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第60話

アニメを追い越した2016年なので読み返す『新世紀エヴァンゲリオン』(※ネタバレ含)


アニメを追い越した2016年なので読み返す『新世紀エヴァンゲリオン』(※ネタバレ含)

突然ですが質問です。あなたは、レイ派ですか? アスカ派ですか? はい、どーっちだ!

僕は霧島マナちゃん派、外部ライターのけいろーです。

あの頃はシンジと同い年の「チルドレン」だった自分も、気づけばミサトさんに追いつこうとしている今日この頃。久しぶりに読み返したら、シンジよりもミサトさんに共感してしまったことからも、年月の流れを感じます。「そうなのよ……”風呂は命の洗濯”なんですよ……! 」って、マンガでは言ってなかったっけ。

というわけで今回ご紹介するのは、言わずと知れた大人気アニメーション『新世紀エヴァンゲリオン』のコミカライズ版。貞本義行さんが描き出したエヴァンゲリオンの世界、通称「貞本エヴァ」です。

(以下、ネタバレを含みます)

足かけ19年の連載を経て、ついに完結! 『新世紀エヴァンゲリオン』

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新世紀エヴァンゲリオン 1 (角川コミックス・エース)

もはや説明するまでもない人気作品『新世紀エヴァンゲリオン』。1995年から96年にかけてテレビアニメが放映され、97年には旧劇場版が公開。社会現象を巻き起こすほどの大ヒットとなり、日本のポップカルチャーに多大な影響を与えてきたと今でも話題に挙がる作品です。

そのコミック版である本作。実はアニメに先駆ける形で連載が始まっていたのですが、たびたびの長期休載によって、ちょーっと完結が先送りになってしまっていたようです。

2003年頃、僕は友達からビデオを借りて、初めてアニメ版『エヴァ』を見ました。そして、アニメに影響されてマンガを買いました。当時はまだカヲルくんが出るか出ないかくらいの巻が最新刊だったと記憶しています。

それから10年後、2013年の『ヤングエース』誌面でついに完結し、単行本の最終巻が出たのは翌2014年。くしくも物語本編が始まる2015年直前であり、2007年から新シリーズが公開されている新劇場版の熱もあってか、ネット上でもかなり盛り上がっていたように思います。

ちなみに、新劇場版の完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は、2013年か2015年冬の公開予定だった気がしますが、時はすでに2016年。……いや、何も言いますまい。もとより、どれだけでも待つ覚悟でありますゆえ。

どこかコミカルなキャラクターと、容赦なくもたらされる死

基本的にはアニメ版と旧劇場版の展開を踏襲している、コミック版『エヴァ』。ですが、キャラクターに関しては随所で性格の違いなども散見され、シンジが「どっしぇー」と叫ぶなど、全体的にコミカルな内容に仕上がっています。……そりゃまあ、“コミック”ですしね。

特にカヲルくんの性格はアニメ版と大きく異なっており、たびたび感情をむき出しにするような所作に悶絶……もとい、いたく興奮している友人の女性ファンも散見されました。で、『新劇場版:Q』で昇天してた。

また、貞本エヴァと言えば話題に挙がるのが第6巻、鈴原トウジの扱いについて。アニメでは左足を失う重傷を負って以後、登場しなくなりますが、マンガ版では完全に「死亡」。絶望しきったかのような悲しい表情で息絶えている姿が描写されており、衝撃を受けたことを覚えています。

この「トウジの死」をはじめとして、マンガ版は全体的に「死」の描き方が直接的であり、それが魅力となっているように感じられました。加持さんにせよ、ミサトさんにせよ、ゲンドウにせよ、死にゆく過程がアニメよりもはっきりしているという読後感。

「マンガ」と「アニメ」という媒体の違いによるものなのか、貞本さんの作風によるものなのかはわかりませんが、それも本作の魅力のひとつと言えるのではないでしょうか。

『エヴァ』の終わりと、新たな始まりを示す、雪景色

いったいどのような結末を迎えるのか、ファンの誰しもが気にしていただろう、貞本エヴァ。

終盤、旧劇場版と同様の流れになって「ああ、やっぱり……」と思っていたところ、ふと気づけば父親はA.T.フィールドを展開し、息子はアスカ救出に間に合うという新展開も見せ、「これはもしや……!?」と期待した人も少なからずいたのではないでしょうか。父ちゃん、かっけえ。

最終巻を読み終えた僕の感想としては、「よくぞやってくれた」という思いが強かったです。アニメ版をしっかりと補完するような形で丁寧に描いてくれただけでなく、ひとつの一貫したストーリーとして、「碇シンジの物語」として、きれいに収束したという読後感。

最終話、使徒が襲いかかる常夏の世界でなく、一巡する四季の終わりの「冬」の景色の中で、「がんばろう」と一歩踏み出し前向きに生きようとするシンジの姿。それが見られただけでも、本当に「エヴァが好きでよかった」と思わせられました。だからこそ、この表紙は最高なんだ。

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新世紀エヴァンゲリオン 14 (角川コミックス・エース)

冒頭にも書いたように、この記事を書くにあたって、久しぶりにマンガ版『新世紀エヴァンゲリオン』を読み返していたのですが……やはり色褪せませんね。相変わらずナヨナヨしたシンジにもどかしさを感じ、理不尽で自分勝手な大人に憤りを覚え、「男の戦い」でアツくなる。

ただ一点だけ、シンジと同い年だった頃と違うのは、昔は理不尽に見えた「大人」の行動に憤りを覚えつつも、共感できるようになった点。大人だからこそ過去に縛られもするし、他者との距離感にも気を遣うし、ときにがんじがらめになってしまう。それが、今ならよくわかる……わかってしまうんですよね。つらい。

まとめ

もしも、「アニメは見たけどマンガは読んだことがない」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ本作を手に取って読むことをおすすめします。最終巻には『新劇場版』につながる過去話も登場しますし、新たな発見も多いはず。「チルドレン」だった大人たちに贈る、“2015年”の物語。

そういえば、昔は「ミサトさんの年齢(29歳)になる頃には、自分もあんな大人になれているのかなー」と考える時期もありました。それも、あと数年で追いついてしまう……と思っていたのだけれど、よくよく考えてみれば『新劇場版:Q』のミサトさんは43歳なんですよね……。まさか新展開があるなんて、ガキンチョの頃は考えもしなかったので。

ミサトさん……貴女に追いつけるのは、まだまだ先の話になりそうです……。


この記事を書いた人

けいろー
けいろー 外部ライター
ライター見習い。1989年生まれ。ゆとり世代のぬるオタ。大学卒業後、入社した大手メーカーを1年半で退職。ブログで好き勝手に書き散らしていたらお仕事をいただけるようになったので、ノリで独立。インターネットらぶ。ボクっ娘が好きです。
ブログ「ぐるりみち。」(http://yamayoshi.hatenablog.com/)