ペルソナとは?マーケティング初心者にもわかる作り方や事例を解説

ペルソナとは?マーケティング初心者にもわかる作り方や事例を解説

せぶや

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マーケティングを担当している方にはおなじみのことかと思いますが、Webサイトを作るにもコンテンツを作るにも、まずはペルソナを設定しますよね。しかしこのペルソナについて、意外としっかり説明できない、あまりよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

今回はマーケティングにおけるペルソナとはどんなものなのか、意味や具体的な作り方、マーケティティングへの活用事例まで徹底解説します。


※編集部注:2014年に公開された記事を再構成・編集しました。

マーケティングにおけるペルソナとは

ペルソナとは

マーケティングにおけるペルソナとは、「商品やサービスを実際に利用する顧客の架空の人物像」という意味を持つマーケティング用語です。

ペルソナを作る時は、氏名や年齢、家族構成や住んでいる場所などの基本情報から、趣味・価値観などのライフスタイルまで細かく設定するのがポイント。細かく設定することで、より効率よく効果的なマーケティング戦略や施策を立てやすくなります。

ターゲットとの違い

ペルソナとターゲットの違いは、ターゲットよりもペルソナの方が情報が細かいということです。 

ターゲットは「20代・男性」など、同じ属性をもつ集団、ペルソナはその属性の中にいる個人と理解するとわかりやすいと思います。

ペルソナとターゲットの違い

マーケティングをおこなうとき、「20代の働く男性」など定量的な属性だけでユーザーを設定すると、イメージする人物像は人により異なる可能性が高いです。

このようなターゲットの設定だけでは、施策も曖昧になってしまいますし、プロジェクトメンバー内でも齟齬が起きやすくなってしまうでしょう。

性格や趣味などの定性的な情報を盛り込んだペルソナを設定すれば、「このときペルソナの山田さんならどんな行動をとるだろう…?」といったように顧客視点で考えることができ、具体的な施策も立てやすくなります。

ペルソナを設定するメリットとは?

ペルソナを作ることで、次のようなメリットが期待できます。

ペルソナを設定するメリット
  • 顧客視点での分析ができるようになる
  • ユーザー像を統一できる

それぞれ詳しく解説していきます。

顧客視点での分析ができるようになる

まずメリットとして挙げられるのは、顧客視点での分析ができるようになるという点です。

マーケティングをしていく上では、誰に対してサービスやWebサイトを作るのか?、その人はどんな悩みを(ニーズ)を抱えているのか?といった分析が何よりも重要です。この”誰”の部分がボヤッとした状態だと、ユーザーが抱えているニーズもボヤッとか理解できません。

また、施策を進めていく中で段々と自分たちの都合が良いようにユーザー像を描いてしまい、振り返ってみたらサービスを利用するユーザーのニーズに応えられていなかった、そのサービスを本当に必要としているユーザーに届けられなかったとなってしまうのもよくある失敗事例です。

ペルソナ像を最初にしっかりと設定しておけば、効果的な施策を打ちやすくなりますし、進めていく上で顧客を見失いそうになっても立ち返ることができます。

さらには顧客の潜在的なニーズ(インサイトともいいます)や感情も分析して理解を深めることで、商品やサービスを届けたい人に届けることができるようになります。

ユーザー像を統一できる

プロジェクト内では複数の人が関わるのが一般的です。プロジェクトのメンバー内で、ターゲットとするユーザー層がある程度は決まっていたとしても、具体的なユーザーのイメージそれぞれ違うものを思い描いている場合があります。

この状態で話し合いを進めても、そもそも描いているユーザー像がずれているので、話し合いがスムーズに進みません。ペルソナを設定しておけば「ペルソナの場合はどうするか?」を考えることができ、プロジェクトが効率よく進むようになります。(それでも意見が食い違った場合は、ペルソナに直接聞けば解決できます)

「ペルソナマーケティングはもう古い」は本当?

ペルソナについて調べていると、「古い」「ペルソナは時代に合っていない」という意見もでてきます。

ペルソナは昔からある基本的なマーケティング手法であるため、時代の流れに伴い、最近の市場でも通用するのかが気になる人も多いようです。

結論、ペルソナは現在もマーケティング手法としては有効ですが、設定方法自体をアップデートしていく必要があります。

なぜなら、現在はインターネットが普及したことにより、顧客とのタッチポイントが増えているからです。

例えば”商品の購入”を目的としてペルソナを設定する場合、購入体験をするのは、インターネット上か実際の店舗という選択肢がありますし、インターネット上であればSNS、ECサイトなどさらに選択肢が広がります。従ってペルソナの思考も複雑になるため、購入シーンに合わせて思考をより深く理解しなければなりません。

このような時代の変化に合わせて設定方法をアップデートすれば、ペルソナは前項で挙げたようなメリットを十分に発揮できます。引き続き重要なマーケティングの概念なので、安心して設定しましょう。

BtoB、BtoCにおけるペルソナの違い

このあとペルソナの作り方を詳しく紹介しますが、その前にBtoB商材とBtoC商材で設定するペルソナに違いがあることを理解しておく必要があります。

それは、購入者(決済者)が個人か組織か、という点です。

BtoCの場合、基本的に購入検討者と決済者が同一ですが、BtoBでは購入主体が組織となることがほとんどです。つまり、組織内には複数の人たちが属しているという点を考慮しなければなりません。

例えば、組織内では以下のような人たちがそれぞれ異なった役割を持っています。

  • 情報を収集する人(メンバー)
  • 収集された情報を検討し、購入を検討する人(マネージャークラス)
  • 決裁権を持った人(役員・社長)

タッチポイントごとに関わる人が異なるためそれぞれの役割ごとにペルソナを設定し、戦略を考える必要があります。

ペルソナの作り方【テンプレートあり】

ここからは、ペルソナの作り方について解説します。

ペルソナの作り方3ステップ
  1. データを収集する
  2. ペルソナ象を作る
  3. ペルソナの評価・検証

詳しく解説していきます。

データを収集する

ペルソナを作るときは実際の顧客からヒアリングすることをおすすめします。以下に必要な要素項目をあげたので、参考にヒアリングをおこなってください。

ペルソナ設定に必要なヒアリング項目
名前 複数のペルソナを立てる上で名前は重要な要素です。名前に紐付けて各プロフィールを頭のなかで引き出せますし、メンバーやクライアント間で共通の認識を持ちやすくなります。
年齢 サイト構造やデザインの決定に直接的に影響してくるのが年齢です。言うまでもなく、年齢の違いでデザインは変わりますし、UIも説明的にするかシンプルにするか変わってきます。
性別 性別も年齢と同様、デザインに直接影響してくる要素です。年齢と合わせることでより表現するべきことが絞れます。
写真 顔写真があるだけで、よりリアリティのあるペルソナ設定ができ、イメージも湧きやすくなります。
家族構成 未婚・既婚、子どもの有無、子どもがいるなら人数と性別を設定しましょう。パートナーの行動でターゲットの行動が変わる場合や、子どもが起因となって起こる行動もあります。(BtoBの場合はなくても可)
仕事内容 大企業で働いているのか、中小企業で働いているのかだけで普段の行動に差が出ます。また管理職なのか役職がないのかでも視点や考え方が変わります。
年収 年収によって、食や家庭や趣味に使うお金に差が出てきますし、生活水準からも普段の行動は変わってきます。(BtoBの場合はなくても可)
住んでいる場所 住んでいる場所によって、生活環境が変わります。(BtoBの場合はなくても可)
休日の過ごし方 運動をしていたり、旅行に行ったり、ゲームをしたり、映画を見たりと人それぞれ好きなことが違います。その中でサイトのターゲットになりそうな趣味の人を設定し、どういう行動をするのかを検証します。(BtoBの場合はなくても可)
ITリテラシー これも年齢などと同じく、導線の設計に直接影響してくる要素です。普段スマートフォンしかネットとの繋がりがない人もいますし、そもそもそういった機器全般が苦手という人もいます。この要素を入れることで、よりユーザーに寄り添ったサービス設計ができるようになります。
利用しているSNS どんなSNSをどのように活用しているのかを知ることで、チャネルの選定がしやすくなります。
現在抱えている悩み 現在どのような悩みを抱えているのかを可視化することで、ペルソナと自社サービスを結びつきやすくします。
自社サービスで悩みを解決できる点 自社サービスだから解決できることを挙げ、他社サービスでは代替できないペルソナ像を設定します。
自社サービスを利用した理由 自社サービスをどのように知り、どのような背景で利用に至ったのかを知ることで、訴求ポイントを整理することができます。

なお、一般的なペルソナは、氏名や家族構成に始まり、趣味・ライフスタイルなどの要素から作成されます。しかし、このような一般的なペルソナの作り方では、自社独自の強みや魅力などが反映されていないため、残念ながら自社ブランドを強くするペルソナを作り出すことができません。

ここで重要なのは、顧客から導かれる「自社ブランドの優位な点」を明確にすることです。この要素を念頭に置いた上で、顧客にどのように受け入れられるかを想像しながらペルソナを作成し、他社の商品やサービスでは代替の効かないペルソナを設定していきましょう。

顧客データを収集する方法は、主に以下の3パターンあるので、情報収集の際の参考にしてください。

インタビュー形式

1対1形式でヒアリングを行います。あらかじめ何を聞くか、何を喋ってほしいかを考えておき、インタビューの内容を設計します。1人1人深く話すことができるので、思わぬ情報を聞ける場合もあります。

デメリットとしては、作るペルソナのセグメントが多ければ多いほど、インタビューに時間を取られてしまうことが挙げられます。

オリエン形式

大人数でのオリエン形式です。1対1のインタビュー形式に比べ、時間効率は良い方法です。集める人達の時間調整が大変だったり、グループの中で意見を言い出しづらい人が混ざったりすると難しい点は注意。

いい流れを作ればどんどん意見がでてくるため、そういった流れを作るためのファシリテーターがかなり重要になります。

アンケート方式

手軽に進めたいのであれば、アンケート形式も有効です。しかし、深い質問がしづらい点には注意が必要。質問項目の作り方が重要になります。

ペルソナ像を作る

ターゲットからデータを収集した後は、分析・統計していきます。先に挙げたペルソナ設定に必要なヒアリング項目に沿って、平均的なペルソナ像を作成しましょう。

ペルソナ像を作るときは、テキストだけでなく、写真やイラストを用いることをおすすめします。このとき、ペルソナが課題や悩みを認知してからサービスを利用するまでの「ストーリー」もあわせて書き出しましょう。

▼ペルソナシート(BtoC)の例
ペルソナシートの例

評価・検証をおこなう

ペルソナ像が作れたら、そのペルソナがユーザー像とずれがないのか検証をしていきます。例えば、実際のユーザーと多く関わっているカスタマーサービスのスタッフ、営業スタッフなどに評価を依頼してみるのが良いでしょう。可能であれば、実際のユーザーにお願いするのも効果的です。
 

こんな点を評価してもらいましょう
  • 作成したペルソナ像は、普段接しているユーザーの共通項を捉えているか?
  • ペルソナが企業目線になっていないか?

ペルソナマーケティングの成功事例|富士通キッズサイトの場合

子供の理数離れを問題視し、「技術の素晴らしさを伝える」ことをコンセプトに2007年に立ち上がった富士通キッズサイト(現在は閉鎖されています)。

このサイトを立ち上げるに当たり、緻密なペルソナ設定が行われていました。これについては、富士通デザイン株式会社(公開当時、現在は富士通株式会社に合併吸収)が公開している「富士通キッズサイトにおけるペルソナマーケティングの実践」で詳細が公開されています。

以下ではペルソナマーケティングの成功例として、公開資料の概要を紹介します。

課題

富士通キッズサイトでは、元々「小学校高学年以上」「学校の先生」程度しかターゲット像の共有ができておらず、またターゲット像のインターネット利用状況も曖昧なままという課題がありました。

実施内容:定量調査、定性調査

定量調査や定性調査を通し、ペルソナを細かく設定していきます。設定するにあたり実施した内容は、以下の通りです。

  • 公開データから、子供のインターネット利用状況を調査
  • ターゲットとなるユーザーや保護者を対象に、インターネット利用シーンや普段の生活ついてインタビューを行う
  • 仮で設定したペルソナについて、実際にそういう人が周りにいるかユーザーにヒアリングを行う

上記の調査を繰り返し、次で紹介するようなリアリティのあるペルソナを設定しました。

設定されたペルソナ

結果的に、次の三人のペルソナ像が設定されます。

  • 佐藤美咲ちゃん(10歳、小学5年生)
  • 佐藤幸子さん(38歳、美咲ちゃんの保護者)
  • 松本秀幸先生(32歳、美咲ちゃんの担任)

例えば美咲ちゃんは、大手メーカー勤務の父親と専業主婦の母、2つ下の妹との四人家族。温厚な性格でクラスの人気者で知りたいことはわかるまで知りたいといったように性格まで細かく設定されています。また、普段どんな生活を送っているのかも書き出したり、顔写真を用いることでよりリアルな存在として美咲ちゃん捉えることができます。

活用方法

設定したペルソナをもとに、既存コンテンツのレビューを実施。「美咲ちゃんならどんなタイミングでこのコンテンツを使い、どんな情報が必要なのか」のように、ペルソナの視点でアイデアを出していきます。

ペルソナに判断を委ねることで主観を排除でき、合意形成がスムーズかつ建設的な議論をすることに繋がります。また、これらの一連の取り組みを資料として公開することで、数々のメディアに取り上げられるといった副次的な効果もあったようです。

ペルソナを作る時の注意点

想像の中で作り上げるのは危険

ペルソナのプロファイルは詳細であればあるほど、具体的な施策を立てやすくなります。しかし、ペルソナを作る上でありがちなのが、自分の想像の中だけでペルソナを作り上げてしまうことです。

例えば、女性用化粧品のペルソナを作るのに男性の想像で女性のペルソナを作ってしまうとどうでしょうか。おそらく現実の女性とはかけ離れたペルソナができ上がるはずです。そうなると実際の女性により沿ったコンテンツを作ることはできません。前述したペルソナを作る目的も達成できないでしょう。

たまに想像の中で非常に精度の高いペルソナを作ることができる方もいるのですが、そういう人はかなり稀ですので、最初のうちはちゃんとヒアリングしてペルソナを作った方が無難です。

ちなみにペルソナを設定をする上では、全てのプロファイルを正確にヒアリングをすることは難しく、どうしても想像しながらつくる場面がでてきます。想像が一人歩きしないように、実際のターゲット像に確認できる体制を築いたり、ヒアリングしたデータに基づいてペルソナを設定していくことが大切です。

関わる人がイメージしやすいペルソナを設定する

先ほど紹介したように、ペルソナ設定の目的にはユーザー像を統一することがあります。つまり、いくらペルソナを作成しても、関わる人たちがイメージできないペルソナであれば意味がありません。そのため、ペルソナを作るときは、誰でもイメージしやすい平均的な人物像を設定するのが基本です。外見の写真を用いることも効果的です。

定期的な見直しをすること

ペルソナを作るときは、氏名や年齢、職種や家族構成などの情報だけでなく、性格面などの心理的な要素も詳細に設定します。

心理的な要素は、時間の経過や時代の流れによって変化するため定期的な見直しが必要です。プロジェクトが長くかかる場合は、半年〜1年単位で定期的な見直しを行いましょう。

まとめ

ここまでペルソナとはどんなものなのか?どうやって作るのか?について紹介してきました。何かを作るにはターゲットの詳細な情報が必要ですしそれを手に入れるのが難しくても、それに近しいペルソナを作ることが必要です。

この記事の内容を参考に、ペルソナを作ってみてください。

なお、ペルソナを作った後はそのペルソナがコンバージョンするまでの道筋を設計します。(マーケティング専門用語では、カスタマージャーニーといいます)

「ペルソナを作ってみたけど、その後どう生かすんだっけ?」という人は、こちらの記事も併せてご覧ください。

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LIGブログ編集部のリーダーのしぶやです。出身は青森県。趣味はダンス、自転車、写真、英語(TOEIC255)。自衛隊に7年くらいいましたが、縁あって編集の世界に。コミュ障です。

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