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2015.09.27

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第8回)

菊池良

19.おかえり、スティーブン

 

スティーブンは走っていました。

 

「僕は帰っていいんだ! 僕には帰る場所があるんだ!」

 

クインシー・ジョーンズの家へと走ると、勢いよくドアを開けました。

 

「おかえり。スティーブン」

 

そこには笑顔のクインシーが立っていました。

 

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「クインシーさぁぁぁぁぁぁん!」

 

スティーブンは嬉しさのあまり、クインシーに抱きつきました。

 

「クインシーさん、僕いくらでも車を磨くよ! 立派なボーカリストになるために、たくさん磨くよ!」

 

「そうか、そうか」

 

クインシーは笑いながら、ポケットからリンゴを取り出しました。

 

それを片手で握ると・・・

 

グシャッ!

 

そのまま握りつぶしました。

 

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「このぐらいの握力がないと、立派なボーカリストにはなれんぞ。それまで車磨きを続けるんだ」

 

「はい・・・はいっ!」

 

スティーブンは泣きながら頷きました。

 

 

「せいっ・・・せいっ・・・せいせいせいっ!」

 

それからというもの、車を磨くときのスティーブンの叫び声は街の名物となりました。

 

たまたま通りがかった中古車の業者がこう言います。

 

「すごい・・・彼が磨くたびに10万は価値が上がっているぞ・・・!」

 

心を入れ替えたスティーブンは熱心に車を磨きました。

 

もう1つ、スティーブンにはある日課ができました。

 

「251・・・252・・・253・・・」

 

毎日、リンゴを握りしめる「素振り」をすることです。

 

いつの日か握りつぶせるのを信じて握り続けました。

 

そして半年やり続けたある日・・・。

 

「384・・・せいっ!」

 

グシャッ!

 

リンゴは握りつぶされ、果汁が噴水のように噴き出しました。

 

「やった・・・やったぞ!」

 

果汁を浴びながら、スティーブンは声をあげて喜びました。背後から拍手が聞こえてきます。

 

「おめでとう」

 

振り向くと笑顔のクインシーがいました。

 

「ほらよっ」

 

クインシーはスティーブンにあるものを投げ渡しました。

 

「これは・・・マイク!」

 

「やろうぜっ、レコーディング!」

 

クインシーが親指を立てます。

 

「よっしゃああああああっ!」

 

スティーブンは飛び上がって喜びました。

 

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20.アメリカ大統領の憂うつ

 

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大統領は青ざめていました。目の前にはアメリカで一番頭がいい数学者がいました。

 

「これは事実なのかね?」

 

「はい」

 

そう言うと数学者はホワイトボードに勢い良く「100%」と書き付けました。

 

「数学的に100%です」

 

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大統領は頭を抱えました。

 

「いったい、どうしたら・・・」

 

大統領は窓に近づくとブラインドを指で開き、隙間から外を見ます。

 

ホワイトハウスの前の通りには小さい子どもから老人まで、様々な人が歩いていました。

 

「いったいどんな顔で彼らに発表すればいいんだ、この事実を・・・もうすぐ人類が絶滅するだなんて・・・」

 

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(つづく)

 

【シリーズ一覧】

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第1回)

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第2回)

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第3回)

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第4回)

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第5回)

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第6回)

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第7回)

※ 何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第8回) ←イマココ

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第9回)

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第10回)

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(第11回)

何も調べずに書いたエアロスミスの生涯(最終回)