NTTドコモ様_dカーシェア
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2016.05.17
#2
あのサービスの裏側

クラウドソーシングは地方で生きるエンジニアのセーフティーネットになりえるか?

Taka

はじめまして、DevRelチャンネル外部ライターのTakaです。クラウドソーシングを使い、岩手でスマホアプリの受託開発をしています。

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これがオフィスから見える景色です。雄大な牧草地の奥に、富士山に似た岩手山があります。とても静かなので開発に没頭するにはもってこいですね。

さて、近頃「クラウドソーシングは地方の働き方を変える一つの鍵になる」といったニュースを聞くことが多くなったように感じます。2015年はクラウドソーシングにとって変化の年だったのではないでしょうか? 

クラウドワークスが上場してランサーズが10億円を超える資金を調達し、2015年8月には 「フリーランスが最も働きやすい島化計画」を開始するなどの地方と連携した事業も増えてきました。

一方で、クラウドソーシングは単価が安い、買い叩かれる、トラブルが多いなど問題も目立ってきているように感じます。今回は、実際に1年間クラウドソーシングを使ってみた私が、地方で生きる1人のエンジニアとして、クラウドソーシングを使って地方で生きていけるのか?ということをお伝えします。

セーフティーネットになり得るには何が必要か?

働く上で大事なのが、セーフティーネット(安全網)を張ることです。セーフティーネットとはその名の通り、網の目のように救済策を張り、最悪の事態を避けること。安全と安心を提供するための仕組みです。

クラウドソーシングの受注者としての安全と安心を考えてみると以下の点が挙げられるかと思います。

  • 安全
    • お金が確実に振り込まれる
    • 生活できるレベルで収入がある
  • 安心
    • 案件が潤沢にある・定期的に獲得できる
    • トラブルが起きたときに相談できる

これらの項目がクラウドソーシングでは保障されるか、実際に1年間使ってきた僕の経験をお伝えします。

1年間クラウドソーシングを使ってみた感想

お金が確実に振り込まれる→YES

クラウドソーシングを使うメリットの1つでエスクロー(仮払い)の仕組みがあります。

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一般的な仕事での報酬のやりとりは、仕事が終わった段階で請求書を送付し、入金を依頼します。信頼があってこそできるやり方です。エスクローでは、仕事をおこなう前にクラウドソーシング運営者が一旦代金をお預かりし、仕事が完了後クラウドソーシング運営者から報酬が支払われる仕組みです。

仕事をしたのにお金が払ってもらえないといったトラブルを防ぐことができます。小さい会社だと1つ支払いがなくなるだけでもダメージは大きいため、なかなか取引先を増やすことは難しいです。しかし、エスクローの仕組があれば初めての取引でも安心して契約できます。

生活できるレベルでの収入がある→YES

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私はスマートフォンのアプリ開発をメインで受注していたのですが、大体相場は簡単なアプリで30万~50万円、複雑ものだと100万を超える感じでした。正直、首都圏の企業で働いていたときと比べると、相場は半分もいっていないのが現状です。

そのため、会社としてやるにはまだまだ厳しいですが、「誰でも提案できる・仕事を自由に選べる・時間と場所にこだわらずに働ける」というメリットを考えると、フリーランスでやる分には十分に思えました。注意としては、平均で受注までに2週間、納品までは2ヶ月ほどかかるので、なるべく早めに提案活動をおこない計画的に案件を確保していく必要があります。

最近だとランサーズの依頼総額も800億円を突破する(2016年4月現在)など飛躍的に伸びていることから、依頼の件数も多くなり、相場も若干高くなってきているため、働く環境として改善していると思います。

案件が潤沢にある・定期的に獲得できる→YES

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2014年の8月から本格的に使いはじめ、最初はひたすら提案していました。だいたい20件提案して、5件くらい返信がきます。そこからやりとりを続け、プランを提示し、やっと1件決まるかどうかという感じでした。

それでも、使いはじめて1ヶ月で3案件獲得しました。これは凄いと感じています。これはクラウドソーシングに限った話しではないですが、実際には、この案件を回すのは難しいです。リモートワークだからという理由もありますが、お客さんとの信頼関係を築きにくい、要件や仕様の調整に時間がかかるという問題があります。メッセージの返信が遅く仕様が決まらないので、ズルズル遅れるケースもあります。

内部的な問題としても、少ない人数で案件を回した際に、1つの遅れが全体に影響しやすい、カバーし合える体制がないという問題があります。なるべく契約や体力でカバーすることが多かったのですが、複数人でチームとしてやる場合は、強いチームでないと毎回プロジェクトを成功に導くのは難しいと感じました。

トラブルが起きたときに相談できる→NO

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プロジェクトにはトラブルがつきものです。ただ、中には悪質なケースもあり、仕様変更するけどお金は払ってくれない、なかなか連絡を取ることができない場合などがあります。私は1度、度重なる仕様変更で、トラブルになったことがありました。そのときはサポートに連絡しても、「本人同士の話し合いで解決ください」と言われました。

ここは、まだサポートが充実していないという気はしていますが、後々考えてみると最後は自己責任であるべきだと思っています。クラウドソーシングの運営会社は裁判所ではないので、途中で仲裁に入ったとしても、どちらが正しいということを判断はできないと思います。

そのためトラブルについては、自分で契約の仕方を工夫する、初めての取引はプロジェクトを細かい単位で契約する、やり取りは文章で残すなど工夫できるポイントはいくつかあるので、発注者も受注者もトラブルへの対策は事前に想定しておくのがよさそうです。

利用したサービス

主に2つのサービスを利用していました。クラウドソーシングのサービスを本当にざっくり分けると、仕事のカテゴリが幅広い総合型と、デザインやライティングなど何かに特化した特化型にわけられ、私は規模が大きい総合型を利用していました。

【総合型】ランサーズ(メインで使用)

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http://www.lancers.jp/

ご存知の方が多いと思うのですが、国内老舗のクラウドソーシングサービスです。2008年からサービスを提供しています。クラウドワークスと比べると、現在の契約状況が見づらかったり、メッセージ画面に辿り着きづらいなど問題がありましたが、最近デザインが一新されかなり使いやすくなりました!

ランサーズストアというサービスも開始し、「依頼を請ける」から「依頼して欲しい案件を売る」という新しい仕組みも始まりました。

メインでランサーズを使っていたのですが、理由としては3つあります。

  1. 案件数が多い
  2. 認定ランサー制度
  3. Lancer Of The Yearがある

 
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「Lancer Of The Year」について補足すると、2015年から始まった取り組みで、「新しい働き方」実践者たちの祭典です。今年(2016年)は渋谷のヒカリエで開催され全国のフリーランス約100人が集まるイベントになりました。

実は、私は去年(2015年)に「 地域を元気にするランサー賞 」を受賞いたしました。岩手で学生を巻き込み、クラウドソーシングを実践し岩手にエンジニアを増やすという活動が評価されました。積極的にフリーランサーを応援する、交流する取り組みを行っており、社員とランサーが非常に近いです。

 
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また、今年(2016年)は「内閣総理大臣夫人 安倍昭恵氏」の基調講演もあり、規模が大きくなっている印象を受けました!

【総合型】クラウドワークス

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http://crowdworks.jp/

ランサーズと機能的には殆ど変わらないのですが、UI・UXがすごくいいので使いやすいです。マイページに契約一覧やランキングの情報がでて来ているのが個人的には特に気に入っています。特にランキングは週と一ヶ月単位で更新されるので、新しく初めたユーザがすぐにランキングに乗ることができます。

また、上場したことで、一般の人がクラウドソーシングを知るきっかけとして、大きなインパクトを生み出しました。

クラウドソーシング協会の設立やアンバサダー制度など新しい取り組みを次々に続けています。最近だと、大手企業の仕事をフリーランサーが請けるための仕組みを作るために、「 クラウドテック 」という会社を立ち上げており、最初は常駐から始まり、徐々にリモートワークに移行するという仕組みなので今後に注目です。

【特化型】gengo

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https://gengo.com/ja/

クラウドソーシング翻訳サービスです。受注側はやったことがないですが、発注側で試しました。

AppStoreへアプリを申請する際に、ちょっと込み入った話しをしなければならないけど、ちゃんと英語が伝わるか不安だったので、試してみました。8時間くらいで依頼してから原稿が完成したので、これは凄いと思いました。

【特化型】ビザスク

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https://service.visasq.com/

スポットコンサルティングサービスで、課題を持つビジネスパーソン(=クライアント)と、専門的な情報や豊富なビジネス経験を持つビジネスパーソン(=アドバイザー)が、「1時間の電話/対面会議(=スポットコンサル)」という形で出会う機会を提供しています。

専門家に相談したいことを簡単な操作で受発注できるようになりました。

結論:スキルさえあればセーフティーネットになり得る

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私の会社では、2014年から2015年までの1年間に22案件をクラウドソーシング経由で受注しました。トラブル対応はもちろん自己責任となりますが、そこの対策さえしっかりとおこなえば、私は地方で働くエンジニアにとってクラウドソーシングはセーフティーネットになり得ると感じています。

人脈や信用がなくても、スキルさえあれば案件を獲得できるプラットフォームだからです。クラウドソーシングがなかった時代だと、東京でやっていた仕事は地方にはありませんでした。今では、東京のエンジニアは地方に帰っても仕事を続けられる環境があります。地方はだいたい車社会なので、通勤が楽というメリットもあります。満員電車で消耗することもありません。ほかにもさまざまなメリットを感じながら働けます。

地方で活躍するエンジニアが増えると地方はもっと盛り上がると思っているので、あなたもいかがでしょうか? それでは、また!