「投資をより身近に」日本初の試みでフィンテック業界の新境地を切り拓く| One Tap BUY

「投資をより身近に」日本初の試みでフィンテック業界の新境地を切り拓く| One Tap BUY

小林 香織

小林 香織

こんにちは、ライターの小林香織です。

みなさんは株を買ったことはありますか? おそらく、「なんとなく怖い」「よくわからない」という理由から、買ったことがない人が多いかもしれません。そんな株へのネガティブイメージを払拭し、投資のハードルを下げるべく、株式会社One Tap BUYが開発したのが、わずか3タップで1万円から株が購入できる日本初のスマートフォンアプリ『One Tap BUY』。

『One Tap BUY』を生み出すことができた一番の要因は、先へ進むまであきらめない「Never give up精神」だったと、同社執行役員システム部長の山田氏は語ります。

同アプリを開発するまでの背景や今後の展望、またフィンテック業界の動向など、気になるお話を伺いました。

【プロフィール写真】OneTapBuy 人物紹介:山田 晋爾
大手SI企業で、「証券情報WEBシステム」「証券バックオフィスシステム」の保守・追加開発業務を携わった後、日本初の中国株専業オンライン証券「ユナイテッドワールド証券」にて、現会社(株式会社One Tap BUY)の林社長と出会い「証券フロントシステム/バックオフィスシステム」「ホームページ/商品システムCMS」の開発・保守運用等の業務に従事。 証券スマホアプリ開発をメイン業務で従事する。

「できないなりにどこまでできるか」あきらめない精神がサービス誕生を加速させた

OneTapBuy-1
― この6月に、日本初のスマートフォンアプリを開業されたそうですね。新たな試みが生まれたキッカケを教えてください。

「投資をもっと身近に」というコンセプトのもと、気軽に株を買ってもらうにはどうすればいいかと考えた結果、「スマートフォンで株が買えるアプリを作ろう」というアイディアが生まれました。

そもそも、このコンセプトは経営者の林の想いなんです。2000年頃は、日本人は直接香港株を買えない状況でした。そこで、林が考えたことは

「日本人に香港株をもっと身近に感じてもらいたい」

しかし、それには香港証券取引所に株の売買を取り次ぐ免許が必要でした。そこで、林はその免許を持つ証券会社を買収して、日本でオンライントレードの会社を設立したんです。

― 林さん、豪快な方ですね(笑)

そうなんです(笑) 今回も、その「株を身近に……」という一貫した想いがつながっているのです。

― 日本初のシステムを開発するにあたり、苦労も並大抵ではなかったと思います。

1年半の開発期間中、ずっと苦労の連続ではあったんですが、最初が一番苦しかったですね。誰も成し遂げたことがない新しい試みで、何もマネするものがなかったので。ひたすら考えて、ディスカッションして、試して、また考えての繰り返し。「生みの苦しみ」を痛感しました。

それでも実現まで持ってこられたのは、「できない」という選択肢を持たずに、ひたすら前に進んだことに尽きますね。厳密に言えば、「できないこと」はあるんですが、できないなりに「どこまでできるか」考える。とにかくあきらめない精神がこのアプリを生み出したなと。

責任が大きいからこそ味わえる「自分がつくったシステムでお金が動くおもしろさ」

OneTapBuy-4
― 山田さんはOne Tap BUYへ転職される前から、ずっとエンジニアとしてご活躍されていたんですよね。

はい。大学は法学を専攻していたんですが、「やっぱりこれからの時代はITだな」と思い、システム会社に就職しました。そこでエンジニアとして3年勤務し、その後、証券会社に転職。開発エンジニアとして約8年勤めました。

― そして、現在のOne Tap BUYへ移られたと。

林がOne Tap BUYを設立するにあたり、「一緒にやらないか」と声をかけてくれたんです。以前から、アイデアマンの林との仕事が非常に楽しかったので、本当に嬉しかったですね。その誘いに応え、2014年11月からシステム部長として勤務しています。

― エンジニア視点で、金融業界のどんな点にやりがいを感じていますか?

自分が作ったシステムでお金が動いていくのは、おもしろいですね。もちろん、重要な処理をしているので責任感も重くなりますし、その分達成感もあります。機能美を追求してシステムを開発し、「使いやすい」との声をもらえたときは、もっとも手応えを感じる瞬間です。

というのもシステム会社で働いていると、リリースはしたものの、ユーザーの生の反応はほとんど見られません。ところが、転職して「そのシステムを作りたい」と言っている人の目の前で作る経験をすると、こんなにも違うものかと気づきました。

ユーザーや経営陣、マーケティング、管理部門の人たちもみんな一緒に努力して、サービスインしていく。作っている途中は苦しいこともたくさんありますけど、みんなと喜べるというのは、いつでも楽しくてやりがいを感じますね。

「面倒ごとは自分が引き受ける」気持ちよく働ける環境を実現するために

― 6月のグランドオープンまで大変だっと思いますが、システム開発は具体的にどのような体制を取っていたんですか?

当時は、4~5名のチームでメインシステムを開発していました。それぞれがメインの担当を持ちながら、手が空いた人が残りを分担するというスタンスですね。

何かシステムを作ろうとなったら、一度全員が集まって認識合わせをします。その後は、設計書を固める前に一度、なんとなく動くプロトタイプをあらかじめ作ってしまうんです。結局、設計書どおりに作っても、実際のシステムがその通りになることって、ほとんどないんですよ。周囲から「そんな動きになるとは思っていなかった」と言われることも、しょっちゅうです(笑)

今は倍の10名程度で若干進め方は変わりましたが、新たなサービス提供に取り組んでいます。

― システム開発中は、メンバー間でのディスカッションを活発にされると伺いましたが。

はい、今もかわらず活発ですね。メンバーには経験値に関わらず、積極的に意見を発してもらっています。「この仕様にすると、こんな不具合が出る」「こんなデザインなら使いやすい」とか。メンバー同士の座席が近いこともあり、あらたまってカチッと会議するよりは、何か決めたいと思ったタイミングで話しかけに行くコミュニケーションが多いですね。

― リーダーとして、メンバーが仕事をしやすい環境を作るために、どんなことを意識されていますか?

メンバーには開発に集中しもらいたいと思っているので、最終的に決定するまでの確認事項や上への報告は、できるだけ私が吸収するように努めています。上からのGOサインが出た段階でメンバーに共有して、開発をスタートさせていますね。

あとは、他部署との衝突が発生したときに引き取ることもあります。とはいえ、当社の社風でしょうか。人間関係の確執はないですね。面倒ごとはなるべく自分が引き受けて、メンバーに気持ちよく働いてもらいたいです。

「投資のハードルを下げるのが使命」ゲームライクな証券アプリを生み出していきたい

OneTapBuy-3

― 山田さんは、今のフィンテック業界をどんなふうに捉えていますか?

フィンテック、フィンテックと叫ばれていますが、実際エンドユーザーに恩恵があるサービスってそんなにないと思うんですよ。会計や家計簿アプリは非常に便利ですが、実際に「お金を動かす」ツールはまだ実現されていないように思います。

ですので、今私たちがやるべきことは、もっともっと投資を身近に感じてもらえるサービスを作ること。株式投資をしている人口があまりに少ないんです。ただ、興味を持っている人はたくさんいるようで、株は怖いとか何を買っていいかわからないという漠然とした不安から「興味はあるけれど……」と止まっている人が多いようです。

― たしかに投資の勉強は実際どうすればいいのか、わからないかもしれません。

そういった課題を解決するためにも、もう少しゲームライクなアプリを作りたいと考えています。ゲームをしている感覚で株の売買ができたり、勉強ができたりするような。

さらに、株の情報をシェアできるような証券投資のコミュニティを作りたいとの構想もあります。そうやって、どんどん投資のハードルを下げるサービスを生み出していきたいです。

― それは嬉しいですね。ゲーム感覚なら、投資の勉強もハードルが低くなります。

堅苦しく考える必要は、まったくないんです。最初は好きな企業の株を購入して、株価をチェックするところから始めてみてください。

― なるほど。それなら手軽にできそうです。これからも楽しみですね。

はい。新しいサービスやもっと使いやすくなるようよりデザイン性も高めたいと考えてますので、ぜひ楽しみにしていてください。伸び盛りのベンチャーらしく、守りに入らず攻めの姿勢で革命的なチャレンジを続けていくつもりなので。

インタビューを終えて

「サービスがリリースされ、メンバー全員が歓喜に沸いた瞬間は、すべての苦労を忘れられる」

ベンチャー企業で働くやりがいについて、そう語ってくれた山田さん。自分が携わったもので、人の生活を変える。生みの苦しみを感じた分だけ、その喜びは大きいことでしょう。

誰もが気軽に投資を始める時代が、あっという間にやってきそうです。

 

furture_bnr

この記事のシェア数

2014年デビューの旅を愛するフリーライター。女性がより自由に、より豊かに生きるためのメッセージを発信すること、日本と海外をつなぐ世界の架け橋になることを使命とし、日々執筆に励む。トキメキがなによりのエナジー。

このメンバーの記事をもっと読む
働き方インタビュー(経営者編) | 53 articles