
こんにちは、アートディレクターの長岡です。
これまでLIGブログでは、フロムスクラッチさんのご協力のもと、2回に分けて「次世代マーケティングプラットフォーム」についてご紹介してきました。
前回の記事では、フロムスクラッチ代表取締役の安部さんの話を受けて、ナッツが
「本質的なマーケティングができていない」ゆえに、たとえマーケティングオートメーションの機能を導入したところで「最も収益を生む施策が何なのか?」が見えておらず、意味のない “自動化をする” というだけの機能提供になりがち。最も収益が上がるユーザー行動=ベストプラクティスを見出し、それを自動化していくことが本当のマーケティングオートメーションです。そしてマーケティングオートメーションの本当のあるべき姿が、次世代型マーケティングプラットフォームと言えるでしょう。
と、かっこいいことを言っていたのですが、「そもそもマーケティングオートメーションってどんなものなの?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
マーケティングオートメーションは、2000年代にアメリカで普及した、マーケティングテクノロジーです。日本では、2014年ごろから徐々にマーケターの間で広まりつつある、比較的まだ新しい概念のため、僕のようにイマイチわかっていない方も多いでしょう。
そこで今回はフロムスクラッチの佐藤俊文さんに、マーケティングオートメーションの特徴についてお話をお伺いしました。
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人物紹介:株式会社フロムスクラッチ 取締役/『B→Dash』開発責任者 佐藤俊文さん 学生時代に宇宙物理を専攻し、宇宙放射線の挙動シミュレーション計算を大型コンピューターで行う。その後、アクセンチュアに入社。金融機関を中心に、幅広い業界のコンサルティングからシステムの開発、導入に従事。14年にフロムスクラッチに入社。マーケティングテクノロジーのスペシャリスト。 |
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目次
マーケティングオートメーションとは?
マーケティング活動のプロセスを細かく分類すると、次のようになります。
- リードジェネレーション(見込み客を集める)
- リードスコアリング(見込み客を選別する)
- リードナーチャリング(見込み客を育てる)
簡単に言ってしまうと、マーケティングオートメーションとは、上記のマーケティング活動のプロセスを、テクノロジーを利用して自動化してくれるツールです。
顧客層などによって機能は異なりますが、マーケティングオートメーションの主な機能として、メルマガの配信や申込フォームの作成、キャンペーンの管理などが挙げられます。
マーケティングオートメーションは、あらかじめ設定した購買に至るまでのシナリオに沿って、獲得したユーザーを自動的に分類し、ユーザーに応じた施策を自動で実行。ユーザーの行動の変化に応じて、施策を実行していくため、ユーザーの見込み度を高めていくことができるツールなのです。
マーケティングオートメーションの導入で期待できる効果
そんなマーケティング活動に関わる3つのプロセスを自動化してくれるマーケティンオートメーションですが、具体的にどのような効果を期待できるのでしょうか?
すべての見込み客のカバーができ、営業効率が向上する
顧客の見込み度を高めるために、顧客一人ひとりのニーズに合わせたone to one マーケティングを試みる企業は少なくありません。しかし、1顧客につき1営業マンをつけるとなると、1,000社の見込み客がいた場合、1,000人の営業マンを用意しなくてはいけなくなります。これは、とても非効率的ですよね。
マーケティングオートメーションならば、1,000社の見込み客がいた場合でも各々のあらゆる要望に応じて、きめ細やかな対応を自動でおこなうことができます。例えば、ユーザーが情報を欲しそうな行動をとった際には、すぐに関連情報をユーザーに提供できるよう自動化するのです。また、ユーザーが競合他社と比較をしはじめたと思ったら、すぐに自社の優位性を伝えるなど、きめ細やかな対応をおこなっていきます。
これにより、飛躍的に営業効率が向上し、見込み度の高い顧客の発掘をすることができるようになるのです。
購買に至らない見込み客の育成をおこなってくれる
どんなに優れた営業マンでも、新規訪問からの受注率は30%ほどです。つまり、月間30件の新規訪問に行った場合、21件は受注に至らない見込み客リストが溜まっていきます。これが10人いたら月間210件の見込み客リストになり、2ヶ月で420件、3ヶ月で630件と月を重ねるごとにどんどん溜まっていきますよね。当然、この購買に至らない見込み客をどれだけ購買させられるかがポイントになりますが、その都度見込み客を入念にフォローすることは、社内リソースを考えると厳しいものです。
しかし、マーケティングオートメーションを使用すれば、見込み客の育成を自動的におこなってくれます。前述したように、ユーザーの行動に合わせて、適切なタイミングに、適切な施策を自動で実行してくれるため、顧客の見込み度を着実に向上させていくことができるのです。
マーケティングオートメーションを導入することは、これまで購買に至らなかった見込み客を購買行動へと促し、企業の収益性を向上させる可能性を秘めています。
マーケティングオートメーションが抱える課題
このように、企業の顧客データを管理し、適切なタイミングで顧客への対応をおこなってくれるマーケティングオートメーションですが、導入後に四苦八苦している企業は数多く存在します。
驚くべきことに、フロムスクラッチさんが相談を受けた企業のうち、7割以上がマーケティングオートメーションの導入に失敗、思うような効果を得られなかったというネガティブな感情を持っているとのことです。
なぜ、導入した約7割の企業がこのような結果へ行き着いてしまうのでしょうか?
導入成功の鍵は「正しいスコアリングの設計」
そもそも、マーケティングオートメーションの成功には、見込み客を選別する「リードスコアリング」の設計が重要視されています。「リードスコアリング」とは、見込み客を選別する、つまり顧客の見込み度を判定するために点数づけすること。その際に指標となるのが、次の3つです。
- 顧客属性:企業規模、職種、役職、業種など
- 行動:メールの開封、URLクリック、商品ページ閲覧、HP回遊時間など
- 時間:2週間アクセスがない、3日連続ログインしているなど
これら3条件をかけ合わせて、顧客ごとに点数づけをおこない、どの点数になれば、どのようなアクションをとるべきなのかを、あらかじめ設計していきます。
正しいスコアリングを設計するには、まずペルソナを明確にし、購買に至るまでのペルソナの行動や感情を可視化させること。そして見込み度をあげるために、どのタイミング・どのチャネルで・どのコンテンツを提供するのかシナリオを考えることが基本となります。さらにスコアリングの精度を上げるためには、自社サービスのターゲットの明確化や、自社営業組織の体制等を複合的に考慮して設計していかなければなりません。成果を上げるためにはスコアリングが何より重要ですが、とにかく難しいのが実態です。
事実、マーケティングオートメーションを導入した多くの企業が、このスコアリング設計でつまずいています。