BiTT開発
BiTT開発
2015.12.07

「動物の権利を考えてもらうイラストを描きたかった」イラストレーターのフローレンス ウォン氏インタビュー

らら

こんにちは、経営企画室のららです。

先日、弊社の勢古口により発表させていただいた、クリエイター養成スクール「デジタルハリウッドSTUDIO上野 by LIG」を開校することとなった記事はご覧いただきましたでしょうか?

 
そのスクールの壁には、このような素敵な絵が描かれています。

 
CriAge-9

 
縦約2.7m、横約5.3mの巨大な壁絵。これを描いたのは、香港で生まれ、香港とイギリスで育ち、今年8月に来日したばかりの女性イラストレーター、フローレンス ウォンさんです。

「アーティストとして日本で活動することが夢だった」というフローレンスさん。
なんと! この度、LIGのアーティスト支援事業「CriAge(クリアゲ)」にジョインすることが決定いたしました。そこで今回、なぜ日本で挑戦することを選んだのか、そして今後日本でどういった活動をしたいのか、お話をお伺いしました。

florence 人物紹介:フローレンス ウォン
香港生まれ。高校生の頃から12年間イギリスで生活をしながら日本への憧れを持ち続け、長年の思いが叶い2015年8月に来日。日本でのアーティスト活動をスタートさせた。

「動物の権利について考えるきっかけを与えたい」ベジタリアンの彼女が考える自身の使命

FR-2

— 「STUDIO 上野」の壁に素晴らしい絵を描いていただきありがとうございます! フローレンスさんの絵は、優しいタッチと色使いで、見ていてとても癒されます。

ありがとうございます。基本的にはかわいい絵を描いているんですけど、「かわいい」だけでなく、「おもしろい」や「不思議」、「癒される」といった感情を見てくれた人に与えたいと思っています。あとは、動物の権利について考えてもらうきっかけになればと思い、絵を描いています。

CriAge-14

 
— 「動物の権利」とはなんでしょうか?

世界には、人間だけでなくたくさんの動物が存在していて、彼らも生きて命をまっとうする権利があると思います。ですが実際には、人間の都合で亡くなったり命を落としてしまう多くの動物がいます。そんな状況に、私は疑問を感じているんです。

 
— そう思うようになった背景を教えてください。

15歳の頃、イギリスで動物愛護団体からもらった1枚のチラシに、動物が食肉に加工される経緯が書かれていました。その情報が自分の中でとても衝撃的で、それをきっかけにぺキスタリアン(魚介類以外の肉を食べない人)になりました。7年ほど、ペキスタリアンを続けました。
その後、5年ほど前のことですが、大学のプロジェクトで動物関係のポスターを作ることになり、生き物に関するさまざまな情報をリサーチしました。調べるほどに生き物に対する自身の考えが明確になり、結果、魚介類も食べないことを決意したんです。そこからはベジタリアンとして生活しています。お肉や魚介類は食べていません。

ただ、私は「他の人もベジタリアンになるべきだ」といったような考えをもっていないので、自分の価値観を押し付けるつもりは全くありません。国や人それぞれの価値観があって良いと思っています。ただ、「動物の権利」について、少し考える時間を持ってもらえると嬉しいです。

 
— 都会に住む我々にとって、一番身近な動物はペットかなと思うのですが、ペットについてはどのように考えていますか?

動物と共に生活することは、良いことだと思います。ただ、動物が商品として売買されていたり、何かしらの理由で不要になったり野良になると殺処分されてしまうような状況は、納得できません。求める人がいるから、そこに命の売買や処分が生まれてしまうのだと思います。

この件についても、私は人に価値観を押し付ける気持ちはありません。でも、「動物のために何かしたい」とずっと考えてきました。その中で、私ができることは考えてもらうきっかけを与えられる絵を描くことだと気付いたんです。なので、私は動物や植物の絵をメインに描いています。

絵を描き始めたきっかけは、アニメ『セーラームーン』

CriAge-1

— 絵を描くようになったきっかけはなんですか?

私が生まれ育った香港では日本のアニメが主流なので、幼いころから日本のアニメや漫画をたくさん観て育ちました。おそらく、香港ではほとんどのアニメや漫画は、日本の作品かもしれません。

絵を描くようになったきっかけは、私が初めて好きになったアニメ『セーラームーン』です。アニメを観るだけではなく漫画も購入し、絵を真似て描いていました。幼い頃は、日本で漫画家になることが夢だったんです。それには日本語の取得も必要だと思い、勉強していました。

 
— だから日本語がお上手なんですね。目指していた漫画家から、イラストレーターに転換した理由はなんですか?

私は高校生のときに、香港からイギリスに引っ越したのですが、イギリスの高校では油絵を学び、一枚の絵に自分の想いやストーリーを表現することに興味を持ち始めたんです。その頃から少しづつ、漫画っぽい絵を描くことから離れていったように思います。大学は自分の志望で美大に行きました。1年生のころは、幅広く学ぶという学校の方針により、興味のあったファッションデザインに挑戦しました。でも、服を作るよりも絵を描きたい、という気持ちの方が大きくて、2年生からはグラフィックデザインを専攻しました。

「日本とつながりを持っていたい」イギリスでの活動について

FR-3

— イギリスではイラストレーターに関する職業に就かれたのですか?

イギリスはイラストレーターのフルタイムのお仕事が非常に少ないんです。グラフィックデザイナーとしてのお仕事はたくさんありましたが、自分のやりたいこととは少し違うなと思ったので一般企業に就職し、イラストレーターの活動はフリーランスとしておこなっていました。ただ、せめて日本とのつながりを持っていたいと思い、就職先はイギリスにある日本の企業を選択しました。

 
— イギリスでのアーティスト活動について教えてください。

友人の依頼でロゴの制作をしたり、Webサイトのコンテンツイラストのデザインを描いたりしていました。あとは、コンペティションに作品を出したり、イラストがプリントされた小物を販売したり、自分で絵本を作ったりしたこともあります。

breadfast_o
©Florence Wong

 
— イギリスでの生活について少しお伺いしたいのですが、急に環境が変わり戸惑いはなかったのですか?

家族と共に行ったので心強い部分はありましたが、それでもやはり戸惑いました。慣れ親しんだ土地や長年の友人と離れ、言葉も通じず、思春期という難しい時期が重なったこともあり、最初は辛かったです。

私はずっと「日本に行きたい」「私は日本にいるべきだ」と思いながら生活してきたので、日本に近づくことはあったとしても、まさか遠くのイギリスに行くことになるとは思ってもいませんでした。イギリスでも日本の漫画や雑誌、ドラマばかりを見ていて、振り返ってみるとあまりイギリスに馴染んでいなかったなと思います。

  • 1
  • 2