昨日、妻と。- 第10話 –


昨日、妻と。- 第10話 –

ひゃくいち(@tanabe101)です。

昨日、妻とお墓参りへ行ってきました。

父は痔ではなく癌で死んだわけですが、お墓はかなり遠い場所にあり、中には弟も入っています。

もちろん「遠いから」というだけではなく他にもさまざまな要因があり、ずっと行きたがっていた妻を連れていく気分にはなかなかなれず、実は初めての訪問です。

墓石が立ちならぶ、小高い芝生の丘を歩いていきます。小鳥たちがわたしたちのあとをついてきて、心地よいさえずりを聞かせてくれます。同じタイミングでやってきた別の家族と「こんにちはー♩」なんて笑顔で挨拶を交わしながら進みましょう。

なにやら、妻がわたしの顔をチラチラとみてきます。

そうでした。妻は、わたしが泣く瞬間を見るのが好きらしく、感動する映画やテレビを二人でみているときにも、これをよくやるんです。父や弟と会うときに、わたしが泣くと思っているのでしょう。いよいよ、うちのお墓が近づいてくると、妻のチラチラもMAXに。

いやいや、気が散るし不謹慎だし、やめなさい。そう注意しようと隣を向くと、妻がいません。

次の瞬間、お墓から響いてきたら付近の住民も「たたりだ!」と逃げ出すような「ヌゥオオオオオオオオオオオオン!」という地鳴りがとどろきました。妻でした。なんと、地面に突っ伏して号泣しているじゃありませんか。

小鳥たちはいっせいに糞を落としながら飛びたち、近くでお墓参りをしていた先ほどの家族たちも見てはいけないものを見てしまったといった感じで、もう目を合わせようとはしてくれません。

立たせて行こうとすると、妻はわたしの手をふりほどき、「お父さんと弟さんに、ちゃんと挨拶せえや!」となぜか怒ります。

いや、だから、ちゃんと挨拶するためにも行こうよ。そう言っても聞かず、嗚咽しながら座りこみ、目の前の墓石をじっと見つめつづけるのです。そこには「田辺家」の文字が。

ひゃくいち あとがき
それ、別の田辺家です。

おかげで、最後まで笑いながらお墓参りを終えられることに。助かりました。

明日は第11話を書きます。

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この記事を書いた人

ひゃくいち
ひゃくいち Copywriter 2014年入社
踏みつけたくなるウンコを求めて。