ギルド開発
ギルド開発
2015.11.06

VRで圧巻の360°バーチャルリアリティ!「Samsung Gear VR」インタビュー

小泉 耕二

※本記事は「IoTNEWS」より転載・編集した記事です

こんにちは。
普段は「IoTNEWS」というメディアの代表をしております小泉です。

今年の5月、Samsungが、360°全方位の映像空間を見渡せる、ゴーグル型ヘッドマウントディスプレイ「Gear VR Innovator Edition for S6」(以下「Gear VR」)を発売しました。

Gear VRは、ゴーグル部分にGalaxy S6またはGalaxy S6 edgeをセットして頭に装着し、ゲームや動画・写真をバーチャルリアリティで体験することができるのです。

「すごいらしい」という噂を確かめるために、飯田橋グラン・ブルームにあるGalaxyショールーム「Galaxy Square」へ立ち寄ったところ、Samsung Product Groupの待場さんにお話をお伺いすることができました。

VR未体験者にとって想像を超えた世界が広がる

左:Samsung Product Group 待場さん / 右:IoTNEWS編集長 小泉耕二▲ Samsung Product Group 待場さん(左)/IoTNEWS編集長 小泉耕二(右)[/caption]

― Gear VRの特徴を教えてください。

Gear VRの大きな特徴は、VRの中では本家本元の会社「Oculus(オキュラス) VR社」と共同開発をしているという点です。

もともと、「Oculus Rift」の「Oculus Rift Development Kit 2」のときに液晶パネルなどについてSamsungが技術提供していることもあって、Gear VRはそのあとのVRのモバイル版としてリリース・開発されました。

パソコンとの大きな違いはコードがなく、機動性にすぐれ、いろいろな場所に持ち歩けるところです。スマートフォンをベースとし、パソコンのように大きなCPUは積んでいないので、カジュアルなVRを見ることができます。

Galaxy S6とGalaxy S6 edgeは、フラッグシップモデルSシリーズの6台目になり、CPUはオクタコア、ディスプレイはクアッドHD(2560×1440)と、非常にスペックが良くなったため、スマートフォンでも体験できるようになったのがポイントです。

 

Samsung Product Group 待場さん[/caption]

― たしかにコードがないですね。

回転イスに座ってくるくるまわっても360°見渡せます。今は座って見るというのがレギュレーションになっていますが、コードがないことは業界でも評判です。「ケーブルがないのはいいね」とさまざまな方に言ってもらえています。

 

Gear VRにはコードがない▲ Gear VRにはコードがない[/caption]

― ゲームひとつとっても360°を見渡せるというのは大きいですね。たしかに、ケーブルが絡まないのがいいと思います。

昨年、Oculus VR社がFacebook社の傘下に入りました。人とのコミュニケーションを大事にしている彼らがVRをどのように使っていくかはわかりませんが、ゲームに限らず、今後は実写の映像や画像というものにも大きな可能性があると思っています。

 

IoTNEWS編集長 小泉耕二 [/caption]

― そうすると、今まで行ったことのない世界遺産に入り込んだりできるイメージですか?

はい。いろいろな文化遺産や、何十年に一度しか入ることのできないところなどでも360°の映像や画像を取っておけば、とても貴重なアーカイブとなります。360°の映像や画像となると、そこに入りこんだような感覚を体感することできますので、今までのような写真の情報とは違うものが得られるのかな、と思っています。

 
― Gear VRは他社製のスマートフォンでは使うことができないと聞きました。

はい。VRのことまできちんと考えてスマートフォン開発が進められているので、Oculusにとって相性のいいスマートフォンを作りました。

 
― 加速度センサーの精度もいいんだろうなと思っていて。目に見えない部分のセンサーの精度がよくないと、VRの世界はつまらなくなってしまうと思っています。ほんの少し動いただけで動いてくれないと、リアル感はなくなってしまうのではないでしょうか。

他社製はスマホの6軸センサーを使用しているんですが、Gear VRはヘッドマウントにも3つのセンサーが入っているので、パフォーマンスはかなりいいです。

360°の大容量データなので、通常は頭を動かすときに遅延が発生するんですけど、そこをカバーするタイムワープ機能というものがあります。遅延を遅延として感じさせないところまで考えられているのが、Oculusのすごい技術です。

Oculusが最も気にしているのは「気持ち悪くなる」こと。我々のGear VRは、Innovator Editionいうことでリリースしています。どうしてInnovator Editionかというと、機械が未開発というわけではありません。まだ、コンテンツ自体において「気持ち悪さ」を感じさせてしまうものがあるからなんです。

OculusとSamsungでレギュレーションを作っていくことでその辺が固まってくれば、コンシューマーバージョンが出てくるかなと思っています。コンテンツを見て気持ち悪くなって、「もういいや」と離れられるのが我々としてはとても残念なことなので、VRをいったん見たらそこから離れられない世界というのを作っていかなきゃいけないかなと考えているんです。

 
IMG_7332

― 体験させていただいたときに、ヘッドフォンまでつけると完全に世界に入り込むというか。ゲームの中だけど上等な遊園地に行ってるような感じがしました。やってみないとわからないすごさです。

ありがとうございます。VRのコンテンツの定義は本当にまだまだ可能性があるので、それこそ私たちが考えて「これがVRです!」とも言えなくて。いろいろな企業様が考えるVRの世界にも、興味深いものがどんどん出てきています。

今後は、例えば小学校の入学式の写真を撮って数十年後にGear VRを使って見てみたら、その場所にいるかのようなタイムスリップを体験できる。そんなことも可能になるのではないかなと考えています。

他にも、Oculus 360° Photoには、ゲッティイメージズさんが撮った写真で、サッカーのワールドカップの試合前の選手たちがフィールドで横並びに立っているものがあります。通常の写真では緊張感などは伝わりにくいんですが、VRで見ると自分がフィールドに立っているかのような気分を味わえるんです。これは360°見渡せるGear VRならではの経験かなと思います。

 
― 五輪に向けて、なにか検討されていることはありますか?

東京五輪までに、五輪の見方が変わっていくんじゃないでしょうか。これまでテレビや映像は、四角い世界の中でどう見せるか、どう切り取るかを考えてきたと思います。ただ、360°見渡せることにより、演出やカメラの撮影方法も大きく変わっていくはずです。

ぜひ試してみてください。ちょっと髪型が乱れてしまいますが・・・。

 
- ありがとうございます。

IMG_7371

Gear-VR
▲ Gear VRを装着し、静止画を体験中

ご覧いただいているのはゲッティイメージズさんの360°撮影した写真になります。いわゆるプロのフォトカメラマンでないと入れない場所なので、一般の人が体験できないような写真のコンテンツです。

右手の部分が操作パネルで、前後左右動かして写真をスライドさせることができます。カンヌのレッドカーペットなども面白いですよ。静止画なのにこれだけ迫力があるのは、ゲッティイメージズさんの写真ならではですね。

 
― 写真がこんなにすごいとは思わなかったです。

「新たな写真の見方」ができるんじゃないでしょうか。例えば、バーチャル写真展なんかやったら面白いんじゃないかと思っています。Gear VRで8Kくらいのものを見ると、リアルな世界に入り込んだ感覚になりますので。

我々は動画も含め、多くのコンテンツを見ていますが、静止画でこれだけパンチ力があるものを見て、「すごいな」と思いました。画質も細部までよくなっていく予定です。

さらには、ライブストリーミングもいろいろなところで研究されています。例えば、テニスの試合をテレビではなくて、360°のVRによって現場で観戦しているかのように見られる世界もくるかもしれません。

 
IMG_7361

― 動画の場合は、どう撮影しているんですか?

一つの例として、複数台のGoProを使用して撮影する方法があります。そして、複数の映像データを球型に360°張り合わせていくスティッチという作業をするんです。その張り合わせたデータを編集して、はじめてAndroid化して見せているんですが、このスティッチ作業がすごく大変になります。

映像の貼り合わせの部分でズレが生じるケースもあり、修正作業なども必要になるため、平面の映像よりもかなり手がかかるんです。カメラ複数台の映像データで、かつ4Kだったりすると、かなりのデータ容量になります。圧縮の技術もあがっていかないといけないし、データの送受信のスピードも気になってきますね。まだまだ改善することはありますが、可能性はかなりあると思っています。

 
― Samsungさんで360°撮ることができるカメラの発売予定はありますか?

昨年11月に「Project Beyond(プロジェクト・ビヨンド)」が発表されたニュースは本社から出されましたが、マーケットにはまだ出ておらず、開発中のものになります。

 
― この商品に競合はありますか?

さまざまな製品が発表されているとはいえ、まだ発売されていないものもあるので何ともいえません。ただ、競合というよりは、この業界がまだ始まったばかりですので、同志として一緒にVRを盛り上げていければなと思っています。

 
― コンテンツはどこで購入できますか?

オンラインのOculusストアです。今は7~8割程度は無料コンテンツ、2~3割は課金コンテンツという割合です。ゲームにおいて課金するコンテンツが多く、体験版とゲームを載せているというものが多いですね。価格は3~10ドルくらいのイメージです。

 
IMG_7406

― Galaxy S6だから使いやすいというのはあると思うのですが、スマートフォンにしてしまったがゆえに、他のスマートフォンを持っている人は買いづらいのでは?という点はどうお考えですか?

まだInnovator Editionなので、Galaxy S6とGalaxy S6 edgeという使う幅が狭い中でやっているのですが、これで様子を見て、今後どういう風に戦略を立てるかを考えています。

今、エンドユーザーにいきなり購入してもらう段階まではまだきてないですけど、いろいろなイベントで使ってもらえるようになっていて、多くの方に触れていただく機会は増えてきています。

もちろん、我々は売っていかなければいけないんですけど、ステップとしてまずは知ってもらって。この製品を必要とする世界がくれば、エンドユーザーも買ってくれるはずなので、今はステップを踏みながら進めている状況です。

 
― 製品開発とともにキラーコンテンツの制作がけっこう急務ですね。これがあればみんな見たくて仕方がないというものが出てくれば、無理してでも買うのではないでしょうか。

Gear VRではゲームだけではなく、生活に根付いたコンテンツが増えていくかもしれないなと思っています。

 
― ありがとうございました。

さいごに

Gear VRの市場想定価格は24,800円(税抜)。ヨドバシカメラ、ビックカメラなど量販店のオンラインショップと、量販店の中のGalaxy Shop(全国18か所で展開)で販売されています。

このGear VRはつけて体験してみないと、没入感のすごさがわからないので、なかなか文字だけでは伝えづらいですね。本当に映像や写真の世界にすっぽり入り込んでいる感覚になります。まったく違うリアルな世界に入ったせいか、取材時に体験させてもらったほんの数分で、気分がリフレッシュしていたことには驚きました。そのくらい、没入感がすごいんです。

360°と聞いただけでは「目の前に広がるリアルな世界」といったイメージだったのですが、体験してみると目の前どころか完全に「球の世界」でした。「下」が遠く感じるので、浮いているような気分にさえなります。VRを体験したことがない人にとっては、想像を超えた世界を体感できるでしょう。

この臨場感をテキストと写真で再現するのはとても難しいので、体験したい人は、Galaxy ShopかGalaxyショールームでぜひ試してみてください。

VRの世界で五輪を生の映像で見ることができたら、選手の緊張感や会場の臨場感をリアルに味わうことができるでしょうね。そう考えると、ぜひSamsungには頑張ってもらいたいと思います。

のびすけ のびすけのひと言
VRってすごく "未来のデファクト感" を感じます。デバイスを作る側の "VRをいったん見たらそこから離れられない世界というのを作っていかなきゃいけない" という想いを、コンテンツを作る側の僕たちも共有して、一緒にVRを盛り上げていきたいですね。

>元記事を読む