こんにちは、ニュージーランドで働くプログラマのはっしーです。
僕がこの国で働きはじめてから、早いもので3年が経ちました。今ではすっかりNZ式の「残業しない!」「年休はどんどん使う!」な働き方に染まってしまった僕ですが、最初はかなり戸惑いがありました。
なにしろ、新卒から5年間も「残業上等!」「休日出勤上等!!」な仕事のやり方を叩き込まれてましたからね。
今回は、そんな僕がNZの職場に就職してから大きな衝撃を受けた言葉をいくつかご紹介します。
この記事を読み終わる頃には、あなたの働き方に関する価値観も変わっているかもしれません!
「もう5時? 遅い時間だから、続きは明日ね」
ある仕事の手順について上司からレクチャーを受けていたときのことです。夕方からレクチャーが始まり、時計を見るともうすぐ5時になろうかというところ。
まだもう少し教わるべき内容が残っていましたが、5時半くらいには終わるかな、と思っていました。
すると上司は突然「あ、もう5時だ! 遅い時間だから、続きは明日にしよう」と切り上げてしまったんです!
僕は別に30分〜1時間くらいは残業しても構わなかったし、上司はけっこう遅くまで仕事をするタイプの人なので、このまま最後まで終わらせるもんだとばかり思っていました。
終業時間をシビアに守る。明日できることは明日に延ばす。
そんなNZ式の働き方が、この言葉から伝わってきましたね。
「どれだけ残業しても仕事は終わらない」
上司と初めての面談をおこなったときのこと。
「この会社で働いていて楽しい?」と聞かれたので、僕は即座に「楽しいですよ! 残業もやらなくていいし、最高ですね」と答えました。
すると上司はこう言ったんです。
「残業はいくらやっても無駄だからね。どれだけ残業しても仕事は終わらないし」
え? どういうこと? 仕事を終わらせるために残業するんじゃないの?
僕は一瞬理解できませんでした。
上司の意味するところはつまりこういうことだったのです。
システム開発では、厳密な意味で仕事を「終わらせる」ことはできない。なぜなら、やればやるほど仕様の穴や小さなバグが見つかるから。新たな機能を実装すれば、そこにはまたバグが入り込むリスクが生まれる。
残業してすべての課題をやっつけるのではなく、残業しない範囲でどこまでやるかを線引きする。それがマネージャーの役割である、と。
時間内に終わらないなら、残業でも休日出勤でもして終わらせるしかない。そんなふうにしか考えていなかった僕の考えが根底から覆る、衝撃的な言葉でした。
「残業って断れないの?」
僕の大学時代の友人から「日本で働いてたときはどんな感じだったの?」と聞かれて、僕はこう返しました。
「毎日残業だらけで大変だったよ! 1日2〜3時間は残業を強いられてたし。平日は遊びに行くこともできなかったね〜」
すると友人は、心底不思議そうに首をかしげながらこう聞いてきたんです。
「日本では残業って断れないの? はっしーはそんなに働きたくなかったんでしょ? それなら、できませんって断ればよかったんじゃないの?」
いや〜、びっくりしましたね。残業を断るなんて発想がそもそもありませんでした。
日本社会にはまだまだ“上司の命令は絶対”という常識が根強いように思われます。基本的には指示に従うべきですが、あまりに多い残業、理不尽な休日出勤にまでつきあう必要はありません。
部下は上司の奴隷ではないし、過度な長時間労働はマネジメントの問題でもあるのです。
上司の言うことに盲目的に従うのではなく、労働者として自分の身は自分で守る意識は持ち続けなきゃいけませんね。
「幸せとは、生きる道そのものである」
最後に、僕の働く会社のカフェテリアに飾ってある言葉をご紹介します。
“HAPPINESS IS NOT A DESTINATION. IT IS A WAY OF LIFE.”
日本語に訳すなら、「幸せとは目的地ではなく、生きる道そのものである」という感じでしょうか。
慣れないスーツを着て毎日満員電車に揺られ、死んだ目をして働き続けていた過去の自分が頭をよぎりました。
土日が来ることだけを楽しみに、平日は長時間残業にひたすら耐える。長期休暇なんてぜったいに無理、のんびりするのは老後になってから。
そんな働き方しか知らなかった僕にとって、この言葉はまさに衝撃でした。
いつ来るかもわからない将来のために働くんじゃない。今を幸せに生きるために、僕らは働くんです。
あなたは、今を幸せに生きていますか?
おわりに
2年以上にわたってLIGさんに連載させていただいてきたコラムも、これで一旦終了となります。
今でこそサラリーマンとしての暮らしを謳歌している僕ですが、ほんの数年前までは長時間労働にあえぐ典型的な社畜でした。
そんな僕が、労働に関する価値観がまったく異なる国に移り住んで受けてきた驚きの数々。過去の自分のように、今の働き方に疑問を感じている誰かの参考になればと思い、情報をお届けしてきたつもりです。
僕のコラムが、みなさんが実際に働き方を変えるためのお役に少しでも立てたのなら、とてもうれしく思います。
これまでお読みいただきありがとうございました。
それではまた、どこかでお会いしましょう!!