営業の枠から飛び出せ!
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2016.01.29
LIG PR
#7
働き方インタビュー(エンジニア編)

「マッチングは恋愛の科学」出会いをつくる開発体制と2.5歩先を読むマネジメント論| ネットマーケティング

小田直美

こんにちは、ライターのおだです。

26歳になってから「結婚しました♡」と書かれた年賀状をもらう回数がぐっと増えました。忙しく働きながらどうやって運命の出会いをつかんでいるのか、友人に聞いてみるとほとんどがネットだと答えます。

なかでも代表的なサービスは株式会社ネットマーケティングが運営する「Omiai」です。会員数が100万人を超えるマッチングサービスは、Facebookを通じた本人認証と友達情報を認識するシステムが“プライバシーに配慮したサービス設計”としてユーザーから支持を集めています。

Omiaiの事業本部長兼開発者であり同社のCTOを務める柿田氏は「マッチングサービスの肝は恋愛を科学するアルゴリズム開発です」と話し、常に部下の2.5歩先を見据えて開発方針を決めているそうです。出会いの可能性を拡張するOmiaiの開発体制、そして“未来を読む”マネジメント論についてお話を伺いました。

Poole:アイコン_ネットマーケティング様 人物紹介:柿田 明彦氏
東京都立大学卒業後、3年間の自由人を経て、2001年に株式会社アドウェブに入社し、3年後の2004年に取締役として株式会社エスツーソフトの立ち上げに参画。その後、2012年12月、株式会社ネットマーケティングに入社し、2013年7月よりメディア事業「Omiai」事業本部長兼CTOに就任。現在、広告事業の「ALLADiN」、メディア事業「Switch.」の全自社サービスのエンジニアを統括している。

「画面をスクロールさせたら勝ち」恋愛を科学してマッチングの精度を上げる

ネットマーケティング様_02

Omiaiは自分の趣向や異性の好みなど、複数のプロフィール項目の入力から始まります。その情報をもとに相性の良い相手がお見合い相手のように都度紹介されるのが、同サービスのマッチングの仕組みです。では、実際どのようにこのマッチングのアルゴリズムは設計されているのでしょうか。

柿田
マッチングのアルゴリズム設計を僕らはよく“恋愛を科学する”と表現しています。例えば、たばこを吸う人には同じ喫煙者のほうがマッチング率は高い。男性は意外と女性の身長を気にする。女性は男性の血液型を気にする、とか。マッチング率を高める相性の要素を細かく積み重ねていき、よりフィットする出会いをつくるイメージで設計していくのです。

登録データを照合するアルゴリズム以外にも、ユーザーがより良い相手と出会うための施策があるそうです。なかでもプロフィール画像の表示は、サービス継続利用の決め手になるといいます。

柿田
Omiaiの登録後、特に男性ユーザーに欠かせないのがマッチング相手の女性のリストです。スマホで見たときは4枚のプロフィール画像が表示されますが、そこにどういう女性を表示するかが継続して使ってもらえるかどうかの重要な決め手になる。

表示された後、第一印象で「いいな」と思ってスクロールさせたら勝ちなんです。適切な相手をスピーディに表示するため月に何回もチューニングを行います。

マッチングサービスの醍醐味は、自分でも想像しなかった相手と出会える可能性にあります。このような施策の積み重ねは「難しさとおもしろさが共存している」と柿田氏は話します。

柿田
Omiaiを一言で表現すると“恋愛を指南する”という言葉が最も近いと思っています。「あなたにはこういう人が合うかもしれませんよ?」と気付かせてあげるんです。ユーザーはただ情報を共有されているように見えるかもしれませんが、実際には出会いをレコメンドしている、ということですね。

それをいかにスピーディに表示させるかは難しくもあるし、おもしろくもある。このトライ&エラーを楽しめる人であれば、マッチングサービス設計の醍醐味を感じられるのではないでしょうか。

「これ、使いたくなると思う?」コンセプトに反する開発はユーザー視点ではない

サービス開発者の永遠の課題である使いやすさを日々研究している同社の開発チーム。膨大なユーザーデータ数を保有するOmiaiにとって「“検索結果が表示されるまでの、0.1秒の差をいかに縮めるか”が勝負になる」と柿田氏は語ります。

柿田
弊社のアプリは他社と比べてまだまだ検索のスピードに課題があります。今は2〜3秒で表示されるようになりましたが、昔は12秒もかかっていたんですよ。

現状にたどり着くまで数えきれないほどの施策を試してきましたが、きっかけになったのは社長の一言でした。2つのスマフォを並べて他社と自社のアプリを同時に開いて「柿田くん、この12秒を見てよ。これで使いたくなると思う?」と言われて開発者魂に火がついたんです。

バッチ処理であらかじめつくっておこうか、でもそれも何だか負けた気がするからNoSQLを使ってみようか……。0.1秒を短縮するために余計なものを削ぎ落とす作業を延々と繰り返しました。

※バッチ処理:一定期間(もしくは一定量)データを集め、まとめて一括処理を行う処理方式。または、複数の手順からなる処理において、あらかじめ一連の手順を登録しておき、自動的に連続処理を行う処理方式。

引用元:IT用語辞典 e-Words

さまざまな施策を試してきた結果、サービスのコンセプトにあった開発こそがユーザーに使われる機能だと学んだ柿田氏。この考え方に至るまでにはもう1つ、新機能の廃止という苦い失敗経験がありました。

柿田
一番大きく失敗したのが友達紹介機能です。ユーザーに継続して使ってもらうことが大事なので、ゲームからインスパイアされて取り込む機能が多いんですね。例えば3日連続でログインするとボーナスがもらえるようなゲーミフィケーション要素のある機能です。

それで2ヶ月ぐらいかけて、もうチーム全員が「これ絶対イケますね!」と自信たっぷりでリリースしたのが友達紹介機能でした。でも、これがまったく流行らなくて(笑)想定ではヘビーユーザーの3割ぐらいは使ってくれると思っていたんですけど、実際には0.2%のユーザーしか使いませんでした。

そもそもマッチングサービスって、友達にバレたくないと思っている人が多いんです。他社さんと同様に、そうしたプライバシーへの配慮を僕ら自身もアピールしていたにも関わらず、機能の良さありきだけでサービスのコンセプトと真逆なことをやってしまった。

ユーザーに支持されている匿名性を欠いた結果、理論上は成功するはずだった機能は廃止となりました。柿田氏は「新機能のKPIを事前に算段していなかったのが原因」と当時を振り返ります。

柿田
開発者本人が友達紹介機能を外す敗戦処理をやったんですが、もう泣きながらコメントアウトしていくような姿を見ているのは正直つらかったですね。

昔はリリースした新機能を深追いして、意味もなくブラッシュアップを繰り返して、マッチングサービスに刺さらないものを追っていた。この経験があったから、今では撤回する基準をあらかじ決めるようにしています。リリースして大体3日間のKPIで判断すれば、失敗したとしても心の傷は小さくて済みますからね。

※コメントアウト:プログラムのソースコードやソフトウェアの設定ファイルなどを部分的に修正する時に、消したい内容を実際に消してしまうのではなく、コメント化することで一時的に機能しないようにすること。

引用元:IT用語辞典 e-Words

「ネットマーケティングから卒業してもいい」CTOは開発メンバーの2.5歩先にチャレンジする

ネットマーケティング様_01

CTOである柿田氏は、前述のような施策の判断や技術選定をする役割を担っています。チーム全体の指針に関わる決断では「開発メンバーの2.5歩先を意識している」と話しますが、どのように先を読む力を身につけているのでしょうか。

柿田
一応、CTOという役職なので開発体制や方針は僕が決めます。常に意識しているのは、メンバーが“2.5歩先にチャレンジしていけるような仕組み”です。僕のなかでも理想とするゴールはあるんですが、今いるメンバーのスキルでそれらをすべて実現できるわけではありません。したがって現状のスキルから2.5歩先を想像して、そこから逆算して半年・1年・2年と辿りつくべきマイルストーンを設定しています。

例えば、サーバー開発はPHPを主言語にしてきたメンバーが多いので、JavaやRubyのようなオブジェクト指向があって共通化しやすい言語にチャレンジしていく。その後さらにイケてるフレームワークを自前に描いていけるようにする。つまり、「今の自分にある知見+α」を考えるようにするんです。

技術は進化していくものなので、市場感・流行り・廃りをチェックしながら選定していく必要がありますが、現在はPHPよりカチッとつくれるJavaを理解して、それからScalaなのか何なのかは全員の成長度合いを見ながら決めていきたいですね。

柿田氏は開発メンバーに対して、特定の技術領域ではなく全員が何でもできるようなフルスタックになることを望んでいるそうです。「エンジニアを輩出する基盤になっていけばいいと思っている」と話す背景には、エンジニアに欠かせないスキルアップの考え方がありました。

柿田
AKB48じゃないですけど、時期がきたらネットマーケティングから卒業してもいいと思っているんです。これはあくまで僕個人の考えなので、会社として言ってしまうと怒られるかもしれないんですが(笑)

若ければ若いほど、3年後・5年後に新しくやりたいことが絶対出てくるでしょうし、働き盛りの人がベンチャーで定年まで働くのは難しい部分もあるのではないでしょうか。

一方で、マネジメントする側としては怖い気持ちもあります。どんどんスキルを得ていって、フルスタックになってどこでもやっていける人になるわけですからね。ネットマーケティングなんて見切りをつけて、さっさといなくなってしまうかもしれない。

だけど、そうした文化ができてくれば新しく入った人も同じように育つので、血の入れ替えがうまくできるんだと考えるようにしています。

エンジニアである限り、最初に身につけた言語以外のトレンドや最新技術を追い続ける力を身に付けることが、本人のためにもなるし会社のためにもなります。言語や領域を問わず良いものは良いんだと吸収していくようなチームづくりをしていきたいですね。

「このサービスのおかげで運命の人に出会えた」SIerエンジニアの経験がB to C開発には必要

ネットマーケティング様_03

“言語や領域を問わず良いものは良いんだと吸収していくようなチームづくり”を実現させるために、どのような人材とネットマーケティングの未来をつくっていきたいか尋ねると「B to Cサービスのおもしろさを味わってみたい人」と柿田氏は答えます。なかでもSIer出身のエンジニアが持っている経験こそ、B to Cの開発で活きるそうです。

柿田
僕も前職はSIerのエンジニアでした。SIer出身者にはB to Cへの転職ってハードルが高いと思っている人が多いんですけど、意外と逆でSIer出身者のほうが合うんですよ。SIerのエンジニアって、常駐でいろんな現場に行ったりするじゃないですか。そうすると否応なしにC#・Java・ネイティブアプリと、いろいろ経験させられる。

これはWeb業界では貴重な経験です。だから5つぐらい現場を経験したことがある人で、世の中に知られたサービスをやってみたいなと思っている人は、チャンスがあるのでぜひ応募してほしい。実際うちのメンバーの4割ぐらいはSIer出身者です。

SIerで働いた経験がある柿田氏にとって、Omiaiのユーザーから来るダイレクトな反応はモチベーションの1つだといいます。

柿田
Omiaiで出会って結婚したユーザーから「このサービスのおかげで運命の人に出会えた」とお礼状をいただくこともあります。弊社の代表が結婚式に呼ばれたこともありました。「あなたのおかげで出会えたので、私の友人たちにサービスを教えてください」と招待してくださったんです。まるで愛の伝道師のように想ってくれていたのに感動しました。

僕自身がB to Bにどっぷり浸かっていた人間だったので、表に出てこない優秀な技術者たちとB to Cのお客さんの顔が見えて、ダイレクトに反応が返ってくる楽しさを分かち合いたいのかもしれませんね。

さまざまな技術領域を経験してきた柿田氏が、エンジニアにとって最も幸せな環境として選んだのは拡張性のあるシステムとスキル育成でした。ユーザーも社員も永く付き合えるような組織づくりこそ、人の出会いを生んでいくサービス開発の秘訣なのかもしれません。


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