働き方インタビュー(経営者編)

「奥ゆかしさはもう女性の美徳ではない」日本一のメディア群を仕掛ける村田マリの頭の中 | DeNA


「奥ゆかしさはもう女性の美徳ではない」日本一のメディア群を仕掛ける村田マリの頭の中 | DeNA

こんにちは、LIGブログ編集部のナッツ(@nuts612)です。
ぼくはいま、LIGブログを通じて多くの方にインタビューさせていただいているのですが、分野は違えど成功を収めている方々の言葉はどれも珠玉の言葉として心を突き動かされます。

そして今回お会いしたのは、現在、家族とシンガポールに住みながらDeNAの執行役員としてメディア領域を統括されている村田マリさん。日本にくるのは月に5日間ほどだけ、という村田マリさんの貴重なお時間を頂戴し、お話を伺う機会をいただきました。

いかにリモートでマネジメントをされているのか、また数々の成功を収めてきた村田マリさんのモチベーションはどこからくるのか。DeNAが仕掛けるキュレーションプラットフォーム『DeNAパレット』の展望とあわせて伺いました。

DeNA様_記事0003 人物紹介:村田マリ
1978年岐阜県生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、サイバーエージェント新卒1期生として入社。その後、2005年に立ち上げたウェブ制作会社コントロールプラスを売却し、2013年12月にiemo株式会社を立ち上げる。2014年10月にiemoをDeNAに売却。現在はシンガポールを拠点に、DeNAの執行役員を務める。

「日本一のメディア群をつくる」シンガポールからリモートで行うムラマリ流マネジメント術とは

z1

 
― DeNAという大きな組織だと、シンガポールからのリモートマネジメントは大変ではないですか?

どちらかというと、わたしは現場にいるとすごいマイクロマネジメントしたくなっちゃうタイプなんですね。現場が好きなので。だから、リモートで離れてるぐらいがたぶんちょうどいいなと思ってるし、みんなも思ってる。近くにいると圧がスゴいみたいに思われてるところがあるので(笑)

DeNAパレットの中でも内製している7媒体のメディアを見ている東(ひがし)というメンバーに、「こういう事業にしたい」というビジョンの共有をして、裁量を任せて意思決定していく。具体的には、毎朝メンバーとTV会議をして日々の動きやミッションを共有。また個別のやりとりはSlackでリアルタイムに情報交換や指示出し。あとは東などのリーダーが7媒体、それぞれをコントロールしてくれているので、意外にリモートでもできてますね。

当然、コミュニケーションが取りづらいとか、簡単なニュアンスを横に伝えられないってことはあれど、何だろうな、離れると裁量を任せられるんです。見えない部分が増えるので、その担当者に対して任せる、信じるということを力いっぱいやらなきゃ回らないから。なので、逆に勉強する機会をいただけているなと。
筋トレするときの重りみたいに、いい足かせになっていて。大規模組織のマネジメントというのを学ばせてもらってるいい環境ですね。

 
― DeNAパレットについて、東さんとはいまどういったお話をされているのでしょうか?

「DeNAパレットを日本一のメディア群にしようね」という話は、もう呼吸をするように毎日していて。あとは、やっぱりユーザーさんに使ってもらってなんぼなので、「インフラになるぐらいのコンテンツって何なのか」というのを一緒に考えています。
また東以外にも、DeNAで長年広告を売ってきたメンバー、テクニカルな部分でグロースハックをやっている人、あとiemo、MERYあたりを含めると10媒体あるので、横串で全部共通してやる人とたくさんいます。
わたしはそれぞれの大将に対してコミュニケーションを取っていて、ある程度ビジョンは全員と共通化されているのかなと。

 
― ビジョンを浸透させるために大切にしていることは?

iemoを創業したときもリモートでしたが、「体感する」というのがビジョンの浸透には大切で。たとえばiemoは百人百様の世界、つまり100世帯あったら100通りの家のパターンがあって、それを全部提供しようっていうのがビジョンなんですね。
そこで、海外の家をAirbnbで借りて住むみたいなことを、経営合宿でよくやっていました。そしたら、家のかたちというのが百人百様だと、体感としてすごい分かるんですよ。そしたらビジョンは浸透する。

ボードメンバーはその体感を自分の中でちゃんと咀嚼して、嚥下して、自分のものになって血となり肉となって、自分の言葉でアウトプットできるかを徹底しています。そうしたら、それぞれのチームメンバーに浸透されていく。
体感というインプットがないとアウトプットが出せないんですよ。聞いた言葉も、言葉上だけで受け取って言葉上だけで出すと、やっぱりバレる。もっと言うと、ユーザーにまでバレちゃうと思うんですよね。

「徹底的に準備とシミュレーションをすること」秋元康の心を掴んだ3分ピッチ

z2

 
― いまのシンガポールでのライフスタイルと違い、新卒時代は金曜の夜に帰ったことがないくらい仕事漬けだったそうですが、またあの時と同じような働き方をしたいと考えたりしますか?

もう繰り返したくないです(笑) ただキャリアプランを考えたときに、詰め込む時期とアウトプットする時期というのがある。新卒の頃って仕事のことは右も左も分からないので、とにかく先輩から、そして現場からインプットを集める時期だと思います。わたし自身、新卒から3年間ぐらいはとにかく吸収するとか、いくらやってもやっても、やり足りないぐらい学習することがあった。

だから27歳くらいまではかなり仕事に没頭していて、ワーカホリックっていう言葉がぴったりなぐらい、寝てるとき以外はずっと仕事してましたね。夢の中でもソースコード書いてましたから。あまりにも仕事しすぎると、夢にまでプログラムのコードって出てくるんですね(笑)

 
― その当時、そこまで自分を追い込めたモチベーションはなんだったのでしょう?

もともと、学生のときにコミュニティサイトを個人で運営していたので、将来自分でメディアをやってみたい、ビジネス的に磨いていきたいというのはありました。そこでインプットしなくちゃ成長できないと思っていて。
でも、自分がインプットするときに、小さいものをたくさんインプットするよりも、すごいものをくれる人に一発でもらうほうが効率がいい。やっぱり、世の中でヒットを生み出している人というのは、珠玉のノウハウとか言葉を持っていらっしゃるので。

 
― 新卒1年目のときに秋元康さんに会われてますよね。

そうですね、たまたま秋元さんとお仕事をしているメンバーが隣の席にいて。当然、新卒の24歳ペーぺーみたいなわたしにはそんな重い担当を持たせてもらえないんですけど、やる気だけはめちゃくちゃあって。
もともと秋元さんの書籍が好きで結構読んでたんですけど、プロデューサーという、時代のトレンドをキャッチする能力や、それをプロデュースして世に何らかのプロダクトを押し出していくというのを、自分もやりたかった。

それで、わたしはインターネットのリテラシーは比較的高い方だったので、隣の席の人がやってるよりもいい企画が出せると思ってたんです。そしたら、たまたまテレビ局で秋元さんに会う機会があって、「実は隣の席のものが秋元さんとお仕事させていただいているんですけど、こういう企画を実は私だったらやりたいと思っていて。もしよろしければ、担当をわたしにチェンジしてください」と、いわゆる3分ピッチをしたんです。

ダイレクトに伝えたら、秋元さんに「おもしろいね」と連絡先をいただき、翌日もう1回念押しで「昨日申し上げた件、ぜひご検討ください」と電話しまして。その電話を切った直後ぐらいに上司から、「秋元さんチェンジって言ってるんで、チェンジ」と言われました。

 
― すごい。たった3分のプレゼンで秋元さんの心を掴んだと。

そこで学んだことは、自分がどうしても手に入れたいと思ったら、勇気を持って踏み出すこと、そして実現するためのシミュレーションをしておくべきだなと。そうすれば、いざその瞬間が来たときに、3分くらいのプレゼンテーションはできるわけですよ。
でも、ただぼーっと「プロデューサーとして大きくなりたいな」みたいに思っていたら、チャンスを取り逃してしまう。そう思っていたし、実際に秋元さんにプレゼンして成功したので、以降は自分が何か手に入れたいものがあったときには迷わず飛び込もうと。
なにかしらで3分ロスしただけでもチャンスを逃がしてしまいかねない、ということを学びましたね。

厚かましくてもいい。奥ゆかしさはもう女性の美徳ではない

z3

 
― 日本人女性のロールモデルになりたいと語られてましたが、その想いはいまも変わらずですか?

変わってないですね。日本人女性は控えめすぎる。もっと言葉に出すということをやったほうがいいと思っています。それは私の成功体験として、口に出すことでチャンスを掴んできたからなんですけど。
日本人女性は、言わぬが花というか、奥ゆかしいのが女性の美徳だという古めかしい考えに侵されている。だけど今の時代、違いますよね。男女平等に働ける時代に奥ゆかしいなんてやってたら、出世欲のある若い男の子たちに、「はいはい! その事業、僕やりたいです」って言われて、全部かっさらわれていっちゃう。

新卒同期の男の子が一番手で出世して、すごくおめでとうっていう気持ちの傍らに、「もしわたしが任されたら、責任持ってやれたのにな」って思うわけです。じゃあ、口に出したんですかっていうと、出してなくて。結局最後は、口に出した人が一番意志が強いというふうに人間判断されちゃうんですよね。だから、厚かましいと言われても、自分が欲しいものがあるのであれば必ず欲しいと言うということ。

また、わたしは何かおかしいなと思ったときに、「うまく説明できないんですけど、感覚的におかしいと思う」と言う。このまま進めるのは嫌だと言うのって、結構じわじわ認めてもらえるんですよね。そういうところから、わたしがロールモデルになれるのであれば嬉しいなと。

 
― そんな村田さんでも、手に入れられなくて悔しいみたいなことはありますよね?

ありますよ(笑) ただ、悔しいという感覚はアンテナの一種、だと思ってます。悪い感情ではなくて、自分が手に入れたいものに対して反応している証拠。
友だちの企業が成功したりするのを見ると、いいなーと思うし、羨ましいというか、ちょっとエンビーっていうのかな。「あれが自分だったらいいのにな」と思う気持ちってありますよね。
わたしはその感覚をすごく大切にしていて。日々の生活の中で、「あ、これもう先にやられた、悔しいな」とか「これ、自分だったらよかったのにな」と思うことがあったら、それを忘れないようにする。そして、ちゃんと口に出して、行動に移すというのが、自分のビジネスやキャリアの指針になってます。

「5千万人の反応を見れるのは醍醐味」DeNAパレットが探求するスマホメディアの在り方

z4

 
― 今後の、DeNAパレットの展望を教えて下さい。

まず我々はスマートフォンのメディア群というものを、今は10領域でつくっています。そして、これからもっと増やしていくのもありですし、その形態にはこだわっていません。ただ、スマホでメディアを読むという生活習慣や、表現の形態というの突き詰めていきたい。
また読んでもらうだけではなく、それぞれの領域において、ユーザーさんがなにかアクションできる、たとえば旅行を予約するとか、洋服を買うとか、家を建てるとか、そういうきっかけになるようなメディアにしていきたいです。

その細かいアプローチに関しては、まさにいま実験中という感じですね。しかも、後発媒体に関してはメンバーが全然足りていないんですよ。なので、その領域に何か思い入れがあったり、何か実現したい企画をお持ちの方にぜひ扉を叩いていただいて、立ち上げからご一緒していただきたいなと。

 
― 新しく入っても、アイデアを口に出す、手を挙げられる環境があると。

そうですね。むしろ、自分でつくりたいっていう人は大歓迎です。いま10媒体合計で月間5,000万ユーザーの方にアクセスいただいているんですけど、そういう方々の反応を見ながら、一緒に「どういうメディアに育てていこうか」とディスカッションできるような人がいいなと思っています。

やっぱり、ユーザーの反応を見てどんどん変えていくのって醍醐味だと思っていて。ソーシャルゲームはまさにそうで、イベント運営ってナマもので、そこで出るKPIの数字から「ユーザーさんが楽しんでくれているから、次はこういう手を打とう」みたいなチューニングをしていく。なので、ユーザーと何かフュージョンしながら一緒につくっていくような事業体でした。
わたし自身もソーシャルゲームの事業をやっていましたし、このDeNAという会社自体もその経験を踏まえているので、ユーザーの反応を見ることに非常に長けているのが特徴なので。

 
― 今年2016年は動画に注力していくと拝見しましたが、もう動きはじめていますか?

ちょっとずつトライアルをやっていってますけど、もっと大きな規模感でやっていきたいですね。だから、いま一番欲しいのは動画の人かもしれない。わたし自身が動画、スマホ動画にとても興味があるので。
撮影、編集を自分でワンストップでやっちゃいます、みたいな人がいれば、一緒にジャンジャン動画をつくって配信していきましょうと。配信先のユーザーさんはいっぱいいるので、もう、すぐに反応が出てめちゃくちゃおもしろいですよ。

インタビューを終えて

DeNA様_記事01

数々のチャンスをしっかりと掴み、結果を出されている村田マリさん。彼女の「悔しいという感覚はアンテナの一種」という言葉が特に印象的でした。

日々、なにかしらで悔しいと思うことはあります。メディアに携わる身としては、iemoが買収されたときもそうですし、めちゃくちゃシェアされている他メディアのコンテンツを読んだときもそう。

そういった一つひとつの「悔しい」という感情をしっかりと心に刻み、一歩踏み出す「勇気」とチャンスを逃さないための「準備」を大事にしていこうと、あらためて気づかされたインタビュー。

村田マリさん、ありがとうございました!


furture_bnr


この記事を書いた人

ナッツ
ナッツ 4代目広報担当 2014年入社
北海道生まれ、ナッツです。文章書いたり、写真撮ったり、撮られたりしています。好きな映画監督はウディ・アレン。がんばります。