LIGのくまこと久松です。早いもので入社して2ヶ月が見えてきました。社員の9割がリモートワークのLIGにあって、オンラインコミュニケーションは生命線となります。今回お話ししたいことは、リモートワークでのコミュニケーションを円滑にする方法です。
オンラインコミュニケーションの難しさ
以前、リモートワークについては下記のようなnoteを書き、「令和の時代にオンラインツール使って関係構築くらいできるでしょ?」「リモートワークにしましょうよ。転職しますよ?」と部下からリモートワーク制度化を強請られる中間管理職の方々を中心にご好評いただきました。
過激化するリモートワーク推進派と、リモートワーク化を前に経営者・労働者が取り組むべき5つの課題
この記事から2ヶ月後、基本リモートワークの会社に転職して関係値を0から作っていくという高難易度事案に自ら晒されることになります。実際に2ヶ月やってみて気付いたこととしては、オンラインコミュニケーションは油断するとオフラインのうちに構築した関係値貯金を消費していく行為であるということです。
リモートワークでは単に作業場所が会社からそれ以外に移るだけではなく、セットで業務効率化が行われる傾向にあります。たとえば会議。オフラインであれば会議室への移動や、会議前後での雑談もありましたが、オンラインではまずありません。
Slackを始めとするチャットツールであっても基本は要件伝達のみなので、そこから業務を越えてパーソナリティを発見していくというのは至難の技です。
その結果どうなるかと言うと、オフラインであれば雰囲気から察することのできる「Aさんは物言いが雑だけど良いやつなんだ」「Bさんは今は忙しくて余裕がないんだ」といった空気を読んだ上での理解の機会が皆無となるため、特に新人にはそれぞれ「感じの悪い人」「仕事の依頼が下手な人」などと捉えられるようになります。誰も得をしないです。そしてこうした「雑な」コミュニケーションの上で業務を遂行できる人は「図太い人」しか残らないのではと考えるに至りました。
オンラインコミュニケーションでは、オフライン以上に丁寧なコミュニケーションが必要です。特にテキストベースのチャットツールでは相手の表情や声のトーンが伝わらない分、より齟齬が発生しやすくなります。では具体的にどうするべきなのか? 2020年にネチケットを並べるのもイモっぽいなということで、ここは一つインターネットインフラの研究者から来た人らしく、通信のプロトコルになぞらえてお話ししたいと思います。
プロトコルとは?:通信プロトコルとコミュニケーション
プロトコルとはコンピュータ同士が通信をする際の手順や企画を記した「約束事」です。このプロトコルに準拠した製品を作ることで相互通信が容易になります。
今回引き合いに出したのはプロトコルの中でもTCPの3ウェイハンドシェイクというものです。なんだか難しそうに聞こえますが図にすると下図のようになります。
①さん:「Aの件について相談して良いですか?」
②さん:「了解です。こちらの準備もできました。話して良いですか?」
①さん:「はい、大丈夫です。」
お互いが反応し、任意の話題について話して大丈夫だという応答をしあってから本題に入るというやり方です。この形式に則れば、オンラインコミュニケーションの基礎としては及第点だと考えます。
続いてアンチパターン、つまり駄目な例について3例挙げます。
アンチパターン:要件は何?
①さん:「今大丈夫ですか?」
②さん:「はい、大丈夫です。どうしましたか?」
①さん:「お忙しいところすみません」
②さん:「はい、大丈夫です。どうしましたか?」
①さん:「ちょっと困っていて」
②さん:「はい、大丈夫です。どうしましたか?」
_人人人人人人人人_
> はじまらない <
> 意思疎通 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
早く、本題を!!!!!!!!!
話しかけられた人に取って非常にストレスがかかるコミュニケーションです。一度のセッションで何について話したいのかをまとめることで、相手も回答する準備ができます。回答に必要な時間も想定できるので、適切な時間に応答することもできます。最初の一言は長すぎても伝わりにくいため、注意が必要です。
同様に本文がやたらと分割されているものも、頭の中で結合しなければならないので注意が必要です。
個人的にはやや長めの件について話しかけるときは、チャットツールに書き込む前に、テキストエディタに下書きをしています。あまりに文が長い場合はより簡潔に伝わるように見返します。たとえば概要のパートと本文で分割し、本文をスレッドに続ける……といったようなことを意識しています。
アンチパターン:そこはわかってほしい
①さん:「サイトB、落ちてませんか?」
②さん:「エラーが出てますね」
①さん:「(えっ……)」
_人人人人人人人人_
> 違う、 <
> そうじゃない <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
アクションしてくれ……頼む……!
前提として「守るべきサイトBがある」と共有されていた状況であれば、①さんが期待しているのはサイトBの復旧であり、事象の解説ではありません。②さんはその前提を加味していれば、一言目に発するべきは「確認します」「対応します」が望ましいと言えます。
①さんについても、誰が応答するかわからない状況であれば「サイトB、落ちてませんか? 対応できる方おられますか?」などと一言要望を加えられれば、さらに円滑なコミュニケーションが期待できます。
アンチパターン:終端がない
①さん:「Cを対応しました。確認してください」
②さん:「確認しますね」
①さん:「お願いします」
①さん:n時間経過(まだかな……)
_人人人人人人人人人人_
> 終わったのかい? <
> 終わってないのかい? <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
どっちなんだい!!!!!?????
開始した通信は必ず終了処理をしなければなりません。3ウェイハンドシェイクでは切断処理と呼ばれます。この切断処理をしないと通信プロトコルでは通常設定されたタイムアウト時間まで待つことになります。オンラインコミュニケーションではさしずめ連絡が来ない相手を我慢できるまで待ち続ける行為に相当します。
こうしたやり取りを深夜の緊急作業などにやると、著しい不信感に繫がります。私自身も、確認相手が寝落ちした経験が多々あり、苦々しく思っていたものです。必ずコミュニケーションを明示的に終えることを意識しましょう。
リモートワークでのコミュニケーションとLife is Good
LIGの文化であるLife is Good。
これはどう捉えたものかとこの2ヶ月考えていたのですが、「機嫌よく働く」というのがイメージとして近いと感じました。
機嫌よく働くための前提としての、気持ちの良いコミュニケーション。ぜひ相手へ話しかけるところから終了するまでの流れを意識して、丁寧なやり取りを意識してみましょう。