開発コストを削減「ラボ開発」って?
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2017.08.26
#21
サイハテ村通信

「好きなことだけして生きる」を可能にする?ベーシックインカムとサイハテ村の小さな一歩

ゆうき

こんにちは!

熊本三角エコビレッジサイハテ住人のゆうきです。

 

突然ですが、
 
「もしもひとつだけ願いが叶うなら?」
 
誰しも一度は考えたことがあるこの問いに、あなたならなんて答えますか?

 

「大金持ちになりたい」
「世界平和」
「超能力が欲しい」



人それぞれいろんな答えがありますが、サイハテ村の住人の中で、面白い回答をしてくれたのはパーマカルチャーデザイナーのチコでした。

 

パーマカルチャーデザイナーとは?
「パーマカルチャー」とは、パーマネント(永続性)と農業(アグリカルチャー)、文化(カルチャー)を組み合わせた言葉。パーマカルチャーデザイナーは、ざっくり言うと自然環境や生き物がそれぞれの役割を十二分に発揮し、互いを搾取したり汚染したりすることなく永続するシステムを考える人のこと。

 

彼は「2〜3年で良いから人間に“しなければいけないもの”を無くして欲しい。」と答えました。

 

チコは「自然界で人間だけが不自然な活動をしている」と言います。

 

それはきっと、人間は常に「何かをしなければいけない」社会の中に生きているからなのかも。

 

「お好きにどうぞ」のリアル

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サイハテ村は、2011年の開村当初から「お好きにどうぞ」を合言葉に、ルールもなくリーダーもいないコミュニティ作りをして来ました。これは僕らにとってまさに人生を賭けた社会実験です。

 

組織と呼べるような仕組みはなく、それぞれが毎日「自分のやりたいこと」をすればどんなコミュニティが形成されていくのかを実践、検証しているのです。

 

そんなサイハテ村で僕らは自由に生きているのでしょうか?

 

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答えは、半分正解で、半分違います

 

僕らには日々の暮らしを選択できる自由はありますが、経済的な理由から、やりたいことだけをやれる自由は今のところないからです。

 

これは、自由を求め、田舎暮らしを始めた方がぶつかる課題でもあります。

 

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野菜づくりや家づくり、アート活動や子育てなど、やりたいことは沢山あるのですが、最低限生きていくために「お金を稼ぐ」という経済活動からは逃げられない。ましてや田舎や山の中でお金を稼ぐことは、バイト先が無かったり、賃金が安かったり、市場がなかったりと想像以上に大変なこと。

 

結果、経済活動をする為に思考や時間、行動などのエネルギーが大量に使われることになり、クリエイティブな感覚やモチベーションが大きく損なわれていると感じています。

 

人間はこのシステムから逃れることはできないのでしょうか?

 

世界に広がる新システム?!

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この解決されそうにない、「やりたくない労働をしなければいけない社会問題」を解決し、人類の生き方を大きく変える新しい社会保障制度が注目を集めています。それが、

 

ベーシックインカム!

 

ベーシックインカムとは、政府が国民に対して「最低限の生活に必要な資金」を定期的に無条件で支給するという社会保障制度で、生きていくために最低限の資金をもらうことになるので、食べるのに困ることがなくなり、「無意味な労働」が減ると考えられています。

 

無意味な労働って?

オックスフォード大学のオズボーン准教授が、「人工知能によって、10〜20年後、約47パーセントの仕事がなくなる」と予測をしたことから分かるように、今後、人間がする必要がある労働がなくなっていくのです。

 

こういった社会ではある意味、人間は機械ができる仕事はしなくなり、よりクリエイティブで自分がやりたいことをやらざるを得なくなります。

 

かの有名な、テスラやSpaceXの創業者であるイーロン・マスク氏も「機械による作業の自動化が進めば、国は(ベーシックインカムを実施するのに)十分な資金を手に入れることが可能であり、機能する」と語り、世界規模でのベーシックインカムの到来を予測しています。

 

ベーシックインカム実験を行う国々

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2017年はベーシックインカムが機能するのかが分かる年になると言われています。それは、世界の様々な国や地域、企業が導入実験を進め始めたからです。

 

オランダで4番目に大きな都市ユトレヒトでは、政府から生活保護を受け取っている人々に対して相手が成人ならば約1000ドル(約12万円)、妻帯者や妻子持ちには約1450ドル(約18万円)を毎月無償で給付する計画が進んでいます。

 

他にもフィンランドでは、2000人の失業者に対して、およそ600ドル(約6万8000円)を毎月支給する。と言うものや、インドでは6000人を超える人々に導入実験を行ってきました。他にもケニヤ、オークランド、イタリア、カナダの一部の地域でも国や企業の導入実験が進んでいます。

 

正直な所、日本でもサイハテ村でベーシックインカムを導入実験したいって言う企業がいたらいいのに。

 

自由を手にした人間はどうなるのか?

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ベーシックインカム最大のテーマはまさにこれでしょう。「自由を手にした人間はどうなるのか?」人類の有史以来、全ての人に働かなくてもお金がもらえ最低限の近代的生活が保証された時代はありません。人は労働意欲を失い、自堕落な人間になってしまうのでしょうか?

 

僕は、もちろんそうなる人も一定数いると思っています。そもそも完璧なシステムなんてあり得ないですし、アリだって働かないアリもいるくらいです。普段働かないアリがいることで全滅を防いでいるってのは人間も同じだと思います。

 

それにベーシックインカムは最低限の生活保障なので、もう20万円稼いで旅行に行きたい、とか美味しいものを食べたいって思う人のが圧倒的に多い気がしませんか?

 

要は、“好きでもないことをしなければいけない世界”よりも“好きなことをしても良い世界”の方が、労働意欲は間違いなくかき立てられるでしょってこと!

 

サイハテ村の新プロジェクト“colomo”

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そんな中、サイハテ村では自分たちでベーシックインカムのような社会保障システムは作れないかと検討してきましたが、衣食住の“衣”を活動の中心にしている3人の服飾デザイナーが面白いプロジェクトを始動させるようです! それが新プロジェクト、

 

“colomo”です!

 

“colomo”とは、サイハテ村住人である3人のデザイナー(chihiro、UG、yuu)によるギルド(職人組合)のようなもので、3人の経済活動は全て一つの財布に納められます。今まではそれぞれが個別に活動してきたのですが、コミュニティ内においては競争意識が芽生えたり、1人で制作、営業、ブランディング、EC対応など全てをするにはハードルが高かったりで、それなら3人でやろう! となったわけです。

 

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ここまではどこにでもあるようなチーム運営ですが、“colomo”が取り決めた利益分配方法が少し変わっていました。それは、それぞれ最低限の生活費を基準にするというもの。

 

chihiroが最低限必要な生活費は9万円、UGは7万円、yuuはパートナーが生活費を稼いでくるので、4万円に設定したそうです。月20万円稼げば生活は破綻しないという訳ですね。

 

20万以上売り上げがあった時は、分配額が少ない人から再分配していくそうです。ところで、なぜ彼女たちは“colomo”を始めることにしたのでしょうか?

 

競争から共創意識へ

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サイハテ村では「お好きにどうぞ」というコンセプトがあったため、好きなときに好きなことをするという独自の文化が生まれていきました。そのため個人プレーが目立ちます。これはこれで自立精神を鍛えるには好都合だったのですが、コミュニティを発展させて行くためには仲間と手を取り合って行くことも大事です。

 

そんなの当たり前だろと言われてしまいそうですが、僕らはルールもリーダーもいない特殊な環境下で暮らしています。30人近い共同体ではどんなことが起こり、どんな感情が生まれ、どんな課題をクリアしていくのかを頭ではなく、日々実体験として学んでいるのです。

 

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実際“colomo”構想が生まれまだ1ヶ月も立っていませんが、3人の活動は驚くほど変化しています。

 

自分だけのためではなく、仲間のために自分は何ができるのか? そんなことを日々考えながら一緒に作品を考えたり、共同の新しいアトリエを作り出したりしている3人は本当に幸せそうです。

 

釈然と生きる

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コミュニティマネージャーという視点からコミュニティを観察していると、人間というのは本当に面白い生き物だと感じます。自由を求めていると思えば、仲間のために自由を犠牲にしてみたり、自立するだけではなく、いい意味で依存しあったり。

 

最後に、“colomo”を通してどんな暮らしを実現したいのか? 発案者であるyuuに聞いてみました。

 

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「私はただ釈然と生きたいだけ。“釈然”っていうのは、疑い・恨みなどが消えて心が晴れ晴れするさまのことを言うんだけど、私たちは毎日晴れ晴れした気持ちで暮らしを営みたい。そのために自分たちでできることを考えてやってみる。仕組みがうまくいくか先のことはよく分からないけど、、今私たちは釈然とした暮らしに向かっています。」

 

ベーシックインカムは「好きなことをすることが許された世界」。“colomo”は好きなことをして生きていくために生まれたプロジェクト。サイハテ流の社会保証制度のような仕組みになるのでしょうか? 結果はまたレポートしたいと思います!

 

“colomo”の作品を見てみる→“colomostore”

 

-Fin-

 

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