水田・畑・漁の課題を解決!地方創生ITビジネスモデル3選

阿部 愛


水田・畑・漁の課題を解決!地方創生ITビジネスモデル3選

こんにちは。DevRelチャンネル外部ライターの阿部です。人生の殆どの時間を東京で費やしています。

それ故に感じる、海であったり、山であったり、農家であったりの憧れ……。都会にいると経験できない素晴らしい所もあれば、その土地ならではの改善すべき所もあるんだろうな、と思うわけです。

そんなこともあり、その現場の課題解決に取り組んでいる方たちのお話を聞いてみようと思い立ち、取材をしてきました。都会にいては気づけない地方の課題に真っ向から立ち向かっているプロダクトをご紹介したいと思います!

【水田】スマホアプリから水位を調整できる「paditch」

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お米作りに必要な農作業は機械によってほとんど効率化されていますが、田んぼに適切な量の水をいれる作業は今も手作業なのがほとんどだそう。そのような背景があり、スマートフォン用アプリから水量を調節する機械を操作できるサービス「paditch(パディッチ)」が生まれました。

 
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このアプリは、アプリ内から田んぼの水量を確認できるため、毎日田んぼを回らなくても水管理作業をおこなえるのだそう。深夜や早朝の水入れ作業も、タイマー機能により一括でおこなえます。

これまでは、ベテランの農家が田んぼへ足を運び、水量や天気を確認して、水を目視で入れていました。「paditch」を使うことで、ベテランの目利きに頼っていた部分も解消されます。

高齢化に伴い廃業の危機だったが、負担が減った

近年では、地方の高齢化に伴い、小さな農家がどんどん廃業しています。農地は地域の大手の農家が請負うことが多いため、廃業した農地は元気な農家に集まります。すると、管理する田んぼのも増えます。しかし、すぐに人は増やせません。

 
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例えば50枚の田んぼなら、毎日50箇所の水量をチェックすることになります。広さにして、だいたい5ヘクタール。これは東京ドーム約1個分に相当するほど大きなものです。田んぼ同士が隣接していないと、車での移動が必要になってくるでしょう。こういった移動や確認の時間的なコストを、「paditch」により大幅に削減できるようになりました。

また、これまで「もぐらが田んぼに穴をあけてしまい、気づいたら水が抜けてしまっている」なんてことにも悩まされそうですが、水が減るとアラートが鳴るため、すぐに様子を見に行けるようになったのだとか。技術で農作業の効率化ができるのって、とても素敵ですね。

【畑】種や農薬のまき過ぎ・まき忘れを防止するアプリ「AgriBus-NAVI」

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AgriBus-NAVI」は、農業機械をまっすぐ&等間隔に走らせて、種や肥料、農薬のまき忘れを減らす農作業用の位置情報サービスです。

まき過ぎも防げるので、何度も散布したり、コストを余分にかけたりすることを防げます。場合によっては、1シーズンで散布に百万円以上かかることもあるそうです。

 
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「AgriBus-NAVI」はAndroidアプリです。GPSを搭載したスマートフォンを農業の機械に置くだけで使えます

ガイドがないと、どこを走っているかを把握することが非常に難しいのです。そこを、基準になる線を見ながら運転することで、まっすぐ等間隔に作業することが可能になりました。

「AgriBus-NAVI」は車で走ったところを地図上で塗りつぶしてくれるため、農地のどこをどのくらい走っているかをすぐにモニターで確認できます。

畑でまっすぐ走ることで効率がよくなる

農業用の機械は、小回りがききにくいのがほとんど。そのためまっすぐ走った方が故障しにくく、効率も良くなります。農業機械は、1台1千万円以上するものも少なくありません。修理代も高額です。機械を長期間に渡って使用することを考えると、メンテナンス面でもコスト削減につながります。

 
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「AgriBus-NAVI」を開発した株式会社農業情報設計社の濱田さんによると、ブラジルやアメリカなど、海外からのダウンロードが9割以上で、大きな農家だけではなく、小さな農家からも受け入れられているとのこと。こういった取り組み自体は今までもありましたが、高額で最低でも数十万、オプションを付けると数百万になることもあったのだとか。

「AgriBus-NAVI」はAndroidにインストールできるため、必要に応じて精度の高いGPS(安いもので10,000円程、高精度の物で250,000円程度)を追加することで、GPSガイダンスシステムの低コストかつシンプルになりました。

 
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目下の課題は「高精度なGPSをより安価に」ということで、現在専用のGPSを開発中だそうです。開発中のGPSはセンチ単位の超高精度で、初期費用無償の月額課金モデル。「AgriBus-NAVI」はGPSの世界も変えようとしています!

【漁】東日本の漁師を豊かに!「水産×IT」

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東日本大震災の津波により、福島、宮城、岩手の漁業がダメージを受けました。もともとは牡蠣の養殖が盛んな地域でしたが、津波で海底をえぐられて潮流が変わってしまい、漁師が長年の勘で当てていた漁場が見つかりにくくなってしまいました

 
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この課題を解決するために、「水産×IT」というプロジェクトがスタート。これは、水温や塩分、潮流、海の栄養分であるクロロフィルといった各種データを取得できるセンサーをつけたブイ(浮標)を浮かべて、データを取得しクラウドサーバへ保存するというシステムです。

 

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取得したデータや気象庁が公開している全国の潮位データと組み合わせ、今後の海の予測が可能に。これらのデータは「ブイログ」というアプリから確認できるようになりました。

津波により長年の経験を生かせなかったが、予測を立てられるようになった

ただでさえハードワークである漁師らですが、長年の経験と勘がなかなか生かせなくなり、新たな漁場を見つけるために朝、昼、晩と漁場に出ています。その結果、海に出る時間が増えて、ますます休みにくくなってしまいました。しかし、データから予測を立てられれば、作業時間を以前よりも抑えやすくなりますよね。

 
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また、ビッグデータを解析していくことで、牡蠣の品質を上げたり、牡蠣の品質を一定に保てるようになります。漁獲高もある一定とれれば、販売価格も安定していき、漁師も豊かな生活を送れるようになる。これが、水産×ITの取組の目標だそうです。

現在、研究開発中のこちらのプロダクトですが、ブイが台風で流されてしまったり、海草が絡まってデータが上手く取れなかったりといろいろな課題もあるとのこと。GPSセンサーをつけたり、メンテナンスのスケジュールを立てたりと、日々PDCAを回しながら、より完璧なかたちに近づいているそうです!

おわりに

ということで、水田・畑・漁で活用されているテクノロジーを紹介しました。さまざまな業務をITやテクノロジーによって効率化することで、農家や漁業の方が大切な作業に集中できるようにしたい。そんな開発者の「役に立ちたい思い」がたくさん詰まったプロダクトでしたね。

どのプロダクトも効率化だけではなく、今までにない価値が加わっていることも魅力的です。これからどのように現場が変わっていくか、とても楽しみですね!

 

ご協力いただいた方々
paditch」株式会社笑農和 下村 豪徳 様
AgriBus-NAVI」株式会社農業情報設計社 濱田 安之 様
水産×IT」アンデックス株式会社 三嶋 順 様

ありがとうございました!

阿部 愛
この記事を書いた人

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