社、出版社などでプロジェクトマネージャーやディレクターとしてシステム構築やサイト制作に携わったのち、2018年にOKAN入社。2019年7月からハイジチームに。日々脳味噌を酷使するなか、週末は子ども2人と自然の中でたっぷり遊び、脳をきれいにお洗濯している。
れいこ:はじめまして、よろしくお願いします!
塩崎さん:よろしくお願いします! 今回、通常有料プランで作成する結果報告資料の簡易版も作成してきました。ぜひ参考にしてください。
れいこ:ありがとうございます! この結果についてお聞きしたい点が二つあります。まず職場推奨度のスコアが-27.45ptだったのですが、これはどう評価すればいいんでしょうか?
塩崎さん:数値がマイナスでわかりにくいんですが、値がプラスに近い方が良いんです。日本企業の平均は-50〜60ptで、ハイジ導入企業の平均は-34.92ptなんです。LIGさんは自分の会社を他の人にも勧めたいという社員が、他の会社よりも多いということです。素晴らしいですね。
れいこ:よかったー!安心しました。
塩崎さん:点数の分類で見ると、10点満点中7〜8点の人の割合が高いので、彼らの職場満足度を上げられれば数値はもっとよくなると思います。
れいこ:わかりました、ありがとうございます。あともう一点、「メンタルヘルス」の項目の数値が低くて心配です。この結果に対してどんな要因があると読み取れるのでしょうか?
塩崎さん:「職場で生き生きと働けている」の数値は高いですね。おそらく社内評価への不満や、業務に自分のスキルが追いついていないことに不安を持っている人が、一定数いるということだと思います。
れいこ:なるほど、15要素のうち「適切な評価」もピンクでした。人事評価への不満が、メンタルヘルスにも表れている可能性があるということですね。
塩崎さん:アンケート結果から導き出されたLIGさんの組織課題をまとめてみました。れいこさんがお考えになったとおり、人間関係ややりがいはとても評価が高く、働く理由に直結しているようです。
れいこ:ここはこれからも大事にしていきたいですね。
塩崎さん:ただやはり教育制度や人員配置には課題がありそうです。会社のビジョンや戦略を社員にきちんと示すとともに、評価基準を明らかにしたり教育サポートをしたりする必要があると思います。
れいこ:結果を見ただけでは曖昧な理解にとどまっていたところも、こうやって文章や具体的なアドバイスにしてもらうと明確になりますね。
「続けたい仕事を続けられない」を防ぎたい。無料サーベイで課題把握を
社食サービスの次がなぜ組織改善サービス?実はこっちが肝だった
れいこ:「ハイジ」の誕生背景についてお聞きしたいと思います。素朴な疑問なんですが、社食サービス「オフィスおかん」で有名な御社が、なぜ全然違う領域のサービスに乗りだしたんですか?
塩崎さん:やっぱりそこは疑問に思われますよね。きっかけは、「オフィスおかん」を利用していただいている企業の人事・総務担当者から「導入効果が測れない」という声をいただいたことでした。
れいこ:たしかに福利厚生って、「社内の雰囲気が良くなった気がする」といったような、感覚での評価になりがちですね。
塩崎さん:加えて、企業は食事や健康以外にもさまざまな問題を抱えています。それらを可視化するツールが必要だと考え、ハイジを作りました。
れいこ:そういった流れだったんですね。ただ、組織が抱える課題はさまざまです。なぜ人材定着に着目したんですか?
塩崎さん:実は弊社代表の沢木は、前職で仕事が好きすぎるあまり食事をないがしろにして、体を壊してしまったんです。好きな仕事、やりがいのある仕事であっても、家庭や健康、職場の人間関係などの問題で続けられなくなることがある。ハイジはそういった状況を防ぐためのサービスなんです。
れいこ:望まない離職を防ぐということですね。とはいえ、社食とサーベイってちょっとつながらない気が……。普通、新規事業は既存事業に関連するものが多いと思うのですが、OKAN社内ではどのように捉えられているんでしょうか。
塩崎さん:私たちには違和感はないんですよ。弊社には「働く人のライフスタイルを豊かにする」というサービスミッションがあります。ハイジで組織が抱える問題を可視化し、それら問題の解決策の一つとして、オフィスおかんがある、ということです。
れいこ:そうか、むしろハイジが肝なんですね。
塩崎さん:そうなんです! 弊社は今後、コーポレートイメージをHRテックに変えていきたいと思っています。あえて社食からは離れたサービスをやっている、という側面もあります。
心地よく働き続けるための土台作りに着目
れいこ:企業が抱える問題を調べるアンケート型のサービスは他社からもすでにありますが、それらとハイジはどう違うんですか?
塩崎さん:一番の違いは、人材の定着をコンセプトとしていることですね。大学の先生との共同調査をもとに、働きやすさにつながる「衛生要因」の中でも人の定着と関連が大きい15要素を調べられるようにしました。
れいこ:たしかに人材定着にフォーカスしたものって珍しいですね。課題を抱えている企業は多いんでしょうか?
塩崎さん:企業の中には、生産性はある程度高くても、働きやすさややりがいといった衛生要因に問題がある企業が結構多いんです。たとえば看護師さんは仕事にやりがいはあっても、働きやすさに課題を抱えていることが多いですよね。
れいこ:そういう話はよく聞きます。それが改善されないままだと、離職にもつながる可能性がでてきますよね。
塩崎さん:そうなんです。そしてほかのサーベイは衛生要因以外の部分にフォーカスしているものが多いとみています。まずは働き続けるための土台の部分が大丈夫なのか、ハイジを使ってウォッチしてほしいと思っています。
「無料でいいんですか?」と心配の声も。導入企業の上司に物申すことも
れいこ:そこまで手をかけて作ったサービスなのに、大部分を無料にしてしまっていいんですか?
塩崎さん:導入企業さんからも「無料でいいんですか?」ってよく言われます(笑)。2019年7月にサービスをリリースしたあとに無料にしたところ、そこから導入企業数も伸びています。
れいこ:どうして無料にしているんですか?
塩崎さん:サーベイにお金を使うことをためらう企業も多いので、まずは使っていただくために無料にしました。個人の回答結果の表示や弊社からの改善提案などは有料の機能ですが、アンケートをとって結果を見るというベースの部分は、今後も無料のままにするつもりです。
れいこ:それは人事目線からもありがたいですね。ちなみにハイジをフル活用するために、どの項目をチェックすべきかのアドバイスがあれば、ぜひ教えてください。
塩崎さん:レポートの15要素のランキングを見て欲しいですね。社員の方々が働く上で重視しているにもかかわらず、満たされていない部分が浮き彫りになっています。
れいこ:何から改善したらいいのかわからない、という企業にはすごく便利ですね。
塩崎さん:ここを参考にしている企業は多いですね。あとは有料プランではありますが、個人別の結果では背景色が赤になっている、つまりアラートが出ている人がわかるので、その対応も必要です。
れいこ:有料プランだと、今回お話しているような形で、ハイジスタッフからの直接サポートが受けられるんですよね?
塩崎さん:はい、プロフェッショナルプラン(有料)の場合、企業に合わせたレポートを作成・説明して、具体的な対応策をお話しています。
れいこ:報告書を拝見しましたが、すごくわかりやすかったです。あの資料があればチームリーダー陣にも改善を相談しやすいです。
塩崎さん:アンケート結果を伝えても会社が動きづらい場合には、弊社から直接部門の方にお話しすることもできますよ。
れいこ:え? そんなことまでしてもらえるんですか?? それはとても心強いです!
まとめ
今回ハイジを試していて「これが無料?」「OKANさんやっていける? 大丈夫?」と何度も思いました。今回お話をお伺いし、OKANさんにとってハイジが今後の事業展開の基礎になる部分であることと、何より望まない離職を防ぎたいという熱い思いから無料にしているのだとわかりました。今後も遠慮なく使おうと思います(笑)。
- こんな企業におすすめ!
- ・離職に関する問題を抱えており、人材定着に力を入れたい
・採用が上手くいかないので、人材が集まる・定着する組織を作りたい
・ほかのサーベイサービスを使ったがしっくりこない
・組織づくり/組織改善にかける予算がない・無料ツールを探している
無料でここまでわかるなら、使わない手はありません。人事や管理職のみなさま、ぜひご自身の会社の課題発見に役立ててみてください!